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2011年の『本屋大賞』作品をプレイバック!

kage

2013/07/09 (Tue)

Arika本屋大賞
2011

賞をとって話題になった本や漫画には、人を惹きつける魅力がある。

2004年に開始した『本屋大賞』に注目!

大賞作品はもちろん、ノミネート作品もみんなが知っている作品も多い!

…では第8回目にプレイバック!



Arika本屋大賞掲示板

「本屋大賞」の選考方法や選考委員などを分かりやすくイラスト付きで説明。
        
本屋大賞作品をプレイバック!・・・『本屋大賞』ってなに?




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 大賞

謎解きはディナーのあとで謎解きはディナーのあとで
(2010/09/02)
東川 篤哉

商品詳細を見る



令嬢刑事×毒舌執事コンビの傑作ミステリ

国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な『宝生グループ』のお嬢様。

『風祭モータース』の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中だ。

大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は”執事兼運転手”の影山。

「お嬢様の目は節穴でございますか?」

暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに謎を解き明かしていく――

2011年本屋大賞受賞の大人気ミステリ。

書き下ろしショートショート収録!


2011年に影山役を櫻井翔(嵐)、お嬢様・宝生 麗子役を北川景子、風祭 京一郎役を椎名桔平でフジテレビ系でドラマ化された。

2013年夏にドラマ版からのキャストで映画化。


『大賞』受賞作品を読んでみました。
Arika感想


嬢の新人刑事と毒舌執事が難事件に挑戦する、ユーモアたっぷりの掛け合いを楽しめる本格ミステリー。

この本はトリックや心理描写などのミステリーを楽しむというより、登場人物の掛け合いや行動を楽しむといった感じです。

影山が執事の立場でありながら麗子に毒舌・暴言を吐いたり、上司である風祭と麗子のやり取りなどユーモアをふんだんに取り入れた作風となっている。

一話に一つの事件で話が短いので、長い文章を読むのが苦手な人には読みやすくていいと思う。

トリックは、いやいや甘いだろ、とツッコミどころ満載!

お嬢様と執事の掛け合いは楽しめますが、メインのミステリーの方は、無理が多すぎますね。

表紙の挿絵がおしゃれで、ストーリーも軽快に進みます。

1作目は強烈なキャラクターたちが、まずは不動の地位を確立したってところでしょうか?



Arika注目1h
人に本をお勧め紹介する限り、なるべく私もうろこさんも全書は読むようには心がけています。

つぶやき程度の文章から行段をとるものまでありますが2位から10位まで感想を書いてみました。

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ふがいない僕は空を見たふがいない僕は空を見た
(2010/07)
窪 美澄

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高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。

やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが――。

姑に不妊治療をせまられる女性。

ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。

助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。

それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編

フリーの編集ライターとして雑誌や著籍で活躍していた著者のデビュー作。

第24回(2011年) 山本周五郎賞受賞

第8回(2009年) R-18文学賞受賞

2011年に永山絢斗&田畑智子主演で映画化。


Arika注目1h高校1年生の主人公・斉藤卓巳の性と生を正面から描くストーリーなのだが、とにかく生臭い、泥臭い、なのにどこか爽やかなで面白い!

人の人生のようにスッキリしない、そんな感じがこの本の面白さでしょうね。

高校生男子と主婦のコスプレ不倫変態セックスの場面から始まり、リレー形式で5人の主人公に入れ替わっていくことで、それぞれの立場からの切なさがこみあげ、回想しながら時間軸が未来へと進んで行くショートストーリの映画でも見る感じの小説です。

恋は一人では成り立たない。しかし、「ミクマリ」と「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」の対で終わらないところが、いい。

主人公達の息ができなくなりそうなほどのどうしようもない気分に現実感を感じる。

それが不妊であれ、貧困であれ、嫌がらせであれ。

単なる恋ではなく、性行為ではなく、この世に産み落とされた命というものの物語であったことが見えてくる。

全体を通じてひとつの物語になっており、完成度が高い。

引き込まれるのに十分な魅力があった。

主人公たちと一緒に泣き出したくなった。

人生の陰に隠された過去の傷が、彼(彼女)も人也ってのをよく表現されている思います。

高校生の子供から大人に成長していく、成長物語がテーマの一つだと感じたのですが、高校生時代をキーワードとしてその後を繋いでいく感じは、この物語では重要な感じが致しました。

