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(第153回直木賞受賞作品特集!③) アンタッチャブル /馳 星周(著)

kage

2015/07/28 (Tue)

直木賞153


直木三十五の名を記念して、芥川賞と同時に昭和10年に制定された。

直木賞…”大衆文芸”を対象とした作品。

各新聞・雑誌(同人雑誌を含む)あるいは単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品中最も優秀なるものに呈する賞(応募方式ではない)。

大衆文芸とは?…「娯楽性」「商業性」を重視!
大衆小説(たいしゅうしょうせつ)、大衆文学(-ぶんがく)とは、純文学に対して、芸術性よりも娯楽性・商業性を重んじる小説の総称である。「娯楽小説」「娯楽文学」も同義語。「通俗小説」「通俗文学」とも呼ばれた。


■直木賞選考委員
浅田次郎、伊集院静、北方謙三、桐野夏生、高村薫、林真理子、東野圭吾、宮城谷昌光、宮部みゆき



第153回直木賞候補作
  アンタッチャブル (毎日新聞出版))/馳 星周(著)

アンタッチャブル/馳 星周

¥1,998
Amazon.co.jp

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●内容紹介
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警視庁公安部の「アンタッチャブル」と捜査一課の「落ちこぼれ」コンビが巨大テロ脅威に挑む。馳星周の新骨頂、ファン待望の公安エンターテインメン ト!

容疑者追跡中に人身事故を起こした捜査一課の宮澤に、異例の辞令が下った。異動先は警視庁公安部外事三課。上司は公安の「アンタッチャブル」―― かつては将来の警察庁長官と有望視され、妻の浮気・離婚を機に、「頭がおかしくなった」とうわさされている椿警視。宮澤に命じられたのは、椿の行動を監視・報告すること。椿とともに、北朝鮮のスパイと目される女の追跡をはじめるが......

疾走するストーリーに、一筋縄ではいかない人物たちが次々登場。
数多のトラップ、ラストの大どんでん返しまで一気読み必至のコメディ・ノワール!



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警視庁公安部の「アンタッチャブル」と、

捜査一課の「落ちこぼれ」コンビが巨大テ ロの脅威に挑む。

従来のノワール小説とは一線を画す公安警察を舞台にしたコメディー!



Arikaアイコン(小)1査一課からある失態のために公安に異動になった宮澤。その上司にあたる椿はエリートではあるはずが過去に妻の浮気から頭が少々イカれてると言われる変わり者。自称アンタッチャブルという椿に連れられ公安のイロハを教わる宮澤だが…。

つまりは、訳ありで捜査一課から公安に異動になった巡査部長と、キャリアながら出世コースからはずれたキレ者警視正のコンビもの。と紹介するとなんと陳腐な…って感じがするがキレ者警視正のキレっぷり(いい方にも悪い方にも)がとんでもなくておもしろい作品である。

どこまでが本気・正気?でどこまでが冗談・病気?か分からないエリート公安刑事と捜査一課から左遷?されてきた刑事の2人の人間模様と事件の謎解きをベテラン作家らしく読ませるコメディノワール作品として、実に巧みに描かれています。懐かしの「ジャック・フロストシリーズ」っぽさ、または奥田英朗「ドクター伊良部」シリーズを彷彿とさせる。本作含め、いずれもキレ者のキレっぷりと巻き込まれ相棒兼狂言回し役の温度差を楽しめるかにかかっていると思います。

500頁あまりある厚さと、著者の作風からガチガチの公安ものかと思いきや、刑事ものなのに信じられないくらい軽い感じのコメディ色の方が強い作品でした。うん!これは何だ?パロディ?公安警察を舞台にした、著者お得意のシリアスなノワール作品と期待していたので、今回の展開には、ある意味度肝を抜かれた。

読み始めは、コメディタッチとは知らずに、違和感を感じつつも、宮澤が病院を見舞い、千紗と一悶着あったところで、やっと本領発揮かと思った。が、それも束の間、千紗とのアホみたいな急展開。もう苦笑することしかできない。公安部対刑事部の対決というお決まりの図式からは想像もできない、二転三転する展開が続く続く。誰が敵で誰が味方かわからず、ずっとハラハラしながらラストまで一気読みだった。読み終えても騙されているのか否か、不明。ラストは個人的には腑に落ちなかったが、こういうライトな内容と割り切れば、十分に楽しめました。

