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(小説で読み解く「女の一生」4⃣)「風」「すみれ」青山七恵 (著)

kage

2016/06/16 (Thu)

女の一生1

女の生き方を題材にした注目作が、女性作家により近年多数刊行されている。

4つの側面に分けて、いま読むべき作家をご紹介。


アイコンりす今回の書籍案内人・・・・Arika


4⃣女同士の友情
恋にも家族愛にも似た、女同士の微妙なこの感情の正体を探る。


友情の微妙さに着目・・・青山七恵

男女間や女同士の間の、恋愛だの友情だのといった一言で説明できない関係性を描くことが得意。

そこに生まれる不思議な執着心、羨望や嫉妬、そしてその変化を真摯に見つめている。




 風/青山七恵 (著)

風/青山 七恵

¥1,512
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「あたしは、友情っていうのは、消えることもあると思う。

そこにあったという事実は残るけど、

友情が燃え尽きちゃうこともあると思う」。


Arikaアイコン(小)1「ダンス」「二人の場合」「風」「予感」の4作品からなる短編集。
収録作の「二人の場合」は女同士の友情の話。肌着メーカーの同期となった二人。性格は異なるがそれゆえ惹かれあい、心地よい関係が生まれていく。しかしそれぞれ婚約破棄や結婚を経てまったく別の道を歩んでいくうちに、心の距離は少しずつ大きくなっていく。新入社員だった女の子二人が37歳になるまでの、人生の軌跡が、まるで長編のように、語られていく。いつも一緒にいた二人が、時の移り変わりと共にそれぞれに(性格も人生も)変わっていき、愛想を尽かすまでの物語。どんなに一緒にいた友達だってずっと同じ関係ではいられないのである。むしろこんなに長い間関係を持てたことが羨ましいくらい。冷めたコーヒーを残して立ち去る二人が何だかリアルだった。そしてそんなことは一般によくあることだと著者は書いている。そう、こういうことってたくさんあると、読み終えて思った。人生という名の風がぴゅーと吹いて転がる女たち。それぞれ話の最後がしっかりしていて、読み終わったあとのモヤモヤ感が少なく、さくっと読めた。特に「二人の場合」が素晴らしくて、この長さでこの密度は凄まじく、また、ここに書かれていることに間違ったことは何もないようにすら思えた。 真っ正面から「人生」を、そこに流れる「時間」を描いた4編。無駄の無い文章、常に冷静な視点、そして小説家ならではの意地の悪さと出処がよくわからない奇妙なユーモア、とにかく圧倒されて一気に読んでしまった。





 すみれ/青山七恵 (著)

すみれ/青山 七恵

¥1,296
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Arikaアイコン(小)115歳のわたしの家にやってきた37歳のレミちゃん。
作家を目指していたレミちゃんには「ふつうの人と違う」ところがあった……。

藍子の父と母の大学時代の友人で、作家志望だが夢が叶えられなかったレミちゃん。彼女は、藍子たちの家に居候することになる。少し精神を病んでいて、他に行き場所がないから、落ち着くまで置いてあげてると父母は言った。ちょっぴり変わり者の37歳の女性と、彼女のことを保護者的な目で見つめる15歳の少女の間に、少しずつ友情が芽生えていく。 今年いっぱいという期限を越してもまだいるレミの為を思い、父母は強硬な手段を選ぶ。季節のうつりかわりとともに描かれる人と人とのきずな、人間のみにくさと美しさ。 誰かに寄りかからなければ生きられないレミちゃんは、藍子達にに突き放されて一体どこに行ったのか…その後どうなったのか、まったく描かれていない。最後のママの「わたしだって、あんなこと、言いたくなかった!」といって泣くシーンが印象的だった。そういう状況って、あるよね。15歳の藍子が生き生きと体温を持ち、何気ない描写から登場人物の細かい心の動きや感情が伝わくるその分、言葉にならない悲しみや苦しみ、苛立ちが苦しかった……レミも両親も、なんだかみんながみんな苦しかった。 読んでいる私まで藍子と一緒に罪悪感を感じた。それはきっと、私も同じ立場だったら同じような振る舞いをしただろう……。他人を振り回す人、他人に振り回される人、どちらにも周りには分からない事情があるのに、それに気づけないんですよね、そのときには。ラストの場面の言葉の使い方がとても綺麗だと思いました。






青山 七恵(あおやま ななえ)

日本の小説家。

1983年1月20日誕生。

埼玉県大里郡妻沼町(現・熊谷市)出身。

筑波大学図書館情報専門学群卒業。

東京都新宿区の旅行会社に入社。
同年、大学在学中に書いた「窓の灯」で第42回文藝賞受賞。

2007年、「ひとり日和」で第136回芥川龍之介賞受賞(受賞時年齢23歳11か月)。

2009年、短編「かけら」で、第35回川端康成文学賞受賞(歴代最年少での受賞)。

2012年から、群像新人文学賞選考委員を務めている。





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