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大人本セレクト(162)…戦後70年、新たな3人の才能に注目! 「マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から」:今日マチ子編

kage

2018/11/16 (Fri)

■大人だから楽しんで読める、
大人だから読んでほしい様々なジャンルの『大人本セレクト』をレビュー!
Arikaおとな本1
VOL・162

ほん運び大人だからこそ読んでほしい、
戦後70年、新たな3人の才能に注目!
「マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から」


戦後70年の節目を迎えた2015年。

テレビや新聞、雑誌など多くのメディアが戦争を振り返る特集を組み、戦後70年企画の関連書籍やマンガ、ムックなど相次いで出版。全国各地の書店でも戦争や平和、歴史をテーマにした特設コーナー開設やフェア企画が催された。

京都国際マンガミュージアムで6月6日から9月6日まで期間で企画展「マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から」を開催。

戦後に数多く描かれてきた戦争をモチーフにしたマンガから、6つのテーマで選出した24点の作品と、新たな表現で戦争を描いている、おざわゆき今日マチ子こうの史代という3人のマンガ家の原画を展示して、マンガ表現と戦争の関わりを改めて考察した。

戦争を体験した世代が高齢化して確実に減少していくなか、このように新たな表現で「戦争」と向き合おうとする若い才能と作品群は、今後さらに重要な意味を持つものになっていくだろう。


第44回(2015年度)日本漫画家協会賞大賞受賞 カーツーン部門受賞!
今日マチ子

日本漫画家協会賞大賞受賞カーツーン部門受賞作!
 いちご戦争/今日マチ子

いちご戦争
いちご戦争
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今日 マチ子
河出書房新社
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少女が夢見た戦争は、恐怖とお菓子の匂いがした――――。
Arika報告書v1アイコン瑞々しくキュートな今日マチ子的戦記です。戦争を描いた超話題作『cocoon』『アノネ、』に続き、〈新世代の叙情作家〉今日マチ子が描く、「少女と戦争」最新作! 撃たれた飛び散る内臓はいちごとなり、戦線にはシロップの血が流れ、マシュマロ戦艦が沈んでいく……。戦慄のオールカラー戦記。飛び散る血はいちご、突き刺さるのはポッキー、降り注ぐ金平糖。甘い世界がときに生々しく心に残ります。今日マチ子さんの描く少女たちにいつも懐かしい気持ちにさせられます。幻想的に見えて、私たちが忘れてはいけない現実を教えてくれる一冊です。かわいい絵で、戦争が表現されていて、今、読むべき漫画の1つだと思います。



文化庁メディア芸術祭「審査委員会推薦作品」。
2013年には岸田國士戯曲賞した藤田貴大の作、演出で「マームとジプシー」により舞台化

  COCOON/今日マチ子

COCOON
COCOON
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今日マチ子
秋田書店
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理不尽な時代を感じて欲しい。
楽しそうな女の子の生活と戦争の残酷さ!
当時のいたいけな少女たちが幸せな日常から激変する日常へ。

Arika報告書v1アイコン沖縄戦を舞台にしたマンガ。戦争中でも女の子達はかわいいことが大好きでみんな夢中になっていた。しかし戦争がすべて奪っていってしまった…。憧れも、初恋も、爆撃も、死も。シマいちばんの女学校に通う主人公・サンは、クラスメイトとともに学徒隊として戦地に赴く。戦況の悪化とともに、ひとり、またひとりと学友を失う中、世界の凄惨さと自己の小女性の狭間でサンは…。「センネン画報」「みかこさん」など若者の透明感ある日常を描いてきた叙情漫画家・今日マチ子が、沖縄のひめゆり学徒隊に着想を得て、思春期の少女たちの視点から戦争を描いた長編傑作。どの時代にも響きつづける、少女と戦争のエポック・メイキングです。 当時のいたいけな少女たちが幸せな日常から激変する日常へ。今日マチ子さんの絵はシンプルで好きなのですが、そのシンプルさが戦争の残酷さを際立たせています。理不尽な時代を感じて欲しいです。



「悲劇の少女×独裁者」
世界でいちばん出逢ってはいけないふたりのボーイ・ミーツ・ガール。
 アノネ、(上・下)/今日マチ子

アノネ、(上)
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今日マチ子
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アノネ、(下)巻 (書籍扱いコミックス)
今日マチ子
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あの世界大戦中……。
隠れ家で生活する花子は秘密の部屋で謎の青年と出会う。
「アンネの日記」から着想を得た、完全フィクション・ストーリー!!

