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【おすすめBOOKフェア】ほんのまくらフェア37~42

kage

2014/06/08 (Sun)

Arika(フェア)1

紀伊国屋「ほんのまくらフェア」37~42

ほんのまくら2a

本の出だしの文章=「まくら」と呼びます。

有名なものならたくさんある。

「国境のトンネルを抜けると~」…by『雪国』川端康成

「ゆく河の流れは絶えずして~」…by『方丈記 』鴨長明

「メロスは激怒した」by『走れメロス』太宰治

「桜の樹の下には~」by『桜の樹の下には』 梶井 基次郎

「スプリットタンって~」・・・by『蛇とピアス』金原ひとみ


このフェアは、単行本に、冒頭の一文の『まくら』のみ印刷したカバーをつけてビニールで封印。

オリジナルカバーに載っているそれぞれの「まくら」に何を感じ取ったのでしょうか?

それはもう本当に研ぎ澄まされた感覚のみで、きっと不思議な本との出会いが待っていたはずです。

題名も作者も中身もわからない斬新な試みが大反響を呼び、1ヶ月半の期間中、売り上げは目標の約30倍に!


Book紹介案内担当:Arika


★ほんのまくら…37

 五十二歳という歳、まして妻と別れた男にしては、
 セックスの面はかなり上手く処理してきたつもりだ。


恥辱 (ハヤカワepi文庫)恥辱 (ハヤカワepi文庫)
(2007/07)
J.M. クッツェー

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52歳の大学教授デヴィッド・ラウリーは、2度の離婚を経験後、娼婦や手近な女性で自分の欲望をうまく処理してきた。だが、軽い気持ちから関係を持った女生徒に告発されると、人生は暗転する。大学は辞任に追い込まれ、同僚や学生からは容赦ない批判を受ける。デヴィッドは娘の住む片田舎の農園へと転がりこむが、そこにさえ新たな審判が待ち受けていた―現代文学史上に輝く、ノーベル賞作家の代表作。ブッカー賞受賞。

著者紹介
クッツェー,J.M.[クッツェー,J.M.][Coetzee,J.M.]
1940年、南アフリカのケープタウン生まれ。コンピュータ・サイエンスや言語学を南アフリカとアメリカで学ぶ。1974年、『ダスクランド』で長篇デビュー。『石の女』(1977)と『夷狄を待ちながら』(1980)で、南アフリカで最も権威あるCNA賞を受賞。1983年に発表した『マイケル・K』で、英国のブッカー賞、フランスのフェミナ賞を受賞するなど世界中で高く評価される。1999年発表の『恥辱』で、史上初の二度目のブッカー賞を受賞。2003年にはノーベル文学賞を受賞した。同年には『エリザベス・コステロ』(早川書房刊)を発表している。2002年よりアデレード大学で客員研究員となり、オーストラリアで執筆活動を行なっている

鴻巣友季子[コウノスユキコ]
お茶の水女子大学大学院修士課程英文学専攻。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです
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Arikaアイコン(小)1 「アフリカの人種差別が隠しテーマ。
さすがノーベル賞は伊達ではなかった―。」

史上初のブッカー賞の二度受賞、ノーベル賞は伊達ではなかった。うまい、うますぎる。非常に複雑で多岐に渡る心象を描いているが、簡単にいえば、セクハラで職を失ったケープタウンの老教授が、自分の娘が移住した南アフリカの田舎に行き、娘の経営する地方の牧場に落魄し、そこで黒人3人組の強盗にあい、娘も輪姦されその子供まで宿してしまうと言う、不運続きの恥辱を味わう喪失の物語である。主人公は、若さをすでに失っているが、さらに愛人を失い、教授の地位を失い、娘を失い、家や土地を失い、希望を失っていく。しかし彼は、自分にふりかかる災難から逃げようとはしない。嵐が過ぎるのを待つように、災難にひたり、やり過ごし、そしてその中でなお生きる。教授とその娘ルーシーの、恥辱まみれの中で淡々と新たな希望のようなものも見出していきます。しかし、読みすすめていくうちに、この物語がアパルトヘイト後の南アフリカの混沌と価値の再生の物語であることがわかってくる。とにかくすごい作品、その一言に尽きると思う。簡潔、重厚な文体、飽きさせないストーリー、中年以降の男性におすすめします。




★ほんのまくら…38

 子供の頃はあったのに、大人になると無くなってしまうものがたくさんある。


ミラクル (新潮文庫)ミラクル (新潮文庫)
(1997/07/30)
辻 仁成

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僕の名前はアル。ジャズピアニストのパパと南へ向かって旅を続けている。僕はママを知らない。だけど、きっとどこかにいる。いつもどこでも僕はママを探しているんだ―。大人になってなくしてしまったものをもういちど見つめてみませんか?すっかり大人になってしまった、かつての子供たちへ贈る、愛しくせつない物語。あたたかな文と絵でお届けする、優しい気持ちになれる一冊。
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Arikaアイコン(小)1 「ホワイトクリスマスの夜、少年に起きた「奇跡」とは?
子供の頃のココロを取り戻したい方の為のおとなとこどもの童話―。」

