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【おすすめBOOKフェア】ほんのまくらフェア43~48

kage

2014/06/10 (Tue)

Arika(フェア)1

紀伊国屋「ほんのまくらフェア」43~48

ほんのまくら2a

本の出だしの文章=「まくら」と呼びます。

有名なものならたくさんある。

「国境のトンネルを抜けると~」…by『雪国』川端康成

「ゆく河の流れは絶えずして~」…by『方丈記 』鴨長明

「メロスは激怒した」by『走れメロス』太宰治

「桜の樹の下には~」by『桜の樹の下には』 梶井 基次郎

「スプリットタンって~」・・・by『蛇とピアス』金原ひとみ


このフェアは、単行本に、冒頭の一文の『まくら』のみ印刷したカバーをつけてビニールで封印。

オリジナルカバーに載っているそれぞれの「まくら」に何を感じ取ったのでしょうか?

それはもう本当に研ぎ澄まされた感覚のみで、きっと不思議な本との出会いが待っていたはずです。

題名も作者も中身もわからない斬新な試みが大反響を呼び、1ヶ月半の期間中、売り上げは目標の約30倍に!


Book紹介案内担当:Arika


Arika報告書y0001おすすめ
★ほんのまくら…43

 三週間ほど前から、わたしは奇妙な日記をつけ始めた。


シュガータイム (中公文庫)シュガータイム (中公文庫)
(1994/04)
小川 洋子

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三週間ほど前から、わたしは奇妙な日記をつけ始めた―。春の訪れとともにはじまり、秋の淡い陽射しのなかで終わった、わたしたちのシュガータイム。青春最後の日々を流れる透明な時間を描く、芥川賞作家の初めての長篇小説。
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Arikaアイコン(小)1 「青春とは、甘さにともなう、
病んだほろ苦さなのかもしれない…。」

著者初の長編小説。題材に選んだのは、もう戻ることのない甘い季節と何処か病んだ人達の物語。突然、食欲が尋常ではないほどになってしまった主人公が、おかしな日記をつけ始める。

奇妙な日記に記載されるのは、一日に食べた料理の品々。

フレンチトースト
セロリのサラダ(醤油ドレッシング)
ほうれん草のココット 
ハーブティー 
草加せんべい5枚 
納豆と胡麻のスパゲッティー 
ドーナツ7個
キムチ150グラム 
フランスパン1本
ハヤシライス2杯
フライドチキン8本 
ソルトクラッカー1箱
あんずジャム1口

サンシャイン・マーケットで買ったたくさんの食材たちや主人公が次々と平らげていくお料理は、どれも魅力的であり、とき病的な不気味さを感じてしまう。しかし、この作品は、ただの大食いの女子大生を描いてるわけでも、過食症患者を描いているわけでもなく、恋愛や友情、家族との微妙な関係やバイトや野球の観戦etc.・・全くもって青春小説なのである。恋人に待ちぼうけをくらった彼女は、眠れなくて、真夜中にパウンドケーキを作る。粉をふるって、砂糖とバターを混ぜて…。その丁寧な動作は、溜息が出ちゃうほど美しく甘く描かれている。でも一方で抑えきれない過食の衝動や次々と食べモノを腹におさめていく虚しさが作品のほろ苦さをひきたてている。青春て甘さも伴うけど、一方でほろ苦かったりもするものだ…!! 主人公の女性が淡々とした中で見せる悲しみや辛さというのがあまりに現実的で、共感してしまう。料理を思いつく限り作り、難病の弟を招いて2人で食べ尽くすという場面好きだな。



★ほんのまくら…44

 「しぇけなべいべな」 「しぇけなべいべ」


りすん (講談社文庫)りすん (講談社文庫)
(2011/07/15)
諏訪 哲史

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骨髄癌におかされて長期入院中の妹の病室内で繰り広げられる、他愛なくも切ない会話。実の兄妹ではないながらも深い絆で結びついた2人のやりとりが同じ病室の女性患者によって書かれた物語であったなら…。作者自身をも巻き込む小説の作為に抗うための、芥川賞受賞作『アサッテの人』と対をなす長編。

