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(小説で読み解く「女の一生」2⃣)「夜の隅のアトリエ」木村紅美(著)

kage

2016/06/11 (Sat)

女の一生1

女の生き方を題材にした注目作が、女性作家により近年多数刊行されている。

4つの側面に分けて、いま読むべき作家をご紹介。


アイコンりす今回の書籍案内人・・・・Arika


2⃣自分だけの価値観を探す
現代社会に生きる女性が、自分だけの生き方を模索した先にあるものは・・・


純文学作家屈指の文章家・・・木村紅美

大学卒業後、書店アルバイト、会社員を経て、平成18年/2006年に「風化する女」で文學界新人賞を受賞。

今ある小説の中でまだ言葉になっていない、そんな関係を逃げないで書いている人だと思う。

木村紅美という字面同様、文体も紅を一点だけぽつりと落とすような、何気なく美しいものが散りばめられた文体で読んでいてとても気持ちいい。


 夜の隅のアトリエ/木村紅美(著)

夜の隅のアトリエ/文藝春秋

¥1,728
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1がらんどうで妖しい実存的生を描き切るまったく新しい純文学。
次々と知らない町へ、その度に違う誰かに自分を偽りながら、1人の女性が流浪する話。田辺真理子、30歳過ぎ。やがてこの名前は消える。年末のある日、何者でもなく生きたいと望み、住いも仕事も捨てひとり東京を離れ、雪深い北陸の街へと逃れる。理髪店の二階の六畳一間に仮住まいをし、ラブホテルの受付として働きながら日々を過ごす。徹底的に”自分”を消し去って生きようとする主人公。この空虚な生は何を逃れ、また何をもとめてさまようのだろうか…。 名前を変えながらあてもなく彷徨うように居場所を変えていく。死にたいとは思わないし生きたいとも思っていない謂わば空虚な生活を送っている。自分を偽りそこに染まらないうちにまた違う自分になりかわる。既に何人もの名前が自分を通りすぎて、果たして一番初めの”田辺真理子”という名前すら本当なのか危うい。本当の自分を知る人がいない状況ってとても孤独だけど、一方でちょっと開放感もあるような気がする。 主人公の生き方や行動には共感できないけど、ところどころにはかすかながら今の関係をばっさり切り捨てて新しい土地に行きたくなる気持ちは理解できる。これまで読んできた木村作品に出てくる女性に比べて、この小説の主人公はマイナスの方向にアグレッシブというか、なにかしらの後悔を抱えてひたすら逃げている。一人の女性の何物にも縛られないようでいてものすごい閉ざされた印象の残る物語だった。冷たい筆致が見事。「自分らしく」が、前面に打ち出されている現代、こういう「引き」の哲学が新鮮でした。うつろな日々の積み重ねるなかで印象的だったのは、読書。本当の自分を知る人がいない場所で、本を読む主人公に共感。また美味しくなさそうな料理の描写も特徴的でした。




木村 紅美(きむら くみ)

日本の小説家。

1976年、兵庫県尼崎市に生まれる。

その後、神奈川県横浜市、東京都杉並区、福岡県福岡市、千葉県千葉市と転じる。

小学校6年の途中から宮城県仙台市に。同地で中学校、高等学校を卒業。

明治学院大学文学部芸術学科卒業。

ヴィレッジヴァンガード下北沢店に勤務。

2006年、「風化する女」で第102回文學界新人賞受賞。

2008年、「月食の日」で第139回芥川賞候補。

2013年、「夜の隅のアトリエ」で第35回野間文芸新人賞候補。

両親は現在岩手県盛岡市在住。




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