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【おすすめBOOKフェア】ほんのまくらフェア91~96

kage

2014/08/01 (Fri)

Arika(フェア)1

紀伊国屋「ほんのまくらフェア」91~96

ほんのまくら2a

本の出だしの文章=「まくら」と呼びます。

有名なものならたくさんある。

「国境のトンネルを抜けると~」…by『雪国』川端康成

「ゆく河の流れは絶えずして~」…by『方丈記 』鴨長明

「メロスは激怒した」by『走れメロス』太宰治

「桜の樹の下には~」by『桜の樹の下には』 梶井 基次郎

「スプリットタンって~」・・・by『蛇とピアス』金原ひとみ


このフェアは、単行本に、冒頭の一文の『まくら』のみ印刷したカバーをつけてビニールで封印。

オリジナルカバーに載っているそれぞれの「まくら」に何を感じ取ったのでしょうか?

それはもう本当に研ぎ澄まされた感覚のみで、きっと不思議な本との出会いが待っていたはずです。

題名も作者も中身もわからない斬新な試みが大反響を呼び、1ヶ月半の期間中、売り上げは目標の約30倍に!


Book紹介案内担当:Arika



★ほんのまくら…91

 ・・・やあ、田中君。まずは茶川賞受賞おめでとう。


蹴りたい田中 (ハヤカワ文庫 JA)蹴りたい田中 (ハヤカワ文庫 JA)
(2004/06/10)
田中 啓文

商品詳細を見る


内容説明
第二次大戦下で鬱屈する少年兵たちの、複雑な心象を描破した珠玉作「蹴りたい田中」で第130回茶川賞受賞後、突如消息を絶った伝説の作家・田中啓文。その稀有なる才能を偲んで、幼少時から出奔までの偉大なる生涯を辿る単行本未収録作8篇+αを精選、山田正紀、菅浩江、恩田陸などゆかりの作家・翻訳家・編集者らによる証言、茶川賞受賞時の貴重なインタビュウ「未到の明日に向かって」までを収録した遺稿集。

著者紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年、大阪府生まれ。神戸大学卒。1993年、長篇『凶の剣士』が第2回集英社ファンタジーロマン大賞に佳作入選して作家デビュー。『十兵衛錆刃剣』などのヤングアダルトSFを発表した後、1998年の伝奇ホラーSF『水霊 ミズチ』以降は一般文芸の世界に進出、SF・ホラー・ミステリなどのジャンルを超えた活躍を続ける。2001年のSF短篇集『銀河帝国の弘法も筆の誤り』(ハヤカワ文庫JA)の表題作で星雲賞日本短編部門を受賞、2003年のSF長篇『忘却の船に流れは光』(ハヤカワSFシリーズJコレクション)で日本SF大賞候補となる。

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Arikaアイコン(小)1 「このタイトルで爆笑した方お勧めです!
予想以上のパワフルさに茶川賞受賞も納得! 」

まず紅い帯の「芥川賞受賞!」の文字が目を引きます。しかし良く見ると「茶川賞」???。なんじゃこりゃ?!。そんな賞あるんかいな?。しかも「41歳の瑞々しい感性が描く青春群像」?。後は駄洒落SF短編のオンパレードです。いやぁ、くだらない(笑)。下品ネタとダジャレのオンパレード。すごすぎる…。本の隅から隅まで徹底したネタと駄洒落でここまで徹底すると芸術的。短編の徹底したくだらなさもいっそ名作レベル。一人で全部書いたんだよねこれ…。人には薦めないけどわたしは好きだ。SF好きにはたまらんネタも満載だと思う。駄洒落オチでわからんのもあったんだけどマニアックネタなのかなあ? 残念だけど、別にわかんなくていいや。作者のことは、何が本当で何がジョークなの? とか考えちゃだめだな。1冊まるまる楽しかったからそれでいいや・・・・・・・。




Arika報告書y0001おすすめ
★ほんのまくら…92

 やっぱり空手だよね。


お父さんのバックドロップ (集英社文庫)お父さんのバックドロップ (集英社文庫)
(1993/06)
中島 らも

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内容説明

下田くんのお父さんは有名な悪役プロレスラーの牛之助。頭は金髪、顔は赤白の隈取り、リングでみどり色の霧を吹く。そんな父親が下田くんはイヤでたまらない。今度は黒人の空手家「クマ殺しのカーマン」と対戦することになったのだ。父を思う小学生の胸のうちをユーモラスにえがく表題作。ロックンローラー、落語家、究極のペットを探す動物園園長と魚河岸の大将。子供より子供っぽいヘンテコお父さんたちのものがたり。

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Arikaアイコン(小)1 「4人の子どもと愛すべき父親たち 」
ちょっと変わったお父さんを持つ子供の短編集。漠然とした憧れの大人という存在の中でも一番身近で偉大なお父さん。そのお父さんが自分よりも子供なのだと感じるもどかしさ。いろんなお父さんとその子供たちの関係が描かれています。悪役プロレスラーのお父さん。売れない落語家のお父さん。イタズラばかりしかけるお父さん。子供のケンカに必死になるお父さん。おもしろくて微笑ましい四つの素敵なお話でした。 私は三十歳過ぎてから大人も子供も実はそんなに違わないんだなとようやく気付いてきた。 小難しい本や、モヤモヤする本ばかりを読んでると、たまにはこういう本で心の中和をするのも悪くないかと思います。ほのぼのした気分には、なれます。





