2017 09 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. »  2017 11

今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…集英社文庫フェア『泣きたいならよまにゃ』×10(❷/2)「もらい泣き/鉄道員(ぽっぽや)/いちご同盟‐純愛・中学編‐/こころ/車輪の下」

kage

2017/07/09 (Sun)

夏イチ

★6月28日(水)~8月31日(木)
文庫フェア

集英社文庫40th

英社文庫『ナツイチ2017』。

2017年のテーマは、「ひとりの時間を、ひとりじめ。」

ひとはときどき、繋がりすぎる、と思う。

誰かと一緒もいいけれど、ひとりを楽しむぜいたくだってある。

この夏は、ふらりとどこかで読書涼み。

好きな世界を、好きなだけ楽しもう。

わくわくするままに、想像の広がるままに。

最初の1ページから最後の1ページまで、めくれば、誰もが自由になれるから。

さあ、よまにゃ。

今回もナツイチ側が分かりやすく用意してくれた目的ジャンル別に本を紹介していきますね。

今年は7ジャンル全99作品です。

いろんなひとりじめの時間を、ナツイチ作品でお楽しみください。

■今年の特典


マスコットキャラクターを一新。
フェア参加書店で1冊買うと、その場でひとつプレゼント!
【ナツイチ限定】よまにゃ”リバーシブルブックカバー”(全4種類)

水にも強いストーンペーパー

和風で大人のエレガントペーパー



2017/05/18 に公開
読書が大好きな、集英社文庫の新しいキャラクター。
どこかの町の本屋さんで、まいにち本を読んで暮らしている。
口癖は「よまにゃ」

😻新マスコットキャラクター、「よまにゃ」とは?
集英社文庫は今年、創刊40周年。キャラクターが交代し、登場するのは、本屋さんでくらす本好きのねこ、「よまにゃ」。
人気イラストレーター、Noritake氏デザインの愛くるしいポーズがたまりませんにゃん♪

ナツイチ特設サイト:http://bunko.shueisha.co.jp/natsuichi/
※なくなり次第終了になります。

■フェアのジャンル項目


青春するならよまにゃ
笑いたいならよまにゃ
泣きたいならよまにゃ
人気の本こそよまにゃ
勇気がほしいならよまにゃ
ゾクゾクしたいならよまにゃ
ヒントがほしいならよまにゃ

・・・・の7ジャンル。



2017/06/21 に公開
海辺の本屋さんを舞台にした、ひと夏の物語。

■アイコンの説明


😻迷ったら、これを見てね。
どんな本かわかるよう、マークをつけたよ。

(笑)思わずクスクス。
(泣)感動しても、悲しくても。
(爽)読後感がさわやか!
(恋)トキメキも、切なさも。
(怖)ゾっとしつつやめられない。
(謎)ミステリー好きにはたまらない。
(温)心あたたまる。
(驚)どんでん返し!
(短)短篇小説集。
(仕)人気のお仕事小説。
(名)不朽の名作、一度は読んでみたい。
(ベ)大人気ベストセラー。
(ノ)ノンフィクション。
(実)読んで納得の実用書。
(エ)エッセイ。
(映)映像化された大人気作!





泣ける感動(゜-Å) ホロリ
泣きたいならよまにゃ×10/2)

思いっきり泣く
スッキリするのは、
心がのびのび 運動をするからなのかも。

(泣)(温)(短)
 もらい泣き/冲方 丁(著)

