(小説で読み解く「女の一生」3⃣)「かわいそうだね?」綿矢りさ(著)

2016/06/14 (Tue)

女の生き方を題材にした注目作が、女性作家により近年多数刊行されている。
4つの側面に分けて、いま読むべき作家をご紹介。

3⃣少女はやがて大人になる
成長していく過程で、自分を見つめ直す。
歩みは遅くでも、少女は少しずつ大人になる。
妄想が暴走しがちなイタイ女性を描かせたら天下一品・・・綿矢りさ
可愛い顔して結構えげつないこと書くなぁって思うけど、女子のドロドロしてる部分凄く表現うまくて共感。
妄想が暴走しがちなイタイ女性を描かせたら天下一品。
綿矢りさが繰り広げる愛しくて滑稽でブラックな“女子”の世界……。
かわいそうだね? (文春文庫)/文藝春秋

¥540
Amazon.co.jp

「許せないなら別れる」恋人の隆大が元彼女・アキヨを居候させると言い出した。百貨店勤務の樹理恵は勤務中も2人の関係に思いを巡らせ落ち着かない。 彼の行動や発言に疑心感が芽生え始める。会えないとそれが心の中で増殖していく。でも彼の優しさを感じると信じようと思う。 さらに「あれ?おかしいな」が増えていく。そういう時は大抵クロ。 携帯盗み見てフィニッシュ。黄金パターン。 そしてアキヨのクロさは同性にしかわかるまい。 別れて正解!と、樹理恵の決断に拍手!! 彼氏の家に元彼女が転がりこんでいると知り動揺する主人公が最後に怒りを開放する様子が痛快スカッと、ようゆーた!と心の中で応戦した。隆大はずっとこの先も決断しないままだろう。二人でお好きにどうぞ別れて正解!! 強がりも大事かもしれないけど、自分の気持ちをだましたって、ゆがみが出てしまうよなぁ。アキヨの服装の描写になるほど、そういうの着てそう、と思った。天然を装う計算高いアキヨが怖い((((;゜Д゜)))隆大の携帯に保存されていたアキヨのメールは怖かった。男の人って本当に気がつかないのか?全部計算だって。 女性の心理描写のリアルさと、100ページほどの中編できっちりオチをつけてくる手腕に脱帽。よくある設定なのに調理の仕方がものすごく上手い。著者の描く「イヤな女」は本当にリアルで、読んでいても感情移入して腹が立ったりするけれど、イヤな面だけじゃなくてそれぞれが苦しさだったり悩みを抱えて生きている。作中の女の人たちの、たくさんのセリフが心に尽き刺さってゆく。登場人物一人ひとりの心の動きが、的確に表現されている。湿ってもおらず、乾いてもおらず。女の人生って男がいないといけないのかねぇ。やっぱり女は面倒くさい生き物だ(笑) 表題作と、女子同士の複雑な友情を描く「亜美ちゃんは美人」の2篇収録。
綿矢 りさ(わたや りさ)
日本の小説家。
1984年2月1日 、京都府京都市生まれ。
2001年、京都市立紫野高等学校在学中に「インストール」で第38回文藝賞受賞。
2002年、高校を卒業し、早稲田大学教育学部国語国文学科に自己推薦入試で入学(在学中は千葉俊二ゼミに所属)。大学在学中の2003年に『蹴りたい背中』で第25回野間文芸新人賞の候補となり、2004年に同作品で第130回芥川龍之介賞受賞(当時19歳)。金原ひとみ(当時20歳)「蛇にピアス」と同時受賞は話題に。
長編第3作『夢を与える』を発表。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後は専業作家として活動している。
2012年、『かわいそうだね?』で大江健三郎賞を最年少で受賞する。同年、京都市芸術新人賞を受賞。
筆名の「綿矢」は、姓名判断を参考に中学時代の同級生の姓「綿谷」から拝借したもの。
☑発行部数
インストール(ハードカバー) 60万部
インストール(文庫) 29万部
蹴りたい背中(ハードカバー)127万部
蹴りたい背中(文庫) 24万部
夢を与える(ハードカバー) 18万部
(出典はすべて河出書房新社のホームページより)
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