FC2ブログ
2020 07 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. »  2020 09

《新解釈のキャラで読む古典文学文庫1》変化する平清盛像で読む「平安物語」

kage

2016/11/24 (Thu)

新解釈のキャラで読む古典文学文庫
平清盛1

時代が変われば、キャラも変わる!? 

数百年、数千年もの間、読み継がれている古典文学の名作

「教科書で習ったけど面白くなかった」

「タイトルは知っているけど、読むには敷居が高い」という人も多いのでは?

でも、ちょっと視点を変われば、悪人キャラが英雄に変貌したり、

高貴なイメージの女性作家が実は女子校ノリだったり。

古典キャラクターは”時代が共感”できる姿に変貌する。

独自の解釈で魅力を増大をさせている古典文学文庫で、素敵な古典との出逢いや、古典の新しい楽しみ方を見つけましょう!

アイコンりす今回の書籍案内人・・・・Arika


平清盛を見れば、各時代・作品のキャラの変化は一目瞭然。
ペンギンアイコン3変化する平清盛像で読む「平安物語」

―━━━―…‥‥‥…★

『平家物語』がつくられたのは、鎌倉幕府創設後。

勝者である源氏とそのおかげで支配者の地位を守った貴族や大寺院が、平家打倒の理由や”自分たちの政権や秩序は正しい”ことを人々に納得させるのが目的でした。

彼らを正当化するために、「奢れる悪人」に仕立てられたのが清盛でした。

『平家物語』にはバリエーションがあり、現代の私たちが”古典”として読んでいるのは、14世紀後半になって確立されたテキストです。なかには”こんな良い面もあった”と清盛を評価する部分も見られます。

「政治の理想がちがい、政治的悪行を犯した」という書かれ方をしていました。

しかし時を経て、清盛は”人情がわからず、わがままで乱暴”な人物へと書きかえられていきます。


岩波文庫
 平家物語(全4巻)/梶原正昭・山下宏明 (校注)

平家物語〈1〉 (岩波文庫)/岩波書店

¥1,015
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1時代が生み出した〈奢れる悪人〉の象徴、清盛!
「平清盛=奢れる悪人」と冒頭で宣言し、徹底的に悪役キャラを植え付けた、盛者必衰の物語。反乱分子の討伐・流刑を繰り返し、娘たちを政略結婚させて出世し、法皇までも幽閉し、自分勝手に都を遷し、奈良の寺々を焼き討つ。悶死して当然と思わせるほどの、”傍若無人の極悪ぶり”が描かれています。平家の主要戦力が倶利伽羅峠の戦いで失われて、平家の負けが運命づけられたのですが、あのときも、実際は高いところから次々と落ちて、落ちたところは屍の山、血の海で、すごく悲惨な光景のはずなのですが、それほど悲惨さは感じずにただ、平家の戦力がほとんど失われてしまったなあという感じです。悲惨なものが悲惨なものとして描かれていない明るい物語なので、現代の人たちが読んでも普通に古さを感じることがなく楽しめる古典文学です。本作の 『平家物語』(梶原正昭・山下宏明校注、岩波文庫)は、見開きの左頁がぜんぶ注という贅沢な作りの本なので、一字一句よくわかります。清盛入道も後白河院もキャラ立ちまくりで、善悪明確な時代コミック的な面白さがあります。



講談社吉川英治歴史時代文庫
 新・平家物語(全16巻)/吉川英治 (著)

新・平家物語(一) (吉川英治歴史時代文庫)/吉川 英治

¥799
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1信頼も情も厚い、〈理想の熱血ヒーロー〉、清盛!
それまでの清盛の悪人像を、ポジティブな英雄として表したのが、吉田英治の『新・平家物語』です。因習や常識に囚われず、大らかで、前向き。一方で家族について悩み、それが情け深さにつながる。感情移入しにくかった清盛を、青春小説の主人公のように描かれています。周囲を明るくする快活さと、見る者を和ませる丸っこい垂れ目を持ち、情に厚くて周囲から慕われる。公卿に対して正直に物言う一方で、ズボラな面も。清盛を青年期から描く同作で、そのキャラは”愛すべき英雄”へと変貌しました。養母といわれる祇園女御を実母と設定するなど、清盛史上究極の新解釈。執筆当時は、戦後民主主義が真っ盛りの1950年代。「日本を自分たちで変えていく!」という気運が世に広がっていた、そんな時代背景。吉川英治が生み出した清盛像は、非常に時流にマッチしていたといえます。また、”本当の父親”の正体を簡単に天皇家に結びつけず、最後まで明かさないことも、画期的な描き方でした。『新・平家物語』で、「偉業を成し遂げた清盛」像が市民権を得たことは、その後の平家ものにも影響を与えています。源平の攻防を現代的視点を交えながらドラマティックかつ優雅に描きあげた傑作なので、読んで損なし!てらいのない文章で、16巻最後まで読ませてしまう筆力はさすが、吉川英治です。