もらい泣き (集英社文庫)/集英社

¥価格不明
Amazon.co.jp

そっと流した涙はやがて生きる糧となる。

疲れた心をそっと包み込む人の優しさに触れる短編集。


祖母が遺した金庫の秘密。亡き友人の忘れられない言葉―。
悲しみや辛さを、人はどうやって希望に再生していくのだろう。
実話を元に創作した、心洗われる33話の物語。

…‥‥‥…
Arikaアイコン(小)1必死に運転と英語を学ぶおばちゃんの話。厳格な父との思いがけない和解の話。震災後の主人を支えた老犬ラブの話。遺品の金庫の、驚くべき中身とは?……。短編の名手・冲方丁がさまざまな人から聞き出した実話を元に創作した33話の“泣ける”ショートストーリー集。あたたかい涙が、怒りや恨みを溶かしていく。そのコンセプトのおもしろさと、各エピソードのじんわり来る感じがよい。「タクシーと指輪」もタクシー運転手の話がグッと突き刺さるし、「化粧をする人」の夫婦愛も良かったし、「メガホン男」ではポロポロ泣いちゃったし、「ノブレス・オブ・リージュ」で語られるマザーテレサの経営論は面白かったしで、お気に入りを上げればキリがなく、どれもが良い話で心温まるのだが、文が淡々として短すぎて、物足りなさがあったことは否めない。あと筆者である「私」の存在が表に出すぎていて、エピソードに集中できない部分もある。話を提供した人の想いと温度差が違うことは、仕方ないのかもしれないけれど、事実を基にした創作なのであれば、もう少し気配を消してくれてもよかったかと思うが平易な文章、筆力の高さは冲方丁さんにしか書けない連載だったのは確かで。 数ページで心が動き、ぽろりと涙が落ちる。題名、もらい泣きがストレートに沁みてくる。人の経験談には心を動かされるものが多く、また著者だからこそ聞き出せた話も多く、泣けるというより心に染みる物語だった。忘れた頃に読み返したくなる一冊だと思う。

冲方 丁(うぶかた とう)
┣1977年岐阜県各務原市生まれ。
┣4歳から9歳までシンガポール
┣10歳から14歳までネパール
┣15歳から埼玉の県立高等学校に入学。
┣職業:小説家、脚本家。
┣日本SF作家クラブ会員。
┣ジャンル:ライトノベル、サイエンス・フィクション、ファンタジー、歴史小説 。
┣デビュー作:『黒い季節』(1996)

主な受賞歴
1996年‐スニーカー大賞金賞『黒い季節』
2003年‐日本SF大賞『マルドゥック・スクランブル』
2010年‐吉川英治文学新人賞『天地明察』
2010年‐本屋大賞『天地明察』
2012年‐山田風太郎賞 『光圀伝』

・‥…━━━☆
ペンネームの由来は、暦の用語を並べたもの。生まれたのが1977年(丁巳)で、「丁」は火が爆ぜるという意味だったので、それに対して「冲」(氷が割れる音を意味する言葉)を持ってきた。「方」は職業の意。冷静さと熱意、それを職業にしていくという意味がある。





(温)(ベ)(映)
 鉄道員(ぽっぽや)/浅田次郎(著)

鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)/集英社

¥価格不明
Amazon.co.jp

日本中が涙した愛と奇跡の短編集!

妻の、娘の死んだ日も駅に立ち続けた駅長。
偽装結婚した相手から最後にもらったラブレター。
人生に後悔や心に痛みを持つ人々を優しく包む、人間愛に満ちた珠玉の8作品。

