(小説で読み解く「女の一生」4⃣)「本屋さんのダイアナ」「あまからカルテット」柚木麻子 (著)

2016/06/17 (Fri)

女の生き方を題材にした注目作が、女性作家により近年多数刊行されている。
4つの側面に分けて、いま読むべき作家をご紹介。

4⃣女同士の友情
恋にも家族愛にも似た、女同士の微妙なこの感情の正体を探る。
女関係を書かせたらこの人・・・柚木 麻子
女子校の人間関係を活写した単行本デビュー作『終点のあの子』から最近作まで、
女同士の自意識のぶつかり合いから心温まる絆まで、
女性たちの友情をさまざまな角度でとらえている。
本屋さんのダイアナ/柚木 麻子

¥1,404
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「あたしは、友情っていうのは、消えることもあると思う。
そこにあったという事実は残るけど、
友情が燃え尽きちゃうこともあると思う」。

すべての女子を肯定する、現代の『赤毛のアン』
ヤンキーの母親と二人で暮らす金色に染められたバサバサの髪の大穴(ダイアナ)と、品行方正でお洒落な両親の元で育った彩子は、小学3年生の時に読書好きという共通点を見出し友情で結ばれる。正反対の二人だけど、私たちは一瞬で親友になった。そう、“腹心の友”に――。しかし彩子が私立中学に進学したことから、二人はまったく異なる道を辿っていくことに。少女から女へと全く境遇が違う親友がお互いの反対の環境に憧れ、それぞれに自立しようともがく様が生い立ちやあこがれが成長と共に育っていくのが読んでいて面白かった。どんな立場でも人を羨ましく思ってしまうものだと思うが、ただ羨ましがる だけの二人じゃないことが好ましい。ティアラの聡明さに心惹かれた。 ティアラが口調とは異なりしっかりとした考えを持って生きていると感じます。大人になるにつれてダイアナがそこに気がついて良かったと思います。 人生傷ついたり、思うように生きられる事何てほぼ無いけど真っ当に生きるって事も捨てたもんじゃ無いよね。最後は二人がまた心を通わせることが出来て良かった。 自分を受け入れた時、初めて自分を好きになれる! 試練を越えて大人になる二人の少女。最強のダブルヒロイン小説。
あまからカルテット (文春文庫)/柚木 麻子

¥605
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女子中学校時代からの付き合いで、現在は30代目前の仲良し四人組。ピアノ講師の咲子、編集者の薫子、美容部員の満里子、主婦の由香子の共通点は美味しいものが大好きということ。それぞれが食べ物や飲み物に関わる悩みに直面するたびに結束して奔走。恋に仕事に押し寄せる悩みを、美味しい料理をヒントに無事解決へ導けるか!? 微笑ましい友情の物語。著者の本は食べ物がいつも美味しそうで、今は表紙の稲荷寿司が食べたいです(笑)冒頭から最後まで美味しいものが出てきて、おもわず「ご馳走さまでした。」と言いたくなりました。あとがきの酒井順子さんが書いてらっしゃいましたが女って子供ができたら立場が違うと会うのがしばらく途切れたりするよね。 でも子育てが落ち着いたらほんと子育て終わり組が戻ってくるから 昔からの友達って本当に面白い。 女の友情っていいなぁって思える一冊です。
柚木 麻子(ゆずき あさこ)
1981年8月2日誕生。
日本の小説家。
東京都世田谷区に生まれる。
恵泉女学園中学・高等学校、立教大学文学部フランス文学科時代より脚本家を目指してシナリオセンターに通い、ドラマのプロットライターを務めた。卒業後、製菓メーカーへの就職を経て塾講師や契約社員などの職のかたわら小説の賞に応募し、2008年に第88回オール讀物新人賞を受賞した。受賞作「フォーゲットミー、ノットブルー」を含む初の単行本『終点のあの子』が2010年に刊行された。同作は『本の雑誌』上半期エンターテインメントランキングで3位となるなど高評価を得た。2013年には『嘆きの美女』が、2015年には『ランチのアッコちゃん』がNHK BSプレミアムでテレビドラマ化された。
☑文学賞受賞・候補歴
2008年 - 「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞受賞。
2013年 - 「伊藤くん A to E」で第150回直木三十五賞候補。
2014年 - 『本屋さんのダイアナ』で第151回直木三十五賞候補。
2015年 - 『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞受賞、第153回直木三十五賞候補。
2016年 - 『ナイルパーチの女子会』で第3回高校生直木賞受賞。
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