親がいない苦痛や悲しみに立ち向かう少年の勇気から自分も元気をもらえる作品です。 ヒトは大人になるにつれて何かをなくしてしまう。少しせつなく、でも読み終えたときにすごく温かく幸せな気持ちにさせてくれる素敵なお話です。この本は、読む人の年齢や置かれた状況によって様々なことを語り掛けてくれるように思います。それと、「ミラクル」の魅力は、見開きの各頁に掲載されている望月通陽さんの絵にもあります。望月さんによる文庫版(1997年)の後書きには、辻さんとの交友関係やこの本がいかなる祈りで創られたものなのかが書かれてあり、グッと胸に来るものがあります。文庫化に当たっては、イラストが全て新しく書き下ろされています。望月通陽さんの個性的な絵が一ページおきに載っていて、是非そうした望月さんの絵もじっくりと味わってほしいです。




Arika報告書y0001おすすめ
★ほんのまくら…39

 コモン君がデンドロカカリヤになった話。


水中都市・デンドロカカリヤ (新潮文庫)水中都市・デンドロカカリヤ (新潮文庫)
(1973/08/01)
安部 公房

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ある日突然現われた父親と名のる男が、奇怪な魚に生れ変り、それまで何の変哲も無かった街が水中の世界に変ってゆく『水中都市』、コモン君が、見馴れぬ植物になる話『デンドロカカリヤ』、安部短編作品の頂点をなす表題二作に、戯曲「友達」の原形となった『闖入者』や『飢えた皮膚』など、寓意とユーモアあふれる文体の内に人間存在の不安感を浮かび上がらせた初期短編11編を収録。

著者紹介・・・安部公房[アベコウボウ]
1924‐1993。東京生れ。東大医学部卒。1951(昭和26)年、「壁」で芥川賞受賞。’62年発表の『砂の女』が読売文学賞、フランスの最優秀外国文学賞を受けた他、戯曲「友達」の谷崎潤一郎賞、『緑色のストッキング』の読売文学賞等、受賞多数。’73年より演劇集団「安部公房スタジオ」結成、独自の演劇活動を展開。’77年には米国芸術科学アカデミー名誉会員に推され、海外での評価も極めて高く、急逝が惜しまれる
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Arikaアイコン(小)1 「”変形”をキーワードにした高度な小説技法で、
人間の存在の意義・曖昧さを問い掛ける作者の初期の短編集-。」

物語は「変形」をキーワードに、寓話的なのに、登場人物の視線は舐めるように読者に絡み付いてくる物語です。タイトル作「デンドロカカリヤ」は人間の植物化をかなり劇画的に扱ったものだし、「手」の主人公は鳩だが、軍用伝書鳩→手品用鳩→剥製→鳩の像→弾丸と変形を繰り返す。「飢えた皮膚」は、飢えた男が有閑女を"皮膚が保護色になる"と脅かす話。「詩人の生涯」は、詩人の老母(39歳!)はジャケットに変形するが、極寒の中、息子の身体を包む。そして、もう一つのタイトル作「水中都市」では、音信不通だった主人公の父が魚に変形し、街自身も水に覆われるという異形の世界が、ありふれた物語etc.と、どれも日本人離れした発想と強烈なイメージを与える不思議な作品の数々だが、是非とも、偏見を捨て、読んでみてもらいたい。シュールな絵や、突飛な展開がお好きな方にオススメ致します。





★ほんのまくら…40

 これからお話しする一部始終の発端は、
 一通の封筒の上の見知らぬ筆蹟であった。


類推の山 (河出文庫)類推の山 (河出文庫)
(1996/07)
ルネ ドーマル

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はるかに高く遠く、光の過剰ゆえに不可視のまま、世界の中心にそびえる時空の原点―類推の山。その「至高点」をめざす真の精神の旅を、寓意と象徴、神秘と不思議、美しい挿話をちりばめながら描き出したシュルレアリスム小説の傑作。“どこか爽快で、どこか微笑ましく、どこか「元気の出る」ような”心おどる物語。
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Arikaアイコン(小)1 「到達可能な高みに登りたいという、
人間の希望と努力を冒険物語の中に描いた傑作―。」

