(3月特集)ナインデイズ 岩手県災害対策本部の闘い (幻冬舎文庫)/河原れん(著)

2020/03/18 (Wed)

誰もが立ちすくんだあの日から9年。
いまだから読みたい本――3.11後の日本

ひとりでも多く助けたい。
思いは、ただそれだけだった。
東日本大震災での岩手県災害対策本部の闘いを描く、感動のノンフィクションノベル。
2011年3月11日、東日本大震災発災直後、岩手県庁内に設置された災害対策本部。そこで、県の防災室の面々と共に指揮にあたったのは、岩手医大・救命救急センターの医師、秋冨慎司だった。濁流に飲み込まれた被災地。襲いくる火災。錯綜する情報。足りない燃料。悪天候で飛べないヘリ。「被災地で苦しんでる人を、ひとりでも多く助けたい」その一念で、秋冨は寝食を忘れ奮闘する。焦りから声を荒らげ、動かない行政に低頭し、己の力不足に唇を噛み締め……。その激烈な9日間を、膨大で緻密な取材をもとに、リアルに描ききる。

災発生直後から、命を救うために全力で奔走した医師のノンフィクション!
東日本大震災発災後の岩手県の対策本部での苦闘を淡々と書いた良著。東日本大震災発災直後、岩手県庁内に設置された災害対策本部。各救助組織が揃うその中枢部で、医療班の指揮にあたったのはある若き医師だった。通信網が崩壊し、被災者がどこで助けを求めているかわからない。ヘリが足りない。燃料も不足。支援物資も薬も届かない。さらに雪が、余震が、無情に襲いかかる…。「それでも、被災者を救いたい」張りつめた緊張と混乱の中で、時に己の力不足に唇を噛みしめながら、寝食を忘れ奮闘するが―。
東日本大震災発生から9日間、岩手県災害対策本部の苦闘を、医療班を率いた救命医の視点で描く。内容はルポなのに小説形式だから、読みやすいばかりでなく、現場の混乱と疲弊が活写されている。福島の原発事故が起こってから報道の80%が福島だったような気がします。単純に、こんなに尽力してくれた人がいたんだと知ることが出来て良かった。内容は重いはずなのに、その重さをあまり感じることなく読んだ。小説としてサラッと読むにはいいけれど、被災者のことを考えると言葉が軽かったり、少し違和感を感じる部分もあった。例えば「瓦礫」という言葉をあまりに軽々しく用いていたが、この言い方を良く思わない被災者も随分多いと聞いた。「瓦礫」と呼ばれるその一つ一つに、生きた証や思い出があるからだそうだ。あの時、被災地の方々は大変な思いをされていたんですね。
救援する側の苦悩、行政の機能、支援のされ方・・・考えさせられることが多々ある。もし万が一、同規模、あるいはそれ以上の災害が起きた時どのように対処できるのか。3.11の反省、ノウハウはどこかに蓄積されているのだろうか。一部お役人の当事者意識の低さは事実とすればかなりの問題。非常時に自分の担当ではないという言葉は理解できない。自分の担当ではなくとも組織の使命ではあるはず。非常時に動かなければならないからこそ役人は身分保証されているのでは?
当時、岩手県が比較的システマチックに動いていると言う感想を持ったのですが発災前から準備できていたと言う事。それと現場の職員、隊員さんが激闘を戦っていたと言う事。心身をすり減らしながらギリギリの所で医療崩壊をさせなかった事。すべての戦いがあったからだとあらためて感じました。その災害本部の中枢にいらっしゃった皆様のご苦労が、自分のことのように入ってくる。 改めて備えは大切だと感じたが、非常時はそれでも不十分なことが多いだろう。 自分が遭遇した時、果たしてどんな行動がとれるのだろうか。多くの被害もありましたが、今後予想される大災害で被害軽減する為に今のやり方へ警鐘をならす良著でした。ともあれ、秋冨医師ありがとう。そして大災害、被害に遭われた方々のご冥福を改めて心よりお祈り申し上げます。
河原れん…作家、脚本家。
1980年12月29日生まれ。東京女学館中学校・高等学校を経て2003年に上智大学法学部卒業後、作家に転身。2007年3月、初の長編小説『瞬(またたき)』(幻冬舎刊)で小説家デビュー。同作品は2010年に映画化された。最新作の医療ミステリ『聖なる怪物たち』は連続ドラマ化され、絶賛放送中である。また、チャリティプロジェクトも主宰し、絵本『ホホとロッソ』シリーズを出版。他にも映画脚本、翻訳など活動は多岐にわたる。夫はスターダストプロモーション代表取締役の細野義朗。
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▲瞬(2007年3月 幻冬舎 / 2010年4月 幻冬舎文庫)![]()
▲聖なる怪物たち(2011年5月 幻冬舎 / 2011年12月 幻冬舎文庫)![]()
▲ナインデイズ―岩手県災害対策本部の闘い(2012年2月 幻冬舎)![]()
▲女優堕ち(2014年9月 KADOKAWA)
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▲ホホとロッソ宇宙へ行く(2011年4月 SDP)- 絵・おうみまい
▲ホホとロッソ星をつかまえに行く(2011年9月 SDP)
DVD 原作:谷村志穂![]()
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主演:松雪泰子
出演:椎名桔平,、林遣都、奥貫薫、市川実和子
命の尊さと生きることの素晴らしさを描いた、人気作家・谷村志穂の小説を松雪泰子主演で映画化した感動作。結婚10年目にして待望の子供を授かった外科医・滴。だがその直後、10年前に患った乳がんの再発が発覚した彼女は、苦渋の決断を迫られ…。
2020年製作/129分/G/日本
配給:S・D・P
主演:柳楽優弥(青年期)、田中泯(老年期)
出演:玉木宏/瀧本美織/津田寛治/青木崇高/辻本祐樹/浦上晟周/芋生悠/河原れん/城桧吏/永山瑛太/阿部寛
解説
