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(第150回直木賞作品特集!②)昭和の犬/姫野 カオルコ(著)

kage

2014/01/29 (Wed)

Arika直木賞

Arikaメダル1第150回 直木賞受賞

昭和の犬/姫野 カオルコ(著)

昭和の犬昭和の犬
(2013/09/12)
姫野 カオルコ

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昭和33年、滋賀県のある町で生まれた柏木イク。

嬰児のころより、いろいろな人に預けられていたイクが、両親とはじめて同居をするようになったのは、風呂も便所も蛇口もない家だった――。

理不尽なことで割れたように怒鳴り散らす父親、娘が犬に激しく咬まれたことを見て奇妙に笑う母親。

それでもイクは、淡々と、生きてゆく。

やがて大学に進学するため上京し、よその家の貸間に住むようになったイクは、たくさんの家族の事情を、目の当たりにしていく。

ARIKAと風1感想

2010年に、やはり直木賞候補となった「リアル・シンデレラ」以来、三年ぶりの長編小説です。

昭和三十年代。滋賀県の南部に生まれ育った柏木イクが主人公です。

彼女の半生を、日本で放映されたアメリカの連続テレビドラマのタイトルで八つに章立てした連作形式の小説です。

各章のタイトルのドラマが日本で放映された時代を描写しています。

最初の「ララミー牧場」は、一九六〇年からの放映。小説はイク五歳からのスタートです。

最後の「ブラザーズ&シスターズ」は、二〇〇六年からの放映。小説はイクが五十歳になる年で終わります。

長いシベリア抑留で精神を煩った父親は、しばしば癇癪を起こしてイクや母親に当たります。

母親は、家庭運営や子育てをあきらめ、イクに嫌みを言いながら、ただ働きに出て、生きているだけの人です。

人間相手が出来ないイクの父親は、しかしながら不思議と犬の扱いが上手で、成長するイクのかたわらには、父親の影響で、いつも犬がいました。

その時々に近くにいた犬を伴奏にして物語が進みます。

主人公の特徴は、不幸な家庭環境を愚痴として口にしないところにあります。

自分の不幸を内に秘め、孤独の中で絶望と共に長い人生を過ごしています。

表面上は他の人と同じように装いながら、可能な範囲で自立して生きていこう、と決意し、実際に生活しているように思えます。

しかしながら、この小説の終盤に差し掛かった所で、秘めざるを得ない不幸であっても、それを察し理解してくれる人が必ずいる、と言う事実に気付きます。また、主人公が不幸を内に秘めた生活を続けているうちに、他の人にもそれぞれ口にはしないがそれぞれやっかいな事情があることに気がつきはじめます。

世の中には、不満があると、すぐに誰かに八つ当たりして気晴らししているように思える人がいます。また、年がら年中、愚痴をこぼして周囲を不愉快に巻き込んでいる人もいます。でも一方で自分の不幸や不満を周囲に悟られないように気を配りながら、普通を装って生活している人もいます。

この小説は「不幸に耐えている事は無為に人生を過ごしているばかりではない」と救ってくれます。

絶望の淵から救い、希望を与える、そんな一冊なのだろと思います。

今とはだいぶ違う犬や猫との関係を通して、昭和30〜50年代の田舎の原風景が伝わります。動物と人間が交流する小説は、とかく動物がやたら健気すぎて、物語の登場人物像まで目はいかないのですが、ここにでてくる犬たちは実にリアルに登場人物たちのひととなりを際立たせるすばらしい名脇役ばりでありました。







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