FC2ブログ
2019 11 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. »  2020 01

今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…新潮社文庫フェア『ヤバイ本×21』

kage

2017/08/22 (Tue)

夏イチ

新潮文庫の100冊

★9月末までの期間限定配信!
文庫フェア



潮文庫『新潮文庫の100冊』。

2017年のテーマ「この感情は何だろう。」


毎年夏になると、出版各社の文庫を紹介したパンフレットが書店に並びます。

これらのパンフレットのなかでも「新潮文庫の100冊」のキャンペーンは、1976年から始まり40年近い歴史があります。

2900余点の新潮文庫の中から編集部が厳選した100点を、「恋する本」「シビレル本」「考える本」「ヤバイ本」「泣ける本」の5テーマに分類しておすすめします。

■今年の特典


#キュンタ大作戦

新潮社が毎年展開しているフェア「新潮文庫の100冊」がスタートした。

 今年の「新潮文庫の100冊」には、宮部みゆき『荒神』や湊かなえ『豆の上で眠る』、朝井リョウ『何者』、河野裕『いなくなれ、群青』などがラインナップされ、フェア対象本を1冊買うと新潮文庫のキャラクター「キュンタ」のしおり(4種類)がその場でもらえる。

 ほかに、アイドルグループ「嵐」の大野智主演で映画化された「忍びの国」やマーティン・スコセッシ監督による映画「沈黙―サイレンス―」の原作、2016年に岩手県盛岡市にある「さわや書店フェザン店」が《文庫X》として表紙を隠す売り方をして話題を呼んだノンフィクション作品『殺人犯はそこにいる』なども対象となっている。

期間中はInstagramやTwitterにハッシュタグ「#キュンタ」を付けて投稿すれば、抽選で100名様に「純金キュンタしおり」が当たるキャンペーンを実施する。また、夏目漱石『こころ』や星新一『未来イソップ』、トルーマン・カポーティ・著、村上春樹・訳『ティファニーで朝食を』など計8冊の限定プレミアムカバーも発売される。

【応募締切】2017年9月6日正午まで

■フェアのジャンル項目


恋する本
シビレル本
考える本
ヤバイ本
泣ける本



ヤバイ本×21


わたしのたった一つの望みは、母に優しく触れてもらうことだった。(P170)
 母性/湊かなえ(著)

それを求めることが、不幸の始まりなのかもしれない――。

圧倒的に新しい「母と娘」の物語(ミステリー)。 


母性 (新潮文庫)/新潮社

¥637
Amazon.co.jp

女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。……遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも――。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語(ミステリー)。

Arika報告書v1アイコン中庭で倒れていた娘。母は嘆く。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」―― その悲劇は事故か、それとも。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。母の手記には同調できなかったけれど、娘の回想の章は切なくて、最後の数行は涙が出た。母親の手記と娘の証言による構成。相手に対する思いやりのすれ違いを元に人の心の醜が表現されている。想いは言葉に出さないと伝わらない。母性とは親にしてもらったことをしたい、自分が感じた物足りなさを子どもには感じさせないようにしたいと思うことなのかなと思います。





椅子の中の恋!(P271)
 江戸川乱歩傑作選/江戸川乱歩(著)

読者諸君、これが日本で一番美しい犯罪小説だ。

耽美的トリック×倒錯的フェティシズムが交錯する、

本格探偵小説を確立した初期傑作9編。


江戸川乱歩傑作選

限定プレミアムカバー

日本における本格探偵小説を確立したばかりではなく、恐怖小説とでも呼ぶべき芸術小説をも創り出した乱歩の初期を代表する傑作9編を収める。特異な暗号コードによる巧妙なトリックを用いた処女作「二銭銅貨」、苦痛と快楽と惨劇を描いて著者の怪奇趣味の極限を代表する「芋虫」、他に「二癈人」「D坂の殺人事件」「心理試験」「赤い部屋」「屋根裏の散歩者」「人間椅子」「鏡地獄」。

Arika報告書v1アイコン日本における本格探偵小説の確立者乱歩の処女作「二銭銅貨」をはじめ、「人間椅子」などその独特の美学によって支えられた初期の代表作9編。子供心に面白いクライムノベル「二銭銅貨」や「赤い部屋」、緊迫した「Ⅾ坂」「心理試験」そしてエロティックで両親には秘密の「芋虫」や「鏡地獄」。どれを読んでも雰囲気があって、短いのに満足感たっぷり。 醜いもの不気味なものに惹かれる好奇心を満たしてくれるのは勿論、最後に収録されていた『芋虫』の凄絶さに打たれた。戦争で四肢を失い、五官さえも奪われたその人が、最期に柱に遺したたった3文字の言葉こそは、人間性というものの代え難い尊さを示している。乱歩の興味は確かに不気味な閉鎖的空間を創り出すことにあったのかもしれないけれど、その闇色のコントラストが濃いほどに、浮かび上がるものもくっきりと見えるように思う。やはり原作のもつパワーはすごい。





わたしはね、骨の髄から、戦うことが好きなんだよ。(P242)
 精霊の守り人/上橋菜穂子(著)

数多くの受賞歴を誇る名作、ついに文庫化! 

痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。


精霊の守り人 (新潮文庫)/新潮社

¥637
Amazon.co.jp

老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。

Arika報告書v1アイコン精霊の卵を宿す皇子チャグムを託され、命をかけて皇子を守る女用心棒バルサの活躍を描く物語。本格ファンタジー。短槍の使い手にして女用心棒のバルサに託されたのは新ヨゴ皇国の二ノ妃の子、皇子チャグム。初めはバルサの活躍が全面に出たアクションを楽しむ作品かと思いましたが、読み進めるとチャグムの成長とバルサの考え(気持ち)の変化を見守るように読むのが正しい姿勢かと思えてきた。著者は文化人類学の准教授。ファンタジーとしての世界観を確立しつつ実社会に共通する葛藤や理不尽を描き、出てくる人間はその中で力強く生きています。建国の歴史や伝承を頼りに謎解きをしていくあたりは、さすが文化人類学者だと納得させる。無論、刺客や魔物と対峙するバルサのアクションも見物。海外にはハリーポッターがあり指輪物語に通じる日本版本格ファンタジー「守り人」シリーズ。矜持すら感じさせる壮大な物語。 完全な「悪人」は出てこなかったり、先住民と国家の関係、戦いを生業にする主人公が女性で、彼女を見守り帰る場所を守っているのが男性というあたりもおもしろい。 もし一つ難をつけるとすれば、もう少し旅や冒険をする要素があれば物凄い作品になっていた気もします。著者は2014年国際アンデルセン賞作家賞受賞。





欠けて困るものなど、何一つありはしない。(P103)
 砂の女/安部公房(著)

来る日も来る日も砂・砂・砂……。

砂の女 (新潮文庫)/新潮社

¥562
Amazon.co.jp

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のうちに、人間存在の極限の姿を追求した長編。20数ヶ国語に翻訳されている。読売文学賞受賞作。

Arika報告書v1アイコン新種の虫を探しに砂丘へと出かけた男が、滞在した部落で村の女と深い砂穴の底に埋もれていく一軒家に故なく閉じ込められ、あらゆる方法で脱出を試みる男を描いた物語。サスペンスフルな展開に引き込まれ、気づけば砂という不思議な存在に魅せられている。自由という言葉の本質に迫った、砂穴よりも深く、砂よりも密な一冊。さすが世界20数カ国語に翻訳紹介された名作。人間の本質がよく描かれており、終わり方に少しゾッとした。





想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める。(P63)
 何者/朝井リョウ(著)

就活のため、拓人は同居人の光太郎や留学帰りの瑞月らと集まるが――。

直木賞受賞作!


何者 (新潮文庫)/新潮社

¥637
Amazon.co.jp

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。

Arika報告書v1アイコン就活対策のため、拓人は同居人の光太郎や留学帰りの瑞月、理香らと集まるようになるが―――。がむしゃらに頑張ることが恥の世代。いるいる!こんな人達! 神経を逆撫でされるようなことばかり、エラソーにいう人間。自分だけ、人とは違っているんだとアピールして。 著者の人間観察の鋭さに唸らされた クライマックスでは、かなり度肝を抜かれ、胸に刺さった。SNS怖い。ある意味でホラー。衝撃のラストが襲いかかる戦後最年少の直木賞受賞作。




擦れ違うことのないふたりの背中を、それぞれの背負った月がたれしている。(P327)
 幻色江戸ごよみ/宮部みゆき(著)

幻色江戸ごよみ

江戸の怪異譚と人情ばなしを四季折々にたどる、ミヤベ・ワールド新境地!