著者紹介・・・諏訪哲史[スワテツシ]
1969年名古屋市生まれ。國學院大学文学部哲学科卒。『アサッテの人』で第50回群像新人文学賞、第137回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

出版社内容情報
傑作芥川賞受賞作『アサッテの人』実践編!骨髄癌で永らく入院している「妹」の病室での、さまざまな記憶の断片をめぐる兄妹の語らいは切なくも輝きにあふれる。果たしてその言葉を書きつけているのは誰?
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Arikaアイコン(小)1 「この小説は読ませるんじゃなくて、読まさせる実験的小説だと思う―。」
著者いわく小説は必ず書く作者と書かれる作品との相克があり、メタでない小説は存在しないし、それを意識せずに書かれたすべてのものは小説ではないと。つまり、これは読ませるんじゃなくて、読まさせる小説である。『りすん』(listen)は「しぇけなべいべな」「しぇけなべいべ」などの会話文のみで構成された作品です。仲のいい兄妹だなあと微笑ましく思いながら読み進めていたけれど、気がつけばいつのまにか後堂さんの謎にのめり込んでいく。隆志が年表に書いた落書きとか、『宇宙』に連れていかれた朝子と隆志の会話に不覚にもウルッとさせられた。一見悪乗りにしか見えない小説の構造や視点に着目しがちであるが、個人的には、「しゃけなべいべな」とか「はっきょぉーい」という意味のない言葉そのものの持つリズムや響きこそが著者の文章の最大の魅力である。一作目の「アサッテ」の人が好きな人は、きっとこの作品も好きだと思う。共通して言えることは、作者は小説の中で、書くことに対してメタに挑戦していることである。 それでもかなり原理主義的な実験的小説なので、この人は本当に作品の大衆性とかどうでもいいんだろうな…。一番最後の「用のないおしゃべり」が好きすぎる。







★ほんのまくら…45

 しかし幸いなことに長く続いた夏の陽射しもようやく翳りを見せて
 うにやひとでややどかりや小魚たちがめいめいひっそり生きている
 静かな潮溜まりも薄明薄暗の中に沈みこんでゆくようだった。


半島 (文春文庫)半島 (文春文庫)
(2007/07)
松浦 寿輝

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勤めていた大学に辞表を出し、寂れた島に仮初の棲み処を求めた迫村。月を愛でながら己の影と対話し、南方から流れついた女と愛し合い、地下へ降りて思いがけぬ光景を目にし、現実とも虚構ともつかぬ時間が過ぎていく。この自由も、再生も、幻なのか?耽美と迷宮的悦楽に満ちた傑作長篇。読売文学賞受賞作。

