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【おすすめBOOKフェア】ほんのまくらフェア55~60

kage

2014/06/14 (Sat)

Arika(フェア)1

紀伊国屋「ほんのまくらフェア」55~60

ほんのまくら2a

本の出だしの文章=「まくら」と呼びます。

有名なものならたくさんある。

「国境のトンネルを抜けると~」…by『雪国』川端康成

「ゆく河の流れは絶えずして~」…by『方丈記 』鴨長明

「メロスは激怒した」by『走れメロス』太宰治

「桜の樹の下には~」by『桜の樹の下には』 梶井 基次郎

「スプリットタンって~」・・・by『蛇とピアス』金原ひとみ


このフェアは、単行本に、冒頭の一文の『まくら』のみ印刷したカバーをつけてビニールで封印。

オリジナルカバーに載っているそれぞれの「まくら」に何を感じ取ったのでしょうか?

それはもう本当に研ぎ澄まされた感覚のみで、きっと不思議な本との出会いが待っていたはずです。

題名も作者も中身もわからない斬新な試みが大反響を呼び、1ヶ月半の期間中、売り上げは目標の約30倍に!


Book紹介案内担当:Arika


★ほんのまくら…55

 近頃、ダイエットに励んでいる。痩せたら、
 脂肪のカタマリの中から精悍で美しい
 「本来のわたし」が発掘されるのではないかという
 馬鹿げた期待をしているわけで、
 これは肉体版の自分探しということになるのだろう。


精神のけもの道 (アスペクト文庫)精神のけもの道 (アスペクト文庫)
(2012/06)
春日 武彦、吉野 朔実 他

商品詳細を見る


馬鹿げたこだわり、意味不明な欲望…。逸脱する精神の奥深さを楽しむ、漫画&エッセイ集。

目次
精神の、けもの道―いびつなる精神の行方
バランスが肝心―明らかに変なのだが、ちゃんと辻褄はあっている
不幸は蜜の味―倒錯した精神の安らぐ場所
そんなもんだと思ってた―かくも強靱な適応能力
つまらないことほど大切―ケチなプライドやこだわりほど、根の深いものはない
鍵をねじ切る―何がなんでも安心したいという欲望
当たる占いしか信じない―傲慢なる依存癖
そんな嘘をついて何になる―嘘か本当かは、もはや問題ではない
本当に憶えていないの?―人は、どこまで都合よく忘れられるものか
わからなくなりました―意味が真っ白になるとき
ある日、マンホールに落ちる―運命の理不尽ないたずら
愚かさがまぶしい―粗野と崇高さが出会うとき
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Arikaアイコン(小)1 「誰の心にも、”けもの道”の罠は潜んでいる !!」
「精神のけもの道」とは、ちょっと変わった精神科医による、レールを外れて「けもの道」に入っちゃった人間語り。一般のお医者さんのなまやさしいエッセイとは明らかに違い淡々と情け容赦ない語り口で切り込んでいく。好奇心と辛辣さとヒネクレをブレンドしたいやな内容なので読む人を選ぶが、逆に面白いと言っていいかはわからないけど、考え方やモノの見方が自分とは全然違うので興味深い。普通から少し外れた「精神のけもの道」に入った人の気持ちが少しだけ理解できドキッとした。自分もまた、ここで紹介された人たちのように、精神のけもの道に入ってしまうこともあるかもしれないと考えると、変な人たちと笑ってしまえるような楽しさは湧いてこない。寧ろ、「けもの道」に入らないために、気に入らない現実でも目をそらさずに生きて行こうと決意した。趣味が人間観察の人、自分を見失って何かに答えを見いだしたい方にオススメの一冊です。 ・・・いい人は、一度のミスが命取り。・・・うん、確かに。





Arika報告書y0001おすすめ
★ほんのまくら…56

 鉄三のことはハエの話からはじまる。


兎の眼 (角川文庫)兎の眼 (角川文庫)
(1998/03/20)
灰谷 健次郎

商品詳細を見る


大学を出たばかりの新任教師・小谷芙美先生が受け持ったのは、学校では一言も口をきこうとしない一年生・鉄三。決して心を開かない鉄三に打ちのめされる小谷先生だったが、鉄三の祖父・バクじいさんや同僚の「教員ヤクザ」足立先生、そして学校の子どもたちとのふれ合いの中で、苦しみながらも鉄三と向き合おうと決意する。そして小谷先生は次第に、鉄三の中に隠された可能性の豊かさに気付いていくのだった…。学校と家庭の荒廃が叫ばれる現在、真の教育の意味を改めて問いかける。すべての人の魂に、生涯消えない圧倒的な感動を刻みつける、灰谷健次郎の代表作。
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Arikaアイコン(小)1 「弱いもの、力のないものを疎外したら、
疎外したものが人間としてダメになる 。志高くあれ!!」

