《文豪×酒4‐お酒の本エトセトラ》Arika推薦小説!お酒のように酔いしれる一冊etc.

2018/12/25 (Tue)
文学の秋の特集:お酒と本。🍶
≫お酒の本エトセトラ
Arika推薦小説!
お酒のように酔いしれる一冊etc.
盃を傾けながらページをめくり、「飲む本」を味わおう。
今夜はどの一冊にしようかな?

街で、旅先で聞こえてくる大人の囁きをリリカルに綴ったとっておきの掌編小説集。
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サーファーの集う砂浜を離れ、キムはハコと名乗る少女を車の助手席に乗せて、海辺の一軒家に来た。キッチンの冷蔵庫から取り出した1本のウォッカには、ある想いが込められていた(表題作)。
彼はある歌をきっかけに、傷心を抱いた男女が集う酒場のことを知った。東京から1キロ以上離れた地にあるというその酒場を、彼は訪ね歩くのだが……(「二杯目のジンフィズ」)。

人生には一杯の酒で語りつくせぬものなど何もない。キッチンの冷蔵庫から取り出されたウォッカ、傷心を抱いた男女が集う酒場を訪ね歩いた男が味わうジンフィズ……それぞれの酒、それぞれの時間、そしてそれぞれの囁き。家族や友人、大人の愛をリリカルに綴った上質な掌編小説集。
大人でも子供でもない、どっちつかずのもどかしい時間。まだ、恋の匂いにも揺れる17歳の日々―。背伸びした恋。心の中で発酵してきた甘い感情。片思いのまま終ってしまった憧れ。好きな人のいない放課後なんてつまらない。授業が終った放課後、17歳の感性がさまざまな音符となり、私たちだけにパステル調の旋律を奏でてくれる…。女子高生の心象を繊細に綴る8編の恋愛小説。

”他人同士があやういもので結ばれてるのって、すごく繊細なことだと思うの。そうね、お酒のカクテルみたいなものかもしれないって近頃、思う。”大人でも子供でもない、まだ恋の匂いにも揺れる17歳の日々。そこから先にあるのは憧れ――好きな人のいない放課後なんてつまらない。女子高生の心象を繊細に綴った8編の恋愛小説。
またまた長ーい小三治まくら、“バイクほど人間くさい機械はない”でご機嫌伺います。41歳でバイクと恋に落ち猛アタック。寄席通い、一人旅は勿論、噺家バイク仲間と北海道ツーリング。広い大地、転落事故も噺のネタの落語会、うまいもん、混浴、温かい人々・・・。中年青春グラフィティの一席、たっぷりお楽しみの程を。

絶妙なマクラで知られる落語家の著者。40過ぎにしてバイクに目覚め、乗りこなして妙味を覚えるまでの過程と、噺家たちのライバー集団「転倒蟲」の珍道中を軽妙な語り口で描く。バイクに乗り、バイクと会話することから見えてくるものってあるんです。落語家さんの本は語り口調だから、酔って読むと心地いいんです。面白いのに難しくなく、リラックスできる。やっぱり噺家さんだなと思うのは、単にバイクは素晴らしい乗り物だと書くんじゃなくて、バイクを通して、人間や人生を描いているところです。バイクに乗らない人にもおすすめの一冊。
舞台は東京。地中に潜む「地霊」が、歴史の暗黒面を生きたネズミや人間に憑依して、自らの来歴を軽妙洒脱に語り出す。唯一無二の原理は「なるようにしかならぬ」。明治維新、第二次世界大戦、バブル崩壊から福島第一原発事故まで…首都・東京に暗躍した、「地霊」の無責任一代記!史実の裏側で、滅亡へ向かう東京を予言する。果てしないスケールで描かれた第50回谷崎潤一郎賞受賞作。