著者紹介・・・松浦寿輝[マツウラヒサキ]
1954(昭和29)年東京生まれ。東京大学教授(表象文化論・仏文学)、詩人、小説家。詩集『冬の本』で88年高見順賞受賞。評論『エッフェル塔試論』で95年吉田秀和賞、96年『折口信夫論』で三島由紀夫賞、2000年『知の庭園―19世紀パリの空間装置』で芸術選奨文部大臣賞受賞。同年「花腐し」で芥川賞受賞。05年『あやめ鰈ひかがみ』で木山捷平文学賞、『半島』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Arikaアイコン(小)1 「現実と幻想が入り乱れた迷路をさまようたのしみ-。」
自由を求めてとある半島に行くおっさんの話。 文体がどことなく艶めかしく、迷路に導くような感じが哀愁がある。 話自体はどうということもないし、謎解き要素も甘い。 けどそれを補って余りある「気持ち悪さ」がこの本の魅力かなーと思います。 人生とは何かという大仰なものではなくて、人が生きてたらダラダラと、”人生って、で、なんなのよ?”という問い掛け。もちろん、明確な答えがあるようなないような…うーん、みたいなカンジなんだけど、けっこう好みです。ただあまり晩酌をたしなまない私としては、中年のおっさんが酔って幻覚見てるだけなのでは・・・という疑いも捨てきれないが、とにかく不思議な感覚の小説であることは間違いありません。著者が後書きであかしているように、たのしんで書いたとのことなので、こちらも「この迷路の中、どこに連れていかれるのか」、たのしんで読了させていただきました。意外だったのは、ラストで何事もなくなんとなく街を出て行くのかと思っていた主人公が痛い目みていることだった。それと 記憶に関する描写がとても心に残っていて「何かを思い出すというのは結局避けようもなくそれを歪曲して思い出すということ」というのは恐ろしいほど真実を突いていると思った。 出だし、一つの文が2行半で、句点が一つもなし。それが、続いていくので、はっきり言ってとても読みにくい。全然はかどらない本です。読む進んでいくうちに、文章が短くなってきて、読みやすくなってきます。暗い通路を通って行くと、鎖に繋がれた男の子が見えたり、坊主頭の踊り子が出てきたり… 現実と幻想が入り乱れて… この作風好きな人はハマるんでしょうねぇ。できれば、電車の中などでなく海辺に一人旅しながらゆったり読んでほしい。





★ほんのまくら…46

 死刑囚!


死刑囚最後の日 (岩波文庫 赤 531-8)死刑囚最後の日 (岩波文庫 赤 531-8)
(1982/06/16)
ヴィクトル・ユーゴー

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自然から享けた生命を人為的に奪い去る社会制度=死刑の撤廃のために,若き日のユーゴーが情熱を傾けてかきあげた作品.死刑の判決をうけてから断頭台にたたされる最後の一瞬に至るまでの,一死刑囚の肉体的・精神的苦悶をまざまざと描き出して,読者の心をも焦躁と絶望の狂気へとひきずりこむ.一八二九年。
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Arikaアイコン(小)1 「序の最後の一段落がすごい!、思わず唸る―。」
 レ・ミゼラブルの作者が書いた死刑制度を反対した本。六歳で親父が捕まり、生きていくためにパン屋の窓ガラスを肘で突き破りパンを盗んだら終身徒刑に。といった人物がいる。19世紀のフランスで、死刑を執行するために用いられてきた「ギロチン」の現場をありありと描写されている本書は人間が凄惨なる末期を迎える姿に、読むことすら困難なリアリティがある。ユゴーはしかし、死刑囚のその事実に至る、社会的背景や生活環境にこそ目を向ける、必要性をといている。なにが悪であるかよりも、いかによりよくかが伝わってくる。 死をもって償う。その死刑への賛否は現代でも論争テーマとしてあるので良い作品だと思います。何故死刑はあるのか、と考えずにはいられないからです。この本の中で、首を5回も切られた男の話が一番印象に残った。






★ほんのまくら…47

 渋谷で生まれて目黒区で育ったんだけど、
 小っちゃい頃から嫌な子供だったな。


因果鉄道の旅 (幻冬舎文庫)因果鉄道の旅 (幻冬舎文庫)
(2010/04)
根本 敬

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下品、野卑、矮小、間抜け、暴力的、自分勝手、過剰な自意識と無意識…人間(おもに無名人)の、あらゆる愚かさを冷徹な観察眼で濃厚に描き、笑ってはならぬと思いながらも笑ってしまう究極のエンタテインメント。「中年愛への原体験」「内田研究とビッグバン」「尹松淑さんのこと」他、名作多数を含む現代日本の「旧約聖書」、珠玉の人間紀行。

目次
根本敬、“中年愛”への原体験
内田研究とビッグバン―ここで特別インタビュー「あいつは日本一の馬鹿だ!!」
山野辺君小話
幻の名盤解放同盟
そして同盟は玄海灘を渡る
蛭子能収を知る
尹松淑さんのこと
文さん
超能力演歌歌手サバヒゲ
山野辺君のオヤジの精子
奥崎謙三先生
しおさいの里
勝新太郎―マイ・ウェイ 大陸は沈まない(劇画評伝 越境者・勝新太郎)

