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【おすすめBOOKフェア】ほんのまくらフェア67~72

kage

2014/06/21 (Sat)

Arika(フェア)1

紀伊国屋「ほんのまくらフェア」67~72

ほんのまくら2a

本の出だしの文章=「まくら」と呼びます。

有名なものならたくさんある。

「国境のトンネルを抜けると~」…by『雪国』川端康成

「ゆく河の流れは絶えずして~」…by『方丈記 』鴨長明

「メロスは激怒した」by『走れメロス』太宰治

「桜の樹の下には~」by『桜の樹の下には』 梶井 基次郎

「スプリットタンって~」・・・by『蛇とピアス』金原ひとみ


このフェアは、単行本に、冒頭の一文の『まくら』のみ印刷したカバーをつけてビニールで封印。

オリジナルカバーに載っているそれぞれの「まくら」に何を感じ取ったのでしょうか?

それはもう本当に研ぎ澄まされた感覚のみで、きっと不思議な本との出会いが待っていたはずです。

題名も作者も中身もわからない斬新な試みが大反響を呼び、1ヶ月半の期間中、売り上げは目標の約30倍に!


Book紹介案内担当:Arika


★ほんのまくら…67

 年齢不詳の美人妻を療養所に閉じ込め、
 若い愛人たちのアパートを転々としている。


バレエ・メカニック (ハヤカワ文庫JA)バレエ・メカニック (ハヤカワ文庫JA)
(2012/01/25)
津原 泰水

商品詳細を見る

造形家である木根原の娘・理沙は、九年前に海辺で溺れてから深昏睡状態にある。「五番めは?」―彼を追いかけてくる幻聴と、モーツァルトの楽曲。高速道路ではありえない津波に遭遇し、各所で七本肢の巨大蜘蛛が目撃されているとも知る。担当医師の龍神は、理沙の夢想が東京に“砂嵐”を巻き起こしていると語るが…。『綺譚集』『11』の稀代の幻視者が、あまりにも精緻に構築した機械仕掛の幻想、全3章。

著者紹介・・・・・津原泰水[ツハラヤスミ]
1964年広島県生まれ。青山学院大学卒。1989年に少女小説作家“津原やすみ”としてデビュー。1997年、“津原泰水”名義の長篇ホラー『妖都』を発表。2006年には自伝的音楽小説『ブラバン』がベストセラーとなり、2009年発表の『バレエ・メカニック』は本格SFとして各種ランキングを席巻した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Arikaアイコン(小)1 「ねっとりとした幻想小説発サイバーパンクSF行。」
植物状態となった少女の脳機能が都市空間を補完しはじめる。脳と都市空間の同一性なんてどこかで読んだような話なのだが、それゆえ重要となる現実の都市に舞い狂う幻影の描写や完成された散文が美しく酔わせてくれる。前半は幻想小説の趣が強いが、話が進むごとにSF色がどんどん強くなっていく。決して王道ではないかもしれないけれど、しかし予測できない展開に最後は感動しかない。各章最後の1頁で物語の世界が果てしなく開けていって、このような物語も良いなと感じさせられました。ストーリーを楽しむと言うよりも、著者の書く文章、それ自体が、非常にマジカルでファンタジックで、まさに「想像力の文学」叢書に相応しい作品。でも、このような小説は読み手を選ぶのだろうと思うし、それに慣れていないと物語の世界に没入するのが難しいだろうなとも思った。

【P・S】
もし映像化を考えた場合、故・今敏監督しか思い浮かばなかった。もし今もご存命なら、原作の幻想部分と監督の表現センスの融和性で絢爛豪華な映像美をきっと生み出したに違いない。「パーフェクト・ブルー」や「パプリカ」を経た監督は幻想が現実へはみ出してしまう事に躊躇は無いはず。虚構が現実の壁を超える瞬間を観てみたかった。幻想が現実世界を闊歩する様を確かめてみたかった、残念!?