PHP文芸文庫
 清盛/三田誠広(著)

清盛 (PHP文芸文庫)/三田 誠広

¥782
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1貴族なのか、武士なのか〈自分の運命に苦悩〉する、清盛!
数百年続いた貴族政治に幕を引き、史上初の武家政権を誕生させた平清盛。本書は、出生の謎を秘めた無頼の若武者が、平家の棟梁として時代の変革者たり得ていく過程を史料を踏まえてダイナミックに描いた歴史長編。「ここは自分のいるべき場所ではない」。帝の血を引くものの、貴族でもなく、武士にもなりきれない清盛。悲運を抱え、寡黙で冷静な、影のある男として描かれています。しかしその胸に秘めた冷徹な炎は、野望の魂となり、冷徹な独裁者の姿となって燃え盛る。母の顔を知らず、「無頼の高平太」と呼ばれた一介の武士が、保元の乱を契機に、一気に出世街道を駆け上がっていく出世道としての清盛像。わずか10年余にして太政大臣にまで昇り、権勢を一手に集めて平家全盛の世を現出させる。さらに彼の夢は「福原遷都」という壮大な野望へと向かう。しかし源頼朝挙兵の報を聞き、一族の行く末に不安を覚えつつ身罷ることになる。政大臣に昇って一族の栄華を極めながら、志半ばにして病に倒れる清盛の生涯・・・・。2012年大河ドラマ「平清盛」の主人公とその時代がより深く、よりよくわかる力作小説。 しかも清盛の生涯を1冊で読みたい人にはおすすめの文庫です。



文春文庫
 宮尾本 平家物語(全4巻)/宮尾登美子(著)

宮尾本 平家物語〈1〉青龍之巻 (文春文庫)/文藝春秋

¥885
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1亡き母への想いが〈女たちの愛憎劇〉の原因に?
若き清盛は自らの運命を如何に受け止め、この乱世をどう生き抜いていくのか?―清盛を中心に平家一族の視点から物語をとらえ、新たな歴史絵巻として世に問う著者畢生の超大作。単なる軍記物としてではなく、宮尾作品の魅力と醍醐味ともいえる女たちのドラマをふんだんに織り込んで、清盛と関わった女性を軸に、源平の世を映し出す、清新な「平家物語」です。嫁vs姑、正嫁vs妾など、女同士のドラマが繰り広げられていく。その一方で、「世に母恋う心ほど純真で美しきものはござらぬ」と、3歳で死別した実母の面影を追い続ける清盛は、マザコンの極み? 政敵・源義朝の愛妾や正妻・時子の妹にまでも恋をする始末w。『宮尾本・平家物語』では、”清盛は偉い”という前提で、彼を取り巻く女性の姿を多様に書き分けています。全体的に政治的な背景を薄くし、女流作家ならではの感性、著者特有の歴史観・社会観が伺われて、なかなか面白い書き下ろした小説になっています。これは、女性を通して当時を知りたいという女性読者がたくさんいたという時代背景も関係していたのでしょうね。吉川英治の『新・平家物語』よりは、はるかに史的解釈が現代的になっているので、時間があれば両者を読み比べてみるのも一興かも知れません。




中公文庫
 双調 平家物語(全16巻)/橋本 治(著)

