(3月特集)小説 Fukushima 50 (角川文庫)/周木 律(著)

2020/03/12 (Thu)

誰もが立ちすくんだあの日から9年。
いまだから読みたい本――3.11後の日本

2011.3.11 東日本を襲った未曾有の大地震。押し寄せた大津波の影響で、福島第一原子力発電所は、全電源を喪失した。そんな中、刻一刻と迫る炉心溶融を食い止めるため、死地に残り、命を懸けて原子炉建屋に突入した、名もなき作業員たちがいた。
心の中に、大切な誰かを想いながら――。一方、避難所では、作業員の家族たちが、余震におびえながら、奇跡を信じて待ち続けていた。海外メディアは、福島第一原発に残った人たちを「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」と呼び、連日報道した。フィフティたちの死闘を克明に描くのみならず、彼らを待ち続けた家族・恋人たちの視点も織り交ぜて綴られた、渾身の小説版。
それぞれの「あの日」がここにある。
わたしたちは、あの日を、忘れてはならない。

「全交流電源喪失!原災法10条を宣言します!」あれから9年後映画化⁉
2011.3.11、東日本を襲った未曾有の大地震。押し寄せた大津波の影響で、福島第一原子力発電所は、全電源を喪失した。そんな中、刻一刻と迫る炉心溶融を食い止めるため、死地に残り、命を懸けて原子炉建屋に突入した、名もなき作業員たちがいた。心の中に、大切な誰かを想いながら―。一方、避難所では、作業員の家族たちが、余震におびえながら、奇跡を信じて待ち続けていた。オリジナルエピソードも描かれる迫真の小説版。
2011年3月、当時の原発現場で本当に命をかけて冷温停止に持ち込んだ人たちの話。東日本大震災で未曽有の被害を受けた。福島第一原発(1F)を舞台に発電所の所員たちの活躍を描いた「死の淵を見た男」を原作に作られた映画のノベライズ。大地震の津波によって 電源喪失という想定外の事態に陥った「1F」。総理の命により放射能汚染の中、命がけでバルブ操作に向かう。でもあと少しでたどり着けない歯がゆさ。運転制御に手慣れている所員たちも暗闇の中ただ見守るしかない。繰り返される余震とあってはならない水素爆発。故郷を住めない場所にしてしまうという後ろめたさがやるせない。震災は原発だけではなく、命をかけて懸命な努力をした現場は他にも沢山あったと思う。
文章が簡略的で読みやすい。おそらく映画から細かく省かれてる箇所もあると思われ、映画の補完的な感じのものかなと。あの原発現場の作業員や職員たちの奮闘をメインにした作り。人によってイデオロギーや原発への是非など様々なスタンスがあるだろうけど、被害をなるべく最小限に抑えようとした現場の人たちの頑張りは讃えたくなります。当人たちにとってはそれでもある種の申し訳なさが生じる描写には感慨が。簡略的とはいえ、福島第一原発に次々に起こるトラブル、現場の混乱ぶりはこのノベライズでも感じ取れる。終盤はもはや戦争もののような描写もあって、現場の人たちの感覚としてはそれぐらい命がけの覚悟を持っていたであろうことが伝わる。
これらの真実を眠らせることなく次世代へ語り継いでいかなくてはならないと思う。また、いつ襲われるか知れない自然災害に冷静に立ち向かう力を蓄えるためにも。ただ、首相や東電本店サイドの描かれ方が一面的なのは気になる。現場の人たちをメインにしたいためでもあるし、その対比を強調させたいのもわかるけど、話の構図を単純化したほうがいいのかどうか……モヤモヤ。また どうしても気になったのは、2号機の圧力が下がった理由がわからず、なんだかモヤモヤしているのは私だけでしょうか? 「全交流電源喪失!原災法10条を宣言します!」あれからもうすぐ9年後、現実のあの事故を映画化ということで、不安しかなかったもののこの話の原作である「死の淵を見た男」をうまくまとめた良い話だと思う。
周木 律[シュウキ・リツ]…小説家・推理作家
某国立大学建築学科卒業。1年半の間に9作をメフィスト賞に応募し、2013年、『眼球堂の殺人』で第47回メフィスト賞を受賞しデビュー。本格ミステリの系譜を継ぐ書き手として絶賛を浴びる。メフィスト賞に応募したきっかけは、編集者からひとことコメントをもらえることや、募集のスパンが4か月と短いことを理由にあげている。同作品に登場する十和田只人(とわだ ただひと)は、放浪の天才数学者ポール・エルデシュをモデルにしている。他の著書にデビュー作を含む「堂」シリーズ、『猫又お双と消えた令嬢』にはじまる「猫又お双」シリーズ、『災厄』『暴走』『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『アールダーの方舟』『不死症』『幻屍症』『LOST 失覚探偵』『死者の雨‐モヘンジョダロの墓標‐』がある。ミステリ小説の他に、パニック・エンタテインメント小説(『災厄』『暴走』)も執筆している。
初めて小説を書いたのは、小学校5年の国語の授業だった。講談社ノベルスで好きな作品として、綾辻行人「館シリーズ」、京極夏彦「百鬼夜行シリーズ」、森博嗣「S&Mシリーズ」を挙げている。また、影響を受けた作家として江戸川乱歩、アイザック・アシモフ、筒井康隆を挙げている。
┣📳周木律 (@shuukiritsu) - Twitter
┣三文文士・周木律
堂シリーズ
┣眼球堂の殺人?The Book?(2013年4月 講談社ノベルス / 2016年9月 講談社文庫)
┣双孔堂の殺人?Double Torus?(2013年8月 講談社ノベルス / 2016年12月 講談社文庫)