生きるって綺麗ごとだけじゃないし、男の性、女の性・・・性欲も物欲も人はあるのだし、間違え、傷つけ、傷ついても、それでも共に生きて行く、人の強さも描かれています。

ただ最初、個人の性に徹底的にこだわった描き方なので、なぜ性を取り入れる必要があったのか?…という意見もありますが、この作品はそんな薄っぺらい表面上のことではなく、性のその先にある人間の本質を描いていると思います。

この作品での性描写というのは、あくまでとっかかりに過ぎなく、正直、読み手にその先を経験したことがあるか、ないかでも、評価が二分される作品だと思います。

人間の愚かさ、不甲斐なさ、醜さ、優しさ、愛しさなどを包み隠すことなく、懸命に本能の赴くままに生きる主人公たちを描くうえで、著者は性という描写を避けることはできなかったのでしょう。

たんなる『性描写の強い作品』と意識せず、読んで欲しい作品だと思います。




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ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)
(2013/01/10)
森見 登美彦

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歯科病院の「お姉さん」のことが好きな小学4年生の「ぼく」が街にペンギンが現れたという謎に挑む。

未知と出会うことの驚きに満ちた長編小説。

第31回(2010年) 日本SF大賞受賞。



Arika注目1h物語は何気ない小学生たちの日常、家族や謎のお姉さんたちのやり取りが語られつつも、次々に起きる不思議なできごとに少しの疑問と不安、そして期待を抱かせられて進みます。

歯科医院のおねえさんとおねえさんのおっぱいが大好きな男の子は、日々疑問に思ったことを研究する小さな科学者であり、哲学者でもあります。

そんな男の子が住む新興住宅地に突然現れたペンギンの群れ、そして、「海」と呼ばれる不思議な球体。

仲の良い友達とそれらを研究を進めた結果、明らかにされる事実、おねえさんとの別れ。

性への芽生えを目前にした男の子がおねえさんに抱く恋心未満の気持ちがなんとも切なくかわいいです。

著者の作品に多い京都や大学生は出てこず、ドタバタや独特の言い回しも全くありませんが、おませで少しずれたところのある少年の物言いなどは、やはり節々に『らしさ』は感じられます。

また,研究と称しての町の探検,死や時間の流れに漠然とした恐怖を語り合う様子など、子供たちの会話や考えていそうな事が丁寧に描かれ、思わず懐かしささえ覚えてしまいます。

これ以外にも少年のお父さんがとてもいい存在となっており、少年との信頼関係はもちろん彼を見守り、時として投げ掛ける『言葉』はとても素敵で暖かみの感じられるものばかりです。

王道の話運びで謎の真相もハッキリ明かされませんが、それはこの物語においては些細な事で、切なさと寂しさが漂いながらも、ひと夏を経て少しだけ大人へと近づいた少年は凛々しく映り、小さな恋とともに希望の感じられるエピローグは,爽やかで心地の良い読後感を残してくれます.。





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錨を上げよ(上) (100周年書き下ろし)錨を上げよ(上) (100周年書き下ろし)
(2010/11/30)
百田 尚樹

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錨を上げよ(下) (100周年書き下ろし)錨を上げよ(下) (100周年書き下ろし)
(2010/11/30)
百田 尚樹

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昭和30年大阪下町生まれの又三が高度成長、60年安保戦争、東京オリンピックなど、激動の昭和を不屈の精神で生き抜く青春小説。


Arika注目1h上下巻合わせて1100頁の大長編で、読み終わた時には正直言って疲れましたが、実に読み応えのある作品でした。

本書の主人公の作田又三には作者自身が投影されているとのことだが、ここに書いてることが事実に基づくとしたら驚きで、何しろ主人公の生き方は無茶苦茶すぎる!!!

