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【おすすめBOOKフェア】ほんのまくらフェア31~36

kage

2014/06/06 (Fri)

Arika(フェア)1

紀伊国屋「ほんのまくらフェア」25~30

ほんのまくら2a

本の出だしの文章=「まくら」と呼びます。

有名なものならたくさんある。

「国境のトンネルを抜けると~」…by『雪国』川端康成

「ゆく河の流れは絶えずして~」…by『方丈記 』鴨長明

「メロスは激怒した」by『走れメロス』太宰治

「桜の樹の下には~」by『桜の樹の下には』 梶井 基次郎

「スプリットタンって~」・・・by『蛇とピアス』金原ひとみ


このフェアは、単行本に、冒頭の一文の『まくら』のみ印刷したカバーをつけてビニールで封印。

オリジナルカバーに載っているそれぞれの「まくら」に何を感じ取ったのでしょうか?

それはもう本当に研ぎ澄まされた感覚のみで、きっと不思議な本との出会いが待っていたはずです。

題名も作者も中身もわからない斬新な試みが大反響を呼び、1ヶ月半の期間中、売り上げは目標の約30倍に!


Book紹介案内担当:Arika


★ほんのまくら…31

 空港の街。ここの空は煙霧で錆びついていると将軍は思った。


バベル17 (ハヤカワ文庫 SF 248)バベル17 (ハヤカワ文庫 SF 248)
(2008/07/15)
サミュエル R.ディレイニー

商品詳細を見る


戦いのさなか、同盟軍の支配圏内でインベーダーの大規模な破壊活動が行なわれるとき、きまって発信源不明の謎の通信、バベル-17が傍受された。その解読にあたるのは全銀河にあまねく知られる美貌の詩人リドラ・ウォン。天才的な言語感覚でバベル-17が単なる暗号ではなく、ひとつの宇宙言語であることをつきとめたリドラは宇宙船ランボー号で次の敵の攻撃目標へと向かうが……ネビュラ賞受賞のニュー・スペース・オペラ
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Arikaアイコン(小)1 「SF界のジェイムズ・ジョイスと呼ばれる
ディレーニイの傑作ニュースペースオペラ開演―。」

インベーダーの侵略の前後に残される"バベル-17"と名づけられた通信。侵略を防ぐ鍵となるバベル-17の解読を命じられた若きヒロインが宇宙を駆け巡り謎の言語”バベル17”の謎解きに挑戦するスペースミステリーです。単純にスペオペとしても楽しめるが、「言語とはいったい何か。何を意味するのか」など、概念的なことがずいぶん面白く語られているので、言語学や哲学の知識があるとより一層楽しめます。最後のクライマックスに向かって絢爛豪華に突き進んでゆくヒロインは、全く媚びないけれど愛情豊かで、男性から見ても女性から見ても魅力的じゃないかな。比較的読みやすくて、キャッチーな作品なので、ディレイニー入門としても最適です。






★ほんのまくら…32

 くまにさそわれて散歩に出る。


神様 (中公文庫)神様 (中公文庫)
(2001/10)
川上 弘美

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くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである―四季おりおりに現れる、不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。

出版社内容情報
四季折々に現れる不思議な生き物たちとのうららでせつなくちょっぴりおかしな九の物語。ドゥ・マゴ賞、女流文学賞受賞。デビュー短篇「神様」収録。
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Arikaアイコン(小)1 「近所の熊と散歩する! 河童の男女の営みの相談にのる!
上の階の住人から人魚を預けられるアパートに住む主人公―。」