「富嶽三十六景」などで知られる江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の謎多き生涯を、柳楽優弥と田中泯が演じた伝記ドラマ。貧乏絵師が北斎として江戸を席巻し、“画狂人生”をまい進する姿が描かれる。北斎の青年期を柳楽、老年期を田中が演じ、阿部寛、瑛太、玉木宏らが共演。本作では北斎の版元である蔦屋重三郎と北斎の盟友である柳亭種彦とのエピソードを軸にして「人間・北斎」と、北斎が描いた「3つの波の秘密」が生まれるに至った物語を描く。 監督は「探偵はBARにいる」シリーズ、「相棒」シリーズの橋本一。予告だけで北斎のかっこよさを感じた…観たい👍
┣映画『HOKUSAI』公式サイト
┣📳映画『HOKUSAI』 (@hokusai2020) - Twitter
┣映画『HOKUSAI』 (hokusai2020) - Instagram
┣Hokusai 2020 Project - Facebook
┣HOKUSAI : 作品情報 - 映画.com
HOKUSAI(2020年5月29日全国公開予定、SDP) - お栄 役
▲ビューティ・オールマイティ(SDP/STAR★MAKING SERIES)
▲SPIDER WOMANスパイダーウーマン(2010年1月 SDP)
河原れん、熱田美希、三浦真紀 (著)
▲小公女セイラ~リトルプリンセス~ (2009年9月 SDP)
フランシス・ホジソン・バーネット(著) 河原れん (翻訳)TBSで10/17(土)スタート! 土8ドラマ「小公女セイラ」 の原作新訳本
幼くして母をなくした少女セイラは、優しい父とも離れ英国の女学園で特別寄宿生に。莫大な資産家の父からの援助のもと、セイラは何不自由のない生活を送っていた。ところがある日父の破産と死が原因で、屋根裏部屋に住む学園の召使いへと転落!生活は一変してしまう。しかし、セイラは夢や希望を捨てず、あらゆる逆境に堪え続けるのだった・・・・・・。
フランシス・ホジソン・バーネット
┣1849‐1924年英国生まれ。家族とともに米国に移住後、家計を助けるためにはじめた執筆活動で注目される。「小公女セイラ」は代表作で、数々の映画や舞台にもなっている。他に「小公子」「秘密の花園」など多くの児童文学作品がある
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▲ヴァンパイア・ヘヴン 上下巻(2013年 SDP)
河原 れん(原作) 渡辺ゆうな(作画)
※テレビ東京でドラマ化された同タイトルのスピン・オフコミック。
冷酷な伯爵の魔の手から逃れ、ヴァンパイアの桜子は超ボーイッシュな親友・小町とともに人間界へ――。しかし、そこは150年ぶりの人間界。潜伏を決めた「原宿」には、なぜかヴァンパイアみたいなゴスロリファッションの子がいっぱいいるし、馬より速い「車」なるものが走っている――! っていうか、人間の血はどこで吸えるんだ……? とまどいながらも、すこしずつ人間の暮らしに慣れていく二人――だったのだが、今度は桜子の前にヴァンパイアにとって最大の難関「恋」というハードルが現れて……??
▲バードフライ―あなたの手からはじまる幸せの一歩 (2004年8月 SDP)
綺麗になる 幸せになる ミチシルベ <
地図も道しるべもなく、からだの中のコンパスをたよりに大空を飛んで行く渡り鳥。もしも私たちもそのコンパスを持っているとしたら…。選ぶものはきっといつもベストチョイス!
2010年製作/G/日本/配給:SDP
監督・脚本:磯村一路
原作:河原れん「瞬 またたき」(幻冬舎刊)
主演:北川景子
出演:大塚寧々/新川優愛/岡田将生/史朗/深水元基/清水美沙/永島暎子/千崎若菜/田口トモロヲ/徳井優/森下能幸/ジョニー吉長/菅井きん
北川景子と岡田将生が恋人同士を演じるラブストーリー。河原れんの小説を、「がんばっていきまっしょい」の磯村一路が映画化。美大生の淳一と泉美は、幸せな毎日を送るカップル。ある日、バイクで花見に出かけた帰り道でとトラックとの衝突事故に遭ってしまう。泉美は奇跡的に生き残るが、最愛の恋人とともに事故の記憶をも失ってしまう。苦しみと戦いながらも「最後の真実」を求める泉美が目の当たりにしたのは、極限状態の中で淳一の本能的な愛が生んだ奇跡だった。
▲瞬 またたき‐Amazon prime video
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外部リンク
┣🎦瞬 またたき- 映画.com
┣🎦瞬 またたき - Yahoo!映画
┣瞬 またたき - allcinema
┣瞬 またたき - KINENOTE
原作:河原れん
脚本:荒井修子/高山直也
演出:藤田明二
主演:岡田将生
出演:中谷美紀/加藤あい/長谷川博己/鈴木杏/大政絢/渡辺いっけい/山本陽子(特別出演)/勝村政信/平田満/小日向文世
📺放送日程
各話|サブタイトル|放送日
第1話|嵐の夜の緊急オペ!! 外科医VS欲望の女|2012年1月19日
第2話|母親のお腹を盗む女|2012年1月26日
第3話|私の赤ちゃんを返して!|2012年2月2日
第4話|誘拐逃げる女と追う女!!|2012年2月9日
第5話|緊急オペの真実!! 医療ミスか殺人か!?|2012年2月16日
第6話|真相暴かれた完全犯罪!!|2012年2月23日
第7話|殺したのは…あなただ!!|2012年3月1日
最終話|衝撃の最終回!! 犯人の命を救え|2012年3月8日
▲聖なる怪物たち‐Amazon prime video
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外部リンク
┣『聖なる怪物たち』‐幻冬舎
┣📺聖なる怪物たち - テレ朝動画
📻Discovery Fright(2012年10月5日 - 、ニッポン放送)