高次なものへの憧憬の気持ちを駆り立てて、気分を高揚させるような感覚のある小説です。「類推の山」は、”天と地”を結ぶ、象徴的な山であり、地図には載っていないが、確かに存在するという仮説のもと、そのことを信じて集まった人々が、計算と仮説に基づいて、冒険に乗り出していくSF物語。読んでて、なんだか漫画「ワンピース」を冒頭を思い出してしまった・・・。「一体、何故「類推の山」に登るのか ?」。この問いの解は無いが、知性によって、類推される山も、きっとそこにあるからだろうし、これ以上の理由など、恐らくないだろ。 果たしてその冒険の果て(?)に行き着くものとは、所詮、まだまだ遠~い先のことで(完)。未完であることは、この作品の構造としてもぴったりだと思うが、とはいえ、もう少し先が読みたかった気もする。 私は高校以降、山に登ったことはないが、山に登るとはこんなにも魅力的なものなのか……また、訳者がメルヘン作家でもあるためか、翻訳が、またすごくいいので、あなたも読んで、「類推の山」に登ってみることを勧めしたい。





★ほんのまくら…41

 これは完全に調和した、みずみずしくも、アメリカそのものの、
 美しい図書館である。


愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)
(2002/08)
リチャード ブローティガン

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ここは人々が一番大切な思いを綴った本だけを保管する珍しい図書館。住み込み館員の私は、もう三年も外に出ていない。そんな私がある夜やって来た完璧すぎる容姿に悩む美女と恋に落ちた。そして彼女の妊娠をきっかけに思わぬ遠出をするはめになる。歩くだけで羨望と嫉妬の視線を集める彼女は行く先々で騒動を起こしてゆく。ようやく旅を終えた私たちの前には新しい世界が開けていた…不器用な男女の風変わりな恋物語。
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Arikaアイコン(小)1 「引きこもり男と完璧すぎる容姿の女の風変わりなドタバタ堕胎旅行記―。」
原題は「The Abortion」(堕胎)にも関わらず、物語は異様に穏やかほのぼので、作り出される雰囲気が素敵です。主人公の勤める図書館は作家が書いた本を集めるところではなく、一般の人が書いた本や文章を受け取り保管する場所。だから、持ってくる人はいるけれど、借りる人はいない。そこに見るものを釘付けにするような完璧な美を備えた女性が本を持ち込みます。2人は恋人になり、やがて、妊娠がわかり中絶することになってメキシコに旅する・・・という「堕胎旅行記」です。個人的にメキシコに向かう道中の、飛行機の羽根についたシミについて執拗に描写するところがおもしろいと思いました。ただ、正しさやストーリーに起承転結や求める人は向きません。






★ほんのまくら…42

 これはわたしの弟たちの不幸な人生についての本です。
 ―――あの子たちの不思議な、知られざる二重生活の話です。


ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド (河出文庫)ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド (河出文庫)
(2007/01)
ブライアン・W. オールディス

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英国北部の僻地、レストレンジ半島に生まれ育ったトムとバリーは、結合双生児。さらにバリーの肩には第三の頭が生えていた。二人を待ち受けていたものは、ロックスターとしての世界的な成功と、運命の女性ローラとの邂逅。だが、離れることのできない兄弟は互いに憎みあい、争いは絶えない。その果てに…巨匠オールディスが円熟期に発表した名編。

著者紹介
オールディス,ブライアン・W.[オールディス,ブライアンW.][Aldiss,Brian W.]
1925年、英国ノーフォーク生まれ。作家、評論家。英国SF界を代表する巨匠。『地球の長い午後』でヒューゴー賞受賞

柳下毅一郎[ヤナシタキイチロウ]
1963年、大阪府生まれ。東京大学工学部卒。翻訳家、映画評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Arikaアイコン(小)1 「もし一人が死ねば、二人とも死ぬ。 つながれた身体、引き裂かれる心。
はなれたい…離れられない現実が、二人を悲劇へと加速させていく-。」

結合性双生児の兄弟が率いるロックバンドの栄光と悲劇の物語。物静かで優しいけど、内に秘めた強さを持っているトム。気ムラが激しくて反抗的だけど、実はとても繊細なバリー。過激なステージパフォーマンスと恐ろしいほどの美しさでデビューと同時に一気にスターダムにのし上がる。肉体で繋がれた、相反する性格の兄弟が生み出す狂気の音楽が人々を惑わす。しかし、ある一人の女性との出会いをきっかけに二人の歯車は狂い始め、成功と反比例するかのように、徐々にアルコールとドラッグに溺れてゆく・・・。年頃に成長してるのにいつもずっと一緒にしか行動できなくて、でも心はそれぞれ違う方向に興味を抱いていく、ってのはどういう気持ちだろう? ロックに真面目に熱中し、恋を知っていくトムに対して、自分たちだけの世界から離れていくトムに戸惑い、怒り、やがて別れが来ることを恐れるバリー。いつも2人離れず生きてきた彼らが、社会に出ることによって少しづつ道が別れていく。だからと言って簡単に肉体は切り離せない。もちろん彼らの結びつきも…。それがどういう結果に進むのか、自分たちにどんな悲劇をもたらしていくのか、繊細なバリーは、いち早く気付いていたのかもしれませんね、あの出会いの時から…。


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