Arika報告書y0001おすすめ
★ほんのまくら…68

 爆発!衝撃!大金庫の扉がはじけて開く。


分解された男 (創元SF文庫)分解された男 (創元SF文庫)
(1965/05)
アルフレッド・ベスター

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人の心を透視する超感覚者の出現により、犯罪の計画さえ不可能となった未来。全太陽系を支配する一大産業王国の樹立を狙うベン・ライクは、宿命のライバルを倒すため殺人行為に及ぶ。だがニューヨーク警察本部の刑事部長パウエルが、この大犯罪を前に立ち上がった。超感覚者対ライクの虚々実々の攻防戦。第一回ヒューゴー賞に輝く傑作。
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Arikaアイコン(小)1 「SFと推理小説の融合作。」
SF小説が好きな人間にとっては、問答無用の大傑作であることは、間違いないでしょう。テレパスがいることで殺意が未然に察知され殺人は不可能かと思われて久しい社会に、どう犯罪を行うのか、ベン・ライクは果敢に挑戦して行きます。しっかりとミステリーしているし、しっかりとSFしている。駆け引きの心理サスペンスも非常に面白い。また、改行等を上手く使い、テレパシーを巧みに表現している点にもご注目下さい。ラストで、分解されるとはどういう意味なのか、が明かされますが、さらに加えて、人類なんかちっぽけなもんだよ、という予想を超えた圧倒的なスケール感です。





★ほんのまくら…69

 はじめは、ちぎれ雲が浮んでいるように見えた。
 浮んで、それから風に少しばかり、右左と吹かれているようでもあった。


猫の客 (河出文庫 ひ 7-1)猫の客 (河出文庫 ひ 7-1)
(2009/05/30)
平出 隆

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はじめ“稲妻小路”の光の中に姿を現したその猫は、隣家の飼猫となった後、庭を通ってわが家を訪れるようになる。いとおしく愛くるしい小さな訪問客との交情。しかし別れは突然、理不尽な形で訪れる。崩壊しつつある世界の片隅での小さな命との出会いと別れを描きつくして木山捷平文学賞を受賞し、フランスでも大好評の傑作小説。

著者紹介・・・・・平出隆[ヒライデタカシ]
1950年北九州市生まれ。一橋大学卒。詩人、作家、多摩美術大学教授。詩の中から新しい散文を追究し、『左手日記例言』(読売文学賞)や『伊良子清白』(芸術選奨、藤村記念歴程賞)などを刊行。2008年に全訳された詩集『胡桃の戦意のために』(芸術選奨新人賞)は全米で年間最良の海外文学書としてBest Translated Awardを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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Arikaアイコン(小)1 「猫を飼うこと… 」
淡々とした言葉づかいの美しい文体で、猫にまつわる回想が描かれています。猫への愛を感じる描写を目にすると、「所有すること」と「飼うこと」は違うということを突きつけられます。同時に猫のいる生活がこんなにも潤いがあるものなのかと、読みながらうらやましく思えてきました。冒頭では特に動物好きではないという主人公が、途中からすっかり「身も心も猫に捧げつくし、恬として恥じるところがない」猫好きとしての表情を見せる。いわゆる猫っかわいがりではない。猫好きは、猫を寵愛するほど、猫の自由を尊重し、見守るその変化が微笑ましい。また猫についての描写とともに、戦後の日本住宅が繊細に描かれています。





★ほんのまくら…70

 母が首を吊ったのを見つけた時、ぼくが、まだ五歳だったのは幸せなことだ。


姫君 (文春文庫)姫君 (文春文庫)
(2004/05)
山田 詠美

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たとえ、自分が生と死の境に立っていようとも、人は恋をする。なぜなら…。傷を傷というふうにも表せない男女が魅かれあう姿を通して、人が人を求める気持ち、言葉にできない寂しさを描いた五篇を収録。人を愛することで初めて生ずる恐怖、“聖なる残酷”に彩られた、最高に贅沢な愛と死のシミュレーション。

