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大人本セレクト(191)...インターネットと情報文化の流れを知る三冊[社会は情報化の夢を見る/ネットが生んだ文化/バースト!]

kage

2019/03/19 (Tue)

■大人だから楽しんで読める、
大人だから読んでほしい様々なジャンルの『大人本セレクト』をレビュー!
Arikaおとな本1
VOL・191

ほん運び大人だからこそ読んでほしい、
インターネットと情報文化の流れを知る三冊

 社会は情報化の夢を見る---[新世紀版]ノイマンの夢・近代の欲望
 /佐藤俊樹 (著)




Arika報告書v1アイコン「情報化社会」という夢の生体を、情報技術と社会との関わりを追いながら解いた本。本書によれば、「情報化社会」など未だかつて到来していない。しかし我々は「情報化社会」を夢見るがゆえに、手を変え品を変え、それっぽい言説を生み出してしまう。そのたび、周辺産業は盛り上がるものの(ex.人口知能が取り沙汰されると、人工知能関連のメディアやサービスが立ち上がる)、当初騒がれていた「情報化社会」は到来しないままブームは終わる。その繰り返し。その意味で、「情報化社会」は近代産業社会と共犯関係にある。なんとも説得力があり、かつ皮肉な考察だ…。私は情報化による近代の産業社会の仕掛けを若者に置き換えて比較。技術決定論=情報社会論は滅びぬ!何度でも蘇るさ! ということを語るなかなかにえぐい内容。そういう夢が出現するうちは近代のままである、ということだ。痛快!人口知能が騒がれてひさしい今こそ、読み返したい一冊。


 ネットが生んだ文化:誰もが表現者の時代 (角川インターネット講座 (4))
 /川上量生 (監修)




Arika報告書v1アイコンネット新大陸。非リア、炎上、嫌儲、コピーの4つのキーワードでネットを解説。「ニコニコ動画」の仕掛け人、川上量生の編著。ネットの炎上が、実は社会的な行為であると解説。川上量生って名前に惹かれて読んだけど、一章ごとに別々の著者の寄稿を集めて本一冊にしてるので、なんていうか、カワンゴらしくない(というのは川上量生氏にネット原住民の匂いを感じないから)。インターネットが生み出した文化について論じられるようになった電車男やのまねこなんかはもはや昔…。リアルに居場所を失った人たちがインターネットに居場所を求めてネット原住民になった。そのネット現住民たちは当然のようにリア充を嫌悪する。そうしてリア充が嫌いっていう人たちが集まってネット独自の文化を築き上げてきた。パソコン通信時代からの変遷についても書き残してほしいですね。なるほどそんな見方があったか!リア充や炎上など、今や世間に広く知れ渡る言葉のルーツとそこから見えている価値観を論じて、確かにと思うような行動原理が垣間見れて興味深い。最後の章のリア充/非リア充の衝突の話が面白かった。




 バースト! :人間行動を支配するパターン
 /アルバート=ラズロ・バラバシ (著)  青木 薫(監訳)  塩原通緒 (訳)




Arika報告書v1アイコン『新ネットワーク思考』の作者による2015年のネットワーク理論。中世の十字軍がテーマの小説と、現代の論述パートが並行しリンクして展開。予測不能の性質は予測可能である。サイコロを振る際の均等なランダム性と異なり、人間行動のランダム性はベキ乗則に支配され、不連続で急激に変動する(ロングテールのイメージ)。電子メールのアクセス解析を行う著者は、一通も発信がなかったり大量に発信されたりする断続的性質(バースト)を確認する。この性質は現代だけでなくダーウィンやアインシュタインの手紙のやり取りから偶数章で断続的に語られる中世十字軍のジョルジュ・セーケイの人生にも現れる。歴史エピソードを断片的に挟む本書自体もバーストをイメージさせる構成となっている。人間の行動は完全なランダムではない。そこにはスケールフリーなネットワークを成す物事で現れるベキ法則やバーストが見られる。これは人間に限らず、生物一般に見受けられる。このことの究極因的な説明として、バースト探索パターンについては動物の食糧採取戦略は他の戦略よりも食糧発見の可能性が高く適応的なためだと考えられる。バーストやベキ法則は人間の行動内容に見られるパターンだからこそ、ジョルジュ・セーケイの行動内容にもまたバーストが生じているのである。とのこと。天才バラバシ!科学的思考と芸術、歴史が織り交ぜられ、読み応え抜群。人間の自由意志みたいなものは、結局のところ何か生物固有のアルゴリズムの産物でしかないのかなぁといったことを感じながら読み終えた。自然から見たときに「意味」なんてものは大した仕掛けでもないにも拘らず、事実に対して「意味」を見出してそれにすがるのが、人間という生物の固有な形態なのかもしれないね。


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