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(恋する小説・マンガ)マンゴスチンの恋人/遠野りりこ(著)

kage

2017/06/16 (Fri)

2017年6月の特集本
恋する小説マンガ1

もうすぐ夏・・・

今年こそは!と、思うあなたも、

ドキドキする気持ちを思い出したい!というあなたも、

小説で、マンガで、何度もおさらいしちゃってください。

なるほど~💛と、思うことがたっくさんの恋するシリーズを、どさっとご紹介。

アイコンりす今回の書籍案内人・・・・Arika

好きなことに理由なんていらない
いろいろなマイノリティな愛のかたち小説


 マンゴスチンの恋人/遠野りりこ(著)

マンゴスチンの恋人/遠野 りりこ

¥価格不明
Amazon.co.jp

表紙は小玉ユキさん。



Arikaアイコン(小)1薄っぺらな好きなら、こんなに心は痛まない
すべての人に“刺さる”セクシャルマイノリティの4つの恋の物語 

高校生を中心としたセクシャルマイノリティーを題材にした連作短編集。この本の中身は四編の短編小説。と言っても、全く関係のない四つの話ではなく、主人公はある高校の同じクラスの三人と一人の生物教師。でもやっぱり四人が持っているのはそれぞれの物語。高校の生物教師が植物を喩えに話す授業が一貫して挟まれるので自然界と人間界の違いや不自由さ不条理さを考えさせられました。

表題作『マンゴスチンの恋人』。高校2年生の季里子は幼い頃のトラウマが原因でいまだ恋を知らず悩んでいた。クラスメイトの勇司から繰り返し告白されてもその気になれなかったが、ある日出会った人妻・笙子に心を動かされ、肌を重ねるようになる。今までにない感情を知ったと思ったら、あっさりと別れはやってきて・・・・・。自分の厚い殻が破れ、次への恋へ進む。甘酸っぱく、切ない、青春小説。

『テンナンショウの告白』。季里子と同じクラスの実森は、芸能事務所からスカウトがくるほど容姿端麗な学校一の美少女。その見た目のかわいさから「姫」などと呼ばれているが、本人はそう呼ばれるのを好んでいない。言葉づかいは荒いし、男勝りの女子。恋人の女癖の悪さにウンザリしていたところに、存在感の薄いオタクの雪村から体の変化についての悩みを打ち明けられる。彼の悩みを聞きながら、実森は雪村の人柄に信頼を寄せていく。いじめられっ子で内気で身体の悩みを持つ男子と校内一の美少女(性格はキツく彼氏はイケメンだけど浮気性)が交流を深めていく過程に心が熱くなりました。雪村が最後、うなだれたのは何でだろう?

『ブラックサレナの守人』。実森の友人・葵は、別にブサイクというわけではないが、実森と友達になってしまったがために、彼女と一緒にいると自分が劣っているのがわかる。その足りない部分を補うにはお金が必要だった。それゆえに葵は援助交際をバイト感覚でしていた。しかしあるとき、鈴木という男性に写真をばらまかれたくなかったら30万用意しろと脅迫され、追いつめられていた。
謎のクラスメイト・魚住の弱みを握っていた葵は、魚住を脅して協力を仰ごうとするが、魚住から逆に脅され、ある計画の協力者になることを要求される。「一つだけ何でも言うことをきく」ことを条件に協力してもらえることになるが、その条件とは、「一日だけ彼女のフリをすること」。果たしてその理由は?叶わぬ恋に胸が痛くなる。魚住と葵が真っ黒で強烈だった。妬んだり見下したり、嘘を塗り重ねて必死に本心を隠すのは疲れるし面倒くさいと感じるのは、私が歳を重ねて経験値が増えたからか。葵はひどく痛い結果になったがこれも経験。伝えられない同性への気持ちをかかえて絶望する魚住と、その魚住を好きになって絶望する葵の話が一番苦しいけど印象に残った。

『ヒガンバナの記憶』。季里子たちが通う高校の生物教師、板東の視点。生物教師の梢は同性愛者であることをカミングアウトするべきか悩んでいた。受け持ちの女生徒・季里子がつけていたアクセサリーを見て、梢はそれがかつて自分の元を去って行った恋人が作ったものだと直感し、彼女に会いに行く決心する。マジョリティの道を進むことを決めた笙子とマイノリティのグループで生きることを決めた板東。

四つの話で共通することはこの短編は性的少数派の人々を中心に紡がれていること。話しが同時系列のような形なのに、それぞれキャラの違う登場人物の物事の受け取り方が違っていて、高校生らしいピュアさや苛立ち、感情の混乱がなんだか若々しくて新鮮で楽しく読めた。ミモと雪村、天のその後が気になる…。重要人物は板東先生。こんな人が近くにいればいい。多分だけど、作者の遠野りりこも板東先生を描くことを第一目的としてこの短編集を書いたんじゃないかなと思います。表題作はハッピーエンド!3本目は切ない。4本目はなんだか勉強になりました。恋や恋愛にもいろんな形があります。誰もが少女漫画のようにうまくいかない世界で、信じられるものを探してる。花の例えはどれも残酷ですが、凄く美しいと思いました。「あんたたちの好きやかわいいは薄っぺらいんだよ」っていうミモの言葉が響きます。性の多様性。植物での例えもよかった。なかなかの良作。これはおすすめしたい。

ちなみに表紙は、『坂道のアポロン』などで人気の漫画家・小玉ユキさんが、初めて文芸書の装画を手掛けています。




話題の恋愛小説をコミカライズ
 マンゴスチンの恋人/水谷 愛 (著) 遠野 りりこ (原著)

マンゴスチンの恋人 (フラワーコミックススペシャル)/小学館

¥価格不明
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「男」でもなく「女」でもない、インターセックスの少年。

幼なじみの同性の友達を、好きになってしまった少年。

子供の頃のトラウマで、男の子とつき合えない少女。

同性愛者であることをカミングアウトするか、迷っている教師。

多感な青春期に心は揺れ傷つきながらも、人を好きにならずにいられないセクシャルマイノリティの男女のそれぞれの恋を描いた、第12回小学館文庫小説賞受賞作を完全コミカライズ。

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