Arika報告書v1アイコンその男は毎年、神無月に盗みを働く。なぜ……?傑作短編「神無月」をはじめ、江戸下町の人情と事件を四季折々に辿る珠玉の12編。江戸の市井の人を題材にした短編が12編、「鬼子母火」「だるま猫」「小袖の手」、本当の怪奇譚もあれば、「まひごのしるべ」は母性溢れるミステリー。「神無月」は娘のために盗みを働く職人の父と事件の謎に気づいた岡っ引きの哀愁漂うサスペンス。「紙吹雪」は母子を心中に追い込んだ金貸しに対する凄惨な娘の復讐劇。12編全てが丹念に作り込まれていて出来栄えがいい。どれも江戸時代の人々の情緒が伝わってくるし、読み終わってからしばらく余韻が残る。中でも「紅の玉」と「だるま猫」、「器量のぞみ」がお気に入り。一番好きな話は、第9話の「首吊り御本尊」、もしこれがご隠居の作り話だったというのであれば、かなりひねりが効いている。





心という奴は何という不思議な奴だろう。(P13)
 檸檬/梶井基次郎(著)

こんな世の中、こんな自分、みんな爆破してしまいたい。 

檸檬 (新潮文庫)/梶井 基次郎

¥464
Amazon.co.jp

31歳という若さで夭折した著者の残した作品は、昭和文学史上の奇蹟として、声価いよいよ高い。その異常な美しさに魅惑され、買い求めた一顆のレモンを洋書店の書棚に残して立ち去る『檸檬』、人間の苦悩を見つめて凄絶な『冬の日』、生きものの不思議を象徴化する『愛撫』ほか『城のある町にて』『闇の絵巻』など、特異な感覚と内面凝視で青春の不安、焦燥を浄化する作品20編を収録。

Arika報告書v1アイコン昭和文学史上の奇蹟として高い声価を得ている梶井 基次郎の著作から、特異な感覚と内面疑視で青春の不満や焦燥を浄化する20編の収録。体が弱く肺病を患い、31歳で他界した梶井氏。肺病による血痰や咳、不眠。追い込まれていく不安。多くの短編の中に、その憂いが描かれている。だから、レモンエロウの檸檬は、彼にとっての届かぬ象徴、希望だったのかなと思える。陰鬱なばかりでなく、よくよく噛んで読むと、高尚な文章に面白いことが描かれている! 誰にも気づかれずに覗いている私の「観察眼」が凄い。『桜の樹の下には』や『冬の蠅』も一見グロテスクなようでいて、考えてしまうところがあって良かった。




ただの物語が、胸を離れない。(P294)
 儚い羊たちの祝宴/米澤穂信(著)

味わえ、絶対零度の恐怖を。

ラストの1行で世界が反転。

新世代ミステリの旗手が放つ衝撃の暗黒連作。


儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)/新潮社

¥価格不明
Amazon.co.jp

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

Arika報告書v1アイコンお嬢様の読書サークル「バベルの会」を巡る五つの事件。衝撃のラスト一行が、あらゆる予想を覆す。甘美にして邪悪な、ミステリの快楽をここに。残暑を吹っ飛ばす、寒気のする ミステリーでした。「身内に不幸がありまして」が個人的に好きでした。「山荘秘聞」の屋島守子は、読み進めるうちに 寒気がしました・・・ヒ~、ゾクゾク! 五十鈴も最後の一行で恐怖が。怖かったー!!最初の短編を読んでゾクリとし、そのあとはずっと、誰が人を殺すのだろうと疑心暗鬼状態で読み進めた。「バベルの会」の秘密が最終話で明らかになります。 5話通じてこの「バベルの会」が微妙に絡みあってくる。 米澤作品は癖のあるキャラが良い。他のミステリに出てくる言葉がちょこちょこ出てきて、更に恐怖を煽る。





私に命令できるのは、この世界で私ひとりだけ・・・・・。(P342)
 本屋さんのダイアナ/柚木麻子(著)

私は大穴(ダイアナ)。

こんな名前を初めて褒めてくれた、あの子。

最強のガール・ミーツ・ガール小説!


本屋さんのダイアナ (新潮文庫)/新潮社

¥680
Amazon.co.jp

私の名は、大穴(ダイアナ)。おかしな名前も、キャバクラ勤めの母が染めた金髪も、はしばみ色の瞳も大嫌い。けれど、小学三年生で出会った彩子がそのすべてを褒めてくれた――。正反対の二人だったが、共通点は本が大好きなこと。地元の公立と名門私立、中学で離れても心はひとつと信じていたのに、思いがけない別れ道が……。少女から大人に変わる十余年を描く、最強のガール・ミーツ・ガール小説。

