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(第153回芥川賞受賞作品特集!①)火花/又吉直樹(著)

kage

2015/07/20 (Mon)

芥川賞153


芥川龍之介の名を記念して、直木賞と同時に昭和10年に制定された。

芥川賞…”純文学”を対象とした作品。

各新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品中最も優秀なるものに呈する賞。


■芥川賞選考委員
小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、高樹のぶ子、堀江敏幸、宮本輝、村上龍、山田詠美(敬称略)


Arikaメダル1第153回芥川賞受賞

 火花/又吉直樹(著)

火花
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又吉 直樹
文藝春秋
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●内容紹介
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お笑い芸人二人。

奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。

笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。

神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はどう変転していくのか。

人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。






■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

打ち上げ花火にも火花にも擬えた「芸人」たちの生き様と想い。

理想と現実。

ストイックな、不器用な、まっすぐな、報われない生き方。

笑いとは何か、人間とは何かを描ききった

おそらく芸人・又吉氏しか書けないであろう純文学デビュー作♪


Arikaアイコン(小)1材が笑いとは何かってことで、お笑いの最前線で活躍してる又吉氏がどんなのを純文学として書くのかと少しハードル上げて読みました。

結果、ある場面で笑い声をあげてる自分にハッと気付いて又吉ムカつくってなりました(笑)。 

お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はその後どう変転していくのか…。

物語の流れとしては、主人公「僕」「徳永」と先輩芸人「神谷」を中心に語られます。「僕」「徳永」は著者であり読者でもあろう位置づけで、私は先輩芸人である「神谷」に対して畏れと憐れみ、それから嫉妬を強く抱きました。この複雑な人物は著者によって確かな輪郭を与えられ、私の価値観を相対化させ、私の心の中に小さな位置を今も占めるのに至り、火花だけあって、いずれじきに消えるかもしれませんが…。読んでいて、あまりにも不器用に生きる神谷は見事なほどに清々しいストイックさ。そこにある理想と現実。それはまるで、曲がり方を知らぬまま自転車に乗る子どものようにお笑いに対して愚直に生きる姿に心を打たれてしまう。 打ち上げ花火にも火花にも擬えた『芸人』たちの生き様を描いた著者の想いは十分に読解できました。お笑い芸人・又吉さんはこのように考えて、お笑いをしているんだなぁとも感じた。

夢に生きるって当然だけど、すごく大変であり、芸人として名を上げ、最前線で歩んでいきたい理想とでもいずれ落ち目になるかもしれない不安感。劣等感や焦燥感に苛まれ、終わりの見えない道程を今か今かと這いつくばって進んでいく。希望もあれば挫折もあって、でもこれが生きるってことなんだろうなと思う。形は違えど誰でも通る道、それを漫才師という切り口から書けるのはやはり著者ならであり、そこに純文学でありながら笑いとは何かを二つの人物視点で新鮮に描いてる、それがこの『火花』という小説である。

序盤は純文学らしく、淡々と進む。中盤からは先へ先へとページを捲る手が止まらなくなっていく。もちろんお笑いのネタの部分もそうだけど、お笑いに対する著者の線香花火ながらパチパチと散る想いが伝わってくる。芸(=生き様)に透徹した思考の片鱗を魅せる先輩「神谷」の言葉には真の哲学があったし、身を焼き尽くしてもそれを実践してみせる彼の生き様は「漫才師」として十分に魅力的な人物像でした。著者ならではの視点で漫才師の在り方を色々な角度から見させてもらったように思うし、特に最後の漫才ネタ部分と、先輩とのやり取りは少し感動、涙、涙…。ラストは度肝を抜かれた。それと著者の風景描写の部分にも惹かれた。想像していた以上に、一つ一つの言葉の表現のチョイスが上手く、素敵で。たとえば冬の寒さを「路傍の吐瀉物さえも凍る」と表現する個所があるのですが、実に美しい文章を書く人だなと思いました。 ストーリー的には、途中で出てくる先輩の彼女の話が切なくて好き。恋愛って色々なタイミングが大事だなと思いました。

賞を取ったことで、芸人だからっていろいろな見方がされるのでしょうけど、近年の芥川賞の受賞作や、今回の候補作のそれらと比べても決して遜色がない作品であり、純文学として十分に完成度が高い小説だと私は思いました。

ひとつ補足するなら、これはエンタメ小説ではありませんので、普段純文学を読んでいない人にとってはつまらない小説になるかもしれません。

ジャンルを問わず、私は”面白い本”がとても好きです。だから、はっきりとこれだけは言い切れる、『火花』は作家・又吉直樹である一方で芸人・又吉しか書けない純文学であり、そして面白い小説です。

小説に置いての面白さとは、読んでいて目を離せなくなるほど惹きつけられる何かがそこにあるかどうかです。その点に置いても、又吉直樹氏の小説には読んでいてムカつくほど惹きつけられる面白さがありました。ただ、人は誰でも一生に一作品の小説は書けるともいいますから、作家・又吉直樹氏の真価を問われるのはこれからだろうかと思います。

次回作、大いに期待!私としては「歪んだ愛と純粋ゆえの狂気」をテーマにした恋愛小説などを読んでみたいです。





又吉直樹(またよし なおき)
1980年大阪府寝屋川市生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人。コンビ「ピース」として活動中。

〈作品〉
『カキフライが無いなら来なかった』2009年幻冬舎刊(自由律俳句集 せきしろとの共著)。
『まさかジープで来るとは』10年幻冬舎刊(同 せきしろとの共著)。
『第2図書係補佐』11年幻冬舎よしもと文庫刊。
「そろそろ帰ろかな」別册文藝春秋12年5月号。
「夕暮れに鼻血」別册文藝春秋12年9月号。
『鈴虫炒飯』12年幻冬舎刊(創作四字熟語集 田中象雨との共著)。
『東京百景』13年ワニブックス刊。
『火花』15年文藝春秋刊=第28回三島由紀夫賞候補。
『芸人と俳人』15年集英社刊(堀本裕樹との共著)。




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