出世花/高田 郁

2013/05/04 (Sat)
そのときの ” 気分に近い本 ”を選んでみよう…

![]() | 出世花 (ハルキ文庫 た 19-6 時代小説文庫) (2011/04/15) 高田 郁 商品詳細を見る |
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義密通の大罪を犯し、男と出奔した妻を討つため、矢萩源九郎は幼いお艶を連れて旅に出た。
六年後、飢え凌ぎに毒草を食べてしまい、江戸近郊の下落合の青泉寺で行き倒れたふたり。
源次郎は落命するも、一命をとりとめたお艶は、青泉寺の住職から「縁」という名をもらい、新たな人生を歩むことに―――。
青泉寺は死者の弔いを専門にする「墓寺」であった。
直に死者を弔う人びとの姿に心打たれたお縁は、自らも湯灌場を手伝うようになる。
悲境な運命を背負いながらも、真っすぐに自らの道を進む「縁」の成長を描いた、著者渾身のデビュー作、新版にて刊行!!
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江戸時代、屍を洗い清めることを自分の一生の仕事と志した一人の少女。
心を尽くして看取り、見送るその少女の姿に職業に貴賎があるのではなく、それぞれの働き方にこそ貴賎があるということを教えられます。
映画の「おくりびと」の江戸時代バージョン女性版、というのが私にとってぴったりくる形容です。
どのように亡くなった人を送り出すということが、どれほど残された人の心を癒すのか、心に沁みわたるような小説。
「おくりびと」が良い映画だと思った人は、この話も好きなんじゃないかと思います。
主人公の娘も魅力的だが、それを取り巻く人々も素敵だ。
薄幸の少女という一昔、いえ二昔前くらいの少女漫画チックな描写が多いけれど、この人の文章は読みやすく、時間を忘れ、ついつい一気読みしたくなります。
惜しむらくはそのタイトル。「出世花」は読めばその意味が分かりますが、それだけではなんだかピンと来ません。
副題をつけるとかもうちょっと手を伸ばしたくなるようなものがいいと思います。
この人のお話は、じわっと出てくる涙なしでは読めません。
実にすがすがしい涙が流れる時代小説です。

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