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(マンガで読み解く「女の一生」4⃣)「どぶがわ」「繕い裁つ人」池辺葵

kage

2016/07/05 (Tue)

マンガ読むとく「女の人生」


女の一生にとっての大きな要素を4キーワード設定。

それらの様相を巧みに描き出す、いま注目のマンガ家をご紹介。


アイコンりす今回の書籍案内人・・・・Arika


4⃣暮らしの中の密かなドラマ

生活に注がれる女性ならではのまなざし。

彼女たちはささやかな幸せを見出す天才だ。



「空気」を描く詩人…池辺葵

柔らかい描線の中にもほのかに漂う緊張感。

雰囲気だけではない、本物だけが持つ強さが池辺作品にはある。

衣食住に張り巡らさせた美意識の高さは、そのまま作品のクオリティに反映されている。

どこか懐かしくて、あたたかな作風が人気を呼んでいます。




 どぶがわ/池辺葵(著)

どぶがわ (A.L.C.DX)/秋田書店

¥669
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Arikaアイコン(小)1一種の現代童話です。そして老婆は今日も夢を見る・・・・・。
小高い丘に連なる高級住宅街。その谷底に横たわる、臭気漂う川。川沿いに住む老婆の楽園が、そこにある。皆が顔を歪めて通るその川沿いにあるベンチに座り洗濯物を干しうたた寝をする一人の老婆。華やかな四姉妹が住む屋敷から舞台は一転、どぶがわのほとりでうたた寝する老婆のもとへ。彼女は夢の中では贅沢な暮らしをする深窓の令嬢となる。外国の四姉妹の長女で料理の美味い使用人・ロゼッタの作る料理に舌鼓を打つ。パーティ用のドレスをオーダーしダンスを踊りフォアグラの料理を堪能する日常を送っている。そんな老婆の現実は安アパートに住みアボガドを横目に見つつ豆腐ともやしを買い煎餅布団で本を読みながら眠る毎日。しかし彼女のどこにも悲壮感はない。ひたすら夢の中の贅沢暮らしを楽しみ周りの人の目も気にしない。一種の現代の童話を読んでると、どぶがわは人生そのものに思えてくる。長く生きればゴミも溜まるし臭いもする、時には目を背けたくもなる。刺激がない世界に生きていると私自身は思っていたが、それは私がそう思っているだけで、周りをふと見てみればそこにある美しさがあるのではないか。臭い臭いと笑われるどぶがわの川辺でもそこに美しさを持つ人がいて、それを笑う人の中にも美しさが含まれている気がした。 切なくて、つらいけど、いい物語だった。 人と人がこういう風に関係しあえるならいいのに。そう思える距離感がある。 相変わらず流れる空気感が素晴らしい。この人の漫画は読むというより浸る感じで合う人にはもうたまらんのですよ。他作品同様現実の厳しさだったり抗えない現状を描いているけれど、人の幸せってものは他人には測れないってことを優しく描いています。もちろん答えは人それぞれ。だからこそ他者に指針を預けてはダメで、お婆さんは本当に幸せだったと思う。 妄想の中のフォアグラは、もしかしたら実際よりも「おいしい」かもしれない。孤独の豊かさと孤独者たちのささやかな連帯を描いた感動作。





 繕い裁つ人(全6巻)/池辺葵(著)

繕い裁つ人(1) (Kissコミックス)/講談社

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サウダーデ(2) (Kissコミックス)/講談社

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繕い裁つ人(3) (KCデラックス Kiss)/講談社

¥648
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繕い裁つ人(4) (Kissコミックス)/講談社

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繕い裁つ人(5) (Kissコミックス)/講談社

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繕い裁つ人(6)<完> (KCデラックス Kiss)/講談社

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Arikaアイコン(小)1質素なお店で昔ながらのお客様やそれ以外の人達と紡がれていく柔らかな物語
南市江は祖母が作った町の小さな洋裁店の2代目・職人気質のその繊細な指先から縫い上げられていく服は、美しく、そして強い。市江の作る服を愛する百貨店企画部・藤井とのやりとりは、ビジネスと職人性との関係性において示唆的である。とても地味な感じのお話でしたが、むしろそれで良い。小さな洋裁店の二代目「市江」と、彼女の服に惚れ込んで、ブランド化しようとする「藤井」を軸にお話がまわってゆきます。どのお話も好きなのですが、特に市江が昔の恩師に「死装束を作ってくれ」と頼まれる話が好きです。絵柄はとても素朴で、近頃の美麗なイラストのようなタッチに慣れた方達には食いたりないかもしれません。でもおばあちゃんの焼いたクッキーみたいに、噛めば噛むほど味の出てくる素敵な絵柄です。出てくる服は、作中の女子高生に「ちょっとださくない?」と言われる様な、少し古風なものです。地味で素朴な、大人のマンガ。服と人との関係を描く物語、というのはいくつもあったけど、これはそのとても誠実なひとつだと思う。 職人さんのプロ意識にひれ伏す。              




池辺葵(いけべあおい)

2009年8月、『Kiss』の新人賞・月例Kissマンガセミナーで入賞した「落陽」でデビュー(『Kiss PLUS』2009年9月号)。

その後、『Kiss PLUS』とその後継誌『ハツキス』にて「繕い裁つ人」を連載。この「繕い裁つ人」は『このマンガがすごい!2012』のオンナ編17位にランクイン。また、同作を原作にした三島有紀子監督による実写映画が2015年1月31日に全国公開された。

2014年には『エレガンスイブ』に連載した「どぶがわ」で第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞。

その他の主な作品に「サウダーデ」、「かごめかごめ」、「プリンセスメゾン」がある

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