《文豪×マンガ2》『カフカの「城」他三篇/森泉岳士 『螢』/森泉岳士・漫画+村上春樹・原作「螢」

2018/11/13 (Tue)
文学の秋の特集:夢のコラボレーション続々。
太宰治、芥川龍之介、谷崎潤一郎……
その作品の芸術性の高さで、”文豪”と呼ばれる偉大なる作家たち。
そんな彼らの作品や、なんと彼ら自身までもが、続々マンガ化されている。
正統派コミカライズ作品から、「その手があったか!」という驚きの文豪マンガまで紹介!

“漫画の新たな可能性を拓く”と評された新鋭による驚異のマンガ体験。
カフカ、ドストエフスキー、漱石、ポーの小説を、各16ページで奇跡のコミック化!
柴田元幸、椹木野衣、柴崎友香氏絶賛、世界の名作がまったく新たに甦る!
“漫画の新たな可能性を拓く”と評された新鋭による驚異のマンガ体験
【収録作品】
・カフカの「城」
・漱石の「こころ」より“先生と私”
・ポーの「盗まれた手紙」
・ドストエフスキーの「鰐」

文藝 2015年冬季号
第52回文藝賞発表
【受賞】
●山下紘加「ドール」(200枚)
少年は、自分の、自分だけの、特別な人形を手に入れたいと思った
――時代を超えて蠢く少年の「闇」と「性」への衝動を描く、驚異の新人登
●畠山丑雄「地の底の記憶」(320枚)
ラピス・ラズリの輝きに導かれ、「物語」は繙かれる
――電波塔に見守られる架空の町を舞台に、百年を超える時間を描く壮大なデビュー作!
【選評】
藤沢周「坑道を掘る者、照らす者」
保坂和志「不謹慎さ真面目さ」
星野智幸「小説を書く必然性」
山田詠美「小説か否か」
受賞の言葉
選考経過
選評
第53回文藝賞応募規定
【受賞記念対談】
星野智幸×山下紘加 「『視線』から踏み込んだ世界」
藤沢周×畠山丑雄 「大きな物語に潜む記憶、そして救い」
* * *
【長篇一挙掲載】
窪美澄「アカガミ」(370枚)
[アカガミ▶︎2020年を境に急激に増加した若者の「性」と「生」離れに対して国が提唱し設立したシステム]
私は今日、ログに勧められ、この制度に志願した……新しい家族をつくり、そして狂わないために。
著者新境地にして、生への警鐘を描く傑作。
【短篇一挙掲載】
木下古栗「GLOBARISE」(236枚)
天然温泉 やすらぎの里→理系の女→フランス人→反戦の日→苦情→示し→専門性→若い力→道→観光→絆→globarise➡︎木下古栗!
【特別掲載】
森泉岳士・漫画+村上春樹・原作「螢」
あの名作短篇を16ページで感動のコミック化!
【創作】
山崎ナオコーラ「開かれた食器棚」
姜信子「なもあみだんぶーさんせうだゆう」
【エッセイ】
田原牧 「ポジショントーク」
塚本晋也 「『野火』で見えたこと」
【連載小説】
古川日出男「掌篇シリーズ 糸糸(いといと) ホッキョクグマを南極へ帰す/盗聴・幽霊篇/シュガー前夜」
松田青子「掌篇シリーズ 9 スリル/バルテュスの「街路」への感慨/この場を借りて/パンク少女がいい子になる方法/いい子が悪女になる方法/神は馬鹿だ/猫カフェ殺人事件/We Can't Do It!/Toshibaメロウ20形 18ワット」
山内マリコ「短篇シリーズ 選んだ孤独はよい孤独 ぼくらの国立競技場」
恩田陸「灰の劇場」第8回
町田康「ギケイキ」第11回
宮内勝典「永遠の道は曲りくねる」第4回
ジェイムズ・ジョイス/柳瀬尚紀=訳「ユリシーズ」第9章・第10章
【マンガ】
小林エリカ「ウルフ 鏡」
【連載】
横尾忠則×保坂和志×磯﨑憲一郎「アトリエ会議」2015年9月3日
高橋源一郎「一億三千万人のための「論語」教室」第4回
今日マチ子「ぱらいそさがし」第4回
【書評】
辻原登『Yの木』 絲山秋子
桐野夏生『抱く女』 武田砂鉄
保坂和志『遠い触覚』 種田陽平
青山七恵『繭』 安藤桃子
星野智幸『呪文』 瀧井朝世
高橋弘希『朝顔の日』 寺尾紗穂
滝口悠生『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』 豊﨑由美
羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』 栗原康
いしいしんじ『港、モンテビデオ』 石井千湖