小さい頃からかッとなると抑えがきかない性格で喧嘩を繰り返し、停学になったことは数知れず。

行きあたりばったりの生き方を続け、高校を卒業して就職するもすぐに首になり、その後思い直して受験勉強をして大学に入学するが、そこも中退してしまう。

こんな生き方を続けた挙句に、テレビ業界で成功して人気作家になったとしたら人生は実に不思議だ。

ただ、ここまでハチャメチャな生き方を貫ぬくことは常人には無理であり、常識人の私には少し羨ましくも見える。

普通の人間の何倍もの人生経験を積んだのは間違いないだろう。

数多くの女性との出会いと別れもストレートに描かれているが、女たちが彼に惹かれる一方で、最後は別れを選択する気持ちがわかる気がした。

愛とは,恋とは,大学とは,仕事とは,友人とは・・・

上巻は、つかの間,主人公とともに少し青臭く、悩み苦しむことができたのは確かで、小説ならではの醍醐味を感じることができたのはすばらしい体験だった。

そして下巻で又三の友人が言った言葉も印象に残った。

「昔は生きることが人生の最大目標だった。働くことが生きることで、それ自体が喜びであり、誇りであり、家族への愛の行為になっていた。ところが現代の繁栄は生きることからの闘争から解放され生き方や職業を選択できるようになった結果、多くの人が混乱し、生活も仕事も愛も何一つ確信を持って掴むことができないでいる。また、生きることが何より大事であった時代は、逆にそれだからこそ家族と愛する人が人生の何よりの拠りどころであり支えになっていた。ところが今や、家族の結びつきが最も弱くなった時代がやってきて、現代ではもはや夫婦は単なる男女の結びつきにすぎなくなった」

だからどうすればいいのか、という答えはそれぞれの人生で何を大事にするのか考えてもがきながら見つけていくしかないと思う。

百田さんらしい、丁寧に書き連ねていく姿勢は感じました。

”ばかなやつ”が人を傷つけながら、自分も傷つきながら成長する姿が描かれていると感じました。

犯罪と性ばかりが出てきているようにも思いますが、人生とは、そんなものかもしれない、とも思いました。

それにしても、いやー長い…ひたすら長い…これはフルマラソンどころじゃなく100キロマラソンもしくはトライアスロンって感じをもう意地で読んだって感じで、何度リタイアしようと思った事かの長編大作ですが、決して退屈させない、大作だとは思いました。

ただ、これから購入される方にアドバイスするなら、とにかく分厚くて,通勤途中で読むのは不向きです。

3冊・・・いや4冊構成にしてもいいのではないかと思った。




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シューマンの指 (100周年書き下ろし)シューマンの指 (100周年書き下ろし)
(2010/07/23)
奥泉 光

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シューマンに憑かれた天才美少年ピアニストの謎をめぐるストーリー。

生誕200周年を迎えたシューマンに捧げる本格ミステリー。


Arika注目1hこの作品は、「指を切断したはずのピアニスト永嶺修人が、なぜ、コンサートでピアノを弾いていたのか? 果たして、彼の指は、本当に再生したのか?」というミステリアスな謎が、冒頭でいきなり提示されるという、魅力的な出だしから始まる。 

ところが、その後の前半は、ミステリーはどこかに置いて、かなり専門性の高い、完全なクラシック小説の趣きを呈してしまっている。特に著者のシューマンに対する知識の深さは分かるのですが、頻繁に何度も繰り返されるシューマン論や「ピアノ協奏曲」を始めとした精緻な楽曲分析などのうんちくの数々は、少々、私はうんざりした。

しかし、女子高生殺害事件が起きる中盤以降からは、ミステリ小説らしくなってきて、ミステリ・ファンも面白く読めるようになってくるし、この本の売りであるラスト20ページに待ち受ける真相を読むと、この本が正真正銘のミステリ小説であったと納得できるのだ。

ただ、私は、ラスト10ページは余分だったと思うし、ラスト10ページがなくても、ミステリとして、十分、意外性はあったにもかかわらず、オチがどんでん返しにどんでん返しを重ねる欲を張ったがゆえに、かえって、ミステリとしての完成度を落としてしまったのではないだろうかと思いました。

このオチは如何なものなのか? 私は、アンフェアだと思うのだが……アリでしょうか?
 
ミステリー作家が、そのオチを使っちゃおしまいでしょう、という「禁じ手」に近いものがあったな…。





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6位


叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)
(2010/02/24)
梓崎 優

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砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇…ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。

選考委員を驚嘆させた第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、美しいラストまで一瀉千里に突き進む驚異の連作推理誕生。大型新人の鮮烈なデビュー作。


Arika注目1hまず、意図的なのかわかりませんが、斉木の視点からかと読んでいると別人物からの視点になっていたり、私的には、やや読みにくさを感じました。

これは好みによるのかもしれません。

作者のプライオリティはあからさまにトリック云々よりも小説としての完成度にあり、スタイリッシュな文体の中に、「こういう手があったか!?」という斬新な驚きのトリックや動機の連続だった。

特に、その地域の習俗・文化に依存する動機やトリックというのは新鮮だった!