幕末から始まり、明治、大正、昭和、平成の世を、東京に住み着く地霊が各時代の人物に憑依しながら史実の裏側で活躍する一代記。東京大空襲や地下鉄サリン事件、福島第一原子力発電所事故といった、歴史上の出来事の中、東京の〈地霊〉が毒を交えながらユーモラスに、無責任に駆け回る。主人公である〈東京の地霊〉が、明治維新から第2次世界大戦、バブル崩壊、秋葉原通り魔殺人といった史実の裏側で無責任に暗躍する。出だしから、”これからウソみたいなお話をしますよ”っていう雰囲気を匂わせるスタンスがすごく好き。
小説の主人公って、どっか共感できたりする人じゃないですか。でも、地霊となってさまざまな人に憑依していくこの物語の登場人物全員が悪いやつっていう(笑)。それなのに、おとぎ話風のフィルターがかかっているせいなのか、重い気持ちにならないから不思議。でも地下鉄サリン事故や福島第一原発事故など歴史上の事件が描かれて自分の知っている時代になると急に恐くなってくるんですよ。”東京の悪意”がたくさん詰まっていてて。破減こそが東京が望んでいることなんじゃないかって途中で恐くなっちゃうんですが、体に流れ込むようにすっと入ってくる文章のリズムがすごくて、一気に読んじゃいます。幕末から現代までが描かれるこの小説には、舞台が現代に向かうにつれて、無差別殺人や放射能といった記憶に新しい社会的問題も登場する。救いようのない現実の事件や問題に直面するたび、読み手の心が大きく揺さぶられる一冊。
劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。解説・石原慎太郎。

のちに作家となる主人公が日雇いで稼いだお金を飲み代に費やす世界観
西村賢太の自伝的小説。性犯罪で逮捕された父を持つ19歳の北町貫多は、将来の希望や夢もないまま、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事に従事する。稼いだ金は、家賃や貯金に充てるわけでもなく、お酒とソープ代として消えていく。劣等感と行き場のない怒りを抱える貫多の未来は―――。のちに作家となる主人公の北町貫多が、日雇いで稼いだお金を飲み代に費やす世界観は、特集のテーマである〈お酒と本〉そのものです。貫多の生い立ちが複雑なんですけど、本人はそこで立ち上がるわけでもなくて、すごくひねくれていて。でもそれすれギャグっぽく思えてしまうし、この滑稽さがいいんですよね。妬みや嫉みも満載だけど、それゆえ人間的でシンプル。普段、私はそういう気持ちを口にすることがないので、心の奥地で共感する部分というか、ほっとしちゃう自分もいたりします。しかも貫多はその日暮らしなのに、お酒にお金を使うし、面倒になったら仕事にも行かない。だから家も追い出されたり……。でも誰にでも、”今日は休みたい”という願望がありますよね。第144回芥川賞受賞作。2012年、森山未來主演で映画化された一冊。
同僚にプロポーズされたのを機に、不倫中の上司と別れる決意をした朋絵だったが、最後のデートを後輩に目撃され…。男と女の間に流れる、もはや愛とは呼べないくろぐろとした感情、女と女の間の、友情とは呼べない嫉妬や裏切り、優越感。女たちの心に沈む思いを濃密に描きだした、八つの傑作恋愛短篇。

同僚から求婚されたのを機に、不倫中の上司と別れる決意をした朋絵。だが最後のバーでの逢瀬を後輩に目撃され……。女の心に沈む思いを描いた8つの恋愛短編集。”銀座の地下にあるバー”としか書かれていないが、バーのシーンが鍵となる本作は東京都銀座にあるスタア・バー・ギンザがモデルに描かれた作品。カウンターでの会話にも、登場するカクテルにも、主人公たちの濃密な心情が映る大人の恋物語。世界観で疑縮されていて、けれども日常のようにはべたっとしていない。現実にもあり得る話なのに、スッキリした印象を残してくれるんです。”息がとまるほど”傷ついているのに、洗練された物語でバーでの夜を過ごす女たち。だが、それは彼女たちがバーの流儀を知っているから、ということではないらしい。主人公たちがバーで飲むカクテルやお酒について記した解説は、その世界観を、さらに深めてくれる。
世間というのはまったくバカらしく、おそろしい。テレビが普及しだしたとき、一億総白痴化―と言われた。しかし、テレビなんかはまだ罪はかるい。戦争も世間がやったことだ。一億総白痴化の最たるものだろう。そんなまなざしが、しずかににじむ単行本未収録作品集。

2015年刊行。昭和の文壇を彩った直木賞作家・田中小実昌。小実昌氏の単行本未収録の小説10作が収録され、若き”ぼく”の日常を飄々とした文体で綴った小実昌ワールド全開の作品集。巻末は孫の田中開さんの解説も掲載。独特の文体ととぼけた味、そして時折その人なつっこい顔の裏側からのぞかせる刃の鋭さは健在(?)である。が、この本で一番クスっとしたのは、最後のお孫さんの文章だった。さすが、カエルの孫はカエルだねw。ベスト版みたいな面白さがあり、田中小実昌を初めて読む人にこそすすめたい一冊。
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