Arika報告書v1アイコン私の名は、矢島大穴。変な名前も金髪もはしばみ色の瞳も大嫌いだった、あの子に出会うまでは。心ふるえる最強のガール・ミーツ・ガール小説。この本を読んだ人は誰だって、不器用で純粋なダイアナと彩子のニ人を抱きしめたくなるだろう。 それだけ、ニ人には応援したくなる強さと美しい心があるのだ。 少女小説の端々をオマージュしたこの物語には、私たち大人になった少女達をセピア色の思い出とともに包み込んでくれる気がする。私はどっちのタイプ寄りかな? なんて思ったり。 10年程で親友だったニ人の生き方がどんどん離れて行って。それでもやっぱりいつも自分と比べるのはお互いで。 女の子だって生きて行くのにもがくんだよね!穏やかに見えても穏やかな心じゃない時もあるよね、確かに。




おまえのミッキーは、俺にまかせておけ。(P233)
 ミッキーマウスの憂鬱/松岡圭祐(著)

バックステージへようこそ! 史上初! ディズニーランド青春小説!

ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫)/新潮社

¥529
Amazon.co.jp

東京ディズニーランドでアルバイトすることになった21歳の若者。友情、トラブル、恋愛……。様々な出来事を通じ、裏方の意義や誇りに目覚めていく。秘密のベールに包まれた巨大テーマパークの〈バックステージ〉を描いた、史上初のディズニーランド青春成長小説。登場人物たちと一緒に働いている気分を味わってみて下さい。そこには、楽しく、爽快な青春のドラマがあるはずです。

Arika報告書v1アイコン秘密のベールに包まれた巨大テーマパーク。その〈裏舞台〉で働く新人バイトの三日間を描く、夏休みに読みたいディズニーランド青春成長小説。夢と魔法の王国の末端のスタッフとして、働き始めた後藤君(21)。ゲストとしてインパークしていた時と違う、ディズニーの現実を目の当たりにする。 理想とかけ離れた仕事に気落ちする彼の前に、ミッキーマウスの最大の危機が! 冒頭から始まる主人公の勘違い君ぶりや、保身に走ろうとする会社人間のクズっぷりも実社会あるあるで面白い。何事もシステム化された中にいて、人間の手作り感とやりがいに気づいた後藤君の姿は、かつて新人だった人たちに元気を与えてくれるはず。裏話として楽しめますが、正社員と非正規、利権争い、個人の葛藤など社会の縮図として、読めるお仕事小説でもある。





そんなにたくさんバターをつけないの!(P52)
 残るは食欲/阿川佐和子(著)

物欲なし。愛欲なし(と思われる)。

アガワに残されたのは食欲のみ! 

とりあえずのビールから、手間ひまかけたローストチキンまで。

おいしい日常がここに集結。


残るは食欲 (新潮文庫)/新潮社

¥497
Amazon.co.jp

幼い頃から食べることが好きだった。母手作りの素朴な家庭料理を、家族で囲んだ温かな食卓──。大人になった今は一人で作って一人で食べて「私は天才かっ」と一人で叫ぶ。季節外れのローストチキン。深夜に食したホヤ。カビの生えたパンだってちょいちょいっと削れば、あらおいしい。少し孤独。けれど食欲全開、今日も幸せ。雑誌「クロワッサン」の連載をまとめた極上の食エッセイ。

Arika報告書v1アイコン季節外れのローストチキン。カチンコチンのフランスパン、思い出のオレンジケーキ。食欲全開、今日も幸せ。食欲こそが人生だ。極上の食エッセイ。人間、最後まで燦然と残る欲望は食欲。幼少期に家族と囲んだ食卓も、今ひとりでつく食卓も、阿川佐和子の食欲は美味しさいっぱいに描き出す。食にまつわるエッセイ本は難しいジャンルだと思う、個人的には当たり外れが多いと感じる。作り方をつらつらと載せていても美味しさが伝わらないし、美味しさを薀蓄とともに書いてあっても読者が置いてけぼりになってしまう。著者はそこが絶妙で、料理を作る姿は文を読んでいても聡明さが伝わってくるが、自身が犯したドジを混ぜることで印象がぐっと愛らしくもなる。「とりあえずビール」のローマの休日パロディが面白かった。これを読んでいると、だんだんお腹が空いてきて大変(笑)。ジャガイモの冷製スープとか玉ねぎじっくり炒めたオニオングラタンスープとか試してみたい。美味しいものを作ることは最強の処世術だと思う。




迷ったら、この本に帰る。 答えは、必ずこの中にある。(P46)
 もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら/岩崎夏海(著)

ドラッカーの教えを実践し、甲子園出場をめざす高校生の青春物語。

永遠のベストセラー!


もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら/ダイヤモンド社

¥価格不明
Amazon.co.jp

ある日突然、女子マネージャーになった主人公の川島みなみは、都立程久保高校の野球部を「甲子園に連れていく」と決めた。でもいったい、どうやって? 世界で一番読まれた経営学書『マネジメント』の理論を頼りに、みなみは野球部を変革して行く。「真摯さ」とは何か、顧客は誰か、組織の成長とは……。ドラッカーの教えを実践し、甲子園出場をめざして奮闘する高校生の青春物語!

Arika報告書v1アイコン世界で一番読まれた経営学書『マネジメント』。その教えをもとに甲子園出場をめざす高校生の青春小説。すべての組織で役に立つベストセラー。本家のマネジメントを読んで、理屈はわかっても、実際へのあてはめになかなかつながりにくいなか、このようにわかりやすく、ドラマティックに書いてくれるのはすごくありがたい。組織で働くって窮屈なだけじゃなくて、ワクワクするものなんだってわかりました。高校野球ロスの今だからこそ、より楽しめた気がします‼





十六人が、ほんとうに一つになった心の強さのまえには、不安もしんぱいもなかった。(P243)
 無人島に生きる十六人/須川邦彦(著)

椎名誠氏が選ぶ漂流記ベスト20で、堂々1位!! 

実録痛快冒険記。

飲み水も食べ物もないちっちゃな島で、君ならどうする?


無人島に生きる十六人 (新潮文庫)/新潮社

¥464
Amazon.co.jp

大嵐で船が難破し、僕らは無人島に流れついた! 明治31年、帆船・龍睡丸は太平洋上で座礁し、脱出した16人を乗せたボートは、珊瑚礁のちっちゃな島に漂着した。飲み水や火の確保、見張り櫓や海亀牧場作り、海鳥やあざらしとの交流など、助け合い、日々工夫する日本男児たちは、再び祖国の土を踏むことができるのだろうか? 名作『十五少年漂流記』に勝る、感動の冒険実話。

Arika報告書v1アイコン大嵐で帆船が難破し、僕らは太平洋上のちっちゃな無人島に流れ着いた! 彼らはもう一度日本の地を踏めるのか? 感動の実録冒険記で、おじさん版の『十五少年漂流記』である。時代は木製の帆船が主流の、明治時代の話。『十五少年漂流記』と違い、こちらの冒険記は、誰ひとり死ぬことなく、無事に無人島での暮らしを終えられたのが安心し、ホッとした感じである。無人島の暮らしは黄金伝説で見たことはあるが、それと同様に、天候との戦いや、生活をするために知恵を振り絞って、自然を生かし、生きる術を見出し活用していく姿、動物や植物とのふれあいで命の大事さを感じたり、感動したりなど、大切なものが学べ、幾多の困難に立ち向かう姿、無人島のこと等について学ぶ姿が印象的だった。「一羽のアホウドリを仲間のアホウドリが助ける部分は、心打たれた。 明治時代の話ので、お世辞にも今ほど高学歴では無い人々だろうが、大いなる知恵を持っていた。スマホ知識しか持ち合わせない現代人とは違うところだ。無人島での暮らし一つ一つがなるほど、と思わずにはいられない工夫の連続で、ハラハラドキドキしながら読めた。





飛び込むのだ。現場へ。(P46)
 殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―/清水潔(著)

少女5人が姿を消した。

“真犯人”は野放しだ。

日本中に衝撃を与えた怒りの調査報道!

殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件/新潮社

¥価格不明
Amazon.co.jp

5人の少女が姿を消した。群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。同一犯による連続事件ではないのか? なぜ「足利事件」だけが“解決済み”なのか? 執念の取材は前代未聞の「冤罪事件」と野放しの「真犯人」、そして司法の闇を炙り出す――。新潮ドキュメント賞、日本推理作家協会賞受賞。日本中に衝撃を与え、「調査報道のバイブル」と絶賛された事件ノンフィクション。

