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【おすすめBOOKフェア】ほんのまくらフェア49~54

kage

2014/06/11 (Wed)

Arika(フェア)1

紀伊国屋「ほんのまくらフェア」49~54

ほんのまくら2a

本の出だしの文章=「まくら」と呼びます。

有名なものならたくさんある。

「国境のトンネルを抜けると~」…by『雪国』川端康成

「ゆく河の流れは絶えずして~」…by『方丈記 』鴨長明

「メロスは激怒した」by『走れメロス』太宰治

「桜の樹の下には~」by『桜の樹の下には』 梶井 基次郎

「スプリットタンって~」・・・by『蛇とピアス』金原ひとみ


このフェアは、単行本に、冒頭の一文の『まくら』のみ印刷したカバーをつけてビニールで封印。

オリジナルカバーに載っているそれぞれの「まくら」に何を感じ取ったのでしょうか?

それはもう本当に研ぎ澄まされた感覚のみで、きっと不思議な本との出会いが待っていたはずです。

題名も作者も中身もわからない斬新な試みが大反響を呼び、1ヶ月半の期間中、売り上げは目標の約30倍に!


Book紹介案内担当:Arika


Arika報告書y0001おすすめ
★ほんのまくら…49

 そのエアコンは、夏別荘へやってきたときからもうゼイゼイ、
 ヒューヒューと息切れがしていたほどですから、
 あとは老いぼれていくばかりで、使い物にはならず、時代遅れでした。


いさましいちびのトースター (ハヤカワ文庫SF)いさましいちびのトースター (ハヤカワ文庫SF)
(1996/11/15)
トーマス・M. ディッシュ

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だんなさまは、いったいどうしたんだろう?森の小さな夏別荘では、主人に置き去りにされた電気器具たちが不安な日々を送っておりました。ある時ついにちびのトースターが宣言します。「みんなでだんなさまを探しに行こう!」かくしてトースターのもとに電気毛布、掃除機、卓上スタンド、ラジオなどが集結し、波乱に満ちた冒険の旅に出たのですが…けなげでかわいい電気器具たちの活躍を描く、心温まるSFメルヘン。ローカス賞・イギリスSF協会賞受賞。
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Arikaアイコン(小)1 「別荘にとり残された5台の電気器具達の不思議な冒険!!」
リーダー格の掃除機、AM専用の目覚ましラジオ、明るい黄色の電気毛布、首が自由にまがる卓上スタンド、そして一番若くてピカピカの小さなトースター。 電気器具達の性格と役割が明確に描かれていて、彼らのやりとりをすんなりと受け入れることができます。また得意技もほほえましい。根底には「物を大切に長く使いましょう」というメッセージが流れています。主人公ちびのトースターのモデルは著者トーマス.M.ディッシュ愛用のトースターだそうです。大人も子供も楽しめるそんな一冊です。



★ほんのまくら…49

 その八月の日の朝、私は確実に何かを失おうとしていた。


孤独か、それに等しいもの (角川文庫)孤独か、それに等しいもの (角川文庫)
(2006/09/22)
大崎 善生

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今日一日をかけて、私は何を失ってゆくのだろう―。高校三年の初秋、ピアスの穴を開けようとする私に、恋人がささやいた一言―大切なものを失くしてしまうよ。あれから九年を経て、私は決まりきった退屈きわまりない毎日を過ごしていた…(「八月の傾斜」)。憂鬱にとらえられ、かじかんでしまった女性の心を映しだし、灰色の日常に柔らかな光をそそぎこむ奇跡の小説全五篇。明日への小さな一歩を後押しする珠玉の作品集。

著者紹介・・・大崎善生[オオサキヨシオ]
1957年、札幌市生まれ。2000年、デビュー・ノンフィクション『聖の青春』で新潮学芸賞を、翌年には第2作『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。また、02年には初の小説作品『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞する。ジャンルを超えて紡ぎ出される情感あふれる物語世界が多くの読者の支持を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Arikaアイコン(小)1 「 喪失からくる孤独のような感情。
そして、主人公それぞれのそこからの克服―。」

5話全てに登場人物の死があり、それが過去の出来事として、忘れられぬ影を残しながら、ある一つの事物によって、主人公が前向きに立ち直る姿が描かれます。それは、ピアスの穴であったり、赤いスニーカーだったり、いろいろです。いずれにしても、何かに執着することによって、その深い陥穽から抜け出すことが出来るのです。また、性的な描写がいろいろとあったのが印象的でした。歳月を経ていくと同時に失われていくもの。そしてそれを失うことによって得られるもの。喪失することでしか見えないものもあります。ある意味で「喪失、孤独、そして克服」という全て同じテーマの、そこには作者の並々ならぬ人間への愛情を感じます。毎度、作品タイトルや装丁も好きです。




