FC2ブログ
2019 10 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30. »  2019 12

(11月の特集)時代小説・歴史小説その2〈二冊合わせて読んで欲しい「江戸小説」5冊〉

kage

2015/11/10 (Tue)

2015年11月のテーマ特集本
Arika時代小説

アイコンりす今回の書籍案内人・・・・Arika


時代小説といえば「江戸時代」。

鎖国された社会でありながら文化に富み、循環社会でもあったことから環境面でも注目されています。

漢字や侍にあこがれを抱くのは欧米の若者というイメージでしたが、日本人も江戸にさまざまな思いを馳せているのです。

凛としながら温かい江戸人情・・・・・・・作家にもご注目ください。




二冊合わせて読んで欲しい「江戸小説」5冊


師弟(?)作家の時代小説をどうぞ!!
 「日日平安 ―青春時代小説/山本周五郎」「冬の標/乙川優三郎」

日日平安―青春時代小説 (時代小説文庫)/角川春樹事務所

¥617
Amazon.co.jp


冬の標 (文春文庫)/文藝春秋

¥669
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1「山本周五郎からやっと抜けて、いい作品になっています」乙川優三郎さんが『生きる』で直木賞を取ったとき、ある講演会で作家の井上ひさしさんはそう語った。ふたりが師弟関係かどうかは定かでないが、乙川さんは傾倒する作家の筆頭に山本周五郎を挙げているのは周知の事実。そこで、たくさんの周五郎作品の中から、日凡なこの作家を知るには好個な短編集『日日平安』と、私が好きな乙川作品『冬の標』を提示してみた。

前者は映画『椿三十郎』の原作になった『日日平安』のほか、若者が主役のユーモアあふれる作品6編。表題作の原作の主人公はそんなに腕が立つわけでなく、食と職にありつくために無い知恵を振り絞る行き当たりばったりの侍。でもユーモアあふれる中の緊張した状況。そして菅田の去り際の潔さと、その後の腹の虫との会話に微苦笑。それよりも「鶴は帰りぬ」という短編が最高!不器用な若い男女の恋の話なんだが、山本周五郎の小説でこんなに胸キュンするとは思わなかった(笑)。「貧しくつましい暮らしをしている者には、小さな喜びがどんなにも幸福に感じられるものだ...」こんな一節が心に沁みる。山本周五郎の小説世界は限りなく温かく、山本周五郎の書く侍は誰しも一本筋が通っていて気持ち良い。

後者『冬の標』は、幕末、小藩の武家の娘が画家になる夢を捨てずに葛藤する感動長編小説。幕末、下総小藩の裕福な武家の娘、明世は絵を描くことに魅せられる。しかし、世間の仕来りは女子に描くことを許さない。結局、嫁ぎ夫と姑に使えるが描くことへの情熱は消えない…。明世が、結婚、子育て、貧困、義母の介護、思い人の死などさまざまな苦難を乗り越え、絵の道にたどり着く。内容に反してとても静かな語り口なので、読んだ後に音が残らない。 女というだけで世間の仕来りが彼女の進む道を阻む。苦悩する明世。彼女の幸せではない気持ちがしんとさせる。激動の幕末に向かい彼女はどこにむかうのか、それが読者を惹きつける。

師弟(?)いずれも女性の描き方がいいので読み比べを楽しんでいただけたら幸いです。




すべてが終わったそのあとには、夢かと見粉う一輪の赤いろうずが咲いていた!
 輪違屋糸里(上・ 下)/浅田次郎

輪違屋糸里 上 (文春文庫)/文藝春秋

¥637
Amazon.co.jp

輪違屋糸里 下 (文春文庫)/文藝春秋

¥637
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1名から、たとえば宮尾登美子の廓ものを連想したならば、肩透かしを感じるかもしれません。ここに描かれるは新撰組の物語です。幕末の京の町の治安を守るために集められた浪士たちが、それぞれの思惑でそれぞれの生き方を探り、やがて近藤勇・土方歳三らが、巨頭芹沢を斬って新撰組を確立するまでを描く。ではあるのですが、確かに女の物語でもあります。花魁道中に始まり花魁道中に終わる起と結は、自分の運命を受け入れ、しかしそれに翻弄されることなく、血を吐きつつ己のなすべきことをなし、凛と頭を高く上げている女たちを象徴する。世の中を身据え因果を噛み分けた女たちの口説きの物語でもあります。

「神さんってのは妙なものさね。親切なんだか意地悪なんだかわかりゃしない。」

金も夢も、人の情けもなくしても、一人の男と一緒に毀れることができるのであれば、神も信じてみようというもの。これもまた、眦(まなじり)を決した花魁道中といえましょう。たとえ誰一人、褒め称えて見る者はいなくとも・・・。





『八犬伝』を残した女の奮闘記!
感想、「江戸バージョン渡鬼」なので橋田センセイ次はこれで是非お願いします(笑)