Arika報告書v1アイコン膨らむ乳房、待ち望んだ初潮、初めてのキス・・・・・・少女は“隠れ家"で性徴した。「悲劇の少女×独裁者」。その凄惨な死から世界一有名な「戦争の犠牲者」となったアンネ。残酷な指導力から世界一有名な「戦争のカリスマ」となったヒトラー。アンネ、ヒトラー、花子、太郎、戦時中、現代・・・・・・今日マチ子が想像力を駆使し、時空を超えて物語を構築した。どこにでもいる少年少女として描き直すことで、悪の象徴、悲劇のヒロインという作られたイメージから彼らを解放したいという想いを感じた。原作厨(歴史に詳しい人)ほど、ヒトラーとアンネ・フランクの恋愛という設定に、戦争を経験していない世代の創作の軽薄さを感じるだろう。あとがきで説明される独特の比喩表現があちこちに散りばめられている。2人の家庭環境くらいは知っていないと、話に置いてけぼりを食らうかもしれない。世界でいちばん出逢ってはいけないふたりのボーイ・ミーツ・ガール&ボーイ・デストロイズ・ガール。



『cocoon』『アノネ、』に続く、少女×戦争×ファンタジーシリーズ三部作完結編。
 ぱらいそ/今日マチ子

ぱらいそ(書籍扱いコミックス)
今日マチ子
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神様に守られた場所にある、
戦況が悪化していく中で、それぞれの天国を探し求める。

Arika報告書v1アイコン原爆を題材にした女の子主人公のファンタジー。『cocoon』『アノネ、』では沖縄、ホロコーストが舞台。今作『ぱらいそ』は長崎が舞台。主人公のユーカリは戦時下に絵画教室アトリエ「ぱらいそ」に通う。アトリエが天国なのは、作者の高校時代に通った予備校での実体験に基づく。ただ好きなことだけやっていられるユートピア。アトリエ「ぱらいそ」のモデルは、穏やかな海に面した堂崎教会だろう。他にもユーカリが親子から風呂敷を盗むシーンに映る教会は1945年の長崎原爆で被爆したカトリック浦上教会。セージへ送った絵葉書には青砂ヶ浦教会が登場する。長崎はキリスト教徒が多い。1945年には存在しないはずの電気スタンド、テレビが描かれる。ユーカリの実家にはサランラップが置いてある。無傷のまま放射能で汚染され、ユーカリは実家にもう戻れない。堂崎教会は1945年の長崎原爆の被害はなかったはずが、シスターアンゼリカは堂崎教会のがれきの中で息絶える。セージが敵国の兵士を殺すのは未来の戦地だろうか。今までは、被害者としての戦争と少女を描いていた作者が、加害者としての側面をだしています。特に原爆が落ちたあとのセリの能動的なキャラ設定には、今日マチ子の新境地をかいま見ることができます。原発投下後には、現代との境目をあえてあやふやにすることで、この作品が持つ批評性と、ファンタジーだからこそ表現できる戦争を描いています。彼女のような唯一無二の独自性を持つ作家の作品をリアルタイムで読むことでできて幸せです。


今日マチ子 [Machiko Kyo]
┣漫画家。東京都生まれ。

経歴
┣東京藝術大学美術学部卒。セツ・モードセミナー卒。
┣2004年より、ブログに『センネン画報』を発表。
┣2005年「ほぼ日マンガ大賞」入賞。
┣2006年と2007年、『センネン画報』にて、
┣2010年、『cocoon』にて、
┣2013年、『アノネ、』にて、
┣文化庁メディア芸術祭「審査委員会推薦作品」選出。
┣2014年には、「第18回手塚治虫文化賞新生賞」を受賞。
┣2015年、『いちご戦争』にて
┣第44回日本漫画家協会賞・カーツーン部門大賞受賞。
┣『みかこさん』『みつあみの神様』『U』『ニンフ』、
┣劇団「マームとジプシー」主宰の藤田貴大との共著『mina-mo-no-gram』
など、著書多数。

2004年からほぼ毎日綴った1ページ漫画ブログ「今日 マチ子のセンネン画報」が書籍化(『センネン画報』)され、注目を浴びる。2005年「ほぼ日マンガ大賞」入賞、2006年・2007年・ 2010年・2013年文化庁メディア芸術祭「審査委員会推薦作品」に選出。
著作に『みかこさん』『ぼくのおひめさま』(やくしまるえつこ朗読CD付絵本)『5つ数えれば君の夢』『ニンフ』『吉野北高校図書委員会』等多数。戦争を描いた『cocoon』は劇団「マームとジプシー」により2013年に舞台化され、2015年には再演、同年『みつあみの神様』も舞台化された。2014年には『mina-mo-no-gram』『アノネ、』『みつあみの神様』『U』が評価され第18回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。2015年には第44回日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門に『いちご戦争』が選ばれた。2016年3月に新刊『猫嬢ムーム』『百人一首ノート』が刊行。漫画以外にもイラスト、エッセイ等も幅広く手掛ける。マンガ以外にも、書籍の装画、CDジャケット等、イラストレーション作品も手がける。



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