越野修三
元岩手県防災危機管理監(現岩手県総合防災室主任防災指導員)。陸上自衛隊第13師団で作戦部長として阪神大震災の際に神戸市で救援活動にあたった。2006年に自衛隊を退職後、岩手県庁入り。防災危機管理監を務めていた2011年3月11日、東日本大震災津波に遭遇する。消防庁「地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会」委員。
生存率99.8%の背景
釜石の小中学生は、なぜ主体的に避難できたのか。
小中学生の生存率、九九・八%(学校管理下では一〇〇%)。東日本大震災で大津波に襲われた岩手県釜石市で、子どもたちはなぜ命を守ることができたのか。そこには、震災前から地道に積み重ねられてきた、画期的な「防災教育」の効果があった。
本書では、二〇〇四年から釜石市の危機管理アドバイザーを務めてきた著者が、主体的な避難行動を可能にした「防災教育」のノウハウを余すところなく公開するとともに、いつ災害に襲われるかわからない私たちすべてが知っておかなくてはならない「生き残るための指針」を提起する。
片田 敏孝(かただ としたか)
1960年生まれ。群馬大学大学院工学研究科社会環境デザイン工学専攻教授。同大学「広域首都圏防災研究センター」センター長。専門は災害社会工学。災害への危機管理対応、災害情報伝達、防災教育、避難誘導策のあり方等について研究するとともに、地域での防災活動を全国各地で展開している。特に釜石市においては、2004年から児童・生徒を中心とした津波防災教育に取り組み、災害に立ち向かう主体的姿勢の定着を図ってきた。
大津波に襲われながらも、釜石小学校の子どもたち全員が生き延びた事実は、「釜石の奇跡」として知られる。その「奇跡」を生み出した背景には、ある大学教授が震災前から取り組み続けた防災教育があった。どんな防災教育なら、子どもの“いのち"を救えるのか? NHKスペシャル「釜石の“奇跡" いのちを守る特別授業」(2012年9月1日)は大きな反響を呼び、国内外で様々な賞を受賞。今回は危機管理術として学ぶ企業の姿も追いかけるなど、番組内容に追加取材を加えて書籍化。
目次 【第一部】ぼくらは大津波を生きた
第一章 あの日、子どもたちは
第二章 あの日、先生たちは
【第二部】釜石に学べ
第三章 立て役者・片田敏孝教授の防災教育
第四章 釜石小が育んだ「生きる力」
第五章 反面教師としての「大川の悲劇」
第六章 全国の教育現場に広がる釜石の知恵
第七章 企業の危機管理にいかす
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