著者紹介・・・・山田詠美[ヤマダエイミ]
1959年東京生まれ。1985年、黒人男性との愛と破局を描いた「ベッドタイムアイズ」(文芸賞受賞)で衝撃的デビュー。1987年、「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」で第97回直木賞、1991年、「トラッシュ」で女流文学賞、2001年、「A2Z(エイ・トゥ・ズィ)」で読売文学賞を受賞
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Arikaアイコン(小)1 「テーマは愛と死” 胸の奥がツーンと痛い-。 」
タイトルにもなっている「姫君」は、とても胸が痛い。ホームレスだった姫子と、その姫子を拾った摩周との目線で描かれているのだが、「姫君」を読んで、私はなぜか後悔にも似た感情がわいてきた。「読まなかったら良かった」的なものではなく、まるで自分が姫子や摩周であったかのように、「あの時こうしてればよかった」そんな後悔だった。わかりやすい恋愛なんてひとつもないんだよ。残酷で複雑、そんなもんだ。いつも山田詠美をよむと日常では呼び覚まされなかったものがよみがえってきて、胸の奥だツーンと痛い。




★ほんのまくら…71

 母が縮んで見えるという視界の異変にずっと苦しんでいた間の事を、
 なんとか文章で説明してみたいと思ったのだが、
 そもそも縮み始めてからの記憶は目茶苦茶だし、
 苦しまなくなったきっかけはごく単純な事で、
 しかもそれを機会に母と会わなくなってしまったのだから
 一方的な話になってしまうかもしれないのだった。


母の発達 (河出文庫―文芸コレクション)母の発達 (河出文庫―文芸コレクション)
(1999/05)
笙野 頼子

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殺しても母は死ななかった。「あ」のお母さんから「ん」のお母さんまで、分裂しながら増殖した―空前絶後の言語的実験を駆使して母性の呪縛を、世界を解体する史上無敵の爆笑おかあさんホラー。純文学に未踏の領野を拓いた傑作。
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Arikaアイコン(小)1 「活字アニメーション的な奇想天外で摩訶不思議な母をめぐる奮戦記。 」
「母の縮小 」「母の発達」「母の大回転音頭」の3部構成。、「母の縮小」では、ある日突然母が 数センチに縮んでしまうし、「母の発達」で は“あ”から“ん”まで50音のとんでもな い母たちが次から次へと登場して、娘のヤツノを圧倒する。「母の大回転音頭」では、発達した母たちは舞台で踊り狂い、360度回 転する。 母親に愛情とうっとおしさを感じている子供たちと、子供を愛しながらも母親らしくしなくてはというプレッシャーを感じている母親たちが、母のイメージを言葉で遊びつくす。 なんだか、活字アニメーション的な奇想天外で摩訶不思議な母をめぐる奮戦記だった。




★ほんのまくら…72

 人はヴァン・ゴッホの精神的健康について語ることができるが、
 その彼は全生涯の間にただ片方の手を焼かれただけであるし、
 それ以外には、
 あるとき左の耳を自分で切り落とす以上のことはやらなかった。


神の裁きと訣別するため (河出文庫 (ア5-1))神の裁きと訣別するため (河出文庫 (ア5-1))
(2006/07/05)
アントナン・アルトー

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Arikaアイコン(小)1 「狂人扱いされてるやつが一番まともなことを言うんだ、いつだってね…。 」
詩のようであり、戯曲のようであり、評論のようであり。たぶんこれはアルトーの心の底からの心の叫びというのが一番近い表現だろう。長い文が延々と続き、分かりにくい表現も多いのだが異様な迫力があって読みだしたら、途中でやめられなくなった。生きている限りこの社会はその枠組みを押し付けてくる。市場価値のある人物になれとか仕事の生産性を上げろとか、男らしくしろ、女らしくしろとか税金を払えなど。ほとんどの人はそれに渋々従うのだが、徹底的に反抗する人もいる。アルトーもその一人であろう。 生きるのがつらくなると、ついこの本を手にとってしまうだろう。 「人間は糞をしないことだってできたかもしれぬ、 肛門の袋を開かぬこともできた、 しかし彼は糞をすることを選んだ 死んだまま生きることには同意せず 生きることを選んだからであろう」 狂人扱いされてるやつが一番まともなことを言うんだ、いつだってね…。

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