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新潮社文庫の100冊2020|考える本⑧|文芸[君が夏を走らせる(瀬尾まいこ)/この世にたやすい仕事はない(津村記久子)

kage

2020/10/14 (Wed)

夏の文庫フェア2020

新潮文庫の100冊2020
文庫フェア


潮文庫『新潮文庫の100冊』。

2020年のテーマ「この感情は何だろう。」

毎年夏になると、出版各社の文庫を紹介したパンフレットが書店に並びます。

これらのパンフレットのなかでも「新潮文庫の100冊」のキャンペーンは、1976年から始まり40年近い歴史があります。

2900余点の新潮文庫の中から編集部が厳選した100点を、「恋する本」「シビレル本」「考える本」「ヤバイ本」「泣ける本」の5テーマに分類しておすすめします。

■フェアのジャンル項目


恋する本
シビレル本
考える本
ヤバイ本
泣ける本


■アイコンの説明


=受賞作
=映像化
📚=新潮文庫の一行


 
大丈夫。きみの悩みは、もう本になっている。この夏を、何冊生きよう。
  考える本
 文芸

D15-c005.gif新|刊
 📚「おいで」と手を広げると、鈴香は満面の笑みを俺に向けた。(P262)
 君が夏を走らせる/瀬尾まいこ(著)

金髪少年の夏休みのバイトは先輩の娘(一歳)の子守!? 

きっと忘れない、夏になる。  




ろくに高校に行かず、かといって夢中になれるものもなく日々をやり過ごしていた大田のもとに、ある日先輩から一本の電話が入った。聞けば一ヵ月ほど、一歳の娘鈴香の子守をしてくれないかという。断り切れず引き受けたが、泣き止まない、ごはんを食べない、小さな鈴香に振り回される金髪少年はやがて――。きっと忘れないよ、ありがとう。二度と戻らぬ記憶に温かい涙あふれるひと夏の奮闘記。(解説・あさのあつこ)
…‥‥‥…
Arika報告書v1アイコン金髪の不良少年・大田くんは、先輩の頼みで鈴香(1歳)の子守をする羽目になり退屈な夏休みが急転する……! 温かい涙があふれる、ひと夏の奮闘記。大田くんにまた、逢えた。中学校駅伝大会で市野中学陸上部の2区を走った選手である。小学校のときから、名うての悪ガキで、中学に入学してもろくに授業にも出ず、体育館裏やテニスコートで煙草をふかしていたヤンキー少年。前作、『あと少し、もう少し』で初めて出逢った大田くんは、絵に描いたような不良少年でありながら、強い個性を放ち、独特の雰囲気を纏っている。もっとも、これは、大田くんに限ったことではない。市野中学陸上部の面々は誰もが、個性的で独特だ。大田くんが出した手紙がどうなったのかも、鈴香ちゃんとの交流や上原先生との再会で前を向いた大田くんがどんなふうに変わっていくのかも書かれていないことから感じる余白。そこがリアルで、余韻を感じて、考えてしまう。あのヤンキー大田くんのその後が読めるとは。 大田くん、こんな小さな鈴香の面倒みれるなんてハイスペックすぎる! 子供と一緒にいたら、離れた後は辛いよね。 でも大田くんの高校生活がこのあと充実したと信じてる。瀬尾さんの作品は、ほっこりするのに実はリアルってことが多い気がする。すごく爽やかでもう一度読みたい作品。

瀬尾まいこ
1974(昭和49)年、大阪府生れ。奈良県奈良市在住。大谷女子大学国文科卒。中学校国語講師を9年務めた後、2004年に教員採用試験に合格。2005年-2011年に退職するまでは中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行なっていた。自身の中学校勤務をもとにしたエッセイも執筆している。

2001(平成13)年、「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本『卵の緒』で作家デビュー。2005年、『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、2008年、『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞、2019年、『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞する。他の作品に『天国はまだ遠く』『あと少し、もう少し』などがある。


Arikaシネマ2014b1
 📚新潮社|瀬尾まいこ《最初1…最後》

 📚 本当バカね。証しって物質じゃないから目に見えないよ。(P19)

 卵の緒

掴みどころはないけどとても確かなもの。

親子も家族もそんな絆でつながっている。

デビュー作、待望の文庫化! 