文藝×マンガの幻想的な雰囲気と登場人物の表情は圧巻。
水、墨、爪楊枝、割り箸など、特異な技法で紡がれる唯一無二の絵柄で注目を集めているマンガ家・森泉岳士(代表作に『夜よる傍に (ビームコミックス)』『耳を忘れない』など)が、文豪作品のコミカライズを相次いで2015年に発表した。深夜のニュース番組の冒頭に特集されたので、当時興味深く注目した。
『カフカ「城」他三篇』では、カフカの「城」はもちろん、夏目漱石「先生と私」、ポー「盗まれた手紙」、ドストエフスキー『鰐』を。たとえば、漱石の「先生と私」では、原作に漂う物寂しい雰囲気をそのまま絵にしたような、素晴らしい出来栄え。そして『文藝』2015年冬号では、村上春樹による短編『「螢』をマンガ化。村上作品のコミカライズは、これが国内初となったのも特筆に値するだろう。短編「螢」では、感情が見えるようで見えない、キャラの表情が絶妙な一コマでストーリーを紡ぐ。どちらの作品も、原作に漂うどことない物寂しさが、特徴的な絵柄を通して浮かび上がてくれる。いずれもその独特の筆致から紡ぎ出される、幻想的な雰囲気と登場人物の表情は圧巻である。
斉藤 洋【作】の童話・文学ですが、森泉岳士さんががイラストを担当。

図書館でアルバイトをするわたしのもとには、
なぜか不思議な話が集まってくる。4編からなる斉藤洋の奇譚集。
図書館でアルバイトをしているわたしのもとにはなぜか、不思議な話が集まってくる。
山で怪異に出会った少女をみちびいたのは?四編からなる斉藤洋の奇譚集。
小学校高学年から。
「天使の本か悪魔の本か」「美術館の少女」「アリスのうさぎ」「白い着物」の四編からなる斉藤洋の奇譚集。
『アリスのうさぎ』につづく、図書館が舞台の斉藤洋の奇譚集第二弾。
おかしなことに、わたしの顔を見るとみな、奇妙な話をしたくなるらしい。
図書館でアルバイトするわたしのもとに集まる、不思議な話とは?
「だいちくんのぴょんぴょんカエル」「ドッペルゲンガー」
「シンデレラのねずみ」「エレベーターのあやかし」「少年の夢」の5編からなる
図書館を舞台にした斉藤洋の奇譚集、第2弾。
著/斉藤洋[サイトウヒロシ]
東京都生まれ。ドイツ文学者、児童文学作家。中央大学大学院文学研究科修了。
『ルドルフとイッパイアッテナ』で講談社児童文学新人賞、『ルドルフともだちひとりだち』で野間児童文芸新人賞、『ルドルフとスノーホワイト』で野間児童文芸賞を受賞。1991年、路傍の石幼少年文学賞を受賞