双調平家物語1 序の巻 飛鳥の巻 (中公文庫)/中央公論新社

¥価格不明
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)1野心なき男・清盛を〈栄華〉に導いたものは――!
これは、「栄華」という幻想に憑かれた男達の物語である。話は、平清盛から始まらず、その栄華の原型を作った藤原氏、更には、本朝が範とした中国の叛臣伝から始まる。秦の趙高、漢の王莽、粱の朱い、唐の安禄山。彼等は真実、叛臣なのか。そして、万世一系の我が朝に、果たして真実、叛臣はあるのか。そして、万世一系の我が朝に、果たして真実、叛臣はあるのか――。 野心は「ない」も同然だった清盛は、時代のうねりに翻弄され、望むことなく公卿として昇進を遂げる。武者としては前例のない栄華を得、栄華の高みにやられ、退けられる。 策謀? 男色? 清盛の運命を動かしていたのは、一体誰だったのか―――。古代中国、飛鳥時代の日本から始まる、全16巻という超巨編なので気構えて読み始めたら、意外と読みやすい、分かりやすい、面白い。古典という先入観は一切不要。国づくりあり、権力ゲームあり、男寵あり、合戦あり。雅な言葉のシャワーも心地よい。蘇我の稲目、蝦夷、入鹿の親子三代とその血のつながった天皇と跡目のお話から平家の夢の終わりまで非常に具体的。橋本版『平家物語』には、歴史の教科書にあるような単純化され、確立した”英雄”は存在せず、権力構造のさまざまに位置する男たちの思惑が重なって時代が動いていく様子を描いています。勝負はとっくの昔に決しているのに、逃走をつづけなければならない平家一門の無惨に空虚を感じます。かくして屋島にあった平氏一門は、源義経率いる源氏軍によって、ついに長門の国壇ノ浦で海に沈む。 しかし、鎌倉幕府とて同じこと。数年でむなしく霧散していきます。残るはそれぞれを弔う寺ばかり。偉大すぎる長編物語。



集英社文庫
 波に舞ふ舞ふ 平清盛/瀬川貴次(著)

波に舞ふ舞ふ 平清盛 (集英社文庫)/集英社

¥価格不明
Amazon.co.jp

Arikaアイコン(小)12011年、 清盛はイケメン化へ…。
ラノベ作家が軽妙に描く〈苦悩する美男子〉の青春!
貴族社会で武士が力を蓄えつつある平安末期。武家の二大勢力のひとつ、平家の総領息子の清盛は十九歳。海賊討伐に赴いた西国で出会い、戦の犠牲になった娘のことが忘れられずにいた。そんなある日、清盛は自らの出生の秘密を知ってしまう。苦悩し悲嘆にくれる彼の前に、西国の娘に似た乙女が現れ…。傷つき、迷いながらも成長する等身大の青年・清盛の姿を鮮やかに描く、書き下ろし大河ロマン。 イケメン清盛、見参! 優し気な顔立ちをした色白&長身の好青年は、普段はおだやかだが、天狗のような身のこなしと、鬼神のごとき剛胆さをあわせ持つ。物語は、戦の犠牲になった女の幻想にとらわれながらも、恋や友情を通じて成長していく青春記。魅力的な物の怪も登場するラブファンタジー系「平清盛」のアニメ化を望む!!!



☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆★
2011年、

『波に舞ふ舞ふ 平清盛』(瀬川貴次)で、清盛はついにイケメン化へ…。

☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆★

祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声(こえ)、諸行(しょぎょう)無常の響きあり。

娑羅双樹(しゃらそうじゅ)の花の色、盛者必哀(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらは(わ)す。

おごれる人も久しからず、唯(ただ)春の夜(よ)の夢のごとし。

たけき者も遂にはほろびぬ、偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ。



この冒頭部分に『平家物語』全体の「この世の全てのものは常に変化・生滅し、永久不変なものはない」というテーマが凝縮しています。

琵琶法師たちによって語り継がれてきたことに思いを馳せ、古典文学での人物像もまたその時代背景で常に変貌し続けます!

歴女や仏女が増えた今、”歴史でなく、キャラへの関心で歴史ものを読む”という若者の声もあります。

歴史ものの読者が求めるのは、今ここにある”現実以外の世界”

そこに現代人が共感できる登場人物が現れ、初めて、その世界を活き活きと楽しむことができます。

だからこそ、時代の要請を受けながら、キャラクターは造形され続けていくのです。






関連記事
スポンサーサイト



コメントフォーム

kage


URL:




Comment:

Password:

Secret:

管理者にだけ表示を許可する

この記事へのトラックバック