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(小説で読み解く「女の一生」4⃣)「盲目的な恋と友情」辻村深月(著)

kage

2016/06/18 (Sat)

女の一生1

女の生き方を題材にした注目作が、女性作家により近年多数刊行されている。

4つの側面に分けて、いま読むべき作家をご紹介。


アイコンりす今回の書籍案内人・・・・Arika


4⃣女同士の友情
恋にも家族愛にも似た、女同士の微妙なこの感情の正体を探る。


恋だけでなく、友情にも盲目的。
自意識の高い潔癖気味の女性の陰湿な駆け引き・・・
辻村深月

2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。

新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。



 盲目的な恋と友情/辻村深月(著)

盲目的な恋と友情/新潮社

¥1,620
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1盲目的な恋はいつどこにでもあるが、盲目的な友情はあまり見ない。
これが、私の、復讐。
私を見下したすべての男と、そして女への――。

元宝ジェンヌの母親を持つ蘭花は大学に入学オーケストラ部に入部する。オケ部の指揮者の茂実とつき合うようになり恋に未熟な蘭花は盲目的な恋をしていく。だが茂実には隠された秘密があり恋の行方はどうなっていくのか。蘭花と同じオケ部で幼い頃から容姿にコンプレックスがある留利絵は蘭花の親友となることによって自分の存在価値を確保しようとするのだが。期待を裏切らない物語。盲目的な恋はいつどこにでもあるが、盲目的な友情はあまり見ない。友情に自分を委ねてしまう事は少ないから。盲目的な友情は何も見えないから、心もひたすら暗闇に沈んでいく。光が射すように思えるのも思い違いだ。とにかく暗い・・・・。「恋」と「友情」という裏表の章が進むごとに、彼女らニ人の主人公の持つ黒い部分が、自分の中にもまたあるのだと気付く。狂おしい欲情に翻弄された悲劇、友情に潜められた復讐劇。盲目的な感情に絡め取られた時、人はどんな落とし穴が待ち受けているのか迫真的な恐ろしさを感じた。 こんなにも人間の黒い面を目の前に出されたら、そりゃ怖い。客観的に見て、二人とも狂ってる。特に留利絵は、もうやめてーってくらい狂っている。最後になるにつれ肥大し暴走する彼女の底知れぬ渇望が恐ろしかった。「綺麗になりたい」ではなく、「どうして綺麗に生まれてこなかったんだろう」な事。選ばれたいと願う事。自分を守る脆い言い訳を糧にして生きていく事を、なんとも思わなくなっていく事。得体の知れない劣情に蝕まれそう。本当どうして世の中ここまで恋愛至上主義なんだと思ってた事、私もあった。蘭花は恋に盲目になってしまったけど、初めて知った恋って、確かに甘い。チラチラ見え隠れする自意識はある意味、瑠利絵より厭らしく感じた。嫉妬とか独占欲。容姿にコンプレックスを抱く彼女が、太った女性に対して見下すような感情を抱いているシーンが印象的で悲しく思えた。結末に関しては、やはり私の予想を上回る展開で辻村さんの本なので簡単に終わるとは思っていなかったけど、背筋が凍るようなエンディングは震えた。自意識って外から見ると相当いやらしく怖い! 女性の恋と友情。陳腐なテーマだけど辻村さんが描くとこうなるのかと。とりあえず、瑠利絵には、「しっかり自分の人生を生きろ」と言ってやりたいわ。恋と友情、欄花と留莉絵。この対比構造とラストのミステリー的要素。自分や物事に真っ向から向き合えないと書けない作品だと思う。






辻村 深月(つじむら みづき)

1980年2月29日生まれ。

山梨県出身。

千葉大学教育学部卒業。

日本の小説家

小学校6年生の時に綾辻行人の『十角館の殺人』を読んで衝撃を受けて以来大ファンとなる。その後、綾辻の作品を読み漁り、何度もファンレターを送り、編集部の厚意で綾辻本人と手紙やメールを交わす間柄となったほどである。ペンネームの「辻」も綾辻から取られた。

☑経歴
山梨学院大学附属高等学校から千葉大学教育学部卒業。

2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。デビュー作『冷たい校舎の時は止まる』は、高校生の頃から書き始め、その後大学4年間で書き上げた。かなりの長編であり、この枚数を受け入れてくれること、『十角館の殺人』と同じレーベルから出版されるということを考え、メフィスト賞に応募した。受賞は、打ち合わせの編集者に聞いた綾辻本人からの電話で知った。同作のヒロインに自分と同じ「辻村深月」と付けたのは、多くのミステリ作家に倣ったためである。

☑受賞歴
2004年 - 『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞受賞。

2006年 - 『凍りのくじら』で第27回吉川英治文学新人賞候補。

2007年 - 『ぼくのメジャースプーン』で第60回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補。

2008年 - 『名前探しの放課後』で第29回吉川英治文学新人賞候補。

2009年 - 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』で第142回直木三十五賞候補。

2010年 - 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』で第31回吉川英治文学新人賞候補。

2011年 『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞受賞。
「芹葉大学の夢と殺人」で第64回日本推理作家協会賞(短編部門)候補。
『本日は大安なり』で第24回山本周五郎賞候補。
『オーダーメイド殺人クラブ』で第145回直木三十五賞候補。
『水底フェスタ』で第2回山田風太郎賞候補。

2012年 『オーダーメイド殺人クラブ』で第25回山本周五郎賞候補。
『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞受賞。

2014年 - 『島はぼくらと』で第11回本屋大賞候補。

2015年 - 『ハケンアニメ!』で第12回本屋大賞候補。

2016年 - 『朝が来る』で第13回本屋大賞候補。




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