フランツ・カフカ (著)
前田敬作 (翻訳)
測量師のKは深い雪の中に横たわる村に到着するが、仕事を依頼された城の伯爵家からは何の連絡もない。村での生活が始まると、村長に翻弄されたり、正体不明の助手をつけられたり、はては宿屋の酒場で働く女性と同棲する羽目に陥る。しかし、神秘的な“城”は外来者Kに対して永遠にその門を開こうとしない…。職業が人間の唯一の存在形式となった現代人の疎外された姿を抉り出す。
フランツ・カフカ【Franz Kafka】
┣ 1883年7月3日 - 1924年6月3日
┣ 出生地に即せば現在のチェコ出身のドイツ語作家。プラハのユダヤ人の家庭に生まれ、法律を学んだのち保険局に勤めながら作品を執筆、どこかユーモラスで浮ついたような孤独感と不安の横溢する、夢の世界を想起させる[1]ような独特の小説作品を残した。その著作は数編の長編小説と多数の短編、日記および恋人などに宛てた膨大な量の手紙から成り、純粋な創作はその少なからぬ点数が未完であることで知られている。
┣ 生前は『変身』など数冊の著書がごく限られた範囲で知られるのみだったが、死後中絶された長編『審判』『城』『失踪者』を始めとする遺稿が友人マックス・ブロートによって発表されて再発見・再評価をうけ、特に実存主義的見地から注目されたことによって世界的なブームとなった。現在ではジェイムズ・ジョイス、マルセル・プルーストと並び20世紀の文学を代表する作家と見なされている。
夏目漱石 (著)
親友を裏切って恋人を得たが、親友が自殺したために罪悪感に苦しみ、自らも死を選ぶ孤独な明治の知識人の内面を描いた作品。鎌倉の海岸で出会った“先生”という主人公の不思議な魅力にとりつかれた学生の眼から間接的に主人公が描かれる前半と、後半の主人公の告白体との対照が効果的で、“我執”の主題を抑制された透明な文体で展開した後期三部作の終局をなす秀作である。
夏目漱石(なつめ そうせき)
┣1867年2月9日(慶応3年1月5日) - 1916年(大正5年)12月9日
┣小説家、評論家、英文学者。
┣江戸の牛込馬場下横町(現在の東京都新宿区喜久井町)出身。俳号は愚陀仏。
┣大学時代に正岡子規と出会い、俳句を学ぶ。帝国大学(後の東京帝国大学、現在の東京大学)英文科卒業後、松山で愛媛県尋常中学校教師、熊本で第五高等学校教授などを務めた後、イギリスへ留学。帰国後、東京帝国大学講師として英文学を講じながら、「吾輩は猫である」を雑誌『ホトトギス』に発表。これが評判になり「坊っちゃん」「倫敦塔」などを書く。 その後朝日新聞社に入社し、「虞美人草」「三四郎」などを掲載。
エドガー・アラン ポー (著)
佐々木 直次郎 (翻訳)
19世紀アメリカの小説家・詩人であるエドガー・アラン・ポーの短編小説。1845年、「ザ・ギフト」に掲載された。ある大臣が、政治的な目的で貴婦人の私的な手紙を盗み出す。貴婦人からの依頼を受けた警察が全力を尽くして捜しても見つからなかったが、警視総監から相談を受けたデュパンが難なく取り戻す。人の盲点をついた鮮やかなトリックで、デュパンが登場する三作の中では、最も評価の高い作品。
エドガー・アラン ポー【Edgar Allan Poe】
┣1809年1月19日 - 1849年10月7日
┣アメリカ合衆国の小説家、詩人、評論家。
┣マサチューセッツ州ボストンに生まれる。
┣ゴシック風の恐怖小説「アッシャー家の崩壊」「黒猫」、世界初の推理小説と言われる「モルグ街の殺人」、暗号小説の草分け「黄金虫」など多数の短編作品を発表、また1845年の詩「大鴉」でも評判を取った。また同時に有能な雑誌編集者であり、文芸批評家でもあったが、飲酒の悪癖などでトラブルを起こす癖はなおらず、いくつもの出版社を渡り歩いた。1833年、当時まだ13歳だった従妹ヴァージニア・クレムと結婚するが、1847年に貧苦の中で結核によって彼女を失い、その2年後にポー自身も謎めいた死を遂げた。 ポーはアメリカにおいて文筆だけで身を立てようとした最初の著名な作家であったが、文名を得てからもその生活はほぼ常に貧窮の中にあった。その作品は当初は本国よりもむしろヨーロッパで評価され、特にボードレールによるポーの翻訳はフランス象徴派の文学観形成に大きく寄与した。またポーが「モルグ街の殺人」で作り出したC・オーギュスト・デュパンの人物像は以後の推理小説における探偵の原型となっており、ポーは近代推理小説の開祖とみなされている。そのほか科学的知見を取り入れた『アーサー・ゴードン・ピムの物語』などの冒険譚はジュール・ヴェルヌら後世のSF作家にも影響を与えている。
フィヨードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー (著)
森 林太郎 (翻訳)
19世紀後半のロシア文学を代表する文豪、フィヨードル・ドストエフスキーの短編小説。翻訳の初出は「新日本」[1912(明治45)年]。あるロシア人の男イワン・マトヴェーイチは、うっかり見世物小屋のワニに飲み込まれる。大騒ぎになるものの、しかし、イワンはワニの腹の中でぴんぴんしていて、その中から、世界を変えようと試みる。風変わりな不条理小説。
フィヨードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
┣1821年11月11日〔ユリウス暦10月30日〕 - 1881年2月9日〔ユリウス暦1月28日
┣ロシアの小説家・思想家である
┣代表作は『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』など。レフ・トルストイ、イワン・ツルゲーネフと並び、19世紀後半のロシア小説を代表する文豪である。その著作は、当時広まっていた理性万能主義(社会主義)思想に影響を受けた知識階級(インテリ)の暴力的な革命を否定し、キリスト教、ことに正教に基づく魂の救済を訴えているとされる。実存主義の先駆者と評されることもある。反ユダヤ主義者としても知られる。
村上春樹 (著)
秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを感じとることができた。でも、それだけだった。彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕だった。僕の温もりではなく、誰かの温もりだった……。もう戻っては来ないあの時の、まなざし、語らい、想い、そして痛み。リリックな七つの短編。
村上春樹(むらかみはるき)
┣1949年1月12日 -
┣小説家、文学翻訳家。京都府京都市伏見区に生まれ、兵庫県西宮市・芦屋市に育つ。
┣早稲田大学在学中に喫茶を開く。1979年、『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。
┣1987年発表の『ノルウェイの森』は2009年時点で上下巻1000万部を売るベストセラーとなり[2]、これをきっかけに村上春樹ブームが起きる。その他の主な作品に『羊をめぐる冒険』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』、『1Q84』などがある。