★ほんのまくら…51

 それは、とにかくまずいスープだった。


まずいスープ (新潮文庫)まずいスープ (新潮文庫)
(2012/02/27)
戌井 昭人

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父が消えた。アメ横で買った魚で作ったまずいスープを残し、サウナに行くと言ったきり忽然と。以来、母は酒浸りになり、おれの日常もざわつき始め、なんとか保っていた家族は崩壊寸前。悲劇のような状況は、やがて喜劇のように展開し―(「まずいスープ」)。表題作をはじめ、人生に潜む哀しさと愛おしさを、シュールな笑いとリアリズムで描いた三編を収録。気鋭が贈る人間讃歌。

著者紹介・・・戌井昭人[イヌイアキト]
1971(昭和46)年、東京生れ。パフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」の主宰。台本、諸々担当。2009(平成21)年に『まずいスープ』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

出版社内容情報
冗談のようだが、冗談みたいだな人生は。表題作ほか、人間の可笑しさと哀しさが凝縮した2編を収録。演劇界の鬼才が描く人間讃歌。

父が消えた。アメ横で買った魚で作ったまずいスープを残し、サウナに行くと言ったきり忽然と。母は酒浸りになり、おれの日常もざわつき始め、なんとか保っていたが家族は崩壊寸前。悲劇のような状況はやがて喜劇のように展開し――(「まずいスープ」)。表題作ほか、人生の哀しさと愛おしさを、シュールな笑いとリアリズムで描いた2編を収録。演劇界の鬼才が贈る人間讃歌。
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Arikaアイコン(小)1 「ルール破ってもマナーは守る -。」
大麻を育てていたり、それを罪悪感なく売ってきたり、海外で子供を作っていたりと、世間の基準から見ればダメダメ人間。なのに、母親が入院すれば急いで見舞いに行ったり、父親が失踪すればあちこち探しまわったりする。「ルール破ってもマナーは守る」というか、「倫理観は壊れてるけど人間的」という印象のお話。形はめちゃくちゃだが、家族としての基本的な信頼感が壊れていないので、読んでいて安心できる話です。父をたずねて暖房のきかない車で凍えそうになりながら走る描写が好きだ。愛も恋も出てこない話だが、生命の不敵な側面を描いて、読むものをほっこりさせる。



★ほんのまくら…52

 第五土曜日以外の土曜日には、
 いつも緑色の粘液が波立っているような風景を目にしながら旅をしていた。


奇蹟のようなこと (幻冬舎文庫)奇蹟のようなこと (幻冬舎文庫)
(2009/12)
藤沢 周

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学ラン着てボンタンはいて、新潟の田圃の畦道をクラシックギターを抱えて歩くゲン。財布には使うあてのないコンドームを忍ばせ、「俺は女を知っている」とうそぶき、時には高校の屋上のへりで逆立ちしては、仲間を仰天させる。やがて、ゲンは最愛の父の死を迎えるが、しかし、まだ童貞であった。笑いと深い感動にみちた17歳の物語。

著者紹介・・・藤沢周[フジサワシュウ]
1959年新潟県生まれ。法政大学文学部卒業。93年「ゾーンを左に曲がれ」でデビュー。98年「ブエノスアイレス午前零時」で第一一九回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Arikaアイコン(小)1 「暗くも無く明るくも無い高校生の
大人に脱皮する前の無骨で媚びのない青春―。」

物語は新潟を舞台に17歳の高校生ゲンが、父の死を経験し、激しい欲望にもがき続ける姿を描いた連作小説。ゲンが抱える悩みや葛藤、卒業直前の父の死、そして童貞喪失……が描かれるのですが、青春小説ではあるものの、スカッとする清涼感というより、むしろずっしりとした手ごたえが残った。時代をうつすようなお洒落な記号も、なにもない、無骨で媚びのない青春小説でした。つい自分の高校生時代はどうだっただろうかと思い起こさせてくれました。前半は淡々とした流れでしたが、後半訪れる父の死からラストまで、高校生として揺れ動く主人公の心が伝わってきましたし、物語が頭の中で映像として浮かぶような感じで、懐かしさも感じさせる作品です。




