(サブカル×アート)小林かいちの魅力―京都アール・デコの発見/山田 俊幸・永山 多貴子 (編著)

2016/11/18 (Fri)
2016年11月の特集★
サブカルチャーとアートのあいだにもはや境界線はなし?
美術の教科書では教えてくれない、
日本ならではの豊饒でマニアックなサブカル×アートの世界へご案内。


乙女レトロ
謎のベールを脱いだ「幻の画家」小林かいち。
アール・デコと京都の融合した、古くて新しいイマジュリィの魅力に迫る!!
小林かいちの魅力―京都アール・デコの発見/清流出版

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大正から昭和初期にかけて京都で花開いた魅惑のアール・デコ

小林かいちの絵葉書が一部の熱狂的なマニアに愛されていたほかは、近年まで謎に包まれたデザイナーでした。大正・昭和期の京都で活躍した謎多き画家・小林かいちの作品を読み解くことで、美麗にしてモダンな「京都アール・デコ」。欧米のコレクターによっていち早く評価されたデザイン画は、和と洋が絶妙に折衷したバランス感覚が秀逸。2008年の遺族発見以来、多くの謎に包まれていた経歴が明らかになりつつある。ベールを脱いだ幻の画家に、さまざまな角度から光を当て、多角的に作品の魅力と人物像に迫る。かいちの作品はシンプルなデザインなのに、哀愁を感じさせる作品が多いのが特徴。どこか薄倖な女性のシルエットが大正ロマンというイメージを超えて、現代でも通用する質の高さを誇っています。儚くも切ない女性美を簡潔な筆遣いで表現する力量があるからこそ現代でも表紙を飾ったり、様々なカヴァーとして使用される所以でしょう。眺めているだけで癒されますし、その抒情豊かな世界に引き込まれます。書籍媒体で未収録の作品を掲載し、かいちの絵葉書・絵封筒をテーマごとに編集・解説。資料編では、かいちのサイン別図像一覧や初の年譜などを掲載。 もちろん作品集としても楽しめる。
著者について

┣小林かいち(こばやし かいち)
┣1896年-1968年
┣木版絵師、図案家である。
┣本名は小林嘉一郎
┣数度の転居はあったが、本籍を京都市東山区祇園町に置き、生涯京都で活動する。
┣大正後期から昭和初期にかけて京都で木版絵師として絵はがき・絵封筒などのデザインを手がけた。
┣作風はアール・デコスタイルで叙情性をもち大正ロマンを感じさせるものである。
┣雅号もしくは作品のサインには「嘉一」「歌治」「うたぢ」「う多路」「Utaji」もある。
└──────────────────────────────────
■略歴
┣1896年(明治29年) 京都に生まれる。
┣京都市立絵画専門学校(現在の京都市立芸術大学)で学ぶ。
┣1922年(大正11年)頃 着物の図案家として「歌治」の雅号で活動する。
大正後期から昭和初期にかけて、絵はがきや絵封筒などのデザインを行い、京都京極三条の土産物店「さくら井屋」で版行された。最初は「うたぢ」の号を用いていたが、まもなく「かいち」の名で制作を行う。
┣1942年(昭和17年) トメヲと結婚。後に三男一女を儲ける。
後半生は、京都の「鷲見染工」という染色会社などで友禅の図案家として生計を立てる。
┣1968年(昭和43年)歿。
└──────────────────────────────────
■作風
作品の画面はシンプルでシャープな線と面、印象的な色彩表現によりアール・デコ様式の装飾性を持ち「京都のアール・デコ」とも称される。モチーフはハート・月・星・薔薇・トランプ・十字架・女性などロマンティックなものがよく使われているが、当時の人気漫画「正チャンの冒険」・クロスワードパズル・松井須磨子の歌謡曲など、大正末期の流行を取り入れたものも少なくない。
当時にはモダンと呼ばれた西洋的な様式やモチーフと日本的な雰囲気との調和は華やかな大正ロマンを感じさせるが、目鼻立ちが描かれていないにもかかわらず物憂げな心情を感じさせる女性像など、装飾性を持ちながらメランコリックな雰囲気を醸し出した作風には表現主義の影響が見てとれる。
└──────────────────────────────────
🌸文献
┣山田俊幸 『アンティーク絵はがきの誘惑』産経新聞出版 2007年
┣山田俊幸・永山多貴子 共編『小林かいちの世界―まぼろしの京都アール・デコ(改訂版) 』国書刊行会 2009年
┣生田誠・石川桂子 共編『甦る小林かいち―都モダンの絵封筒』二玄社 2008年
┣山田俊幸・永山多貴子・竹内貴久雄 共編『大正・昭和の乙女デザイン―ロマンチック絵葉書』ピエブックス 2009年
┣山田俊幸・監修『小林かいちの魅力』(執筆:山田俊幸/永山多貴子/芳賀直子/竹内貴久雄/島村元子)清流出版 2009年
┣生田誠・石川桂子 『小林かいち 乙女デコ・京都モダンのデザイナー』 河出書房新社、2013年
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