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(百合小説・06) ハーモニー/伊藤 計劃

kage

2014/04/21 (Mon)

■百合男子・うさタクと腐・百合女子・Arikaの同企画レビュー!!
Arikaうさたく本3d

(百合小説・06) /ハーモニー/伊藤 計劃(著)

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


■百合レビュー偶数ナンバー担当

Arika001b.png


ここ数年、百合描写の入ったアニメを見かけることが多くなり、ハマった人も意外と多いはず。

「最近、女の子同士が仲良くしているのを見ると心が熱くなる」

「これから沢山女の子のイチャイチャを見るぞ!」

意気込んでみたものの、、初心者からするとまだまだ閉ざされた部分が多いと感じてしまうでしょう。

そんな百合初心者のあなたに向けてレビューするのは、

『我れ思う、故に百合あり!だが、そこに我(男)、必要無し』の百合哲学を持つうさタク。

『BLも百合もオールマイティで、その愛を愉しめる腐・百合女子』であるArika。

この2人が百合初心者向けにアニメ・漫画・ゲーム・小説などの百合物件の中から1件ずつ交互にご紹介していくよ!




↑プチって押して頂けると励みになります。



あらすじA09-c013.gif

ベストセラー『虐殺器官』の著者による“最後”のオリジナル作品。

21世紀後半、〈大災禍〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は見せかけの優しさと倫理が支配する“ユートピア”を築いていた。そんな社会に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択した……。

それから13年後。死ねなかった少女・霧慧トァンは、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、ただひとり死んだはずだった友人の影を見る――『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。


百合的お勧めポイントA09-c013.gif


ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
(2012/08/01)
伊藤 計劃

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世間一般的な意味では百合の括りではないと思います。

しかし、この作品のテーマは百合であり、ユァハ、トァン、キアンの3人の少女の物語なのです。

時代とテクノロジーの流れとしては『虐殺器官』から繋がっていて、より未来の話になっているものの、人間の社会とテクノロジーのある種のロジカルな発展をしていった末の姿としての違和感なく物語は書かれており、それゆえに恐ろしくもあり、一箇のフィクションとしては文句なしのお薦め小説です。

映画で例えるなら、この世界は『マトリックス』や『リベリオン』のような閉じた管理社会。アニメで例えるなら『コードギアス』、『ガンダムSEED』、『ガンダムOO』などの悪役が言う「わたしが世界を1つにすれば、みんな幸せになる」な理想が嫌な形で実現された感じです。

プライベートはエッチな意味でマイナスなイメージの言葉になっており、このような世界では個性が生まれることはありません。

だから社会全体が、どこか閉じた感じでハーモニーは『調和』という意味ですがどこか皮肉めいた響きがあります。

しかし、この閉じた世界で御冷ミァハ、霧慧トァン、零下堂キアンの3人の少女たちが運命的に出会うことに意味があるのです。

ミァハはトァンとキアンに様々なことを教え導きます。

「自分のからだは自分のもの」

少女たちは漠然と、そしてあまりにもささやかな抵抗をします。

個性もプライベートも存在しない均一の社会で『自分』というものを保つ手段は無いに等しい世界。

この社会を嫌った少女たちは自殺という最悪の逃避を選択してしまいました。

しかし、霧慧トァン、零下堂キアンは死なず…

13年後トァンとキアンは再会、そして1人死んだはずの御冷ミァハの影を追う様にトァンは旅へ出ます。

ここまで百合的な見所がぜんぜんないぢゃないか?と思われるでしょうが、ご安心あれ、あります。

御冷ミァハは霧慧トァン、零下堂キアンの2人に様々な事を教え導きました。

なぜかといえば、それはミァハはトァンとキアンの2人が大好きだったからです。

出会った時にミァハからトァンへ。

「きみは私と同じ素材でできているんだよ」と告白にもとれるニュアンスで言います。

ミァハはトァンの手の甲にキスをする場面はドキドキするくらい良いんです。

また13年後に再会したトァンとキアンの食事と会話のシーンでさりげなく2人の絆や仲を描いています。

ここにはいないミァハの存在も浮かんできます。

思うのはトァンとキアンの2人の行動や考えには今もミァハの存在が大きいということです。

『私達のカリスマ』『御冷ミァハ万々歳』と呼んでるくらいですし…。

最初に書きましたが、世間一般的な意味では百合の括りではありませんが、しかし、この作品のテーマは百合であり、ユァハ、トァン、キアンの3人の少女の物語なのです

ただ百合的な軸はあるものの、取り扱っている大きなテーマは”人間という動物の進化に対する深い仮説”から成り立っています。読んでいて、SFと現実の科学・特に医療について考えさせられましたし、医療が進んで誰も病気で死ななくなった世界が存在し、その世界で起こりうる人の心とは!? 善意とは!? 社会性とは!? …結構、重いです。

さて、この著書を読んだ読者の眼前に広がるのは、誰もが『ハーモニー』を保って生きるユートピア、それとも自殺する自由と意志が抑圧されたディストピアなのかは読んだ人によって幾通りもの解釈が可能な作品です。


ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
(2008/12)
伊藤 計劃

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2015年にフジテレビ「ノイタミナムービー」第2弾「伊藤計劃プロジェクト」として『虐殺器官』と共に劇場版アニメ化されることが発表されていますので、小説が苦手な人はアニメ化まで待ちましょう。なお、コミック百合姫誌上にてコミカライズされるという話が挙がったが、2014年4月現在までのところ続報はありません。
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