…‥‥‥…
Arikaアイコン(小)1娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた―。心を揺さぶる“やさしい奇蹟”の物語…表題作はじめ、「ラブ・レター」「角筈にて」など8編収録。第117回直木賞受賞作。買ってから気づいた。「鉄道員」って40ページにも満たない短編だったのか!と。「火垂るの墓」が短編だった事を知った時の様な衝撃を受けた。傍目から見たら家族を放ったらかしにしている風だが家族の為周りの為に真摯に仕事をする仕事に生涯を捧げる主人公の生き様には惚れ惚れする。そして死の前日の娘との再会はただただ切なく、方言での会話も温かさが感じられた。愚直なまでに「鉄道員(ぽっぽや)」であり続けた乙松の妻と娘に対する思い、娘の父親に対する思いに瞼が熱くなりました。どうしても映画の残像で高倉健さんや広末涼子さんの姿が目に浮かんでしまいますが…。鉄道員以外も傑作揃い。それぞれの理由で会えなくなってしまった家族に対する思いが、切なく、そして優しく描かれています。「もう会えない」と思っていた人に色んな形で会える感動の話がちらほら。不気味で怖い雰囲気の話もちらほら。それらを書き分けられるのがまた凄い。浅田次郎の作品はにあり得ないくらい情の深い人や奇跡や奇跡的な偶然や切ない作品が多い。そういうのは本来あまり好きでは無いのだが、浅田次郎の作品に出てくるそれらは好きなのはなんでだろ。特に心に響いたのは「ラブレター」、切なすぎて、読後も一晩引きずってしまった。 頑張って、思う人の幸せを求めてそれを貫き通して、そんな一生、苦しいだろうけど幸せの究極ってこんな中に存在するのかもしれません。

浅田次郎(あさだ じろう)
┣1951年(昭和26年)東京都中野区鍋屋横丁(旧・上町)で育ち。
┣エッセイやメディアなどでは神田出身とも述べている。
┣職業:小説家。
┣2011年日本ペンクラブ会長。
┣2013年‐現在、直木賞、柴田錬三郎賞、山本周五郎賞選考委員。
┣ジャンル:時代小説・大衆小説
┣デビュー作:『とられてたまるか!』

📚代表作
『蒼穹の昴』(1996)
『鉄道員(ぽっぽや)』第16回日本冒険小説協会大賞特別賞。第117回直木三十五賞(1997年)
『壬生義士伝』第13回柴田錬三郎賞。ベストドレッサー賞(2000)
『中原の虹』第42回吉川英治文学賞(2007)

・‥…━━━☆
陸上自衛隊に入隊、除隊後はアパレル業界など様々な職につきながら投稿生活を続け、1991年、『とられてたまるか!』でデビュー。悪漢小説作品を経て、『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、『鉄道員』で直木賞を受賞。時代小説の他に『蒼穹の昴』、『中原の虹』などの清朝末期の歴史小説も含め、映画化、テレビ化された作品も多い。





(ベ)(泣)(映)
 いちご同盟/三田誠広(著)

いちご同盟 (集英社文庫)/集英社

¥価格不明
Amazon.co.jp

人はなぜ生きていくのか? 

15歳が見つめた生と愛。

好きになった少女は、重い病に侵されていた。
自らも将来への不安を抱えながら、15歳の良一はこの恋をどう貫くのか―。
思春期の内面を繊細に描いたロングセラー。

…‥‥‥…
Arikaアイコン(小)1ピアノを弾く多感な良一と、野球部のスター徹也は共に15歳。ふたりが同時に恋したのは闘病中の少女だった。その直美から「あたしと、心中しない?」とささやかれた良一は……。15歳の少年が見つめる愛と友情と死…。芥川賞作家が「自分を生きろ!」というメッセージを込めたみずみずしい青春小説。いつも自殺のことばかり考えていた中3のぼくは、同級生の徹也を通じて病気の少女・直美と出会い、自分の中で何かが変化していくのを感じていた。しかし直美の病状は徐々に悪化して……。ガラス細工のように繊細な15歳の心を描き、生と死を見つめた不朽の青春ストーリー。彼女が死んだ時、初めて彼は“死”を実感し、これまでの非日常の“死”が、日常の“死”に変わる。漫画『四月は君の嘘』に出てくるこの本。8巻のラストに「私と心中しない?」と初めて見たときは衝撃だったのを覚えています。そしてこの本でも一人の病を抱えた少女と男の子二人の物語です。いちご同盟はお互いに長く生きるんだと誓いあう大事な同盟です。「あたしと、心中しない?」病気で入院中の直美がひょんな事から知り合った良一に言った衝撃的な一言。どんな気持ちで直美は言ったんだろう?良一はどんな想いで受け止めたんだろう?考えるほどに胸が張り裂けそうになる。「運命が、あなたをあたしの前に連れてきたのよ。だからあたしは、この運命を、喜んで受け入れようと思うの」直美を最も美しいと思った瞬間。病気にならなければ2人は出会う事がなかった、残酷で切ない運命。彼女が死んだ時、初めて良一は“死”を実感する。これまでの非日常の“死”が、日常の“死”に変わる。3人それぞれの悩みと葛藤を描きつつ、生きるとは何かを考えさせられる。是非ともいろんな人に読んでもらいたい小説。 せめて、良一と徹也の心の中で直美が、一五同盟が、永遠に生き続く事を願っています。

