(恋する小説・マンガ)はだかんぼうたち/江國 香織(著)

2017/06/17 (Sat)
2017年6月の特集本
もうすぐ夏・・・

今年こそは!と、思うあなたも、
ドキドキする気持ちを思い出したい!というあなたも、
小説で、マンガで、何度もおさらいしちゃってください。
なるほど~💛と、思うことがたっくさんの恋するシリーズを、どさっとご紹介。

好きなことに理由なんていらない
いろいろなマイノリティな愛のかたち小説
はだかんぼうたち/江國 香織

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はだかんぼうたち (角川文庫)/江國 香織

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静かに琴線に触れる恋に生きる大人たちを描いた恋愛小説。35歳独身、歯科医・桃は、6年付き合った結婚目前と思われていた恋人と別れ9歳下の鯖崎と交際中。桃の親友・響子は元走り屋の夫や4人の子供とせわしない日々を送る主婦。60歳目前に家族を捨て響子の母・和枝と同棲した山口だが、和枝が急死し途方に暮れる。桃の恋人・鯖崎は、桃と付き合いながらもやがて響子に惹かれはじめ桃にその気持ちを公言する。年下男性との恋。親友の恋人との逢瀬。60歳目前での同棲…。桃を軸に桃の家族、親友夫婦、鯖崎などの10人程の人物たちの物語が少しずつ繰り返されました。良くも悪くもどの登場人物も自由奔放で"誰かを求める"思いに、あまりに素直な男女たち="はだかんぼうたち"ばかり――。
みんな自由でしたたかで冷めてて一途で不器用で可愛くてさ。思い通りになんて生きられないけど自由なんだよね。桃が「みんな、いつまでこんなことをするのかしら」というより、そもそも人は、どうして誰かを選ばなければならないのだろう。裸の心ですべてをさらけ出してしまうと、一人の人なんて選べない・・・それはすごく正直な気持ちだと思う。そして、いつも誰かと繋がっていたい、たしかな安心できる物も欲しい。要するに、心はいつも寂しいんだ。傷だらけなんだと思わざるを得なかった。テンポよくクルクルと、一人称語をする登場人物が変わるので、誰かひとりに感情移入したり、共感したりするというよりは、客席で舞台の演目を見ているような距離感をキープしながら読み終えた。恋とか愛とかな感じ、男と女という生き物の関係性に、いいも悪いもないという価値観を体現する江國香織作品らしい登場人物たちは、いつものようにそれぞれみんな愛おしく、そしてちょっと淋しく、悲しかった。明確なラストが準備されているわけでなく、なんとなく終わってしまうことを不満に思う読者もいるだろうけど、私はこの人達にはこのラストがお似合いな気がします。未来がないと知りつつも誰かを求めてしまう…今の自分にも若干重なる部分があり、小説を読みながら夢を見させてもらった感じです。
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