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【文学】優しいおとな/桐野 夏生

kage

2011/12/31 (Sat)

★*家族をもたず、信じることを知らない少年イオンの孤独な魂はどこへ行くのか… Arika*

優しいおとな優しいおとな
(2010/09)
桐野 夏生

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間限定で新聞を取っていたので、途中までしか連載を読めなくて、単行本になるのを待っていました。

15歳のホームレス少年 イオンは、大人を信じず、一人で自由に生きていく事を信条としていたが、ある事件を境に、人とのつながりへの飢えを感じ、光の届かないアンダーグラウンドの世界へ。

孤独に生きてきた人間が、人と接する事で成長していく過程を描いた作品。

路上生活者の生活、地下での生活など、普通に恵まれて生きてしまっている自分にはほど遠い話ばかりだったのですが、現実にありえるかもしれない、いや、起こっているであろう話に、フィクションながらも作品の世界に魅入られてしまいました。

悪意をえぐるような桐野作品の中で、これは異色の、最も純粋な愛にあふれた作品ではないだろうか?

子供たちにも安心して読ませられる、と言ったら問題あるだろうか?

でもそう言いたくなるほど、人間の悪意醜さも情け容赦なく見据えるいつもの作者とはどこか違う、優しさに溢れた作品。

装丁や各章の間に出て来るイラストも『え?これが桐野さんの本?、と思える様な劇画チックな物』で、毎週ビビッドな(?)カラーのスカイエマさんのイラストに目を奪われていました。

近未来の小説なので挿画・挿絵にスカイエマさんを選択したであろう事はわかりましたが、あまりにも今までの作品とは違うので驚きでした。

挿絵の雰囲気から吉田秋生の懐かしい「カリフォルニア物語」を思い出しましたが、思えばあの漫画も親に捨てられた少年たちの都会のサバイバル物語だったっけ…。

この物語は子供が生きるために必要な保護者とはどうでなければいけないのか、という問いかけだったと思いますが、小説の中での答えは、一般的な親と子のみが正解というわけではない、人が自分で育つ力を侮りすぎてはいけないというようにも語られていたけれど、でも結局そういう子供たちに起きている事象は悲惨。 

愛護してくれる大人のいない子どもは弱い。

どんなに強がっていても、弱い存在なのだということが切ないストーリーでした。

地下のシーンが多いので脳内映像だけで息苦しくなる様な展開ですが、それでも文章も丁寧で想定もわかりやすいので飽きる事無く最後まで読み進める事が出来ました。

本著は好き嫌いに分かれるかと思いますが桐野さんの新たな一面を発見出来た作品だったと思います。

結構若い世代の方に受け入れられる様なお話ではないかと個人的には判断いたしました。

最後のオチは、急展開すぎた気もしますが、全体を通してよく出来た構成でした。




今回のBooK案内人/Arikaアイコンりす
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