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大人本セレクト(163)…戦後70年、新たな3人の才能に注目! 「マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から」:こうの史代編

kage

2018/11/17 (Sat)

■大人だから楽しんで読める、
大人だから読んでほしい様々なジャンルの『大人本セレクト』をレビュー!
Arikaおとな本1
VOL・163

ほん運び大人だからこそ読んでほしい、
戦後70年、新たな3人の才能に注目!
「マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から」


戦後70年の節目を迎えた2015年。

テレビや新聞、雑誌など多くのメディアが戦争を振り返る特集を組み、戦後70年企画の関連書籍やマンガ、ムックなど相次いで出版。全国各地の書店でも戦争や平和、歴史をテーマにした特設コーナー開設やフェア企画が催された。

京都国際マンガミュージアムで6月6日から9月6日まで期間で企画展「マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から」を開催。

戦後に数多く描かれてきた戦争をモチーフにしたマンガから、6つのテーマで選出した24点の作品と、新たな表現で戦争を描いている、おざわゆき今日マチ子こうの史代という3人のマンガ家の原画を展示して、マンガ表現と戦争の関わりを改めて考察した。

戦争を体験した世代が高齢化して確実に減少していくなか、このように新たな表現で「戦争」と向き合おうとする若い才能と作品群は、今後さらに重要な意味を持つものになっていくだろう。


こうの史代

 この世界の片隅に (全3巻)/こうの史代



70年前の人の姿が丁寧に描かれている。
戦時の「リアル」と、愛すべき「キャラクター」たち。

Arika報告書v1アイコン戦争の悲惨さを描いた作品は少なくないが戦争中の普通の人々の生活を丁寧に描いた作品はそれほど多くはないと思う。広島・呉を舞台に戦時下を生きる女性の暮らしを描いた代表作のひとつ。第二次世界大戦中、広島の漁師町に育ち絵を描くことが好きな少女・浦野すずは、急遽、軍港・呉に住み、海軍に勤務する周作・北條家に嫁ぐことになる。戦時中とはいえ当初は比較的普通の夫婦生活を送り始める。戦争中の庶民の日常生活をリアルに描いており、気楽でもなく、かといって極端に悲惨でもなく、現代においてもどこにでもある日々の家族愛を表現しつつ、ストーリーは展開していく。突然投げ込まれた非常事態。この本が思い出され、いくつかの言葉が頭に浮かんできました。すずのお姑さんの「大ごとじゃ思うとった。大ごとじゃ思えたころがなつかしいわ」という言葉。3月11日以前の、大相撲の八百長とか、京大カンニングとか・・・大昔の出来事のようです。信じられないような被害の中でも助け合い、踏ん張っておられる、被災者の方々を報道で目にするたび、涙しています。

「そんとな暴力に屈するもんかね」という、すずの言葉が重なります。

そして、ラスト近い「よう広島で生きとってくれんさったね」。

戦争中なので主要登場人物は傷つき、中には死ぬ人も出てくるがそのような事態に直面した後のしぶとさや精神的な強さに感心した。運命として受け入れているように感じられたが、多くの親族と一緒に住み、近所付き合いがさかんでお互いが助け合っていること食事や風呂の準備など日々の生活に忙しく気がまぎれることが貢献しているように思われた。すずさんの愚直な生き方に圧倒されます。最後は号泣してしまい、一人で読んでいて本当によかったと思いました。想像をはるかに超える作品でした。そして、あちらこちらに「あっ、そういえば。」という仕掛けもあり、繰り返し読みたくなります。





 小説 この世界の片隅に (双葉文庫)こうの史代(原作), 蒔田陽平(ノベライズ)

小説 この世界の片隅に (双葉文庫)
こうの 史代 蒔田 陽平
双葉社 (2016-10-13)
売り上げランキング: 65,465


戦時下の広島・呉を生きるすずの日常と軌跡を描く物語、ノベライズ版。
Arika報告書v1アイコンすずは広島の江波で生まれた絵が得意な少女。昭和19年、18歳で呉に嫁いだすずは、戦争が世の中の空気を変えていく中、ひとりの主婦として前を向いて生きていく。だが、戦争は進み、呉はたびたび空襲に見舞われる。そして昭和20年の夏がやってきた――。数々の漫画賞を受賞した原作コミック、待望の劇場アニメ化。戦時下の広島・呉を生きるすずの日常と軌跡を描く物語。数々の漫画賞を受賞した原作コミック、待望の劇場アニメ化。戦時下の広島・呉を生きるすずの日常と軌跡を描く物語、ノベライズ版。


Arikaシネマ2014b5

ジャンル:ドラマ/戦争
  この世界の片隅に  【2016年11月12日公開】

この世界の片隅に [DVD]
バンダイビジュアル (2017-09-15)
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■映画ストーリー
1944年広島。18歳のすずは、顔も見たことのない若者と結婚し、生まれ育った江波から20キロメートル離れた呉へとやって来る。それまで得意な絵を描いてばかりだった彼女は、一転して一家を支える主婦に。創意工夫を凝らしながら食糧難を乗り越え、毎日の食卓を作り出す。やがて戦争は激しくなり、日本海軍の要となっている呉はアメリカ軍によるすさまじい空襲にさらされ、数多くの軍艦が燃え上がり、町並みも破壊されていく。そんな状況でも懸命に生きていくすずだったが、ついに1945年8月を迎える。