┣五覚堂の殺人?The Burning Ship?(2014年2月 講談社ノベルス / 2017年3月 講談社文庫)
┣伽藍堂の殺人?Banach-Tarski Paradox?(2014年9月 講談社ノベルス / 2017年9月 講談社文庫)
┣教会堂の殺人?Game Theory?(2015年7月 講談社ノベルス / 2018年9月 講談社文庫)
┣鏡面堂の殺人?Theory of Relativity?(2018年12月 講談社文庫)
┣大聖堂の殺人?The Books?(2019年2月 講談社文庫)![]()
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イラストはredjuiceによる。
『眼球堂の殺人』は発売から1週間ほどで、『双孔堂の殺人』は発売から2週間ほどで重版が決定している。
猫又シリーズ
┣猫又お双と消えた令嬢(2015年6月 角川文庫)
┣猫又お双と教授の遺言(2015年10月 角川文庫)
┣猫又お双と一本足の館(2016年3月 角川文庫)![]()
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症シリーズ
┣不死症(2016年6月 実業之日本社文庫)
┣幻屍症 インビジブル(2017年6月 実業之日本社文庫)![]()
一石豊シリーズ
┣アールダーの方舟(2014年12月 新潮社) / 【改題】雪山の檻―ノアの方舟調査隊の殺人―(2018年8月 新潮文庫)![]()
┣死者の雨―モヘンジョダロの墓標―(2018年9月 新潮社)
その他の作品
┣災厄(2014年5月 KADOKAWA / 2017年7月 角川文庫)
┣暴走(2015年5月 KADOKAWA / 2018年5月 角川文庫)![]()
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┣LOST 失覚探偵(上 2016年11月 講談社タイガ / 中 2017年1月 講談社タイガ / 下 2017年4月 講談社タイガ)![]()
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┣CRISIS 公安機動捜査隊特捜班(2017年3月 角川文庫)
┣小説 Fukushima 50(2020年1月 KADOKAWA )映画の小説版。
原作は門田隆将の『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』
アンソロジー|「」内が周木律の作品
┣謎の館へようこそ 白 新本格30周年記念アンソロジー(2017年9月 講談社タイガ)「煙突館の実験的殺人」
ジャンル:刑事ドラマ/アクションドラマ
放送期間:2017年4月11日 - 6月13日
放送時間:火曜21:00 - 21:54(54分)
放送枠:関西テレビ制作・火曜夜9時枠の連続ドラマ(全10回)
主演:小栗旬
西島秀俊/田中哲司/野間口徹/新木優子/飯田基祐/眞島秀和/石田ゆり子/野崎萌香/長塚京三
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■スタッフ・音楽
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脚本:金城一紀(兼・原案)
演出:鈴木浩介/白木啓一郎(カンテレ)
チーフプロデューサー:笠置高弘(カンテレ)
プロデューサー:萩原崇(カンテレ)
アソシエイトプロデューサー:坂田佳弘(カンテレ)
音楽:澤野弘之
制作著作:カンテレ
オープニング:Beverly「I need your love」
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■概要:小栗旬と西島秀俊が、直木賞作家・金城一紀のアクション大作に挑む!
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直木賞作家の金城一紀が原案・脚本を務める、骨太なアクションエンターテインメント。国家の危機に立ち向かっていく秘密部隊・公安機動捜査隊特捜班の活躍を描く。「カリ・シラット」という武術を習得している金城自身がアクション監修も担当し、2年半ぶりの連続ドラマ主演となる小栗旬と、小栗とは民放連続ドラマ初共演となる西島秀俊が、約1年前から金城の下で訓練。鍛え抜かれた肉体と抜群の身体能力で、華麗なアクションを披露する。各分野のスペシャリストが集結する特捜班のメンバーには、ほかに田中哲司、野間口徹、新木優子が、特捜班の生みの親である警察庁警備局長には、長塚京三が扮する。
▲CRISIS 公安機動捜査隊特捜班‐Amazon prime video
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外部リンク
┣CRISIS 公安機動捜査隊特捜班 - Facebook
┣💻小栗旬×西島秀俊 出演「CRISIS」 Powered by Ameba
┣📳CRISIS (@crisis_ktv) - Twitter
┃
内部リンク
┣📺2017年春、火曜ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』
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