 馬琴の嫁/群ようこ

馬琴の嫁 (講談社文庫)/講談社

¥580
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1琴の妻の話ではありません。馬琴の息子に嫁いだ土岐村てつの話です。てつは裕福な官医の末娘で、物見遊山、芝居見物と日々を楽しみ、歌舞音曲を好む明るい家に育ちました。その娘が全く家風の異なる瀧澤馬琴の一人息子に嫁入りしたてつ。結婚早々みちの改名させられ、苦行の毎日が始まった。病弱な夫と癇性持ちの姑、そして何事にも厳格な舅。「一難去ってまた一難、いや二難、三難・・・・・」いつも誰かが病気で寝込む、暗く息苦しい家の話です。しかし、そこで頑張るみちに目が離せません。作者の共感が読み手に伝わって、ぐんぐん読み進んでしまう。読み先にしあわせの答えがあるような感じさえしてきます。優しそうに見えた夫は癇性持ちで、舅は何でも仕切らないと気がすまない。心の休まる日はないが、苦労させられながらも、持ち前の明るさと芯の強さで、次第に瀧澤家になくてはならない存在になっていく。晩年失明した瀧澤馬琴の目になり『南総里見八犬伝』を代筆を務めるまでになる。その抄録の編者として尽力する馬琴の嫁「曲亭琴童」の実話を元にした話です。


南総里見八犬伝 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス (SP90))/角川学芸出版

¥864
Amazon.co.jp

ちなみに私なら、絶対に無理!こんな人達に一生を捧げるなんていや!・・・いや、ほんと、「みち、あなた本当に良くやったよ、頑張ったよ」と言って肩を抱いてやりたくなります。持ち前の明るさがあるからこんなに頑張れたんだろうけど・・・私には本当に無理!だけど・・・こういう強さのある女性にはいいな憧れるなぁはあります。世の中の女性達よ、我慢せよといっているわけではないですが、心構え一つであなたの人生変わるかも知れません。感想としては「江戸バージョン渡鬼」なので橋田センセイ次はこれで是非お願いしますの気持ちで渦巻いています(笑)。





何度読んでも爽やかな感動がある!
 「橋ものがたり」「驟(はし)り雨」 /藤沢周平

橋ものがたり (新潮文庫)/新潮社

¥680
Amazon.co.jp

驟(はし)り雨 (新潮文庫)/新潮社

¥637
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1沢周平作品は悲しいにつけ嬉しいにつけ、そっと寄り添ってくれる安らぎがあります。片隅で生きる人々の誇りや矜持があります。その境遇や運命がどんなに哀れでも、生きていくその姿に煌めきがあります。「それでいいじゃないか」と思わせる強さがあります。そんな市井の人々を描いた『橋ものがたり』と」と『驟(はし)り雨』。

前者は橋を往来する人々の哀感を、後者は雨宿りの間に小悪党の男の心が変化していくさまを見事に描く作品です。いずれも江戸下町に生きる庶民の悲喜交々を全10編ずつ収めた珠玉の作品集です。毎日一編ずつ眠りにつく前に読むのはどうでしょう。情緒も人情もあらばこそといった現在、藤沢周平作品を愛読する読者が多いことこそ希望であり未来なのです。





女性ならではの細かな視線で描く江戸情緒!
 「初ものがたり/宮部みゆき」「余寒の雪/宇江佐真理」

初ものがたり (新潮文庫)/新潮社

¥594
Amazon.co.jp

余寒の雪 (文春文庫)/文藝春秋

¥605
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1代小説は苦手だと思っている方におすすめしたいのが、女流作家によるこの2冊。

宮部みゆき『初ものがたり』は、岡っ引きの茂七が本所深川界隈で起こる難事件に挑む連作ミスタリー。事件の裏に絡む男と女、兄弟、親子の情の悲しさは宮部みゆき作品ならでは。脇役の面々も魅力的です。また鰹、白魚、柿羊羹など江戸の四季を象徴するおいしいものの数々にもうっとり。

宇江佐真理『余寒の雪』は中山義秀文学賞を受賞した7話の短編集。強がりの影に見え隠れする女心の弱さとか可愛らしさ、それを黙って包み込む男のカッコよさに痺れます。江戸時代の追っかけファッションやお洒落なボトルの化粧水も登場します。

女性ならではの細かな視線で描く江戸情緒、時代は変わってもおいしいものとカッコイイものを求める女性の心理は変わらないものですね。



F03-b104.gif 
■当ブログを「厳選!書籍全般レビューブログ」の1つとして紹介させて頂いております。


■新書・文庫本に関する人気のおすすめ感想ブログ・書評レビューまとめランキングサイト
新書・文庫本マニア

あなたの大好きな新書・文庫本の情報を探してみませんか?

新書・文庫本マニアは、おすすめ情報・感想ブログ・書評レビュー・Twitter・ニュース・Q&Aなど、話題になっている口コミ・記事をまとめた本の人気ランキングサイトです。

様々な切り口から、あなたの大好きな新書・文庫本の情報を探してみませんか?


関連記事
スポンサーサイト



コメントフォーム

kage


URL:




Comment:

Password:

Secret:

管理者にだけ表示を許可する

この記事へのトラックバック