★ほんのまくら…53

 第五土曜日以外の土曜日には、
 いつも緑色の粘液が波立っているような風景を目にしながら旅をしていた。


眠れる美女 (新潮文庫)眠れる美女 (新潮文庫)
(1967/11/28)
川端 康成

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波の音高い海辺の宿は、すでに男ではなくなった老人たちのための逸楽の館であった。真紅のビロードのカーテンをめぐらせた一室に、前後不覚に眠らされた裸形の若い女―その傍らで一夜を過す老人の眠は、みずみずしい娘の肉体を透して、訪れつつある死の相を凝視している。熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の名作『眠れる美女』のほか二編。

著者紹介・・・・川端康成[カワバタヤスナリ]
1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行。以降約10年間にわたり、毎年伊豆湯ケ島に長期滞在する。菊池寛の了解を得て’21年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。’68(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。’72年4月16日、逗子の仕事部屋で自死(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Arikaアイコン(小)1 「眼で少女の身体を弄るエロティシズム。
 教科書には決して載らない川端康成があなたの隣で添い寝する―。」

決して目を覚まさないように眠らされている処女の傍らに横たわって過去を回想し、死を思う老人の話である。肉体的に老いた人は、同衾しながら冷静な視線で少女の身体を観る。いや、眼で少女の身体を「弄る」。舐める様に見るとは、このことを言うのかと圧倒される。また、匂いに着目した美少女たちの描写も圧巻である。だが、彼女たちは、主人公の過去を思い出すための舞台装置に過ぎない。 しかし、絶対に目が覚めない処女と添い寝する爺さん、というシチュエーションはよく考えたものだ。しかも、その爺さんの想念が極めて邪であり、暗黒世界に通じているところが凄いすぎる。この本には凄いオマケがついていて、三島由紀夫氏がこの作品によせて書いている後書きが実に素晴らしい!天才二人を楽しめるオイシイ本です。





★ほんのまくら…54

 小さい頃、僕はずいぶん幸福に暮らしていた。
 ぽっちゃりとして、何ひとつ不満を持たない子供だった。


ペット・サウンズ (新潮文庫)ペット・サウンズ (新潮文庫)
(2011/11/28)
ジム フジーリ

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1966年に発表されたビーチ・ボーイズの名盤『ペット・サウンズ』。それまでのグループのイメージを覆したこのアルバムは当初、メンバーやファンを戸惑わせ、天才的リーダー、ブライアン・ウィルソンの人生を大きく変えていく。恋愛への憧れと挫折、抑圧的な父親との確執、ドラッグ、引きこもり―。「幸福についての哀しい歌の集まり」とも評された、一人の繊細な青年の愛と絶望の軌跡。

目次
「僕にはちゃんとわかっているんだ。自分が間違った場所にいるってことが」
「ときにはとても悲しくなる」
「僕らが二人で口にできる言葉がいくつかある」
「キスがどれも終わることがなければいいのに」
「ひとりでそれができることを、僕は証明しなくちゃならなかった」
「しばらくどこかに消えたいね」
「自分にぴったりの場所を僕は探している」
「でもときどき僕はしくじってしまうんだ」
「答えがあることはわかっているんだ」
「この世界が僕に示せるものなど何ひとつない」
「美しいものが死んでいくのを見るのはとてもつらい」
「もし僕らが真剣に考え、望み、祈るなら、それは実現するかもしれないよ」

著者紹介・・・フジーリ,ジム[フジーリ,ジム][Fusilli,Jim]
1953年、アメリカ、ニュージャージー州ホーボーケン生まれ。イタリア系アメリカ人の家庭に育つ。『NYPI』から始まった探偵小説のシリーズのうち、「HARD,HARD CITY」は2004年ミステリー・インク・マガジンのベスト・ノベルに選ばれた。ウォール・ストリート・ジャーナルなどにロックやポップスに関する寄稿をしている

村上春樹[ムラカミハルキ]
1949年京都生れ。『風の歌を聴け』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Arikaアイコン(小)1 「偏愛に満ちた評論を偏愛に満ちて訳出した音楽通-。」
1961年のデビュー以来わずか4~5年ほどで頂点に上り詰め、その後、長い苦難に満ちた道のりをたどり続けるビーチボーイズの、まさに絶後となる名盤『ペット・サウンズ』。作者はジム・フジーリという方でミステリー作家です。それにしても詳細な村上春樹氏のペットサウンズの解説は素晴らしい。コード進行にも着目した語り口は相当マニアックです。まさに彼の偏愛なくしては成しえない仕業の一冊。「ペットサウンズ」に興味を持っていない方には意味のない本かもしれません。逆に「ペットサウンズに興味のある方はバイブルとなることでしょう。村上春樹氏の訳、あとがきも味わい深いです。
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