卵の緒 (新潮文庫)
卵の緒 (新潮文庫)
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僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。代わりに卵の殻を見せて、僕を卵で産んだなんて言う。それでも、母さんは誰よりも僕を愛してくれる。「親子」の強く確かな絆を描く表題作。家庭の事情から、二人きりで暮らすことになった異母姉弟。初めて会う二人はぎくしゃくしていたが、やがて心を触れ合わせていく(「7's blood」)。優しい気持ちになれる感動の作品集。

…‥‥‥…
Arika報告書v1アイコン本書は彼女のデビュー作で、表題作「卵の緒」と「7's blood」の二編を収録。一つ目、表題作「卵の緒」は、本屋大賞「そして、バトンは渡された」に通じるような内容。大切に思う気持ちは『血の繋がり』を越える。二つ目、「7’s blood」は、第一編と対局に位置するような『血の繋がり』は、かけがえのない強いものと感じさせる物語。「家族」というと、お父さんがいてお母さんがいて子供たちがいて・・・が当たり前のように思われるが、この二編とも、それには当てはまらない。「変形家族」なのだけれど、愛情たっぷり、信頼関係ばっちりの素敵な家族物語である。「そして、バトンは渡された」の瀬尾さんの原点がここにあると感じた。読後、自然と自分の家族のことを思い「もっと(家族に)優しくしよう」なんて考えさせられる、どちらも瀬尾先生の優しさが溢れる物語でした。



 📚ちぎれそうな身体だって、おれの走りをするんだ。(P355)
 あと少し、もう少し

寄せ集めのメンバーがぶつかり合いながら挑む中学最後の駅伝大会。

感涙必至の青春小説。 


あと少し、もう少し (新潮文庫)
瀬尾 まいこ
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陸上部の名物顧問が異動となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。元いじめられっ子の設楽、不良の大田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。

…‥‥‥…
Arika報告書v1アイコン頼りない顧問のもと、寄せ集めのメンバーがぶつかり合いながら挑む中学最後の駅伝大会。襷が繋いだ想いに、溢れる涙が止まらない傑作青春小説。駅伝にかける六人の中学生たちが、それぞれの事情や葛藤を胸に襷を繋ぐ青春ストーリー。解説の三浦しをん同様、あまり傑作って言葉は好きじゃないが、これはそれに値する。きれいごとでは片付かない年頃の彼らがそれでも襷をつなごうと必死にもがく姿は清々しくも、少し痛々しい。色々な人の心が一つのゴールに向かう、すっごい青春なストーリーと爽やかな読後感。 登場人物六人の視点で描かれており、それぞれの駅伝への思いが伝わってくる。 中学生におすすめしたい一冊。

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👟陸上:スポーツ小説と、エッセイと。


天国はまだ遠く(2008年11月8日公開)
 天国はまだ遠く

無器用にしか生きられないあなたに贈る清爽な旅立ちの物語。

天国はまだ遠く (新潮文庫)
瀬尾 まいこ
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仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。


Arikaシネマ2014b5

2008年11月8日公開   117分
 天国はまだ遠く

天国はまだ遠く [DVD]
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Category:映画資料
映画「天国はまだ遠く」(2008)








 📚そうだ私は暇だ。この仕事は暇なのだ。(P13)
 この世にたやすい仕事はない/津村記久子(著)

 転職のたび世界はめくるめく一変する。

すべての働く人の今を励ますお仕事ファンタジー。 




「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」ストレスに耐えかね前職を去った私のふざけた質問に、職安の相談員は、ありますとメガネをキラリと光らせる。隠しカメラを使った小説家の監視、巡回バスのニッチなアナウンス原稿づくり、そして……。社会という宇宙で心震わすマニアックな仕事を巡りつつ自分の居場所を探す、共感と感動のお仕事小説。芸術選奨新人賞受賞。
…‥‥‥…
Arika報告書v1アイコン前職で燃え尽きた「私」が出会った。心震わすニッチでマニアックな仕事たち。すべての働く人の今に寄り添う、笑えて泣ける異色のお仕事小説!なんか面白かった。 文章の雰囲気が好きだった。 本作は、バーンアウトした主人公がハローワークで紹介してもらった仕事を体験していくという物語だが、仕事や周りの人物に対する細かい情景描写などがとても面白い。 主人公が次々と面白そうな仕事に転職していく感じは、見ていて爽快でした。 仕事も珍しいものが多く、興味を惹かれる。 おかきの袋の仕事は読んでいて辛かったけど、小屋でのみはりの仕事は面白かった。箱田さん好き。 「あなたオフレコ多いな!」は声を出して笑ってしまった。「何をしていたって、何が起こるかなんてわからない、ただ祈り、全力を尽くすだけだ。」これに尽きる。仕事に夢中になりすぎて関わり過ぎちゃうのわかるなぁ…… 何でも程々が大事よね(* ´艸`)クスクス。


