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(「さよなら」の言葉で読む失恋文庫)愛するということ /小池 真理子 …Arika*

kage

2015/03/04 (Wed)

Arika失恋文庫2

二人の仲はすでに終わっている、この恋は始まらない・・・なんとなくわかってはいたけれど、相手が放った言葉をフラレ文句として受け、”失恋を悟る”シチェーションや痛みのツボは人それぞれ。

「さよなら」の言葉から見えてくるのは、突きつけられるのは、失恋という事実だけじゃないということ。

たとえばどんな相手が悪くても、しょうもなくても、言葉と一緒に跳ね返ってくるのは気付いていなかった自分の恥部。

そんなイタさいっぱいのフラレ文句とは_____

そんな上質な失恋文庫をご紹介。



◆恋愛の心理が疑縮されている”破れた恋”のフラレ文句に注目!



『星星峡』2004年1月号~2005年5月号に掲載された連載を単行本。

人は人を愛する時、いつもどこかで本当の自分、飾り気のない自分をさらけ出してしまうのだろう。

相手に見せたい自分、こんなふうに見てもらいたいと願う自分は、実は常に、中身のない、実体のない、ただの脱け殻にすぎないのだ―。

愛の始まりから失恋、絶望、再生までを描く小池文学の決定版、本格恋愛小説。

愛するということ (幻冬舎文庫)愛するということ (幻冬舎文庫)
(2007/12)
小池 真理子

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◆選ばれない「さよなら」の言葉!

「僕がきみのことを

いい加減な気持ちで思っていたわけじゃないんだよ。

誓って言える。」
 

(小池 真理子『愛するということ 』P163より)

❤…‥・‥…―━━━―…‥・‥…━━━…‥・‥…―━━━―…‥‥‥…❤

Arikaアイコン(小)1 ”愛されていた”ことを強く言われるほど、絶望に打ちのめされる。

その愛は、今は別の人に向けられてしまっているのだから―――

本当に愛していた人が、ほかの女性に走った後、どうやってその苦しみから立ち直っていくのか。燃え上がる愛の絶頂を描くことの多い小池氏にしては、その後をテーマにしたものは異色といえます。物足りないくらい野呂との恋愛にいたる過程は案外あっさりしている。しかし、この小説の真髄はその後のマヤの心にある。愛とか恋とかには興奮しない、という柿村との出会い、愛する妻子を捨ててまで一緒になろうとした女に事故死された拝島との一夜、時とともに次第に野呂のしがらみから解き放たれていくマヤ。マヤの友人菜穂子がいう「マヤには、恋に生きるためのたっぷりした自由と時間があったじゃない。きっとそれはこれからも、変わらないんだろうと思う。」という事実は、ラストにきて説得力を持ってくる。

たとえ、マヤのように今まで自分を愛していてくれた人が他の女に人の元に行ってしまったり、そうではなくても、自分から気持ちが離れていってしまっても、愛することができたということは、何にも置き換えることができない幸せな体験だったのではないだろうか。そこまで愛することなく人生を終える人だってこの世の中にはたくさんいるのだから…。

この本を読みながら自分の愛する人について考えた。マヤの嫉妬する気持ちはすごくよくわかった。恋って甘く優しいときはほんの短く、そのあとは苦しい時期がやってくる。それでも恋にのめりこんだその時期、その気持ちには十分価値があるのではないか、相手の気持ちが離れていったって、相手を想う気持ちを持ち続けることができる自分をほめてあげたっていいのではないだろうかと感じた。出会い、始まり、嫉妬という苦しみ、喪失の予感、別れに関する考察・・・・ひとつの恋から生じる感情の克明に描き切った実験的恋愛小説。黒地にピンクのタイトルと帯、赤の扉、小池氏らしい潔さが感じられる装丁もよいです。

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