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(第153回直木賞受賞作品特集!⑤) 東京帝大叡古(えーこ)教授/門井慶喜(著)

kage

2015/07/30 (Thu)

直木賞153


直木三十五の名を記念して、芥川賞と同時に昭和10年に制定された。

直木賞…”大衆文芸”を対象とした作品。

各新聞・雑誌(同人雑誌を含む)あるいは単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品中最も優秀なるものに呈する賞(応募方式ではない)。

大衆文芸とは?…「娯楽性」「商業性」を重視!
大衆小説(たいしゅうしょうせつ)、大衆文学(-ぶんがく)とは、純文学に対して、芸術性よりも娯楽性・商業性を重んじる小説の総称である。「娯楽小説」「娯楽文学」も同義語。「通俗小説」「通俗文学」とも呼ばれた。


■直木賞選考委員
浅田次郎、伊集院静、北方謙三、桐野夏生、高村薫、林真理子、東野圭吾、宮城谷昌光、宮部みゆき



第153回直木賞候補作
  東京帝大叡古(えーこ)教授(小学館)/門井慶喜(著)

東京帝大叡古教授/小学館

¥1,728
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●内容紹介
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最高学府で連続殺人!謎を解くのは天才哲学者「ウンベルト・エーコ」ならぬ天才政治学者「ウノベ・エーコ」。

他を圧する「知の巨人」が開示していく事件の真相は、まさに予測不能。 ラストは鳥肌モノ!!



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探偵小説風かと思いきや実在の人物が入り乱れた歴史小説風であった。

幕末から昭和を背景としたこの世界観は、好き。

歴史に疎い人でも知ってる豪華メンバー続々登場。



Arikaアイコン(小)1 は明治、日露戦争が終わって戦争処理を談判している頃。熊本五校から東京帝大宇野辺叡古教授を頼って上京した。名前を阿蘇藤太と決め付けられてしまった。目の前で人が死ぬ。連続して三人の教授が殺される。七教授殺人事件が始まる。国民新聞の徳富蘇峰が関係して話しは絡まってくる。

当時の日本(明治38年)の政局、戦局も絡めた歴史ミステリー。 盥の水で人が死んだ時は、えっ!?と思ったけど、これは序章に過ぎず…。ロシアとの講和交渉で膨れ上がる戦勝気分と、現実の国際情勢の冷徹な読み合いが求められる作品。しっかりした時代考証、近代史上の著名人の役割設定と時代背景、いかにもそれらしい文体、博学と破綻のない緻密な構成が相俟った珠玉の近代歴史ミステリー。大学は東京帝大のみの近代黎明期、日露戦争の戦勝に沸く日本、しかしロシアは賠償を渋る。多大な犠牲を払った日本国民の世論は戦争継続か、巨額賠償かに沸騰。そんな不穏な背景で帝大の教授が次々殺される…。叡古教授は藤太に諭す「人が学ぶのは自分でものを考えるためだ。誰もがノーという日にイエスと言う。誰もが感情に身を任せる日に冷静になる。人々に和するためでなく、人々に立ち向かうために学ぶのだ。」何となく既読感が…、そうか、漱石の「三四郎」だ!彼は熊本から上京した五高生。 主人公の学生は単に語り手と思いきや、最後に本名が出て壮大なドラマに変わり、ミステリーより歴史的事実に胸が熱くなった。日露戦争期の政界や世相なんてのは専門書で読んだらわかるのかもしれないけれど、敗戦後の外交、軍政布告の撤回で国難に立ち向かい、日本人の誇りを守った人物を、こうして小説からそのエッセンスを知る機会になりました。

クラシカルな雰囲気を醸し出す作風に何とも味がある。飄々として、緊張感のかけらもない殺人事件は、正直、ミステリーとしては今一つだが、夏目漱石、徳富蘇峰、桂小五郎、西園寺公望、原敬、等々、実在の人物がぽんぽん登場するのは楽しく、曰比谷焼討事件など、意外に史実に忠実にリンクしており、歴史物としての楽しさもある。前半はコメディー&ミステリーかな?という印象でしたが、中盤以降ググッとカラーが変わったような気がしました。 読み進むにつれどんどんエンジンがかかって、最後は、なるほど!!で読了。明治時代の文筆家、大物政治家が実名で登場、ずいぶん大盤振る舞いだなあ、と思っていたが、叡古教授を頼って九州から上京してきたもうひとりの主人公・五高生の阿蘇藤太の本名が最後に解って、なるほどと理解! そうですか、主人公がそんな方だったとは。 個人的にはもう少し主人公がリベラル要素を他の登場人物から影響を受けていく様子が細かく描けていれば、のちの彼の生き方に説得力が増したのではないかと思うのですが。でもこれはこれで非常に面白かったです。やんごとなきお方まで登場するとは・・・。 主人公の本名がずっと伏せられていて、ラストまで正体が明かされない。一体、これは誰なのか、これがこの本の一番のミステリーなのかもしれない。

要は熊本から上京した阿蘇藤太君が宇野辺叡古教授の片腕となって事件解決に奔走する話。大学教授という知と位を高く持つ階級での連続殺人、弟子(?)の若者が回想するという形の物語進行、なにより教授の宇野辺叡古という名前のもじり、どう考えてもウンベルト・エーコ「薔薇の名前」を下知識として読むとなお楽しめると思います。物語としては非常に好きな締め方で楽しかったし、 フィクションとノンフィクションが境なく入ってきた感じで予想以上におもしろかったが、躍動感やら、驚き、緊張、要するに『感動』がないのが少し残念だった。この話は単なる探偵小説、推理小説として読んではいけない。明治後期の雰囲気を味わうストーリーとして読むべきである。最後に明かされる阿蘇藤太君の本名には驚愕・・。ココだけの話、読み終えてからウィキペディアで検索してしまった(笑)。




門井慶喜(かどい よしのぶ)

1971年群馬県桐生市生まれ。栃木県宇都宮市出身。
94年同志社大学文学部文化学科文化史学専攻(日本史)卒業。
2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞受賞。
06年『天才たちの値段』で単行本デビュー。

〈作品〉
『天才たちの値段』2006年文藝春秋刊。
『人形の部屋』07年東京創元社刊=第61回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補。
『パラドックス実践 雄弁学園の教師たち』09年講談社刊(収録作中「パラドックス実践」=第62回日本推理作家協会賞(短編部門)候補)。
『竹島』12年実業之日本社刊。
『シュンスケ!』13年角川書店刊=第3回歴史時代作家クラブ賞(作品賞)候補。
『かまさん』13年祥伝社刊=第3回歴史時代作家クラブ賞(作品賞)候補。
『注文の多い美術館』14年文藝春秋刊、他多数。




ちょっと珈琲ブレイク
…‥‥…‥‥‥‥‥…★

クラシカルな雰囲気を醸し出す作風に何とも味がある!

Arika注目1hこんにちは、UAU編集長のArikaです。 

最近になって「役に立たない文系学部の廃止・統合」といった文科省からの指針が議論を呼んでいるが、まさに今作は明治時代を背景に文系教授が遭遇した事件の究明に乗り出す作品となっています。

明治後期に時代設定に、これまた本気と冗談の区別が付きにくい東京帝大天才政治学者と、熊本から上京してきた真面目な学生が日露戦争後の混乱の中、最高学府を中心に次々と起きる連続殺人事件を、当時の著名政治家、作家達も登場させながら軽妙洒脱に当時の東京の街や登場人物が眼前に見える様な描写力で描いた力作。


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