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新潮社文庫の100冊2020|考える本⑥|文芸[羅生門・鼻(芥川龍之介)/檸檬(梶井基次郎)]

kage

2020/10/12 (Mon)

夏の文庫フェア2020

新潮文庫の100冊2020
文庫フェア


潮文庫『新潮文庫の100冊』。

2020年のテーマ「この感情は何だろう。」

毎年夏になると、出版各社の文庫を紹介したパンフレットが書店に並びます。

これらのパンフレットのなかでも「新潮文庫の100冊」のキャンペーンは、1976年から始まり40年近い歴史があります。

2900余点の新潮文庫の中から編集部が厳選した100点を、「恋する本」「シビレル本」「考える本」「ヤバイ本」「泣ける本」の5テーマに分類しておすすめします。

■フェアのジャンル項目


恋する本
シビレル本
考える本
ヤバイ本
泣ける本


■アイコンの説明


=受賞作
=映像化
📚=新潮文庫の一行


 
大丈夫。きみの悩みは、もう本になっている。この夏を、何冊生きよう。
  考える本
 文芸

 📚その長い髪の毛を一本ずつ抜きはじめた。(P13)
 羅生門・鼻/芥川龍之介(著)

ワルに生きるか、飢え死にするか、ニキビ面の若者は考えた……。  



京の都が、天災や飢饉でさびれすさんでいた頃の話。荒れはてた羅生門に運びこまれた死人の髪の毛を、一本一本とひきぬいている老婆を目撃した男が、生きのびる道を見つける『羅生門』。あごの下までぶらさがる、見苦しいほど立派な鼻をもつ僧侶が、何とか短くしようと悪戦苦闘する『鼻』。ほかに、怖い怖い『芋粥』など、ブラック・ユーモアあふれる作品6編を収録。

目次
羅生門/鼻/芋粥/運/袈裟と盛遠/邪宗門/好色/俊寛

注解 神田由美子
芥川龍之介 人と文学 三好行雄
『羅生門・鼻』について 吉田精一
年譜
…‥‥‥…
Arika報告書v1アイコン荒れ果てた京で生き延びる道を見つける男の姿を描く表題作ほか、「鼻」「」芋粥」「好色」など王朝もの全8編を収録。短編の名手、芥川龍之介の真骨頂。存在悪、状況悪などの人間の内面にある醜い部分に焦点をあてている作品が多い繊細で濃密な物語。人間の本質としての悪(存在悪)と人間関係の織り成す社会の悪(状況悪)の認識というテーマのもとに描かれる作品に通底するペシミズム。表題の『羅生門』『鼻』『芋粥』三作は、なるほど確かに人間のもつ悪というものをあぶりだしているかのように思える。善にも悪にも徹しきれない人間の姿を描いた「羅生門亅、自然なユーモアと整った文章によって漱石に絶賛された「鼻亅。念願が叶えば幸福というわけでもない「芋粥」。若くして人間性というものを考え、古典も西欧小説もこなしていたんだろうな。有名どころの三編は改めてすごい。それ以外だと「邪宗門」の最後の(未完)には驚いた。「地獄変」に連なる作品であり「奉教人の死」に代表される切支丹作品であり、ゾクゾクする作品だが……未完とは……それはないだろう、無念すぎる。結局摩利信乃法師の正体や姫との関わりが謎で気になった。この短編集の中では『好色』が滑稽で、翻弄される平中の行動と侍従の上手なやり方が面白い。人間の善とも悪ともつかない心情を生々しく、淡々と描いているところに、人間の心の複雑さを考えさせられる。数ページの物語なのに読者をひきつける起承転結。さすが文豪芥川。

芥川龍之介
(1892-1927)東京生れ。東京帝大英文科卒。在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「藪の中」、中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表、大正文壇の寵児となる。西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。1925(大正14)年頃より体調がすぐれず、「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺。「歯車」「或阿呆の一生」などの遺稿が遺された。


Arikaシネマ2014b1
 📚新潮社>芥川龍之介《最初1…最後》 

 📚人間というものに愛想がつきたのです。(P64)

〈救い〉とは何だろう? 