三田誠広(みた まさひろ)
┣1948年大阪府出身。
┣職業:小説家。早稲田大学客員教授を経て、武蔵野大学教授。
┣デビュー作:『Mの世界』
文藝学生小説コンクール佳作入選し、18歳の誕生日を前にして文壇にデビュー。

📚代表作
『僕って何』芥川賞受賞作(1977)
『いちご同盟』(1990)
『地に火を放つ者/双児のトマスによる第五の福音』(1992)





(名)(泣)(映)
 こころ/夏目漱石(著)

こころ (集英社文庫)/集英社

¥価格不明
Amazon.co.jp

「君、恋は罪悪ですよ」。
人生に影を落とした恋愛の悲劇。

「先生」を慕い「先生」に学びたい私。
だが心の内を打ち明けてもらえない。
「先生」が妻にさえ隠し通した秘密とは……。
人の心の深奥を描いた、漱石の最高傑作。

…‥‥‥…
Arikaアイコン(小)1「私」が尊敬する「先生」から届いた分厚い手紙。それは先生の過去をつづった遺書だった……。恋は罪悪か? 友を裏切った男の告白。恋人を得るために親友を裏切り、自殺へと追いこんだ。その過去の罪悪感に苦しみ、自らもまた死を選ぶ「先生」…。愛と偽善、誠実の意味を追究した傑作。 人を信じる心とは何か? 劣等感と自尊心、エゴと罪悪感の狭間で苦しむ先生の姿を通して、自分と他者の心の関係に迫る。漱石晩年の名作であり、近代日本文学の最高峰。

明治時代の男女や親子の関係などが分かる。先生といい、私といい、上京してきた書生としての視点だからか、田舎のもつ繋がりを、しがらみや厭らしさが滲むように描写しているのが印象的。昔の人の美学なのか、女の人を純粋無垢なまま、真実や大事な部分を知らせずにいることを正義と感じていそう。現代の女性の立場からすると馬鹿にされているような気もするだろうけど、そういう時代だった。長い手紙の後の先生の行動も妻の思いも「私」の気持ちも。父親を看取れたのかとか。で?という答えは何も無し。モヤモヤして終わってしまう。 昔、教科書に載っていた部分だけの時は、嫌な性格をした先生が友人の死によって後悔する話として単純に解釈していたけれど、全体を読むと先生の心情はそんな単純なわけでもなく、人の心の複雑な所、全く善な人も全く悪な人もいない、その時その時で善も悪に変わるのだと思う。先生は生きる事によって自分に罰と侮蔑を与えてきたけれども、明治天皇に対する殉死という、言い訳を得て、ようやく楽になったのだろう。最期まで卑怯であるけれど、それが人間なのだという気がしてならない。 今の年齢と、これまでの境遇で、より感じるものがあった作品であることは確かです。それ故、ひどく不快でした。信じるものを持てなかったのは、誰のせいでもなく、結局は自分自身のせいでしょうに。……“先生”と同じ道を辿らないように、私は私に正直でありたいと思う。必然の帰結として死が登場する作品は大体面白いが、これもその一つかな。 思っていたより文章が読みやすくて、文体を苦痛に感じなかった。