馳星周作品は久しぶりだが、ノワール成分はほとんど薄れていて、帯でいうと公安エンターティンメントのほうが正解だろうと思う。公安のアンタッチャブルと捜査一課の落ちこぼれコンビと聞けば、ドラマ『相棒』が思い浮かぶが、本作の大部分はその椿と宮澤の軽妙な会話で進行するので、思いの外サクサク読めてしまう。

身長190センチで切れ者で組織内の除け者(アンタッチャブル)として扱われている主人公の椿警視とその部下宮澤が巨大テロ組織に立ち向かうという構図は、椿警視の風体などは違いますが『相棒』を思い起こさせる。やけに独り言の多いおぼっちゃまの主人公や、腫れ物扱いされる上司のぶっ飛び方、執事の真面目だか不真面目だか解らないコメディータッチの会話劇は『謎解きはディナーのあとで』を思い起させる。ライトミステリと呼ばれる作風に多用されるキャラクター造形を用いながら、反面でハードボイルドの世界は崩さず、公安警察のおどろおどろしさを損なっていない。この力技と著者の実績で合わせ一本に十分なのではないかと思う。著者が馳さんでなければ歯牙にもかけない作品かもしれぬが、椿の壊れっぷりや千沙のエロ小悪魔的な雰囲気は、テレビドラマ等で映像化したら面白いだろうし映えるだろうね。

ラストは帯のような驚天動地とはいかない、むしろ大山鳴動してのほうだろうと思うが、本作で新コンビが確立したようなので、もしかして『相棒』や『疫病神』のようなシリーズ化を目論んでいるのかもしれない。 ベタベタなノワールもいいけど、たまにはこういう試験的な作品もありだと思う。 著者には新境地を築いてもらいたい!




馳 星周(はせ せいしゅう)

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。書評家などを経て、96年『不夜城』でデビュー。

〈作品〉
『不夜城』1996年角川書店刊=第18回吉川英治文学新人賞受賞、第15回日本冒険小説協会大賞受賞。
『鎮魂歌 不夜城Ⅱ』97年角川書店刊=第51回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞。
『漂流街』98年徳間書店刊=第1回大藪春彦賞受賞。
『ソウルメイト』2013年集英社刊。
『ラフ・アンド・タフ』14年講談社刊。
『帰らずの海』14年徳間書店刊。
『復活祭』14年文藝春秋刊。
『雪炎』15年集英社刊、
他多数。




ちょっと珈琲ブレイク
…‥‥…‥‥‥‥‥…★

警視庁公安部のいかれたキャリアと
事故を起こし左遷された元捜査一課の刑事が繰り広げるドタバタ劇!


Arika注目1hこんにちは、UAU編集長のArikaです。 

「ノワール小説」界で御大とも言える地位を築いている馳星周氏。

『不夜城』でデビュー。

第116回の直木賞候補になり、大ベストセラーにもなりました。

同作品は「第18回吉川英治文学新人賞」受賞。第15回日本冒険小説協会大賞も受賞しています。

『鎮魂歌-不夜城II』で第51回日本推理作家協会賞を受賞。

『漂流街』で第1回大藪春彦賞受賞。

『夜光虫』で第120回直木賞候補ノミネート。

『M』で第122回直木賞候補。

『ダーク・ムーン』で第15回山本周五郎賞候補。

『生誕祭』で第130回直木賞候補。

デビューから華麗なる受賞経歴にも圧倒されるが、今回『アンタッチャブル』で6度目の直木賞候補に選ばれました。

題名から、触れば火傷しちゃいそうな、ヒリヒリしたノワール小説を予想していたのに…。

従来の馳さんの作品のイメージとはかけ離れたコメディ色強めの内容。

暗くて、哀切なハードボイルド系の作家さんだという認識だったので、そういった意味では驚かされた。


不夜城 (角川文庫)/馳 星周

¥720
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