文学で読む男の恋愛|短歌ください(角川文庫) /穂村 弘 (著)

2019/09/13 (Fri)

恋愛小説、少女マンガ、ドラマや映画……。
ラブストーリーを好むのは女性だけじゃない!!
もう一人の主役である男性にスポットをあて、
ピュアな恋、大人の恋…。
いろんな男の恋愛を集めました。

短歌を詠む/読む。歌人・穂村弘が読者の短歌を講評。実践的短歌入門。
ルールは、五・七・五・七・七という形式だけ。本の情報誌「ダ・ヴィンチ」の読者投稿企画「短歌ください」に寄せられた短歌の中から、人気歌人・穂村弘が傑作を選出。鮮やかで的確な講評が、短歌それぞれの魅力をいっそう際立たせる。詠みたい気持ちを喚起させる実践的な短歌入門書であることはもちろん、言葉の持つ可能性の果てしなさに胸が高鳴る読み物としても刺激的な一冊。

言葉の不思議に触れる実践的短歌入門書
決められた文字数の中に、自分のあふれる恋心を詰め込む恋の歌。穂村さんは恋愛とどう向き合い歌を詠んできたのか。ペガサスは私にはきっと優しくてあなたのことは殺してくれる(冬野きりん・女・18歳)。本の情報誌『ダ・ヴィンチ』の投稿企画「短歌ください」に寄せられた読者からの投稿を穂村 弘が講評した実践的短歌入門書第1弾のテーマは恋愛でした。そもそも短歌と恋愛は密な関係です。恋の歌は挽歌と並んで和歌の時代から長い歴史を持つ二大テーマ。恋愛ものを書かない小説家はいっぱいいるけど、恋歌を作らない歌人はほぼいない。面白いことに、時代によって恋愛を詠んだ短歌のノリも全然違います。素人ならではの瑞々しい言語センスが、粋を呑むような鮮烈な感動を幾度も与えてくれる。文庫版解説は俵万智。
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本の情報誌『ダ・ヴィンチ』の投稿企画「短歌ください」に寄せられた短歌から、人気歌人・穂村弘が傑作を選出。鮮やかな講評が短歌それぞれの魅力を一層際立たせる。言葉の不思議に触れる実践的短歌入門書。そもそも短歌と恋愛は切っても切り話せない密な関係です。恋の歌は挽歌と並んで和歌の時代から長い歴史を持つ二大テーマ。恋愛ものを書かない小説家はいっぱいいるけど、恋歌を作らない歌人はほぼいない。『短歌ください』の第1回目のテーマはやっぱり恋愛でした。短歌というジャンル自体の性質もあります。恋の歌は極めて個人的なようでいて、時代を映す鏡でもあります。
例えば明治以降に誕生した近代短歌ってすごくテンションが高い。与謝野昌子や『ああ接吻~』から始まる若山牧水の歌なんかまさに象徴的。いきなり『ああ接吻』縛りで短歌作ってくださいって言われたらかなりきついです。それが戦後になると非常に慎ましくなる。丁寧な宛名が書かれた真っ白い封筒のラブレターのイメージです。そういう近代から戦後の落差がまだひとつあって、次にバブルの時代が来る。バック・シートに眠ってていい 市街路を海賊船のように走るさ(加藤治郎)という80年代の歌なんてバブリーですね。まず自分の車を持っていることが前提だし。
ところが平成になるとぐっと体温が下がって、したあとの朝日はだるい 自転車に撤去予告の赤紙は揺れ(岡崎裕美子)となる。これは彼氏のうちでセックスした翌朝駅に向かっている歌らしいけど、撤去予告された自転車と自分を重ね合わせて、もうこの恋は上手くいかないということを暗示している。時代のノリが全然違いますよね。
男と女の恋愛へのスタンス、性差の違いまでもギュッと凝縮されて如実に表現されるのも短歌の魅力のひとつです。女性のほうがリアリティの把握は優れているようで。例えば、俺なんかどこが良いのと聞く君はあたしのどこが駄目なんだろう(泡凪伊良佳)なんか非常にいい(笑) 彼は彼女のことが好きじゃない。でも嫌いとまで言う必要がないから「もっと良い奴(男)いるよ」とフィードアウトしようとするけど、言われた彼女は「あなたが駄目なんじゃなくて あなたが私を駄目なんでしょう」、という事実をきっちり理解している。現実を把握している客観性。そこが切ない。あと、やっぱり時代は移っても若者の片思いの感覚はハイテンション。不格好な空回りも痛々しさも、純度が高いからこそ。一度でも恋した経験がある人なら誰しも身に覚えがあり、若かりし日の恋を振り返ると、気が遠くなります。距離を探り、感情をぶつけ合い、互いを理解していく。そうやって限りなく近づくことはできるけども、相手の全部は決して手に入らない。それでも一緒に居続ける。いつの時代も、恋愛は狂おしくも絶望な共同作業なのかもしれませんね。さて、令和の恋の歌はどう変革するのでしょうね。