📚森泉岳士のコミック一覧
KADOKAWA (2017-10-12)
売り上げランキング: 130,471
KADOKAWA (2017-10-12)
売り上げランキング: 167,867
売り上げランキング: 75,780
KADOKAWA/エンターブレイン
売り上げランキング: 115,119
KADOKAWA/エンターブレイン
売り上げランキング: 83,590
KADOKAWA/エンターブレイン (2016-04-25)
売り上げランキング: 147,265
森泉岳士(モリイズミタケヒト)
┣1975年生まれ。水、墨、爪楊枝、割り箸など、特異な技法で漫画を描く注目の新鋭。
┣「森のマリー」にて商業漫画誌デビュー。
┣著作に「夜のほどろ」「祈りと署名」「夜よる傍に」「耳は忘れない」がある。
- 関連記事
-
- 《文豪×酒4‐お酒の本エトセトラ13》梅酒コミック (2018/12/16)
- 《文豪×マンガ7》文豪失格/千船翔子(画) AIRAGENCY・フロンティアワークス(原作) 一柳廣孝(監修) (2018/11/18)
- 《文豪×マンガ6》もし文豪たちがカップ焼きそばの 作り方を書いたら/神田桂一 (著) 菊池良 (著) (2018/11/17)
- 《文豪×マンガ5》文豪ストレイドス/原作:朝霧カフカ 漫画:春河35(「ヤングエース」連載) (2018/11/16)
- 《文豪×マンガ4》最果てにサーカス/月子(著) (2018/11/15)
- 《文豪×マンガ3》有名すぎる文学作品をだいたい10ページの漫画で読む。/ドリヤス工場(著) (2018/11/14)
- 《文豪×マンガ2》『カフカの「城」他三篇/森泉岳士 『螢』/森泉岳士・漫画+村上春樹・原作「螢」 (2018/11/13)
- 《文豪×マンガ1》谷崎万華鏡 - 谷崎潤一郎マンガアンソロジー /榎本俊二、今日マチ子、 久世番子、 近藤聡乃 、しりあがり寿 、高野文子、中村明日美子…etc (著) (2018/11/12)
(11月の特集本)あやか師夢介 元禄夜話/小沢章友(著) イラスト:シライ シユウコ≪ | HOME | ≫(11月の特集本)吸血鬼ハンター外伝 ダンピール狩り /朝川ユウキ(著) 菊地秀行 (監修) イラスト:行徒
コメントフォーム

この記事へのトラックバック

この記事のトラックバックURL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
(11月の特集本)あやか師夢介 元禄夜話/小沢章友(著) イラスト:シライ シユウコ≪ | HOME | ≫(11月の特集本)吸血鬼ハンター外伝 ダンピール狩り /朝川ユウキ(著) 菊地秀行 (監修) イラスト:行徒