Arika報告書v1アイコン五人の少女が姿を消した。冤罪「足利事件」の背後に潜む司法の闇。「調査報道のバイブル」と絶賛された事件ノンフィクション。真実が警察の都合の良いように歪められていく事に恐怖を感じた。それを執念と緻密な取材で暴いていく清水記者。これこそが本来のジャーナリストの仕事!警察官、検察官、裁判官の杜撰な捜査、自白強要、保身、隠蔽、改竄、DNA鑑定の不確かさ、矛盾した弁明…真犯人「ルパン」は今も平然と生きている。「ルパン」の情報を知っていながらも捜査の進展はない。何度も「えっ?」と声をあげ、なんとも言えない怒りと悲しみの感情が湧いてきた。私達に真実は何なのか考えさせてくれるこういうジャーナリストが必要だと思う。DNA型鑑定は絶対だと私も思い込んでいた。つまり私は無知だった。最後の方で冤罪と認められた菅家さんや免田さんに対して「(警察が言ってるから)本当は犯人なんだ。」と言う人達がいる事が本当に悔しい。メディアが発信する情報とはどういうものなのか、鵜呑みにしてはいけないと改めて感じた。ひとの命より大事な守らなければならないことなんてあるのか?間違いを認めないことで、権威は保たれるのだろうか?むしろ、間違いを認め、正そうとする方が、信頼がおける組織と私は思えるのだが。最終的に、一番の被害者の遺族や家族は、ないがしろにされている。今も警察の作ったストーリーで自白を強要されたり、恫喝された話を聞く。警察は組織の都合でなく、真摯に真実を追及して欲しい。




恥の多い生涯を送って来ました。(P9)
 人間失格/太宰治(著)

この主人公は自分だ、と思う人とそうでない人に、日本人は二分される。

人間失格1

限定プレミアムカバー

「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。ひとがひととして、ひとと生きる意味を問う、太宰治、捨て身の問題作。

Arika報告書v1アイコン生への意志を失い、廃人同様に生きる男が綴る手記を通して、自らの生涯の終わりに臨んで、著者が内的真実のすべてを投げ出した傑作告白体小説。人に対する恐怖心はどこから生まれたのか。相手の感情をぶつけられたり、裏切られる事など沢山想像は出来る。空腹を知らない葉蔵は、満足するための源泉をもたない。つまり彼は、欲が満たされる充足感をもたないがゆえに「自分の幸福の観念と、世のすべての人たちの幸福の観念とが、まるで食いちがっているような不安」(p12)を感じる。彼にとって他者の満足は、理解できない奇怪なものであり、恐怖の対象である。彼はその「わからなさ」を覆うように道化を他者との間に置く。彼が言うように、それは「人間への最後の求愛」(p14)である。それは他者と同じ二重性をもつことを意味するが、二重性をもちながら生を喜ぶ他者がまた葉蔵には理解できない。堀木へ対する接し方では「自分は相手より上にいる」事に拘っている感じも見られる。いずれにも共通するのは、「相手も自分も傷付かない」ようにしている事。それが、最後のマダムの言葉に繋がっているのかも知れません。自分に正直であればあるほど、人と繋がる事、繋がりながら生きていく事の難しさを共感出来る不朽の1冊である。




お願いします、鷹央先生。(P9)
 天久鷹央の推理カルテ/知念実希人(著)

お前の病気(ナゾ)、私が診断してやろう。

天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫nex)/新潮社

¥価格不明
Amazon.co.jp

統括診断部。天医会総合病院に設立されたこの特別部門には、各科で「診断困難」と判断された患者が集められる。河童に会った、と語る少年。人魂を見た、と怯える看護師。突然赤ちゃんを身籠った、と叫ぶ女子高生。だが、そんな摩訶不思議な“事件”には思いもよらぬ“病”が隠されていた……? 頭脳明晰、博覧強記の天才女医・天久鷹央(あめくたかお)が解き明かす新感覚メディカル・ミステリー。

Arika報告書v1アイコン統括診断部。天医会総合病院に設立されたこの特別部門には各科で診療困難とされた患者が集められる……。新感覚メディカル・ミステリー、開幕。色々な症状は出ているのに、検査結果には異常無しと言われ続ける医者不信患者にとっては「統括診断部」の鷹央先生のような存在は救い。そして小鳥先生のホニャンとしたキャラも、オッカナイ鷹央先生を中和させる存在として重要な存在になってくれてます。小鳥遊先生と、鷹央のやり取り、そして、謎解きの爽快感! 鷹央のかっこよさ。スゴくすっきりしちゃいました!まるで、マンガを読んでいるかのような、表現力。最初は短編集かと思いきや、ちゃんと繋がってるし、色々な症例から病気を判断する場面に多く接するほどに小鳥先生には財産になるから、少々?のパワハラには我慢かな。医療系なので難しいのかな?と思ってたけどそんなことは無かったです。





誰か一人いなくなれば。(P164)
 迷宮/中村文則(著)

一家惨殺。現場に残された無数の折鶴。

美しき被害者……。

善悪が混濁する衝撃の長編。


迷宮 (新潮文庫)/中村 文則

¥価格不明
Amazon.co.jp

胎児のように手足を丸め横たわる全裸の女。周囲には赤、白、黄、色鮮やかな無数の折鶴が螺旋を描く――。都内で発生した一家惨殺事件。現場は密室。唯一生き残った少女は、睡眠薬で昏睡状態だった。事件は迷宮入りし「折鶴事件」と呼ばれるようになる。時を経て成長した遺児が深層を口にするとき、深く沈められていたはずの狂気が人を闇に引き摺り込む。善悪が混濁する衝撃の長編。