短歌は、五・七・五・七・七の三十一音からなる短い歌です。
平安時代の昔から、短歌はラブレターとして詠まれてきました。恋の短歌を十四首収録。
穂村弘[ホムラ・ヒロシ]…歌人。歌誌「かばん」所属。
1962年5月21日、北海道生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。1985年から短歌を作り始め、1986年、連作「シンジケート」で第32回角川短歌賞次席。1988年、歌誌「かばん」入会、今も所属。1990年、歌集『シンジケート』でデビュー。その後、加藤治郎、荻原裕幸とともに’90年代の「ニューウェーブ短歌」運動を推進した、現代短歌を代表する歌人の一人。短歌のみならず、批評家、エッセイスト、絵本の翻訳家など広い分野で活躍。2008年、歌論集『短歌の友人』で第19回伊藤整文学賞(評論部門)、連作『楽しい一日』で第44回短歌研究賞を受賞。
┣ごーふる・たうん BBS
┣ブックショート 穂村弘さんインタビュー
人気歌人が放つ、衝撃の短歌入門書!
人気歌人、穂村弘による衝撃の短歌入門書が待望の文庫版を電子化。冷たく不気味な世界のすみっこで「短歌という爆弾」を炸裂させて、世界の心臓を爆破しよう。短歌の「製造法」(レッスン)、「設置法」(作った短歌をどう広めるか)、「構造図」(現代短歌の魅力の解剖)を、都市を疾走する歌人、穂村弘が熱く語る。文庫化にあたって、21世紀の短歌についての著者ロングインタビューを収録した。
解説:枡野浩一
歌を作り、歌を読み続けてきた歌人が、歌について考える。自己、他者、コミュニケーション、性別、リアリティ、共同体、時代…様々な世代の歌人たちが詠った短歌の「面白さ」を味わううちに、その背後にある世界の「面白さ」が立ち現れる。各界の評判を呼んだ、著者初の歌論集。伊藤整文学賞受賞。
「髪の毛がいっぽん口に飛び込んだだけで世界はこんなにも嫌」。些細な事象で、あっという間に変わってしまう自分と世界の繋がり。道に落ちているものの歌、会社の人の歌、デジタルな歌、殺意の歌etc.時代の光景を言葉ですくい取り、ドラマチックな日常に誘う三十一文字の魔力。人気歌人の短歌読み解きエッセイ。
人気歌人・穂村弘が選を務める短歌投稿コーナー(本の情報誌『ダ・ヴィンチ』連載)を単行本化第2弾。鮮やかな講評が、短歌それぞれの魅力をさらに際立たせる。
「抜け殻の君など見たくないけれど君の抜け殻なら見てみたい」 (ほうじ茶・女・22歳) テーマごとに募った読者投稿の短歌を人気歌人・穂村弘が講評! 言葉で世界が変わる瞬間を味わえる短歌集。読めば、あなたも詠みたくなる。
「世界とのあいだにいつも「あ」を挟む あ レジ袋つけてください」(まるやま・女・30歳) /「汚染地を出れたら履こうと思ってたストラップシューズおろしてしまう」 (モ花・女・30歳)/「君のいる世界に生きているなんて思えないよ それなのに雨 」 (鈴木晴香・女・31歳)/「都会にはホームが十五もあるのです、ねえお母さん。ねえお母さん。」 (蜜・女・16歳)」/「りんご飴に歯型をつけてまたきみは踊りの輪へと戻ってしまう」 (鈴木美紀子・女・49歳)/「僕の目に飛び込んでくるはずだった虫がレンズに跳ね返される」 (木下龍也・男・26歳)/「猫グッズだらけの店でもしかして犬好きですかと問いかけられる」(五十嵐えみ・女・28歳)/「世界とのあいだにいつも「あ」を挟む あ レジ袋つけてください」(まるやま・女・30歳)
あなたもきっと詠んでみたくなる
双子でも片方は泣く夜もあるラッキーアイテムハンカチだった(こんこん・女・34歳)……歌人・穂村弘が、読者から届いた短歌を選び、講評する『ダ・ヴィンチ』の人気連載30回分が1冊に。読めばおもわず短歌を詠んでみたくなる実践的短歌入門であると同時に、短歌の魅力を際立たせる講評が、言葉のワンダーに触れるエッセイとしても味わえる。
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