津村記久子
1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で太宰治賞を受賞してデビュー。2008年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で野間文芸新人賞、2009年「ポトスライムの舟」で芥川賞、2011年『ワーカーズ・ダイジェスト』で織田作之助賞、2013年「給水塔と亀」で川端康成文学賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2017年『浮遊霊ブラジル』で紫式部文学賞、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞、2020年「給水塔と亀(The Water Tower and the Turtle)」(ポリー・バートン訳)でPEN/ロバート・J・ダウ新人作家短編小説賞を受賞。他に『とにかくうちに帰ります』『エヴリシング・フロウズ』などの著書がある。
筑摩書房|著者インタビュー
e-hon|著者との60分
楽天ブックス|著者インタビュー


Arikaシネマ2014b1
 📚新潮社|津村記久子《最初1…最後》 <

2018年第10回エキナカ書店大賞候補
 📚屋根は、すばらしい。(P165)
 とにかくうちに帰ります

宮部みゆき、西加奈子、強力推薦! 

働き、悩み、それでも歩く人々の思いをつめた小説集。 


とにかくうちに帰ります (新潮文庫)
津村 記久子
新潮社 (2015-09-27)
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うちに帰りたい。切ないぐらいに、恋をするように、うちに帰りたい――。職場のおじさんに文房具を返してもらえない時。微妙な成績のフィギュアスケート選手を応援する時。そして、豪雨で交通手段を失った日、長い長い橋をわたって家に向かう時。それぞれの瞬間がはらむ悲哀と矜持、小さなぶつかり合いと結びつきを丹念に綴って、働き・悩み・歩き続ける人の共感を呼びさます六篇。
…‥‥‥…
Arika報告書v1アイコンうちに帰りたい。切ないぐらいに、恋をするように。豪雨による帰宅困難者の心のざわつきを愛情込めて描く表題作ほか、共感ほとばしる全六編。ありふれた日常の、こういう人いるよね、こういうことあるよね、を丁寧に描いた小説。前半は職場の小さなことを丁寧に拾った超短編。後半の表題作は豪雨の中を苦労しながら帰宅する話、と言っては身もふたもないが、終業前に帰宅するか、させるかは悩むところだ。バスはすでに満員で乗れず、びしょ濡れでやっとたどり着いた駅では電車が運行停止して回復の目処がつかない。何回か覚えがある。職場のあるあるや、何気ない日常には共感できて、「職場の作法」はそこそこ面白く読むことができた。この本の登場人物たちは、″いい人″が多い。人間らしさのある、″いい人″。豪雨の中、帰宅困難になった人達が家を目指す表題作もよかったけど、小さな会社で働く事務員達の、地味だけどじわじわ可笑しい連作短編が本当に好き。主人公の鳥飼さん、その同僚の田上さんと浄之内さん、皆愛すべき人達だった。彼女達の物語をずっと読んでいたいw 解説の西加奈子さんの「ドラマティックとされる瞬間や出来事は現れないけれども、でもそれらと同じ熱量で日常に光を当てている」という説明にとても納得した。ドラマの物語からはほど遠い自分のこの現実の人生を、まさに西さんが解説してくれている通り、「悪くないんじゃないか」と思わせてくれる。

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お仕事小説ここにあり!


D15-c002.gif
2|0|2|0|年|6|月|の|新|刊
 サキの忘れ物

見守っている。

あなたがわたしの存在を信じている限り――。  




ある日、千春はバイト先の喫茶店で客が忘れていった一冊の本を手にする。それは誰からもまともに取り合ってもらえなかった彼女がはじめて読み通した本となった。十年後、書店員となった千春の前に現れたのは。人生は、ほんとうにちいさなことをきっかけに動きだす。たやすくない日々に宿る僥倖のような、まなざしあたたかな短篇集。

目次
サキの忘れ物/王国/ペチュニアフォールを知る二十の名所/喫茶店の周波数/Sさんの再訪/行列/河川敷のガゼル/真夜中をさまようゲームブック/隣のビル


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津村記久子 やりなおし世界文学 
(特別編)速さと鋭さのダイバーシティ――サキ『サキ短編集』 | 考える人



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