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ポプラの秋/湯本 香樹実

kage

2014/05/21 (Wed)

5月のテーマ特集!
Arika(青く瑞々しい春)

「人生いくつになっても青春」という強者もいますが、振り返ったときに甘酸っぱさがこみ上げたり、ほろ苦さを感じたりするのが青春なのではないでしょうか。真っ只中にいると気付かないものですが、いつまでも追体験できるのが人間です。

★小説の世界で、主人公たちと一緒に、熱く爽やかな汗や涙を流してみませんか?

アイコンりす今回のBook案内人・・・・Arika


人は死んだらどうなるんだろう…

ポプラの秋 (新潮文庫)ポプラの秋 (新潮文庫)
(1997/06/30)
湯本 香樹実

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『ポプラの秋』は母と2人でポプラ荘で暮らす女の子・千秋のお話。

夫を失ったばかりで虚ろな母と、もうじき7歳の私。

2人は夏の昼下がり、ポプラの木に招き寄せられるように、あるアパートに引っ越したところから物語が動き出す。

父親が死んだことをきちんと自覚できない7歳の千秋を、庭のポプラのように包んでくれるポプラ荘の人たち。

千秋は大家のおばあさんに、きっと通じると信じて父親への手紙を何通も託します。

18年後の秋、お葬式に向かう千秋の胸に、約束を守ってくれたおばあさんや隣人たちとの歳月が鮮やかに甦る。

人間愛というか、純粋な心と心の触れ合いが、とても素敵な小説でした。

小さなアパートに暮らす赤の他人の人たち、でも、ほどほどの距離でつながっている生活。それほど、ここに住む住人たちが裕福に暮らしているとは思えないけれど、助けを必要とする人を見かけたら、気取りなく自然に手を差し伸べていく.こういう心地いい環境って、今も存在しているのかなと考えてしまう。

少なくても私の子どもの頃は自分の庭の落ち葉を集めて、焚き火でさつまいもを焼いてとても美味しかった記憶はあるし、ちょっと前までは、いろんな世代の人が混じって生活することがとても普通だった。それが今では希薄になってきているのは確かで、だから、物語の中の他人同士、世代が異なる人達の触れ合いがなんだか懐かしくとても気持ち良くって心がほかほかしてくるのです。
 
『夏の庭』が青々とした草のにおいがする本なら、この『ポプラの秋』からは秋のイチョウ色舞い散るきらきらした光を感じさせる一冊。

中盤までの文体から7歳の千秋の心の動きが痛いように伝わってくる。

「死んだ人への手紙を届けてあげる」という大家のおばあさんに、死んだ父への手紙を託すことで少しずつ癒されていく千秋の心…。

失った人への思いに自分でどう決着をつけていくのか、読みながら何度も涙があふれてきた。

後半で主人公・千秋がおばあさんのお葬式のために、ポプラ荘を訪ねる辺りからはもう自分の感情を全くコントロールすることすらできなかった。

私たちは、「死」をどこか遠いところに考えているけれど、誰にでも必ず訪れる「死」をないものとして扱うことはできない。

大人になった千秋は、おばあさんのお葬式で、幼い頃の父親の死を見つめなおす。

そのラストに、「死」を遠ざけず、きちんと見つめることで、始まることもあるのだと教えてもらったような気がします。

近い将来、向き合うには、相応のふさわしい時期が私にもやってくるだろう、何度も何度も、繰り返して…。

『夏に庭』もそうだけど、湯本香樹実は「老い」や「死」という暗く重いテーマに正面から正直に向き合っていると思った。


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