(百合小説・01)あまいゆびさき /宮木あや子(著)

2014/03/04 (Tue)
■百合男子・うさタクと腐・百合女子・Arikaの同企画レビュー!!
(百合小説・01)あまいゆびさき /宮木あや子(著)
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■百合レビュー奇数ナンバー担当

僕は、少女同士の恋愛を主に描いた百合に萌えてしまう百合男子なのである。
『我れ思う、故に百合あり! だが、そこに我、必要無し。』
訳:百合が好きだ!! しかしそこに男である自分は存在しない・・・いや、してはならない!!
男である僕はその場に不必要な存在だというのに、女の子同士がイチャイチャしてるのを見ると胸が熱くなり、こっそりと近くで女の子たちを観察したいという矛盾した好奇心を抱えている。
どうして百合に惹かれてしまうかは自分でも不可解な謎!?
この企画は、「百合」というジャンルに少し興味があるけれど、何から見ればいいか分からないというそんな百合初心者のあなたに向けて百合男子である僕と共にBLも百合もオールマイティで、その愛を愉しめる腐・百合女子であるArikaお姉様

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あらすじ

幼い日、真淳は団地の公園で照乃と偶然出会う。
過保護気味に育てられた真淳と、親に放置され虐待されている照乃。
交わる筈の無いふたりが出会い、幼い心のままに繋がるが、無惨な形で引き離されてしまう。
それから後、ずっと照乃を求め続ける真淳。
私立の名門女学校で再び邂逅するも、照乃に突き放されてしまう。
──若く、よるべないふたりが、出会い、離れ、そして再び繋がった時、そこに生まれるのは…。
文芸界で活躍する著者が、少女ふたりがもがき心と身体を繋ぐ軌跡を描いた、少女小説の決定版。
百合長編小説。
百合的お勧めポイント

![]() | あまいゆびさき (Yuri‐Hime Novel) (2013/04/18) 宮木 あや子 商品詳細を見る |
「コミック百合姫」に連載されていた、作者初の本格百合小説。
百合好き男子の僕にとって、女の子同士が求めあうことを、とても自然なものだと感じることのできた小説でした。
読む前から期待していましたが、読後も期待を裏切らない、素晴らしいもので、無理やりなシチュエーションもなく読みやすい作品だと思いました。
ハぁ~…って、なんかどっぷり浸かった濃密な読書時間でした。
幼い頃に出会い、引き離され、女子校で運命の再会を果たすも、それは近くて遠い関係で、体育の創作ダンスの一連のシーンで、他人のフリをしつつ共犯者として会話する2人の様子になぜだか涙腺が緩んだ。話して、触れて、想いを募らせて、再び離れ離れになっても今度は自分達で決めた道だから貫き通す。弱そうに見えるも芯が強く賢い真淳と、強そうに見えて弱さを隠したい照乃。甘くて痛くて切ない、運命の恋を丁寧に綴った物語。
金銭や物では埋められない心の空いた部分を埋め合わせるような2人の必然の恋。
2人の痛い程に引き合う様子にこちらもキュンとする。
本当に純粋に、性別など関係なしに人と人が惹かれ合うことを、しっかりととらえて書かれているのがわかり、実によくできている小説だと深く感じ、読後にジンワリとした幸福感にうなりました。
しかも、いい意味で「このキャラがこんなことを!?」というような驚きの展開もあり…。
オビに、甘くて苦いとあるけれど、それ以上の毒もちょっとある。
余りに生々しく、そして情け容赦なく襲い掛かる世間と現実の冷たさと、それ故に甘く尊い、2人の愛情。
理不尽な状況に翻弄されながらも、泥臭く自分を探して愛を掴み取っていく、そんな百合の醍醐味を味わう事が出来る。
宮木先生はその作風故に、女性からの支持が圧倒的だと思うのですが、僕が読んでも大変に興味深く、そして面白いと感じました。
発売日:2013年05月
著者/編集:宮木あや子
出版社:一迅社
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この記事へのコメント

なかなか良い作品でした。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
Posted at 15:56:09 2015/09/11 by 藍色
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「あまいゆびさき」宮木あや子
幼い少女ふたりの邂逅。過酷な生き方を余儀なくされた思春期少女たちは、もがきながら互いを希求し続け…。切ない欲望が交差する、ふたりのビルディングスロマン。百合長編小説。
読む前から期待していました。読後も期待を裏切らない素晴らしいものでした。
タイトルと表紙だけみると軽めの百合のように受け取りがちですが、結構重さもあります。
オビに甘くて苦いとありますけど、それ以上の毒も少し含んでいまし...
2015.09.11 (Fri) | 粋な提案
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