★ほんのまくら…93

 やはり正真正銘の極道者だった時代があるのだろうか、
 左肩から上腕にかけてびっしりと彫られた
 紺青の龍の刺青が湯あがりに火照った肌からひときわ色濃く浮き出し、
 小柄な身体を拭くために両腕を動かすたび
 ところどころ金を蒔いたふうの龍の胴体がうなって
 顔見知りの常連客たちをも黙らせるほどの迫力があるのに、
 まるで生きているようなその龍の昇天を助けようというのかひとしきり
 水滴をぬぐい取ると、脱衣場に備え付けてある
 ぶらさがり健康器の下に立って鉄棒競技の開始を告げる姿勢で
 気をつけをしながら顔をあげ、
 ひょいとバーにつかまったままながいこと背筋を伸ばしているのだったが、
 無事に着地をすませると、順番待ちをしている様子の客たちにたいしてなのか、
 健康に留意せねばな、と低くつぶやき、 
 そういうときだけ留意なんて言葉を使うものだから、
 まわりの人間はふっと感心してしまうのだった。


いつか王子駅で (新潮文庫)いつか王子駅で (新潮文庫)
(2006/08/29)
堀江 敏幸

商品詳細を見る


内容説明
背中に昇り龍を背負う印鑑職人の正吉さんと、偶然に知り合った時間給講師の私。大切な人に印鑑を届けるといったきり姿を消した正吉さんと、私が最後に言葉を交わした居酒屋には、土産のカステラの箱が置き忘れたままになっていた…。古書、童話、そして昭和の名馬たち。時のはざまに埋もれた愛すべき光景を回想しながら、路面電車の走る下町の生活を情感込めて描く長編小説。

著者紹介
堀江敏幸[ホリエトシユキ]
1964(昭和39)年、岐阜県生れ。明治大学教授。’99(平成11)年『おぱらばん』で三島由紀夫賞を、2001年「熊の敷石」で芥川賞を、’03年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、’04年、同作を収録した『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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Arikaアイコン(小)1 「平凡な毎日の、その中にだって
凝視すれば、出来事は幾らでも転がっている 」

大切な人に印鑑を届けに行くと言ったきり消息を立った正吉さんの消息が何らかの形で最後わかるのだと思っていたら、そのまま不明。その宙ぶらりんな感じが心地いい。独特の長いセンテンスの文章が面白い。下町の人々の生活と主人公との交流と思い出を心地よい焦点で語る。筋があるようで無いような小説というかエッセイというか。ベタな人情話、作為的な良い話にならないのが個人的に好ましかった。競馬の話にはまったく興味がなく知識もないのでこの作品を完全に味わうことが出来ずにいていささか悔しく思ったりもしたが、この作品での王子という町や随所に現れる小道具の描かれ方がノスタルジーではなく、そこに慎ましく、確かに生きているものとして描かれているこんな小説を読むと安心する。




★ほんのまくら…94

 よほど遠い過去のこと、
 秋から冬にかけての短い期間を、私は、変な家庭の一員としてすごした。


第七官界彷徨 (河出文庫)第七官界彷徨 (河出文庫)
(2009/07/03)
尾崎 翠

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内容説明
七つめの感覚である第七官―人間の五官と第六感を超えた感覚に響くような詩を書きたいと願う、赤いちぢれ毛の少女・町子。分裂心理や蘚の恋愛を研究する一風変わった兄弟と従兄、そして町子が陥る恋の行方は?読む者にいまだ新鮮な感覚を呼び起こさせる、忘れられた作家・尾崎翠再発見の契機となった傑作。

著者紹介
尾崎翠[オサキミドリ]
1896年、鳥取生まれ。女学校時代に「文章世界」へ投稿を始める。故郷で代用教員となった後、上京。日本女子大学在学中、「無風帯から」を発表。同大学を中退後、文学に専念し、「アップルパイの午後」「第七官界彷徨」などを発表。32年、病のため帰郷、その後音信を絶つ。戦後は一時、行商をしていた。69年、「第七官界彷徨」が再発見された後も執筆を固辞。71年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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Arikaアイコン(小)1 「つかみ所がない物語。
だけど引きこまれる物語でもある」

理解のほどは別として、会話や文体に楽しめた自分にホッとしてます。実際、小難しいところは一切なくて、ぶっちゃければ昭和初期のちょっとシュールな味付けがなされた日常系。登場人物達のツンと取り澄ました、そのくせ必死な会話が今の時代から見ればとても可愛いらしい。口論していても自分の弱音や本音をぼろぼろ描写するんだからw。 「言葉はつねに文学の強敵」「最後を理に落とさない」と作者自身が解説で述べていて、なるほどと…。感覚のみで読み進めるべき本だと思いました。これが芸術方向でなく娯楽方向に振れると今のいわゆる日常系漫画になるのかなと思ったり。記憶に残る本です。 内容とは関係ないが某SF(すこしふしぎ)系日常漫画のタイトルの元ネタに出会えてうれしかったです。