なんといっても感動したのは最終章の森野の言葉です。

ちょうど、自分もプライベートで行き詰って、自分の人生の目標を挫折しそうになってた時だったので、

「ああ、自分が信じたなら、どんなに打ちのめされてもあきらめちゃいけないんだ」

と猛烈に励まされました。

一章からずっと読んでくると、この最終章でこみあげるものがあります。




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7位

悪の教典悪の教典
(2011/11)
貴志 祐介

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学校とは、子供を守ってくれる聖域などではなく、弱肉強食の法則が支配する生存競争の場だ。

ここから無事に生還するためには、生まれ持った幸運か、いち早く危険を察知する直感か、あるいは暴力的な才能が必要になる。

2010年ミステリー界を震撼させた超弩級エンターテインメント。

ノベルスオリジナル短篇「秘密」、「アクノキョウテン」を収録。このミス1位(宝島社「このミステリーがすごい!2011」国内編)。週刊文春1位(週刊文春「2010年ミステリーベスト10」国内部門)。

ミステリが読みたい2位(早川書房「ミステリが読みたい!2011」国内)。

第1回山田風太郎賞受賞。

2012年に監督は三池崇史、主演は伊藤英明で映画化(R15+指定)。


Arika注目1h上下巻ですが、難しい内容ではないので、割と一気に3日ほどで読み終えました。

いやぁ…人殺し過ぎでしょ…(笑) 一つ一つの殺人がかなり突発的…よくバレなかったよね…もっと用意周到に完全犯罪をやってのけるのかと思ってた。

1:短期間に同じ場所で連続して謎の事件が起きたら、流石に警察も回りの人も気付くかと突っ込みどころがかなり多い…犯人の思うがままに進み過ぎた。

2:電車の中で殺人して、自殺と見せかけた…無理だろ!(笑)

3:飲酒運転と見せかけて事故起こさせた…居酒屋での目撃者多数なのに!(笑)

4:学園祭準備でクラス全員いる時に、わざわざ自殺と見せかけて殺す…リスク高過ぎだよ!(笑)

ほとんどの殺人が、バレないのがかなり奇跡に近いような状況…

頭脳明晰な犯罪者の設定ですが、実際は短絡的で後先考えずに犯罪行為をしてしまう稚拙な男。

ただ、この著書はサイコパスがどのようなものなのかしっかり理解していないと、1~4などのツッコミどころ満載で何の恐怖も感じず、頭のよいという設定の主人公がなぜあんな無差別殺人を場当たり的にしたのか、理解できないという不可解な状況に陥るのだと思います。

斯く言う私も初読時には同じ状況でした。

多くの賞を取ったことにもそれなりの意味があり、評価されるべき点が多くあったといえるのですが、作者の意図やサイコパスの意味を理解して読むのは正直なかなか難しいと思います。

サイコパスを理解したうえで、サイコパスが学校という性善説にたったシステムに存在する恐怖。

サイコパスが窮地に立つときに、通常の人間ならば最も抵抗感のあるハードルの高い行動を何の感情も持たず、逆にもっとも合理的であると考えて突き進んでいく恐怖を感じるのがこの小説の醍醐味かなあと。




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8位

神様のカルテ 2神様のカルテ 2
(2010/09/28)
夏川 草介

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信州にある「24時間、365日対応」の病院では、今日も奇蹟が起きる。

「一止とハルさん」の新たな物語。


Arika注目1h2010年本屋大賞2位に選ばれた1作目の新たなストーリーです。

ドラマや小説の中で語られる“医師”のイメージでは高潔な白衣を着て、難しい専門用語を操り、最先端の機器で、熱意のある仲間とともに難病を抱えた患者達をその“神”のような腕と技術で次々と治療してゆく。