文学が最後にたどりつく永遠のテーマ〈救済〉を静かな筆致でとらえた傑作。


蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)
芥川 龍之介
新潮社
売り上げランキング: 52,819


地獄に落ちた男が、やっとのことでつかんだ一条の救いの糸。ところが自分だけが助かりたいというエゴイズムのために、またもや地獄に落ちる「蜘蛛の糸」。大金持ちになることに愛想がつき、平凡な人間として自然のなかで生きる幸福をみつけた「杜子春」。魔法使いが神の裁きを受ける神秘的な「アグニの神」。少年少女のために書かれた、健康で明るく、人間性豊かな作品集。

…‥‥‥…
Arika報告書v1アイコン芥川の児童文学が数編。どれも頭を空っぽにして楽しめる本だが、一方で芥川の精神遍歴を念頭に置いて深読みしても楽しめる本でもある。 個人的には『トロッコ』が好みだった。何かの将来に対する唯ぼんやりとした不安 を理由に自害した芥川らしい目に見えないふとした気鬱な焦燥感を、現代に消耗されている自身に容易に重ねられる。現代サラリーマンは、皆、こんな気持ちなんじゃないだろうか…。あとがきなどにあるように一冊まるまる寓話的 古典的で元祖な展開を知れる本。どれも短くて読みやすいのに、何か深いメッセージがそれぞれのお話にあって、素晴らしかった。何度でも読み直したくなる。特に蜜柑が好き。心情の変化とそのきっかけとなった光景の描写に感銘を受けた。





 📚心という奴は何という不思議な奴だろう。(P13)
 檸檬/梶井基次郎(著)

こんな世の中、こんな自分、みんな爆破してしまいたい。 



31歳という若さで夭折した著者の残した作品は、昭和文学史上の奇蹟として、声価いよいよ高い。その異常な美しさに魅惑され、買い求めた一顆のレモンを洋書店の書棚に残して立ち去る『檸檬』、人間の苦悩を見つめて凄絶な『冬の日』、生きものの不思議を象徴化する『愛撫』ほか『城のある町にて』『闇の絵巻』など、特異な感覚と内面凝視で青春の不安、焦燥を浄化する作品20編を収録。

…‥‥‥…
Arika報告書v1アイコン昭和文学史上の奇蹟として高い声価を得ている梶井 基次郎の著作から、特異な感覚と内面疑視で青春の不満や焦燥を浄化する20編の収録。体が弱く肺病を患い、31歳で他界した梶井氏。肺病による血痰や咳、不眠。追い込まれていく不安。多くの短編の中に、その憂いが描かれている。だから、レモンエロウの檸檬は、彼にとっての届かぬ象徴、希望だったのかなと思える。陰鬱なばかりでなく、よくよく噛んで読むと、高尚な文章に面白いことが描かれている! 誰にも気づかれずに覗いている私の「観察眼」が凄い。『桜の樹の下には』や『冬の蠅』も一見グロテスクなようでいて、考えてしまうところがあって良かった。

梶井基次郎
(1901-1932)大阪生れ。少年時代は三重、東京などに転居を繰り返す。1919年、エンジニアを目指して三高理科に入学するが次第に文学に惹かれ、1924年、東京帝大英文科に入学。同人誌「青空」で積極的に活動するが、少年時代からの肺結核が悪化し卒業は叶わなかった。療養のため訪れた伊豆の湯ケ島温泉で川端康成、広津和郎に親近し創作を続けた。しかし病は次第に重くなり、初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、郷里大阪にて逝去。享年31。


Arikaシネマ2014b1
 📚新潮社>梶井基次郎《最初1…最後》 

 新潮日本文学アルバム 27 梶井基次郎



緩慢で、しかし確実な死にいたる病、結核に冒された基次郎を襲う“えたいの知れぬ”不吉な予兆。病いと闘いつつ青春の不安や焦燥を浄化した鮮烈な文学を刻んだ軌跡。


 梶井基次郎 (著) 小椋ムク (イラスト)| 櫻井孝宏 (朗読)
 Kの昇天/檸檬 朗読CD付 (海王社文庫)



“影と『ドッペルゲンゲル』。私はこの二つに、月夜になれば憑かれるんですよ。”
私はあなたのお手紙ではじめてK君の彼地での溺死を知ったのです。私は大層おどろきました。と同時に「K君はとうとう月世界へ行った」と思ったのです。――療養で訪れたN海岸での幻想的な逢瀬を語る「Kの昇天」、憂鬱にとらわれた心に一つの果実が幸福感をもたらす名作「檸檬」など、選りすぐりの短編集。声優・櫻井孝宏が紡ぐ「Kの昇天」名場面朗読CDを封入。


👨櫻井孝宏
┣1974年6月13日愛知県岡崎出身
┣男性声優、ナレーター、ラジオパーソナリティ
┣インテンション所属
Takahiro Sakurai]- INTENTION



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