(小説で読み解く「女の一生」3⃣)「砂を泳ぐ」「女の子は、明日も。」飛鳥井千砂 (著)

2016/06/13 (Mon)

女の生き方を題材にした注目作が、女性作家により近年多数刊行されている。
4つの側面に分けて、いま読むべき作家をご紹介。

3⃣少女はやがて大人になる
成長していく過程で、自分を見つめ直す。
歩みは遅くでも、少女は少しずつ大人になる。
心の揺れを繊細にあぶりだす・・・飛鳥井千砂
ベストセラー『タイニー・タイニー・ハッピー』をはじめ、
日常の中で悩みながら前進していく人々の姿にスポットを当てる作品多し。
『砂に泳ぐ』では長い時間にわたる物語に挑戦。
砂に泳ぐ/KADOKAWA/角川書店

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いつまでも「ここ」に閉じこめられていたくはない。
砦の向こうの世界を見たい。

地方都市の大学を卒業後、そのまま地元で就職した紗耶加は、やりがいを見つけられず息苦しい毎日を過ごすなか、25歳で一念発起、恋人とも別れ単身上京し派遣社員として暮らし始める。体調不良にも見舞われるが、新しい職場で気の合う同僚に恵まれ、圭介という優しい男性にも出会うことができた。やがて圭介と半同棲をすることになったが、彼の自分勝手な言動に違和感を抱きはじめる。苦悩する紗耶加を救ってくれたのは、写真を撮ることだった。そして、思いがけない新たな出会いが紗耶加の運命を変えていく―。新しい環境で友人を作り、恋をし、やがて自分が本当にやりたいことを見つけていく。仕事や恋愛で揺れ動く女性の生き様を圧倒的リアリティで描いた、勇気と希望の10年間の歩みとは。 話のなかで細やかな気持ち、表現が読みやすかった印象。ダメ男圭介と別れる決断に自分の過去思い出して激しく感情移入。切り捨てていくことが大人になることっていう表現が胸に残った。知人から譲り受けたカメラをきっかけにフォトグラファーを目指す主人公。思い通りにならない現実にもがき、迷い、葛藤しながらも、一生懸命前に進もうと頑張る紗耶加の姿がすごく素敵でかっこよかったです。圭介との出会いも別れも、紗耶加のこれからの人生の力になるといいな。倫世もかっこよかったです。 前向きサクセスストーリー、泥みがなくてきれいすぎるかもしれないけど、こういう本も好き☆
女の子は、明日も。/幻冬舎

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14年ぶりに再会した30代4人の女性達たち。 既婚者の男を妻子から略奪し結婚した麻里子。営業部での成績は良かったのに編集部では企画が落ち続ける女性誌編集者・悠希。裕福とはいえない暮らしをしながらもあてのない不妊治療を始めた、マッサージ師の仁美。 売れはじめた途端に周囲からの嫉妬にさらされる翻訳者・理央。 経済的安定。仕事での成功。愛する人との結婚、そして、妊娠、出産。どうして私より先に、あなたが“それ”を持っていく? 30代女性のプライドと思惑が交錯し、生活や仕事、恋愛や体の問題に振り回されながら、確かな光を得るまでを描いた欲望の輪から自由になれる、感涙必死の物語。 個々の悩みとかひとりひとり違ってなかなか面白かった。4人はとてもいい友達だと思う。そして旦那さんたちがみんなとても素敵だった。満里子の旦那は微妙だけど、あんな風に支えられて幸せだな。 表紙が谷川史子で、ピッタリ。考えさせられるとこもたくさんありましたが、4人とも悩みを脱出して前向きに生きていける感じで良い意味で軽くってあっという間に読めて読後感はとてもよかった。
飛鳥井 千砂(あすかい ちさ)
日本の小説家。
北海道生まれ、愛知県稲沢市出身。神奈川県在住。
飛鳥井は旧姓。
2002年3月、愛知淑徳大学文学部国文学科卒業。
大学では島田修三のゼミで万葉集を学んでいた。
2005年、「はるがいったら」で第18回小説すばる新人賞(集英社主催)を受賞し、小説家デビュー。
2007年、受賞後第1作『学校のセンセイ』をポプラ社から刊行。以後も意欲的に新作を発表している。
☑書籍
はるがいったら(2006年 集英社 / 2009年 集英社文庫)
学校のセンセイ(2006年 ポプラ社 / 2010年 ポプラ文庫)
サムシングブルー(2009年 集英社 / 2013年 集英社文庫)
アシンメトリー(2009年 角川書店 / 2012年 角川文庫)
君は素知らぬ顔で(2010年 祥伝社 / 2013年 祥伝社文庫)
チョコレートの町(2010年 双葉社 / 2013年 双葉文庫)
タイニー・タイニー・ハッピー(2012年 角川文庫)
海を見に行こう(2012年 集英社文庫)
UNTITLED(2013年 ポプラ社 / 2015年 ポプラ文庫)
鏡よ、鏡(2014年 双葉社)
女の子は、明日も。(2014年 幻冬舎)
砂に泳ぐ(2014年 角川書店)
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