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歌舞伎(決まりごと・かけ声)

kage

2017/04/20 (Thu)

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1:決まりごと
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歌舞伎はその歴史的経緯から庶民的娯楽の側面が強く、常識の範疇でマナーを守れば本来、あまり緊張し肩肘はって観劇する必要はない。しかし、掛け声は上演中に観客から声を発する行為であり無制限に行えば雑音となるため、不文律として以下に挙げられる決まりごとが言われることが多い。絶対的なものではないにせよ、これらも一種の観劇マナーと考えられる。

誰がやるか
決まりを守って声を掛けるならば、男性ならば誰がやってもよい。声を掛ける団体に所属する必要はない。

場所
劇場の後方に陣取る。「安いから」「天井に近く、声が天井に反射してとても通りやすいから」という理由である。反対に、桟敷席や1階席から声をかけるのはご法度とされる。他の見物の邪魔になるからである。前方の座席から声がかかると、後方の客はのけものになったような気になってしまう。

タイミング
狂言によってさまざまなポイントがあるが、「面張り(とくに揚幕)」「引っ込み」「見得(ツケが入る)」「幕切れの柝頭」にかけるのが一般的である。原則として舞台が無音のときに掛ける。

性別
男性が掛けるのが一般的である。女性が声を掛けてはいけない。


よく通る声やわかりやすい声がよい。掛け声だとはっきりわかる声で掛けなければならない。声の大きな独り言のようであってはならない。


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2:掛け声
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役者に対する掛け声には、以下の種類がある。

■屋号
これが基本。
そもそも歌舞伎役者は姓名ではなく屋号で呼びかけるのが礼儀(「市川さん」「團十郎さん」ではなく、「成田屋さん」と呼ぶ)。

☑成田屋!(十二代目市川團十郎)
☑音羽屋!(七代目尾上菊五郎)
☑澤瀉屋!(三代目市川猿之助)
☑中村屋!(十八代目中村勘三郎)
☑紀伊国屋!(九代目澤村宗十郎)

屋号の詳細については「歌舞伎役者の屋号一覧」の項を参照。


■屋号に接頭辞をつけ「屋」を落とす

「大」(おお): その屋号を代表する長老や看板役者に対して
┣大播磨!(初代中村吉右衛門、播磨屋)
┣大成駒!(六代目中村歌右衛門、成駒屋)
┣大松嶋!(十三代目片岡仁左衛門、松嶋屋)

┗・・・ただし「大」は成田屋・音羽屋・中村屋・紀伊国屋などには決してつかない。

「若」(わか): その屋号の次世代の代表格に対して
┗若天王!(五代目中村富十郎の長男中村鷹之資、天王寺屋)

「豆」(まめ): その屋号の次世代の代表格でまだ成人に達していない者に対して
┗豆松嶋!(片岡孝太郎の長男片岡千之助、松嶋屋)

「名の一字」: 名の一つ目の文字を接頭辞とするバリエーション
┗又播磨!(二代目中村又五郎、播磨屋)


■役者の自宅の町名
※その役者が、近親以外で同じ屋号の格上の役者と同じ舞台に立つときには、屋号を用いないで町名で掛ける。

・永田町!(六代目尾上梅幸)
・紀尾井町!(二代目尾上松緑)
・弁慶橋!(二代目尾上松緑)
・神谷町!(七代目中村芝翫)


■〜代目
※累代伝来のお家芸や時代物ではこれがよくでる。
襲名披露興行やその後しばらくの舞台では特にこれが掛かることが多い。

☑十二代目!(十二代目市川團十郎)
☑七代目!(七代目尾上菊五郎)

┗・・・ただし歌舞伎の世界では通常「九代目」といえば九代目市川團十郎のことを、「六代目」といえば六代目尾上菊五郎のことを指すので、「九代目」「六代目」という声が掛かることはまずない。


■役者の異名
┣☑大統領!(二代目市川左團次、翻訳劇に積極的に取り組んだため)
┣☑大時計!(六代目坂東彦三郎、趣味の時計蒐集が有名だったため)
┣☑銀行員!(五代目市川三升、サラリーマンから転職して市川宗家を継いだため)
┣☑校長先生!(六代目尾上菊五郎、日本俳優学校の校長だったため)

┗・・・ただし他の舞台で演じた役名は用いない。
「ラマンチャ」(九代目松本幸四郎)とか「鬼平」(二代目中村吉右衛門)などとは決して掛けないのが礼儀。


■役者の姓
一座のほぼ全員が同じ屋号をもつ場合、上記 3 で役者の住所が不明な場合、前進座の役者で歌舞伎の名跡を得ていない場合などにこれが出る。新派では歌舞伎名跡があっても姓で掛けることが多い。

☑長谷川!(長谷川一夫、松竹離脱事件をきっかけに歌舞伎の名跡「林長二郎」を成駒屋に返上したため)
☑水谷!(二代目水谷八重子)


■汎用句的な掛け声
※だれにでも用いることができる。

「日本一!」
「待ってました!」
「ご両人!」


■大向うからのメッセージ
☑たっぷり! / たっぷりと!(=「存分に楽しませてくれ」)

☑お父さんそっくり! / 〜代目そっくり!(名人として知られた故人の当たり役に若い当代が挑む場合などでは応援の掛け声となるが、通常は「独自性に乏しい」という批判的な掛け声)

☑よくできました!(=「期待どおり」)

☑大根! / へたくそ!(今ではこうした厳しい声はまず掛からないが、戦前までは日常的だったとされる。)






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