夏目 漱石(なつめ そうせき)
┣1867年2月9日(慶応3年1月5日) - 1916年(大正5年)12月9日・満49歳没)
┣江戸の牛込馬場下横町(現在の東京都新宿区喜久井町)出身。
┣職業:小説家、評論家、英文学者。
┣ジャンル:小説、俳句、漢詩、評論、随筆
┣主題:近代知識人の我執、個人主義、日本の近代化
┣俳号:愚陀仏。
┣デビュー作:『吾輩は猫である』(1905)

📚代表作
『吾輩は猫である』(1905)
『坊っちゃん』(1906)
『草枕』(1906)
『三四郎』(1908)
『それから』(1910)
『門』(1911)
『彼岸過迄』(1912)
『行人』(1914)
『こゝろ』(1914)
『明暗』(1916)

・‥…━━━☆
大学時代に正岡子規と出会い、俳句を学ぶ。帝国大学(後の東京帝国大学、現在の東京大学)英文科卒業後、松山で愛媛県尋常中学校教師、熊本で第五高等学校教授などを務めた後、イギリスへ留学。帰国後、東京帝国大学講師として英文学を講じながら、「吾輩は猫である」を雑誌『ホトトギス』に発表。これが評判になり「坊っちゃん」「倫敦塔」などを書く。その後朝日新聞社に入社し、「虞美人草」「三四郎」などを掲載。当初は余裕派と呼ばれた。「修善寺の大患」後は、『行人』『こゝろ』『硝子戸の中』などを執筆。「則天去私(そくてんきょし)」の境地に達したといわれる。晩年は胃潰瘍に悩まされ、「明暗」が絶筆となった。





(名)(泣)(温)
 車輪の下/ヘルマン・ヘッセ(著) 訳:井上正蔵

車輪の下 (集英社文庫)/集英社

¥価格不明
Amazon.co.jp

小さな田舎町に突如あらわれた神童。

だが大人たちの重い期待に苛まれ……。


〝真面目な良い子〟を押し潰したのは誰!?
悩める魂の代弁者、ノーベル賞作家ヘッセの自伝的小説。

…‥‥‥…
Arikaアイコン(小)1著者の分身ハンス・ギーベンラートの物語。南ドイツの小さな町。ハンスという少年は、天才的な才能を持ち、エリート養成学校である神学校に2位の成績で合格するも神学校の仲間と触れ合ううちに、勉学一筋に生きてきた自らの生き方に疑問を感じる。そして、周囲の期待に応えるために、自らの娯楽とか、友情とか、純粋さとか、欲望を押し殺し、その果てに、ハンスの細い心身は疲弊していく。神学校では、ハイルナーとの交友を校長までがやめさせようとし、そこから一気にハンスの凋落が始まる。ハイルナー1人が見せしめになったとき、彼を裏切ることに自責の念を感じたハンスが愚直すぎたのか。長いものには巻かれればよかったのか。ハンスは心と体のバランスを崩して退学する。休養中の失恋も経て鍛冶職人への道を歩み始めたが、挫折感と、昔ともに学んだ同級生への劣等感から自暴自棄となり、最後は断りきれず慣れない酒を飲み過ぎて川に流され溺死する、という話。

自伝的作品と聞いていたけど、まさかの驚きの結末…( ˘•ω•˘ )…。著者・ヘッセは、少年時代の神学校在学時に、「詩人になれないのなら、何にもなりたくない」と悩み、不眠症とノイローゼに陥ってしまった。その結果、学校を退学し、精神療養をして、一般の高校に転校する。しかし、どうしたら詩人になれるのか悩み、その高校を退学し、本屋の見習いとなった。しかし、三日でその店をやめて、消息を絶ってしまった。この物語の主人公であるハンスは、周りに誰も支えてくれる人がいない。それに対して、ヘッセには、母親がいた。そして、母親の存在があったおかげで、ヘッセは、立ち直ることができた。ハンスとヘッセとの大きな違いである。