★映画チェック★
「長い道」「夕凪の街 桜の国」などで知られる、こうの史代のコミックをアニメ化したドラマ。戦時中の広島県呉市を舞台に、ある一家に嫁いだ少女が戦禍の激しくなる中で懸命に生きていこうとする姿を追い掛ける。監督にテレビアニメ「BLACK LAGOON」シリーズや『マイマイ新子と千年の魔法』などの片渕須直、アニメーション制作にテレビアニメ「坂道のアポロン」や「てーきゅう」シリーズなどのMAPPAが担当。市井の生活を壊していく戦争の恐ろしさを痛感する。


■スタッフ
原作: こうの史代
企画: 丸山正雄
監督補・画面構成: 浦谷千恵
キャラクターデザイン・作画監督: 松原秀典
美術監督: 林孝輔
音楽: コトリンゴ
プロデューサー: 真木太郎
監督・脚本: 片渕須直
製作年:2016年
製作国:日本
日本公開:2016年11月12日 (テアトル新宿ほか)
上映時間:2時間6分
配給:東京テアトル
アニメーション制作:MAPPA
製作:「この世界の片隅に」製作委員会

■キャスト(役柄:声の出演)
北條すず: のん
北條周作: 細谷佳正
黒村晴美: 稲葉菜月
黒村径子: 尾身美詞
水原哲: 小野大輔
浦野すみ: 潘めぐみ
白木リン: 岩井七世
北條円太郎: 牛山茂
北條サン: 新谷真弓
浦野十郎: 小山剛志
浦野キセノ: 津田真澄
森田イト: 京田尚子
小林の伯父: 佐々木望
小林の伯母: 塩田朋子
知多さん: 瀬田ひろ美
刈谷さん: たちばなことね
堂本さん: 世弥きくよ
――:澁谷天外




2004年度(第8回)文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、
第9回(2005年)手塚治虫文化賞新生賞受賞作

  夕凪の街 桜の国/こうの史代

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
こうの 史代
双葉社
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漫画アクション掲載時に大反響を呼んだ気鋭、こうの史代が描く渾身の問題作。
Arika報告書v1アイコン昭和30年、灼熱の閃光が放たれた時から10年。ヒロシマを舞台に、一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。最もか弱き者たちにとって、戦争とは何だったのか……、原爆とは何だったのか……。漫画アクション掲載時に大反響を呼んだ気鋭、こうの史代が描く渾身の問題作。被爆してから何年も経ってからの発病って、残酷。本作のクライマックスは、末尾近くで七波が、十年も耐えた末にようやく結ばれた若き日の両親の姿を想起しながら、生まれる前の自分がこの二人を親として生まれてくることを選んだのだ、と独白するくだりである。見開き2頁を充てたこの1コマは、評者がこれまで見た漫画の中で最も美しいシーンだと思う。差別を受け肉体的被害にも怯えなければならない立場に産み落とされた運命を恨むのではなく、自ら選んだのだと言い切ることができたのは、両親をはじめとする家族が被爆に伴う様々な試練に勇気をもって立ち向かってきたからであり、その姿を七波が自らの一部として受け入れることができたからである。もちろんこんなハッピーエンドが全ての被爆者家族に訪れるわけではないだろう。 しかし奇跡じみたこの結末は、原爆という何の救いもない歴史的破滅に一条の光を差すものであり、従って「片隅で」の結末(原爆孤児を引き取って家族で育てる)とほぼ完全に符合している。最後のネームだけのページは涙が止まりませんでした。核兵器は、なんでダメなんかをぜひ、学校で教えていくべきことだと思いました。


Arikaシネマ2014b5

ジャンル:ドラマ/戦争
 夕凪の街 桜の国    【2007年7月28日公開】

夕凪の街 桜の国 [DVD]
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■映画ストーリー
昭和33年広島、皆実(麻生久美子)は同僚の打越(吉沢悠)から求愛されるが、彼女は被爆した心の傷と、自分が生き残った罪悪感に苦しんでいた。やがて、皆実に原爆症の症状が現れ始める。半世紀後、皆実の弟の旭(堺正章)は家族に黙って広島へ向い、父を心配した七波(田中麗奈)は、後を追う内に家族のルーツを見つめ直す。

★映画チェック★
第9回手塚治虫文化賞新生賞、平成16年度文化庁メディア芸術祭漫画部門大賞を受賞した、こうの史代の同名傑作コミックを、『出口のない海』の佐々部清監督が実写映画化したヒューマンドラマ。広島原爆投下から13年後と現代に生きる2人の女性を通して、現在までに至る原爆の悲劇を描く。主演は、若手実力派女優の田中麗奈と麻生久美子。共演には中越典子、藤村志保、堺正章ら多彩な顔ぶれが集結。登場人物たちの人生や何気ない日常生活を通し、命の尊さを語りかけてくる。

■スタッフ
監督・脚本:佐々部清
原作:こうの史代
脚本:国井桂
撮影:坂江正明
照明:渡辺三雄
美術:若松孝市
音楽:村松崇継
製作国:日本
配給:アートポート
カラー/35ミリ/ヴィスタ/ドルビーデジタル
(シネマスクエアとうきゅう ほか)

■キャスト(役柄:俳優)
石川七波:田中麗奈
平野皆実:麻生久美子
平野フジミ:藤村志保
石川旭:堺正章
打越豊:吉沢悠
利根東子:中越典子
石川旭:伊崎充則
石川凪生:金井勇太



こうの史代(こうのふみよ)
┣1968年広島市生まれ。
┣漫画家、イラストレーター
┣1995年『街角花だより』でデビュー。
┣好きな言葉は、ジッドの「私はいつも真の栄誉を隠し持つ人間を書きたいと思っている」
代表作
┣『夕凪の街 桜の国』
┣『この世界の片隅に』
受賞
┣第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞
┣第9回手塚治虫文化賞新生賞


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