ですが、この作品の中にはそんな人物は出てきません。

それどころか、“医師”すら出てこないという気がしました。

この作品は、帯にあるとおり、“人間の話”なんだという実感が、読了後、涙とともに溢れてきました。

作中、何度も何度も、カルテを見るシーンが描かれています。

私は、実物までは見たことが無いのですが、書かれていることは文中や、想像で何となく分かります。

名前、性別、生年月日などの基本情報。病歴や現在の病状、また、今後の治療方針や投薬など、詳細な医療情報などが書かれているのでしょう。

しかし、そんな中でも絶対に書かれていないものが、“死”です。

人間が、いつ死ぬのかは誰にも分からないことです。

だから、もしも人間の死について書かれているカルテがあるとしたら、それこそ、“神様のカルテ”です。

あくまでも、私個人の感想で、はっきり言えることが一つだけあります。

人間にできることには限界があり、ただ、ひたすら、人間のことだけを思って、泣ける小説でした。



 

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9位


キケンキケン
(2010/01/21)
有川 浩

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ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称”キケン”。

部長*上野、副部長*大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。

これは、理系男子たちの爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。


Arika注目1h男子校率99%の大学で、バカなことに全力で取り組む元気な‘男の子’達のお話。

女性の読者は、それを面白がりながら、うらやましがりながら、途中で挿話される会話(10年後の主人公と妻)と同じ立場で読み進めていくのかな…。

まさにその立場で読んでいた私としては、男の子っていいなーって純粋に思って楽しめた。

作者が女性だけあって、男子学生にまつわる汚い描写や細かい技術的詳述は控えられており、それが物足りないと言えば物足りなくあり、だからこそ一般ウケも狙えている一冊かもしれない。

しかもこの作品、そういうおバカな盛り上がりを描くだけじゃなくて、途中の会話や最後の素敵な締め括りっていう仕掛けがあるから、10年後世代の心を鷲掴みにしてくれるんだな。

10年後の夫婦の会話はほんの数ページしかありませんが、こういった嫁さんを見つけることこそ理系大学卒業生が幸せに生きる秘訣でしょう。

おバカな世代現役の人にも、10年後にはこう思えるんだよ、っていうメッセージにもなるし。老若男女、いろんな世代の人に楽しんで欲しい本、だと思うし、まだ独身の理系大学卒業生は是非とも読んでみて下さい。




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10位

ストーリー・セラーストーリー・セラー
(2010/08/20)
有川 浩

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このままずっと小説を書き続けるか、あるいは……。

小説家と、彼女を支える夫を突然襲った、あまりにも過酷な運命。

極限の選択を求められた彼女は、今まで最高の読者でいてくれた夫のために、物語を紡ぎ続けた――。

「Story Seller」に発表された一編に、単行本のために書き下ろされた新たな一篇を加えて贈る完全版!


Arika注目1h白地に青いリボンがかけられた、物語を売る人からのとっておきの贈り物。

特別な人に贈る、物語であるという意味も含まれているのでしょうか?

"こんなことになると知っていたら。

彼は横になった彼女の紙を撫でながら思った。

彼は、絶対、あのとき君にそんなことを勧めなかったのに。"


致死性脳劣化症候群……物語を紡ぐ仕事についている妻が患った病はそう名付けられた。

複雑な思考をすればするほど脳は劣化し寿命を縮めていく。

彼女は、最初で、最高の読者の夫のために物語を紡ぎ続けることを決める。

新潮社の短編アンソロジー"Story Seller"に収録された短編……というよりは中編のside-Aと書き下ろしのside-B、小説家の妻と会社員の夫の二人を描いた2編の作品が収録されています。

この二つは同じモチーフの、しかし、まったく別の物語のどちらも夫婦も情愛の濃やかさに、しんみりと心を動かされ、こんな親密で素敵な夫婦像は憧れたくなる。

いつまでも、二人で一緒にいたいという、ささやかな願い。

それは途方もない願い・・・。

どんなに強い関係でさえ、永遠ではない。

散々泣かされながら読んだ。

まるで、作者から夫に宛てたラブレターだと感じると同時に、読者にとってはミステリになる・・・。

幾重にも仕掛けられた罠に、読み手は問わずにいられない「どこまで本当なんですか?」と…。

日々を分かち合う人がいる幸せ、それを緩やかに失う不幸せ、でもその不幸せにきちんと向き合う中で小さな幸せが生み出されていく結婚したいと思わせる本です。





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Playback 2011
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今回は一次投票には全国362書店より458人の投票が、二次投票には全国351書店より439人の投票がありました。

二次投票ではノミネート作品をすべて読んだ上でベスト3を推薦理由とともに投票しました。

その結果、2011年本屋大賞に、『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉著(角川書店)が決まりました。


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