2006年11月に逝去された、故灰谷健次郎氏の文壇デビュー作。塵処理場で親が働く子供たちと新任教師の小谷先生の、奮闘と成長の記録。最初、小谷先生も塵処理場の劣悪な環境、子供たちの過酷な生活に戸惑い、泣かされながらも、どんどん強くなっていきます。決して、物事を押し付けることなく、心と心のふれあいとすれ違いを描いていきます。教育について色々言われている昨今ですが、こういった話を読むと人間の尊さがわかってくるような気がします。辛くても真摯に向かいあい、がむしゃらでも前に向かおうとする姿勢には心を動かされます。まだ自分の精神をコントロールできない子供も、苦闘している、悩んでいる。それに対して決して完全な人間ではなくともただただ、歩み寄っていく姿勢。教育問題、などだけではなく、人間の基本的な部分をたくさん刺激される作品です。ラストのあたり、本当に頼もしい。教育というのは、何が正しいのかわからない。でも、生徒が心から笑っている、仲間を想っている状態が正解に近いのではないか、とこの本を読み思った。 教育者、教育を志したことがある者は読むべき。




★ほんのまくら…57

 「どうするんですよう・・・・・・」


題未定 (ハルキ文庫)題未定 (ハルキ文庫)
(2000/10)
小松 左京

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締切りがきても、どうにも適当な題を思いつかず、題未定のまま雑誌連載を始めた私のもとに届いたのは、なんと未来の私からの手紙だった。それによれば、この雑誌連載が原因でこれから大変な「厄介事」が起こるというのだ!責任をとるべく時空の狭間に投げ込まれることになった私だが、すでに歴史は微妙な歪みを見せはじめていた…。繰り広げられる大騒動の行方はいかに?奇想のSF長篇。
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Arikaアイコン(小)1 「題が未定のまま出版されたのではなく、
敢えて「題未定」というタイトルを付けた小説。」

大御所SF作家・小松左京さんの作品はシリアスなものと、そうでないものに分けられていますが、この「題未定」はシリアスでない方です。主人公・小松左京が連載の題を決められないことによってとんでもない騒動が巻き起こるという内容ですが、シリアスでない題材の割には途中途中、シリアスなSFになったり、文体がコロコロ変わったり中途半端な印象を受けるが、でも薄い本に閉じ込められた著者の博識に圧倒されます。SFだからといって、想像力を遊ばせるだけでは、面白くはあるが中身の薄いものになってしまいがちなのを、著者の知識が重りを付けて、ストーリーの着想、ユーモラスで知的な文章と相俟って素晴しい出来上がりになっています。小松左京の本でこんなにしょうもない作品があったとは……と思いながらも、これは大御所SF作家・小松左京にしか書けないなと納得する一冊。さすがコマツさん。健全に笑える 。

※お亡くなりになった小松左京さんの著作も、絶版のためだんだん読めなくなってきています。出版社は、これからのSFファンのためにも、代表作ぐらいは残しておいて欲しいものです。



★ほんのまくら…58

 時は流れているように思われる。世界は生じ、一刻一刻へと開かれていく。


ボディ・アーティスト (ちくま文庫)ボディ・アーティスト (ちくま文庫)
(2011/07/08)
ドン・デリーロ

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映画監督の夫を自殺で失ったローレン。精神のバランスを崩す彼女の前に、謎の男が現れる。まともに口を利くことができず、時間の経過も認識できないらしい男は、やがて自殺した夫の声で話し始め、知りえないはずの夫婦の会話を再現し始める。彼に引きずられるようにローレンの「現実」も変化をはじめて…。一人の女性の変わりゆく姿を透明感のある美しい文体で描いた、アメリカ文学の巨人デリーロの精緻な物語。

著者紹介・・・デリーロ,ドン[デリーロ,ドン][DeLillo,Don]
1936年ニューヨーク、ブロンクス生まれ。71年『アメリカーナ』でデビュー。85年『ホワイト・ノイズ』で全米図書賞。88年『リブラ 時の秤』がベストセラーになり、現代アメリカ文学を代表する作家となった。97年『アンダーワールド』が全米図書賞の最終候補に。以後毎年のようにノーベル文学賞候補としてその名が挙がる

上岡伸雄[カミオカノブオ]
1958年東京生まれ。学習院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Arikaアイコン(小)1 「言葉にし得ない事を言葉にし、
現実を取り戻そうとする果敢な試み-。 」