人はなぜ生きるのか、学ぶのか。その時々のハンスの思考が、悉くに突き刺さる。 まっすぐ歩き続けないと、終わるしかない・・・ ウェルテルの悩みのように、死を以て愛を定義づけたのでは無く、死に安らぎと救いを見出したハンス。読んでいるだけで鬱々としたハンスの暗い気持ちが伝わってきてなんとも憂鬱な気持ちになる。優秀な少年が、周りの影響で変わっていく様。心の変化、喪失、悦び…大人になるまでの感じやすい心の、それぞれの段階での描写がすごく良く、暗く厳しいのにほんのりと甘い読み口が心地いい作品。名作が名作たる所以は、その物語に流れる普遍的な強い哲学とメッセージがあるからだろう。

太宰治『人間失格』を読んだすぐあとに、『車輪の下』を読んだ。生まれて初めて味わったどん底の憂鬱感。どちらも自分に向き合うこと、人と関わっていく難しいさを感じさせる作品で、読んでいて胸が苦しくなっていく。『車輪の下』に書いてある内容は実際にあり得ることだし、大人と子どもの区別は男女の性差以上にとても無意味であるように思える。大人の名誉とか自尊心とかのために轢き殺されていたハンスはほんとうの死をもってやっと解放されたのかもしれない。それでも、こんなふうにしてしまった当の大人たちはそれに気付かないままで一生を終えるのだろう。賞味期限付きの経験というものが人生にはある。ハンスの精神世界を彷徨うことで、別れを告げる事なくサヨナラしてきたものが沢山ある事に気づいた。体を突き動かして仕方がなかった十代の心。あの活発な心はどこに行ったんだろう・・・・、と思いつつ私は今を大切に生きたいと考える。

著作:ヘルマン・ヘッセ((Hermann Karl Hesse)
1877年7月2日 - 1962年8月9日
国籍:ドイツ生まれスイスの作家。
主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者。

📚代表作
『車輪の下』(1906)
『デミアン』(1919)
『荒野のおおかみ』(1927)
『ガラス玉演戯』(1943)

・‥…━━━☆
南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を画いた作品が多い。また、ヘッセは、風景や蝶々などの水彩画もよくしたため、自身の絵を添えた詩文集も刊行している。そして、1946年、彼は、『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞した。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
翻訳:井上正蔵(いのうえ しょうぞう)
1913年3月27日 - 1989年11月2日
東京市京橋区(現中央区)新富町生まれ
東京出身のドイツ文学者。

著書📚
『ハインリヒ・ハイネ 愛と革命の詩人』岩波新書(1952)
『ドイツ近代文学研究』三一書房(1955)
『ハイネ序説』未來社(1967)
『私のシュトゥルム・ウント・ドラング 「詩と真実」から』新日本出版社(1990)
共著:『論集文学』日夏耿之介共著 三省堂出版(1948)

・‥…━━━☆
新日本文学会会員、マルクス主義の立場からドイツ文学にアプローチし、特にハインリヒ・ハイネや東ドイツ文学の研究・翻訳紹介で知られた。



Arika報告書v1アイコン表紙は萩尾望都。題名の「車輪」は、主人公の少年を押しつぶす社会の仕組みを表現している。題名の由来は作中の校長が「おまえこのままだと車輪の下に引かれることになるぞ」という主人公への叱咤激励。なお、邦訳本によっては『車輪の下に』や『車輪の下で』と題するものもある。……しかしだ、「車輪」という言葉だけで今、私の脳内を絶賛リプレー占拠してるのはバンブの『車輪の唄』である。2人の男女の切ない別れの時間を、情景描写豊かに描いたバンブの傑作。最後の「微かな温もり」って歌詞を聞いた後、最初の「確かな温もり」って歌詞を改めて聞くと、その先に起こる事を先行して想像してしまい切ない( ˘•ω•˘ )♪






関連記事
スポンサーサイト

コメントフォーム

kage


URL:




Comment:

Password:

Secret:

管理者にだけ表示を許可する

この記事へのトラックバック