★ほんのまくら…95

 老人が一人、また一人と次々にやってきて並べられた椅子に座る。
 全部で椅子は八十席。


子猫が読む乱暴者日記 (河出文庫)子猫が読む乱暴者日記 (河出文庫)
(2006/02/04)
中原 昌也

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内容説明
「俺は生まれながらの乱暴者さ。ガンジーの断食もマザー・テレサの博愛も…俺の暴走を止めることはできない」―衝撃のデビュー作『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』と三島賞受賞作『あらゆる場所に花束が…』を繋ぐ、作家・中原昌也の本格的誕生と飛躍を記す決定的な作品集。無垢なる絶望が笑いと感動へ誘う。

著者紹介
中原昌也[ナカハラマサヤ]
1970年、東京生まれ。01年『あらゆる場所に花束が…』で第14回三島由紀夫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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Arikaアイコン(小)1 「憎悪が背景にあるのになぜか心地よい小説」
なんだこれwwwが、読み終えた後の正直な感想です。猫背になってギロギロと世間を睨みつけてはぶつぶつと独り言を言っているような本。こういうカンジ嫌いじゃないです。1話目のタイトルまんまに、子猫が読むような乱暴者(に、なりたての人)の日記でした。あとがきを作者自身が書いていて、その内容にも大爆笑。暴力衝動と下劣さをブレンドさせたエッジの立った文章と、卓抜した各話のタイトルセンスは相変わらず非凡で、類似品を思い起こさせないオリジナリティーである。天然を装っているが結構、計算してやっているんじゃないのかと勘繰りたくなる(だとしたら、すごいが)思わず吹き出してしまうほどの紋切型の文章が良い意味でのジャンク感を演出しており、和製ヌーヴォー・ロマンをやろうとしたら別の何かになってしまったのが愛らしい。 ただ読者層が相当狭い範囲に絞られているのがもったいない。これにもう少し王道の面白さを合わせたら傑作間違いないのに…。



★ほんのまくら…96

 私がこれを書くのは私がこの部屋にいるからであり、
 ここにいて私が何かを発見したからである。。


忘却の河 (新潮文庫)忘却の河 (新潮文庫)
(1969/05/02)
福永 武彦

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内容説明
「忘却」。それは「死」と「眠り」の姉妹。また、冥府の河の名前で、死者はこの水を飲んで現世の記憶を忘れるという―。過去の事件に深くとらわれる中年男、彼の長女、次女、病床にある妻、若い男、それぞれの独白。愛の挫折とその不在に悩み、孤独な魂を抱えて救いを希求する彼らの葛藤を描いて、『草の花』とともに読み継がれてきた傑作長編。池澤夏樹氏の解説エッセイを収録。

著者紹介
福永武彦[フクナガタケヒコ]
1918‐1979。福岡県に生れる。一高在学中から詩を創作する。東大仏文科卒。戦後、詩集『ある青春』、短編集『塔』、評論『ボオドレエルの世界』、10年の歳月を費やして完成した大作『風土』などを発表し注目された。以後、学習院大学で教鞭をとる傍ら『草の花』『冥府』『廃市』『忘却の河』『海市』等、抒情性豊かな詩的世界の中に鋭い文学的主題を見据えた作品を発表した。1961(昭和36)年『ゴーギャンの世界』で毎日出版文化賞、’72年『死の島』で日本文学大賞を受賞。評論、随筆も世評高い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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Arikaアイコン(小)1 「人生の意味を真摯に問うた血の通った文学の傑作」
戦後の少し裕福で平凡な家庭の話。父、母、長女、次女、それぞれの視点から彼らの人生を覗き見る。父や母の積み上げてきた過去への思い、娘たちの悩み、葛藤、それぞれのすれ違い。特別な事は何も起きなくとも、ただ平凡な人生にも多くのドラマがある。それを汲み取る感覚と、写し出す筆致さえあればこんなにも人間は心動かされ、読後にまざまざとした解放感をおぼえさせられる。構成美とはなにか、ストーリーの構成力とは何かを知るには格好の一冊だと思った。またそれのみならず独白形式の効果がもっとも生々しく印象に残り、心理描写が濃厚で、登場人物に深くのめり込めた。人が生きるのは大変なことである。しかし我々はいずれは死んで忘却のかなたに去っていくのだ。人はなにを手がかりにして生きていけばよいのだろうか。当時46歳の福永武彦は、このテーマに正面から取り組んで、登場するそれぞれの人物に答えを出している。内容自体は哲学にも通じるものがあり、重く深い。でも人間が生きるうえでの悩みや憤りと言うものが、全面に表現されており、久々に小説らしい小説を読んだ。

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