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私が愛する手塚治虫ワールド[5]・・・アドルフに告ぐ

kage

2013/04/10 (Wed)

Arika手塚治虫

アイコンりす手塚治虫漫画感想担当…Arika

アドルフに告ぐ(1) (手塚治虫漫画全集 (372))アドルフに告ぐ(1) (手塚治虫漫画全集 (372))
(1996/06/14)
手塚 治虫

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少年時代に熱い友情で結ばれた2人のアドルフ。

やがて運命に翻弄される彼らは敵同士に。

歴史のもつ非情さの果てに、正義の意味を掲示する。

今回は、手塚先生のある意味問題作、『アドルフに告ぐ』をpick up!


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     歴 史 の 世 界
Arika報告書1bb

史実に虚構を絡まれた”壮大な歴史ロマン



れは、第二次大戦前後の、日本とドイツを舞台に繰り広げられる三人のアドルフの物語です。

一人はドイツ総領事館員と日本女性の間に生まれた神戸の街に住むアドルフ・カウフマン、次は同じく神戸の街に住むユダヤ人でパン屋の息子のアドルフ・カミル、そしてこの時代の狂気の象徴で実在したアドルフ・ヒトラーです。

物語は、1936年8月に開かれたベルリン・オリンピックに取材に来た通信社記者、峠草平(とうげそうへい)が、弟の惨殺死体と出会い、数年前に神戸で起こった女性殺人事件を思い出すという、ミステリアスな出だしから始まります。

その事件の背景には、ユダヤ人狩りを命じてそれを行うヒトラー総統が実はユダヤ人であるという恐るべき文書をめぐる争いがあります。それと平行して領事館員の息子とパン屋の息子との子どもの友情がつづられます。この二人がだんだん成長するにつれて対立し、憎しみ合っていくあり様が、彼らをとりまく時代と、そこに生きてる人々とともに描かれています。そして彼らが象徴しているのは、人間は大きな時代の流れに、否応なしにのみこまれていく、その悲劇にほかならないのです。

この物語の魅力は、いろんな立場の人物像を通して、人々が抱えるいろんな矛盾を多角的、多層的にとらえていることですね。そこには民族的な問題や、国家的な問題、そして階級的な問題も含まれてます。そうして物語の面白さにひきこまれていくうちに、次第に現代史が見えてくるのです。

その読者をひきこんでいく面白さというのは例えればミステリアスさであったり、畿重にもつらなる伏線の貼り方だったりするんですね。そうすることでストレートに物事が進まずに、いろんな事件が重なり合いながら展開するんです。それを通じてそこにうごめく人間の喜び、悲しみが、うねるように描かれていくのです。

こう述べていくと、やはりこのドラマの最大の魅力というのは登場人物のキャラクターにあるのでしょう。

私が特にひかれるのは、ナチス・エリートとしてに走っていくカフマンです。彼の性格は、悪の典型として徹底して描写されています。彼はユダヤ人の少女を助けるというの部分もある反面、パレスチナ解放戦線の組織に参加し、死ぬまで殺人を繰り返すという矛盾したものを内にはらんでいます。

ナチスの残党・カウフマンは、パレスチナ解放戦線の組織に参加し、イスラエル軍の指揮官・カミルと対立。幼い頃の友情は微塵に砕け、殺し合う二人。

死のま際、子どもに殺しを教えるなと悟るカウフマンだが、時は既に遅かった。

img450.jpg「おれはあの日から何千人ユダヤ人を殺したかな…

だが、子どもの頃の恐ろしさは忘れられん。

いまのおれにはユダヤがなにをしようと、アラブがどうしようと関係ないことだが、子どもに殺しを教えることだけはごめんだ。

世界中の子どもが正義だといって殺しを教えられたら、いつか世界中の人間は絶滅するだろうな」


彼は死の直前、子どもたちには人殺しを教えるなと悟るまでの推移が説得力をもって淡々と描かれているのですが、このあたりは手塚治虫氏の人間を観察していくギラリとした視線を感じさせました。

さて、この物語を客観的に見ると、この作品は、若い層から年配まで幅広く納得させる力量があります。

主人公の子ども時代から大人になってからまで描かれ、その成長過程を読者がなぞっていきながら、読者も成長していく。言い換えると、読者も彼らと一緒に歴史の中で歩んでいく。そうすることで、読者はおのずと、歴史の非情さに気が付いていく…。

この歴史ドラマの手法は、シネマ的ストーリーや人物像、カメラワーク的をコマ作りなど、細部まで計算つくされた大御所ならでわの漫画の凄みを感じさせ、文句なく往年の手塚漫画だからこそ描ける凄み作品だと思いました。

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手塚漫画のツボ
★漫画に隠された手塚先生独特のヒューマニズムのツボを紹介★

峠草平さんの物語の中の役割とは?

塚氏の作品には、名脇役が多い。

それが物語の面白さを二重にも三重にも膨らませる理由の一つである。

ここに登場する峠草平も、魅力的な脇役のひとりである。

彼の語りを通して、アドルフと呼ばれた三人の男が、一本の運命の糸に結ばれていく物語が展開していくのだ!!


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物語の狂言廻しとして『峠草平』が登場する。が、それだけにとどまらず、激動の時代を生きてきた一人の男として生き生きと描かれる。
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