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(百合小説・04) 回転する熱帯/望月飛鳥

kage

2014/03/24 (Mon)

■百合男子・うさタクと腐・百合女子・Arikaの同企画レビュー!!
Arikaうさたく本3d

(百合小説・04)回転する熱帯/望月飛鳥(著)

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■百合レビュー偶数ナンバー担当

Arika001b.png


ここ数年、百合描写の入ったアニメを見かけることが多くなり、ハマった人も意外と多いはず。

「最近、女の子同士が仲良くしているのを見ると心が熱くなる」

「これから沢山女の子のイチャイチャを見るぞ!」

意気込んでみたものの、、初心者からするとまだまだ閉ざされた部分が多いと感じてしまうでしょう。

そんな百合初心者のあなたに向けてレビューするのは、

『我れ思う、故に百合あり!だが、そこに我(男)、必要無し』の百合哲学を持つうさタク。

『BLも百合もオールマイティで、その愛を愉しめる腐・百合女子』であるArika。

この2人が百合初心者向けにアニメ・漫画・ゲーム・小説などの百合物件の中から1件ずつ交互にご紹介していくよ!




↑プチって押して頂けると励みになります。
あらすじA09-c013.gif

経済成長に沸くベトナムのホーチミン市内で日本人女性のヒロは、日本語研修センターの教師をしながら暮らしている。

穏やかな時間が流れる日々のなか、ヒロは年下の現地女性ユンと出会う。

親しくつきあうようになったユンは「私のことが好きか」と繰り返したずねる。

ふざけながら「好き」と返すヒロ。

こうしたやりとりのなかで言葉を超えた何かが息づきはじめる。

街の空気に溶け込んでいくうちに、二人はやがて、初めての同性愛に目覚める。

ヒロとユンとの関係は淡いようでいて、熱帯ならではの熱を帯びていく。

しかし、この濃密な関係は長くは続かない。

ヒロがベトナムに赴任してきた商社の男性・紺野に出会ったことにより、微妙な変化が起こり始める。

ユンとの甘い関係と、ペニスで体を貫かれる快感の間で、心が揺れるヒロ。

そんなヒロの前からユンは突然、姿を消してしまう。

そしてある日、ボロボロになって帰ってきたユンはヒロには明かせない秘密を抱いていた……。

熱帯のホーチミンで根無し草のように生きる日本人女性と、対照的にたくましく生きるベトナム人たちを生き生きと描き出した長篇小説。


ランダムハウス講談社第一回新人賞受賞作。


百合的お勧めポイントA09-c013.gif

回転する熱帯回転する熱帯
(2007/11/22)
望月飛鳥

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ベトナムを舞台にしたバイセクシュアルな小説です。

日本人女性「ヒロ」とベトナム人女性「ユン」がベトナムの熱い空気の中で結ばれる。

みずみずしく、やわらかな文体で語られる、ふたりの女性の魂と肉体の物語。

物語の舞台がベトナム(ホーチミン市)にぴったりと溶け合って、濃厚な味わいを出しています。

”ユンは私の胸を触りながら、「ヒロ、オンナノヒト、ハジメテ?」と甘い声で訊いてきた。

「初めてだよ。ユンは?」

「ワタシモ、ハジメテ……」

(本文より)”

性描写の表現力が週刊誌程度ではありますが、「ヒロ」と「ユン」の官能シーンは、初々しい描写の中にも熱情が感じられてよかったと思います。ここから二人の熱帯の甘い果実のように甘やかで、トラウマも理性も熱帯の灼熱に溶かして、身体も狂わしていく描写に突入していきます。


”紺野さんを手放したくなかった。

あの男性特有の匂いとかペニスの感触とかを忘れてしまったら女じゃなくなるような気がして怖かった。

私は、女としてユンを愛したかったのだ。”

(P199-200)より


一方、主人公・ヒロはユンと付き合う傍らで、日本人男性の「紺野さん」とのセックスも楽しむ描写なのですが、ここ(P199 - 200)だけはまったく共感できませんでした。

主人公がバイセクシュアルであることなど、小説ではよくある話なので、そこはたいしたことじゃないのですが、「男とセックスしてこそ女」みたいな、良く言えば無邪気、悪く言えば経験や知恵や判断力がなさすぎるという意味での馬鹿な主人公の両性愛の背後の男女の対幻想的な幼稚な青さが鼻について腹立たしかった。そして主人公・ヒロの青さとお馬鹿さを愛おしめるほど私はまだ大人として成熟していなかっただということに気づかされました。

個人的には主人公の男女の対幻想な幼稚さは鼻につきますが、男女のセックスの違い、感じ方の違いを描きながら、どちらにも惹かれる性差を著者はうまく引き出しているとは思いました。また、主人公がユンと紺野に対しても距離をとっていて、どちらとも決めかねているその距離感がいわば、この小説の核だなと思いました。

もちろん熱帯下の恋愛小説としては十分楽しめますが、小説全体の隠れた読みどころとしては、資本主義の熱狂に沸くベトナム社会、文化、思想、異国情緒あふれるベトナムの風景、アジア的な喧騒と猥雑さがうまく物語に織り込んでいて面白かったです。


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