この小説には、熊やら河童やら人魚が当たり前のように登場するふわふわしてるまさにメルヘン設定。それに対して主人公は、普通に熊とも、謎の白い生物とも肩肘張らずに接している。だから、そこにいちいちツッコミを入れたくなるような方には向かない小説です。主人公が素直な普通の人なのです。相手を先入観で決め付けずに、受け入れて向き合えば、こんなにも心地よい空気が流れるのかしら、なんて読んでて心が洗われるようでした。残念ながら私の周りには、熊も河童も人魚もおらず、突飛な人物などそうそういないのだが、それでも忌憚なく相手をみつめることは難しい。「神様」でほのぼのに→「夏休み」でしんみりに→「花野」で切なく→「河童玉」で笑い→「クリスマス」でもっと笑い→「星の光は昔の光」でいろいろ考えさせられ一休み→「春立つ」で不思議な気分になり→「離さない」でゾッとさせられ→「草上の昼食」で号泣する。つまり、この一冊で、お得感やっぷりに喜怒哀楽が楽しめちゃう。




Arika報告書y0001おすすめ
★ほんのまくら…33

 雲が人々の心にかかり、空は泣いていた。


木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)
(2008/05/13)
チェスタトン

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この世の終わりが来たようなある奇妙な夕焼けの晩、十九世紀ロンドンの一画サフラン・パークに、一人の詩人が姿をあらわした。それは、幾重にも張りめぐらされた陰謀、壮大な冒険活劇の始まりだった。日曜日から土曜日まで、七曜を名乗る男たちが巣くう秘密結社とは。
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Arikaアイコン(小)1 「ミステリー? ファンタジー? 冒険活劇? 
宗教寓話? 100年前の奇想天外なメタ探偵小説-。」

探偵(といっても警察組織の一員)が無政府主義者の組織(いまだったらテロ組織)に潜入。爆弾テロを防ごうとしますが、実はその組織とは・・・という展開です。秘密をさぐって答えを導くのではなく、寧ろ「探偵とは何か」を哲学的に問われている感じです。100年前のイギリスの「大衆」の無気味さとか、人間同士のかけひきとか、キリスト教とか…私小説的かつ寓話的なすごい小説です。主人公ガブリエル・サイムの恐れと不安がスリリングな熱気を孕む前半から中盤にかけての歩みと、俄然、一点に向けて物語が収束していく後半のスピーディーな展開の文章がうまい。スパイ小説ばりの心理戦、冒険活劇のようなスリリングさ、宗教寓話のような寓意に満ちた設定、そして何よりも豊富なセンスオブワンダーで読書の楽しみを堪能できる傑作。次の頁をめくるのが楽しいですよ♪





★ほんのまくら…34

 Kは口の中いっぱいに異物がつまっているかんじで昼寝から目をさました。


パルタイ (新潮文庫)パルタイ (新潮文庫)
(1978/02/01)
倉橋 由美子

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〈革命党〉に所属している〈あなた〉から入党をすすめられ、手続きのための〈経歴書〉を作成し、それが受理されると同時にパルタイから出るための手続きを、またはじめようと決心するまでの経過を、女子学生の目を通して描いた表題作。ほかに『非人』『蛇』『密告』など。存在そのものに対する羞恥の感情を、明晰な文体で結晶させ、新しい文学的世界の出発を告げた記念すべき処女作品集。
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Arikaアイコン(小)1 「熱を帯びた集団主義という悪夢を楽しみたい方に―。」
「パルタイ」他4篇からなる短編集。「パルタイ」とはドイツ語で「党」のことである。発表時の1960年といえば、学生運動が盛んになりだした頃で、「パルタイ」に登場する「党」はもちろん反政府の組織で、主人公の女性がパルタイという組織に入るか入らないかの間で揺れる様子を丁寧に描いています。この女性はどこか組織に対して、客観的で冷静な目を持ち続けており、それがあまりに凛としていてカッコいいのです。筋はいたって単純な短い作品ですが、”学生運動”に対するその描写が女性作家ならではのシュールさと毒舌さを強く印象づけている切り口なのです。真正面から学生運動を淡々と記述するのではなく、独自の明晰で端整な文体で、ネバネバドロドロベタベタした人間描写を特化して描かれている。ほぼ全編を通して、不条理で閉塞的な集団の中の個(わたし)を描いており、心理描写は非常に生々しい。さらにKとかSとかV・スジコだとかいうイニシャルトークのような構成が一層読み手に対して想像力をかき立てます。熱を帯びた集団の恐ろしさ、ある種カルトのような恐ろしさが体験談のようによく伝わってきました。私を含めた学生運動を知らない世代に、1960年の学生たちがどんな時代の空気に包まれ、生きていたのかを知るのはなかなかむつかしい。『パルタイ』はその一つの点景をみごとに伝えてくれています。 