著者紹介・・・根本敬[ネモトタカシ]
1958年、東京都生まれ。81年、雑誌「ガロ」でデビュー。以来「特殊漫画」の道を突き進み、漫画界の極北に位置する。2008年、第11回みうらじゅん賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Arikaアイコン(小)1 「駅を例えに器用に使った冷静かつ明朗なサイコパス分析―。」
根本さんのこれまでの人生で起きた因果な出会いを駅に例えて紹介してくれるこの本は、根本敬を知りたい人が最初に読む一冊として最適ではないでしょうか。本当の人間観察とはこの人のやってる事を言うのではないかと思うくらい、ものすごい人間を集めた図鑑的一冊。出てくる人は別に警察につかまったり病院に入ったりしているわけではない。けれどもものすごくコマッタ人である。野放しになっていることが信じられないほどに。勝新さんの話だけでも元が取れる特濃さなんだけど、とりわけ内田さんはヤバい!?  根本さんの例えを器用に使った冷静かつ明朗なサイコパス分析にも唸らされる。





★ほんのまくら…48

 女子高生の頃、
 なんとなく学校生活がかったるいという理由で
 体中に生えてるあらゆる毛を剃ってみたことがある。


生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)
(2009/03/02)
本谷 有希子

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あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ。25歳の寧子は、津奈木と同棲して三年になる。鬱から来る過眠症で引きこもり気味の生活に割り込んできたのは、津奈木の元恋人。その女は寧子を追い出すため、執拗に自立を迫るが…。誰かに分かってほしい、そんな願いが届きにくい時代の、新しい“愛”の姿。芥川賞候補の表題作の他、その前日譚である短編「あの明け方の」を収録。

著者紹介・・・本谷有希子[モトヤユキコ]
1979(昭和54)年石川県生れ。高校卒業後上京し、2000(平成12)年「劇団、本谷有希子」を旗揚げ。主宰として作・演出を手掛ける。小説家としても活動を開始し、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」が三島由紀夫賞候補、「生きてるだけで、愛。」は同賞および芥川賞候補となる。’06年上演の戯曲「遭難、」で鶴屋南北戯曲賞を最年少で受賞し、’08年の上演作「幸せ最高ありがとうマジで!」では、岸田國士戯曲賞を受賞した。また、映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は’07年にカンヌ国際映画祭批評家週間に正式出品された。そのほか、雑誌でのエッセイ執筆等、多方面で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Arikaアイコン(小)1 「かなり強烈で個性的だが後味は悪くない1冊-。」
自己愛と自意識が過剰な性悪な女性を書かせたら、彼女の右に出る者はいない。しかも、どの作品も、実に面白いときている。演劇ユニットの主宰者であり劇作家らしくキャラの性格や気分、事象を表現する際の破天荒でマシンガンの如く繰り出される言葉の言い回しにそそられる。巻頭から自堕落な生活を続ける鬱な主人公の、ぐだぐだとした日常に於けるその露悪さと八つ当たりぶりの描写にただならぬ気配を感じた。寧子の気持ちが痛い程わかってしまって苦しい。なんて不器用で歪んでいるんだ女性なんだ…でもきっとこういう人もいるんだと思うと安心するし救われる。寧子が完全に自立して全く不安定じゃなくなってしまったらきっとそれは寧子じゃないから…「あたしはあたしとは別れられない」はやはり印象的。鬱の「あたし」が同棲相手の元彼女との三角関係に巻き込まれるあたりから面白くなる。読み終え、愛とは力強いものだと感じた。 しかし、「ウォシュレット怖くないですか?」って聞いて「そんなことない」って言われてしまう主人公の生きづらさは共感。その気持ちすごくわかる。そういうことが多いからとかくこの世は生きづらいのである。


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