結婚して間もない、映画監督の夫が自殺した。残された妻の職業はボディ・アーティスト。二人が暮らしていた、人里離れた海辺の一軒家に、子どものように見える青年が住み着く。彼は奇妙な言葉しか話せないが、記憶力と物真似の天才だった。青年が死んだ夫の声を発し、女は青年に死んだ夫の存在を感じる。 主人公である妻が、二人の男の断片をつなぎ合わせてまた自分の中に一人の男をつくりだす様は何かセクシャルな感じがした。こんなに身体感覚を精緻に、淡々としながら瑞々しく描いた小説は見たことがない。頁を繰るにつれ、言語も、時間も崩れていく。言語の力を最大限に活かした、小説という形でしか表現できないであろう中盤。 そして終盤の高度に哲学的な場所へと吸い上げられる。これは、自我と時間の拡散、崩れていく様を扱った寓話である。 生者と死者、実在と非実在、過去と現在の境目が少しずつ溶融していく。出来るだけ集中してひたすら浴びるように読んで思考して、結局わからない点がいくつかあった。イチゴジャムや皮膚の箇所は絶対意味があると思うんだけど…時間や身体や物語が時間の経緯と共に意味を変えていくんだけど、そこにあるものを言葉で名指すことのこういう不思議さがずっと付きまとう…難解で分からない!! でも、わからないからこそ惹かれる。まだまだ未知の世界がある。 読み終わってすぐ、また最初から読みたいと思った。変に中毒になる。




★ほんのまくら…59

 徒刑囚の服は薔薇色と白の縞になっている。


泥棒日記 (新潮文庫)泥棒日記 (新潮文庫)
(1968/10/02)
ジャン ジュネ

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Arikaアイコン(小)1 「自伝的な”到達不可能な無価値性の追求”
著者は小説より、その人生思想のほうが何十倍面白い!! 」

20世紀フランス文学の怪物作家と呼ばれるにふさわしいジュネによる、極限の感性を有した文体が踊る本書。簡単に物語をいってしまうと、ジャン・ジュネの元彼たちの話です。そこへ余すことなく、乞食、男娼、窃盗、裏切り、そして放浪生活を描き、彼の思想がぶち込んであります。。「盗み」についてこれでもかというほど哲学的に、また、悪の世界について、泥棒について語るのではなく、「泥棒が」語る世界。悪と華はなんと似合うのだろう。とにかく難しかった…。言葉も難しいが、文章も難しい。でも恋愛の感情描写は身につまされる表現が多く、この人なんでこんなに乙女なんだろう?と。…これ、百合にも応用できそうな萌えシチュがあるなぁとか思った。ジュネは罪を繰り返す事によって人生を純化しようとしていたのだろうか? 難しい文章に慣れたらもう一度挑戦したい!







★ほんのまくら…60

 トンプソンが殺すべき男はおかまだった。


愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)
(2009/01/08)
ジャン=パトリック マンシェット

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精神を病み入院していたジュリーは、企業家アルトグに雇われ、彼の甥であるペテールの世話係となる。しかし凶悪な4人組のギャングにペテールともども誘拐されてしまう。ふたりはギャングのアジトから命からがら脱出。殺人と破壊の限りを尽くす、逃亡と追跡劇が始まる。

著者紹介
マンシェット,ジャン=パトリック[マンシェット,ジャンパトリック][Manchette,Jean‐Patrick]
1942‐1995。フランスの小説家。マルセイユ生まれ。パリ大学ソルボンヌ校在学中より左翼政治運動へ傾倒。その後、大学を中退し、様々な職業で生計を立てる。1971年、ガリマール社より共同執筆と単独執筆の犯罪小説が相次いで刊行され小説家デビュー。1972年には『愚者が出てくる、城寨が見える』が出版され、翌年の「フランス推理小説大賞」を受賞。一躍、フランス暗黒小説のリーダー的存在となる

中条省平[チュウジョウショウヘイ]
1954年生まれ。学習院大学教授。仏文学研究のほか、映画・文学・マンガ・ジャズ評論など、多方面で旺盛な活動を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Arikaアイコン(小)1 「タランティーノばりの狂ったバイオレンス・アクション!!
人間の持ってる狂気は決して特別なものじゃない証明ー。」

逃げる女性と子ども、そして追いかける誘拐犯との攻防を、とてもシンプルなストーリーで、スピード感のあるドタバタハードボイルド物語。暴力と狂気、異常者と犯罪、殺戮とパニック「暗黒小説の傑作」との看板に偽りなし。この本は恐ろしいほど淡々と人が死んでいく。登場人物はほとんどおかしな人たちで、いく先々で何かしらの事件が起こる。 敵も味方もなく、登場人物全員が情け容赦のない扱われ方で、すべてくせ者であり、悪人話が突き抜けすぎていて笑っちゃいます。唖然呆然! 何なんでしょう…この愚者たちのバトルロイヤルは…!! はた迷惑にもほどがある!! 最後に勝ち残ったのが×××というのもふざけています(笑)。 しかし、この小説はそこが抜群にかっこいい。とにかく、文体が読みやすく、テンポ良く、淡々と、短い文章を重ねていて、それが物語とマッチして最高にカッコイイ! みんなやることは凶悪なのに、不思議と悪人という感じがしなかったし、嫌悪感とかもないし、登場人物の全員が狂っているのが素晴らしい。かつて映画化に失敗したようですが、今なら北野武監督かタランティーノ監督で映画化というのはいかがでしょうか? 原題では「あほ」は「愚者」ではなく「狂人」の方だったということに納得!



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