★ほんのまくら…35

 結局、おばさんのところに、いそうろうだな、
 あたしの場合、と言うと、事情を知らない同級生たちは、
 愚かにも(としか思えないのだが)、ロマンティックというより、
 現実的効用を期待した好奇心をあらわに、
 口々にうらやましいという意味のことを口にした。


小春日和(インディアン・サマー) (河出文庫―文芸コレクション)小春日和(インディアン・サマー) (河出文庫―文芸コレクション)
(1999/04)
金井 美恵子

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桃子は大学に入りたての19歳。小説家のおばさんのマンションに同居中。口うるさいおふくろや、同性の愛人と暮らすキザな父親にもめげず、親友の花子とあたしの長閑な「少女小説」は、幸福な結末を迎えるか。
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Arikaアイコン(小)1 「おばさんのエッセイが物語の軸に沿いながら
絶妙なタイミングで入ってくる二度おいしい小説―。」

目白四部作の3冊目。本編は猫のタマと、夏之、及び紅梅荘などを通して前作との連続性を持っている。物語内の第2の語り手(書き手)である「おばさん」も前作に顔を出していた。私にとっては、タマやの登場人物が出てくるのが嬉しい。主人公の生活は漱石の『それから』で代助のいう、高等遊民を彷彿とさせる。あと、おばさんが書いたエッセイとか小説がちょっと挿入されていて、それがけっこう面白い。 19歳の女子大生の桃子がこんな風に思ったり喋ったり聞こえたりしてるのをそのまま文章にしたら、きっとこんな感じなんだろうなの作品なんだけど、かなり作り込んではいる。金井美恵子さんの文章は癖があって読みにくい時もあるのだが、これは読みやすかった。






★ほんのまくら…36

 『航時機』が始動してから、そう、一週間も過ぎていたでしょうか。


美亜へ贈る真珠―梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇 (ハヤカワ文庫JA)美亜へ贈る真珠―梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇 (ハヤカワ文庫JA)
(2003/07)
梶尾 真治

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違う時間を生きる恋人たちの心情を痛切に描いて、発表と同時にスタンダードになったと絶讃されたデビュー作「美亜へ贈る真珠」をはじめ、亡くなった男を想いつづける女心の深淵にふれる「梨湖という虚像」、夫婦のすれちがいが驚くべきできごとに発展する「玲子の箱宇宙」、時間を超越して男女が運命的なめぐりあいを果たす「時尼に関する覚え書」と、女性名をタイトルに織りこんだ、泣ける抒情ロマンスSF7篇を収録。
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Arikaアイコン(小)1 「ひとつひとつが、そのまま
2時間モノの映画にできそうなくらいドラマチック-。」

愛と時間をテーマにした、7つの話。時のベクトルを変えることはできないけれど、その速度を抑えることで、生きた人間を遠い未来へ送る一方通行のタイムマシン。掲題の作品はそんなプロジェクトに参加した青年と、彼を待ち続ける恋人、彼女を見守る主人公の物語です。青年は恋人に2つの真珠を贈りました。ひとつは青年が母から受け継いだもの。そしてもうひとつは・・・。科学というより恋愛要素が大きく、SF苦手な方でも読みやすいと思います。ひとつひとつの作品が、そのまま2時間モノの映画にできそうなくらいドラマチック。描かれる女性たちがたおやかだけど芯が強く、まるで竹のよう。どの物語もまっすぐで美しい。内容は「甘い」話ですが、7編の物語はそれぞれに悲しく美しく涙を誘い、永遠の女性に思えてくる。ハッピーエンドの話はほとんどないけど、それがまたいいとこなのです…。

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