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(小説で読み解く「女の一生」2⃣)「私のなかの彼女」「笹の舟で海をわたる」角田光代(著)

kage

2016/06/09 (Thu)

女の一生1

女の生き方を題材にした注目作が、女性作家により近年多数刊行されている。

4つの側面に分けて、いま読むべき作家をご紹介。


アイコンりす今回の書籍案内人・・・・Arika


2⃣自分だけの価値観を探す
現代社会に生きる女性が、自分だけの生き方を模索した先にあるものは・・・


時代を見据える目・・・角田 光代

さまざまな作風を持つが、

昨今は昭和から平成に至る家族三代の物語『ツリーハウス』をはじめとする、

大きな時代の流れと、その中で生きる人々との関係を描く作品を発表している。




 私のなかの彼女/角田光代(著)

私のなかの彼女 (新潮文庫)/新潮社

¥680
Amazon.co.jp

「人は他人の才能を潰すことなんてできないと思っているんですよ。

才能を潰せるのは、その才能を持っているその本人だけだよ」


Arikaアイコン(小)1母の呪詛、恋人の嫉妬、仕事の壁。
それでも私は書く。年間最高プラチナ本に輝く傑作長編──。

学生の頃からアーティストとしての活動を始めた恋人にずっと憧れていた和歌。だが、小説家になりたかったけれどなれなかった祖母の存在を知り、自らも小説を書いてデビューを果たしてから、彼との関係は歪んでいく。いつしか書くことが和歌の支えになるが……。純粋無垢であまり世間ずれしていない和歌と、スマートで物知りな仙太郎の恋愛、それと並行に描かれる和歌の祖母の生き方。この二つが絶妙に交差しながら物語は進んでいきます。未熟で仙太郎に憧れ、仙太郎を追いかけていく和歌と、若くして注目を浴びる仙太郎の距離が、だんだん縮まり逆転していくとき、その恋愛の形は変容していきます。ある一つの事に没頭して周りの見えない和歌と何事もスマートにそつなくこなす仙太郎、このニ人の違いは持っている魂の違いのように感じました。自分をただひたすら見つめていてくれた彼女が自分の世界を持ち、自分の考えを持った時、男性はどのように思うのでしょうか? 応援する人、嫉妬する人、そんな彼女はいらないと否定する人、いろいろだと思いますが、では仙太郎は? 初めは魅力的だった仙太郎が、どんどん輝きを失い、ただのその辺の男性にしか見えなくなっていく、これは、和歌の視点でもあったのでしょう。ひとりの女性の生活の変化、それに伴う心境の変化が克明に綴られています。彼を否定しつつ求める心。共依存に近い感情だと思います。そこからどう抜けて自分自身と向き合うことができるか、本当の自分は何なのか、それが祖母の過去を辿ることで徐々に形造られていく過程は、つらさ、悲しさが蘇ってくるような気がしました。一人ひとり人生は異なる。皆自分の道を探してもがいている。そんな中であっても、自分の人生を歩むことへの希望が見える。おぼつかない足取りであっても、自分の道を歩んでいこうと思えた。 すべての女性に読んでほしい1冊です。




 笹の舟で海をわたる/角田光代 (著)

笹の舟で海をわたる/毎日新聞社

¥1,728
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1激動の戦後を生き抜いた女たちの〈人生の真実〉に迫る角田文学!
本書は、64歳の佐織が同じく60代の義妹の風美子に新しい住処を勧められる場面から物語が始まる。二人とも夫を亡くし、佐織の子供らは独立してそれぞれの道を進んでいる。ニ人の性格や人生観は正反対だ。そして物語は、佐織が風美子に出会った22歳の頃にさかのぼる。戦争で父を亡くし、23歳でお見合いをして、その相手と結婚、専業主婦としての平穏に生きてきた佐織。彼女の友人であり義理の妹で、料理研究家として華やかな生活を送る風美子。戦後、女性の生き方が大きく変貌を遂げるなかで、対照的な生き方を選んだニ人の人生。人生を「切り開いていくもの」と捉えるか、「受け入れるもの」と捉えるかで、生き方は変わってくると思うが、どちらの生き方をしたとしても、「全てが思い通りになる人生」も「全てが思い通りにならない人生」も存在しないと思う。人生は時に思い通りになるときもあれば、ならないときもあるもの、で、受け入れなければならないことも、切り開いて変えていけることもあって、「今」がどちらの瞬間なのかを見極めることが一番難しいんだな、と感じた。 「何ものにもなれないことは、べつに悪いことじゃない。力もないのに、何ものかになろうとあがくほうがみっともない」温彦さんの言葉がしみたなぁ。 人生とは何か、結婚ってなに? 家族って必要?幸せってなに?、もちろんそんな問いに答えはなく、いろんなことを考えながら、人生の終焉を迎える準備を始める佐織に感情転移しながら読んだ。ラストの情景に著者の思いがあふれていた。まさに激動の波にのまれそうになりながら笹の船で人生をわたっていく二人の姿は感動的でした。読後感をなんと表現していいか難しいけど・・・時代と女性の閉塞感と心の中を掘り下げる小説を描かせたら角田光代はやはりマジヤバイ作家だと思った。




角田 光代(かくた みつよ)

1967年3月8日誕生。

神奈川県横浜市出身。

捜真小学校から捜真女学校中学部・高等学部を経て早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。

日本の作家、小説家、翻訳家。

☑文学賞・候補歴
1987年 - 「さかあがりができなくなる頃」で第11回すばる文学賞候補。
1988年 - 「お子様ランチ・ロックソース」で第11回コバルト・ノベル大賞受賞(彩河杏名義)。
1990年 - 「幸福な遊戯」で第9回海燕新人文学賞受賞。
1993年 「ゆうべの神様」で第108回芥川龍之介賞候補。
「ピンク・バス」で第109回芥川龍之介賞候補。
『ピンク・バス』で第15回野間文芸新人賞候補。
1994年 - 「もう一つの扉」で第110回芥川龍之介賞候補。
1996年 『学校の青空』で第9回三島由紀夫賞候補。
『まどろむ夜のUFO』で第18回野間文芸新人賞受賞。
1997年 - 『学校の青空』で第12回坪田譲治文学賞候補。
1998年 『ぼくはきみのおにいさん』で第13回坪田譲治文学賞受賞。
『草の巣』で第11回三島由紀夫賞候補。
1999年 - 『キッドナップ・ツアー』で第46回産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞
2000年 『キッドナップ・ツアー』で第22回路傍の石文学賞受賞
『東京ゲスト・ハウス』で第13回三島由紀夫賞候補。
2003年 - 『空中庭園』で第128回直木三十五賞候補、第3回婦人公論文芸賞受賞。
2005年 『対岸の彼女』で第132回直木三十五賞受賞、第2回本屋大賞候補。
「雨を渡る」で第31回川端康成文学賞候補。
2006年 - 「ロック母」で第32回川端康成文学賞受賞。
2007年 - 『八日目の蝉』で第2回中央公論文芸賞受賞。
2008年 - 『八日目の蝉』で第5回本屋大賞候補。
2009年 - 『三月の招待状』で第16回島清恋愛文学賞候補。
2011年 - 『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞受賞。
2012年 『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞受賞。
『かなたの子』で第40回泉鏡花文学賞受賞。
2014年 - 『私のなかの彼女』で第2回河合隼雄物語賞受賞。





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