Arika報告書v1アイコン密室状態の家で両親と兄が殺され、小学生の少女だけが生き残った。迷宮入りした事件の狂気に搦め取られる人間を描く衝撃の長編。都内で発生した一家惨殺事件。唯一生き残った少女と深い関係になっていき、気付けば、この事件に関わった人たちは、狂気に感染したかの様に落ちぶれていく…。誰もが持っている一面だとは思うのだけれども、中村文則は本当に心の闇を書くのが上手い!心に「暗」「陰」を抱えた人々。似た者同士。死にたくはないが殺してほしい・・・。強い陰鬱さに引き込まれる。読んでいる間、強い陰鬱さ狂気に引き込まれそうになった。私の頭の中が変になってしまうのでは!?狂気に感染してしまうのでは!?と恐怖を感じた。善悪を問うような作品はとても難しいので、中村さんの作品は正直、内容を理解する・しないというような作品ではないと思う。でも、何かを感じることはできる。登場人物の心の闇の深さに引き込まれてはいけないのだろう。しかし、共感とまではいかないが、今の私にはすごく安心できるというかとてもフィットした。あとがきでの「無理に明るく生きる必要はないし、明るさの強制は恐ろしい。さらに言えば、「平均」から外れれば外れるほど、批判を受ける確率が高くなっていく。」という言葉が胸に刺さった。無理せず自分なりに生きていこう。




結婚してしばらくのあいだ、シンデレラは幸福そのものだった。(P27)
 未来いそっぷ/星新一(著)

時代が変れば、話も変る! 

語りつがれてきた寓話も、星新一の手にかかるとこんなお話に……。

楽しい笑いで別世界へ案内する33編。


未来いそっぷ

限定プレミアムカバー

『アリとキリギリス』『ウサギとカメ』など、誰でもごぞんじの寓話の世界。語りつがれてきた寓話も、星新一の手にかかると、ビックリ驚く大革命。時代が変れば話も変るとはいえ、古典的な物語をこんなふうに改作してしまっていいものかどうか、ちょっぴり気になりますが―。表題作など、愉しい笑いと痛烈な風刺で別世界へご案内するショート・ショート33編。

Arika報告書v1アイコン時代が変れば、話も変わる! 語りつがれてきた寓話も、星新一の手にかかるとこんなお話に……。楽しい笑いで別世界へ案内する33編。ブラックユーモアてんこ盛り!「シンデレラ王妃の幸福な人生」玉の輿にのってハッピーエンド。でも、幸せな時は長くは続かない。なかなかシビアな未来は、玉の輿ののった人の多くが感じる苦労なのだろう。「頭の大きなロボット」は、情報管理の難しさを揶揄した、昭和46年初版の本に載っている話とは思えないような、まさに現代の問題が描かれていて、作者の未来を予見する目の鋭さに驚かされる。ブラックユーモアがたっぷり効いた話が多め だが、今回一番気に入ったのは「ある夜の物語」、何だか幸せな気分になった。ここまで”黒い”のが集まると、さすがにお腹いっぱいに...。たまに自分を嗜めるのに読むのもいいかもしれません。





”これ”はお父さんとお母さんを殺しちゃうわ、そうですとも。(P99)
 変身×カフカ/フランツ・カフカ(著) 高橋義孝(訳)

世界文学史上最高の問題作。

変身 (新潮文庫)/新潮社

¥350
Amazon.co.jp

ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか……。謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が読者に与えた衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。

Arika報告書v1アイコン朝、目をさますと巨大な虫に変わっている自分を発見した男―― グレーゴル・ザムザ。第一次大戦後のドイツの精神的危機を投影した世紀の傑作。この人は一度本当に虫になったことがあるんじゃ…とさえ思える程のリアルな描写に衝撃を受けました。グレーゴルが甲虫に変身したところから始まる話だけど、最後は優秀な兄に抑圧された妹の精神的な解放と自立のストーリーに読めた。毒虫になっても、家族への愛情と思慮深さを失わず、静かに家族の成り行きと自分の死を見つめる主人公。グレーゴルとその家族にとって一番不幸なのは、意思疎通が全くできないことにある。妹の献身に感謝の言葉をかけれないことが、グレーゴルをより孤独にしてしまっている。家族のことを想い、積極的に生きることを止め、死を受け入れたラストが悲しすぎる。「変身」という題がついていますが、変化したのは主人公よりもむしろ家族のほうだったのではないかと感じました。当時の時代感覚はわからないが本書を読んでいる最中は現代の過重労働からの鬱や不登校を想像した。コメディというか、ブラックユーモア的な意図も感じられました。カフカが感じた孤独感、疎外感、絶望感。カフカの前にカフカ無し。カフカの後にカフカ無し。カフカ以上の絶望はないのかも。





