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(1月の特集本)ティモレオン/ダン ローズ(著) 金原瑞人・石田文子(訳)

kage

2018/01/10 (Wed)

2018年1月の特集本:動物の文庫①
犬の文庫

犬本に描かれる世界観は、世知辛い世の中とは無縁の”強い絆”で触れている。

恰好良くて頼りがいがあって、でもちょっとドジだけど、愛情表現が半端でない。

ここにあるのは、人間同士では得られない多幸感や、人間関係のなかで少なくなってしまった無償の愛そのものです。

人に対する”絶対的で圧倒的な信頼関係”である。

だから犬は相棒であり、パートナーであり、親友であり、兄弟である。

どうして犬たちは、こうも人を愛してくれるのだろう。

ぎゅっと抱きしめてくれるような深くて、深くて、大きな愛に満ちあふれた文庫を紹介。

アイコンりす今回の書籍案内人・・・・Arika

 ティモレオン/ダン ローズ(著) 金原瑞人・石田文子(訳)

ティモレオン―センチメンタル・ジャーニー (中公文庫)/中央公論新社

¥価格不明
Amazon.co.jp

かつては名の売れた作曲家だったゲイの老人コウクロフト。ある事件がきっかけで故国イギリスを離れた彼は、イタリアの田舎町で瞳がきれいな雑種犬のティモレオン・ヴィエッタと仲良く暮らしていた。そこにハンサムで残酷なボスニア人の青年が転がり込んできて、老人と愛犬の穏やかな生活は終わりを告げる。青年に疎まれて見知らぬ街に捨てられたティモレオンは、懐かしの家を目指して走り出すが…。


Arikaアイコン(小)1犬が繋ぐ短編集的な感覚。
飼い主の元へ戻るための旅路で出会った人たちとの群像劇。

悪意と不条理に溢れる連作小説からなる一冊。ティオレオンとは犬の名前。癒しとかは皆無でそういうものを求める人は嫌いだろう。人生の残酷さと美しさと悲哀を見せつけられる物語。美しさと醜さは表裏一体、残酷だけれど、真理。よく練られて先が読めない「お話」というのを久しぶりに味わった。あらゆる物語(ノンフィクションでさえ)はファンタジーであるけれど、でも、世界のすべてを肯定するだけでは馬鹿みたい。それは思考停止状態に近い。起こった出来事を多面的に見てこそ、分かる小説の真髄もある。悲劇的ではあるけれど、寥、そして愛の不条理と美しさを描いた名著だと思う。誰かを愛することそのものにまつわるグロテスク。恋と自己愛は両立しない、がこの人の作家性なのかな。著者は「俺は3作書いたらそこで辞める」と断言したというが、現在はどうしていることやら。





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