ああ、あれはジキルの声じゃない――ハイドだ!(P88)
 ジキルとハイド/ロバート・L・スティーヴンソン/著、田口俊樹/訳

高名な紳士ジキルと醜悪な小男ハイド。

人の心に潜む善と悪の葛藤を描いた名作怪奇小説。


ジキルとハイド

ロンドンの高名な紳士、ジキル博士の家にある時からハイドという男が出入りし始めた。彼は肌の青白い小男で不愉快な笑みをたたえ、人にかつてない嫌悪、さらには恐怖を抱かせるうえ、ついに殺人事件まで起こしてしまう。しかし、実はジキルが薬物によって邪悪なハイドへと姿を変えていたのだった……。人間の心に潜む善と悪の葛藤を描き、二重人格の代名詞としても名高い怪奇小説。

Arika報告書v1アイコン高名な紳士ジキルと悪意に塗れた醜悪な小男ハイド。人間の心に潜む善と悪の葛藤を描き、二重人格の代名詞として今なお名高い怪奇小説の傑作。二重人格という形で書かれているが、その実誰もが持ち得る快楽への欲求が異常なまでに肥大していく様が描かれている。欲求に負けたことが悪いのか、欲求を完全に分離しようとしたのが?現実から目を背けたのが?善とは悪とは…。様々な疑問が浮かぶと同時に、怪奇小説としての雰囲気も楽しめた。読み方は多種多様。二面性どころか、様々な側面が垣間見える。100年以上前の作品だが、田口俊樹氏の翻訳なので読みやすい。最後のジキルが語る事件の全容は特に、ぎりぎりの状況で語られる勢いが面白くてのせられて一気に読んでしまった。 人間の中には誰にでもジキルとハイドがいるけれど、もっと複雑に自分の中に、数人の人格がいるように思える。人は苦痛にも慣れる生き物だ。慣れて麻痺して、自分ではどうする事もできなくなってしまう怖さがある。生きていくにはハイドの部分を取り除いたって、悩み葛藤はつきまとうわけで…あらすじを知っていても、最後まで読みたくなる一冊。





私ははじめて、世界の優しい無関心に、心をひらいた。(P156)
 異邦人/カミュ/著、窪田啓作/訳

人間らしくホンネで生きていくことって本当は、非常識なことかもしれないな。

異邦人

母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。

Arika報告書v1アイコン太陽の眩しさを理由にアラビア人を殺し、死刑判決を受けたのちも幸福であると確信する主人公ムルソー。不条理をテーマにした、著者の代表作。アルジェで暮らす男ムルソーは母の死に涙を流すこともなく、翌日には旧知の女性マリイと情事に耽ったり映画を見たりと普段通りに過ごす。そんな彼が後日、不運にも殺人を犯してしまい、裁判で死刑判決が下される。ただ、その理由が事件によることではなく、母の死を悲しまない冷酷さによるものであった。そんな不条理な社会を描いた作品。主人公の殺害の動機に道理はなかった。大抵はおかしいやつだなってことで非難される。私もこんな人いたらやだなって思った。でも、最後の方で、キリスト教かなんかの偉い人が、そんな考え方おかしい、間違ってるって言うのはどうかと思ったな。そりゃそっちの方がより行きやすいのかもしれないけど。主人公にはその押し付けが不条理だったんじゃないかな。立場によって道理って変わることを知った。合わない相手にはどうすればいいんだろう。自分の人生の中で選択され必要とされる生き方は限られている。そこにある感情や想いや考えも人それぞれに違い、人間関係のそういったものを寄せ集めた「社会」は複雑に歪んで不条理で理不尽に他者を責め立ててしまう。 読んでいてそういった大きなものを主人公の視点から感じたが、どうも私には些か難しかった。彼は悪人だったのだろうか。理解できない者を悪者にする社会とそこで異邦人とならざるを得ない存在。重々しく、しかし面白く読んだ。

関連記事
スポンサーサイト



コメントフォーム

kage


URL:




Comment:

Password:

Secret:

管理者にだけ表示を許可する

この記事へのトラックバック